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わらの犬 Straw Dogs (1971)

平穏な暮らしを求めて田舎町に越してきた数学者夫妻に襲いかかる恐怖を描く、監督、脚本サム・ペキンパー、主演ダスティン・ホフマンスーザン・ジョージピーター・ヴォーンデヴィッド・ワーナー他共演のスリラー。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


スリラー/ホラー


スタッフ キャスト
監督:サム・ペキンパー

製作:ダニエル・メルニック
原作:ゴードン・M・ウィリアムズThe Siege of Trencher’s Farm
脚本
サム・ペキンパー
デヴィッド・ゼラグ・グッドマン
撮影:ジョン・コキロン
編集
ポール・デイヴィーズ
トニー・ローソン
ロジャー・スポティスウッド
音楽:ジェリー・フィールディング

出演
デヴィッド・サムナー:ダスティン・ホフマン
エイミー・サムナー:スーザン・ジョージ
トム・ヘッデン:ピーター・ヴォーン
ジョン・スコット少佐:T・P・マッケンナ
チャーリー・ヴェナー:デル・ヘニー
クリス・コージー:ジム・ノートン
フィル・リダウェイ:ドナルド・ウェブスター
ノーマン・スカット:ケン・ハッチソン
ボビー・ヘッデン:レン・ジョーンズ
ジャニス・ヘッデン:サリー・トムセット
ハリー・ウェア:ロバート・キーガン
ジョン・ナイルズ:ピーター・アーン
バーニー・フード牧師:コリン・ウェランド
ルイーズ・フード:チェリナ・シャア
ヘンリー・ナイルズ:デヴィッド・ワーナー
バーティ・ヘッデン:マイケル・マンデル
ヘッデン夫人:ジューン・ブラウン
エマ・ヘッデン:クロエ・フランクス

アメリカ 映画
配給 20世紀FOX
1971年製作 117分
公開
北米:1971年12月22日
日本:1972年4月29日
製作費 $2,200,000


アカデミー賞
第44回アカデミー賞

・ノミネート
作曲賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
イングランドコーンウォール、ウェイクリー。
アメリカ人の応用数学者デヴィッド・サムナー(ダスティン・ホフマン)は、恒星構造の研究で助成金を得た後、若くて魅力的なイギリス人の妻エイミー(スーザン・ジョージ)と共に、かつて彼女が暮らしていた田舎町に引っ越してくる。

骨董品に興味があるエイミーは狩猟用の罠を購入し、地元の少年ボビー・ヘッデン(レン・ジョーンズ)と妹ジャニス(サリー・トムセット)に車まで運んでもらう。

元恋のチャーリー・ヴェナー(デル・ヘニー)に声をかけられたエイミーは、デヴィッドに彼を紹介して、修理をしている車庫の作業の手伝いを頼むことを提案する。

雇ったノーマン・スカット(ケン・ハッチソン)の仕事が遅いことを気にするデヴィッドは、ジャニスらの従兄チャーリーに頼むことにする。

パブに向かったデヴィッドは、アメリカ製のタバコを購入ようとする。

車で待っていたエイミーは、ジャニスとボールで遊ぶ精神障害者のヘンリー・ナイルズ(デヴィッド・ワーナー)を見つめながら、チャーリーから、彼が施設に入らなかったことを知らされる。
...全てを見る(結末あり)

エイミーはチャーリーに言い寄られ、それを拒む。

パブのオーナー、ハリー・ウェア(ロバート・キーガン)が店を閉めようとしたため、ボビーとジャニスの父でチャーリーの叔父のトム(ピーター・ヴォーン)は不満に思う。

現れたチャーリーはハリーに謝罪するが、トムは騒ぎを起こす。

元少佐である判事のジョン・スコット(T・P・マッケンナ)に落ち着くようにと言われたトムは、金を払ってその場を去る。

タバコを買ったデヴィッドは車に戻り、エイミーの運転で家に向かう。

チャーリーのことを気にするデヴィッドは、エイミーから、一度、口説かれたと言われて家に着く。

ノーマンにチャーリーが手伝うことなどを話したデヴィッドは、彼とネズミ駆除のクリス・コージー(ジム・ノートン)に、骨董品の罠を入り口まで運んでもらう。

家の中を調べたクリスは、盗んだエイミーの下着をノーマンに見せて、チャーリーと関係していた彼女をものにしようと考える。

デヴィッドから再びチャーリーのことを訊かれて苛立つエイミーは、書斎の黒板の方程式を書き換えてしまう。

その後、仕事を始めたデヴィッドは、ノーマンとクリスと話をするエイミーが気になる。

エイミーが方程式を書き換えたことに気づいたデヴィッドは、子供じみたイタズラをする彼女に呆れる。

フィル・リダウェイ(ドナルド・ウェブスター)が迎えに来たために、ノーマンとクリスはデヴィッドに挨拶して帰る。

パブにいたトムは、現われたヘンリーの兄ジョン(ピーター・アーン)に、弟が女を狙っているので、やめさせられないなら施設に入れろと伝える。

その場にいたフィルらからも同じことを言われたジョンは、今度、問題を起こしたら施設に入れると伝える。

その夜、デヴィッドに惹かれるジャニスは、家を覗いていたところをボビーに見つかる。

ベッドに向かったデヴィッドは、ボビーとジャニスに覗かれていることに気づかないままエイミーと愛し合う。

フィルは、クリスから渡されたエイミーの下着をチャーリーに自慢げに見せる。

翌日、デヴィッドから、仕事中は独りにしてほしいと言われて書斎から追い出されたエイミーは、気分を害して買い物に向かう。

作業をしていたチャーリーらは、戻って来たエイミーを見つめる。

そのいやらしい目つきが気になったエイミーは、無関心なデヴィッドに、戦う勇気がなくここに逃げて来たと伝える。

自分が希望したので来たと言われたエイミーは納得し、デヴィッドに謝罪する。

入浴しようとするエイミーは、デヴィッドから争いごとは嫌いだと言われ、二階に向かいセーターを脱ぎ、その姿をチャーリーらに見られる。

気晴らしに車で出かけようとしたデヴィッドは、仕事を終えて帰ろうとするチャーリーらにからかわれる。

町に着いたデヴィッドは、ジャニスと話したヘンリーが、ジョンに殴られる様子を見つめる。

パブに向かったデヴィッドは、チャーリーらを気にしながら酒を注文する。

現われたスコットに声をかけられたデヴィッドは、バーニー・フード牧師(コリン・ウェランド)と妻ルイーズ(チェリナ・シャア)と共に家を訪ねるつもりだったと言われ、親睦会に招待することを知らされる。

スコットと共に家に戻ったデヴィッドは、待っていたフード牧師夫妻に挨拶する。

フードと親睦会と仕事の話をしたデヴィッドは、教会の行いについて皮肉を言う。

牧師夫妻とスコットは帰り、眠ろうとしたデヴィッドは、クローゼットに死んだネコが吊るされていることに気づく。

それを知ったエイミーは、叫び声をあげる。

エイミーはノーマンかクリスの仕業だと思い、デヴィッドは念のたために戸締りを確認する。

ノーマンとクリスに挑発されていると言われたデヴィッドだったが、証拠もないのに彼らを責められないとエイミーに伝える。

苛立つエイミーから何もしようとしないと言われたデヴィッドは、チャーリーらと話をする。

チャーリーらを家に招き入れたデヴィッドは、油断させて追及することをエイミーに伝える。

チャーリーとフィルに罠を運んでもらったデヴィッドは、それを暖炉の上の壁にかけてもらう。

ビールと共にミルクを運んできたエイミーは、チャーリーらを牽制する。

チャーリーらに猟に誘われたデヴィッドは翌日、行くことになり、エイミーは、彼が何もする気がないと思い席を外す。

チャーリーらは仕事に戻り、デヴィッドは、エイミーが黒板に書いた皮肉を確認する。

翌日、猟場に向かったチャーリーらは、デヴィッドに指示を与えて別れ、彼を置き去りにして家に向かう。

現われたチャーリーを招き入れたエイミーは、彼に迫られて拒むものの、殴られて暴行される。

結局はチャーリーを受け入れてしまったエイミーは、銃を向けて現われたノーマンにも暴行される。

歩いて戻って来たデヴィッドは、ベッドにいたエイミーに、明日、ノーマンらをクビにすることを伝える。

侮辱されたとエイミーに話すデヴィッドは、ネコのことをうやむやにしたからだと言う彼女と口論になる。

ミルクをだしたから計画が狂ったと言うデヴィッドは、いつまでも子供のようなエイミーを批判するものの、怯える彼女に寄り添う。

翌日、デヴィッドは、ノーマンらを解雇して金を払い出て行ってもらう。

その夜、デヴィッドとエイミーは、親睦会に出席する。

デヴィッドに声をかけるものの、相手にされないジャニスは、ヘンリーを散歩に誘う。

それに気づいたボビーは、二人の後をつける。

スコットに紹介されたフード牧師の手品が終り、デヴィッドとエイミーは席を立ちその場を去る。

ボビーからジャニスとヘンリーのことを知らされたトムは、ジョンを表に連れ出して痛めつける。

苛立つトムは、ボビーにジャニスを捜すよう指示してパブに向かう。

ジャニスにキスされたヘンリーは、物音に気づき、彼女をきつく抱きしめたために窒息死させてしまう。

ボビーから二人が見つからないと言われたトムは、さらに捜すよう指示する。

霧の中で運転するデヴィッドは、道を歩いていたヘンリーを撥ねてしまい、彼を家に連れて行く。

ヘンリーを嫌うエイミーに反対されたデヴィッドだったが、怪我人を放っておけずに、彼女を非難して医者を呼ぼうとする。

デヴィッドからの電話を受けたハリーは、彼がヘンリーを車で撥ねたことをトムらに伝える。

銃を持ったトムは、チャーリーらと共にデヴィッドの家に向かう。

チャーリー、ノーマン、クリスが家に押し入り、ヘンリーを連れ出そうとするが、それを制止するデヴィッドは、ジャニスのことをヘンリーに尋ねる。

ヘンリーは答えられず、デヴィッドから、医師が来るまでヘンリーを見ていると言われたチャーリーは、エイミーからも警察が来ることを知らされ、仕方なくその場を去る。

納得できないトムは、ドアを壊し窓を割って入ろうとするが、デヴィッドは抵抗して追い払おうとする。

ヘンリーを二階に隠したデヴィッドは、彼を引き渡すべきだと言うエイミーの意見を聞かずに、自分の家で暴力は許さないと伝える。

そこにスコットが現れ、自分がトムを説得するとデヴィッドに伝える。

外に出てトムと話したスコットは、引き揚げるようにという指示に従わない彼と揉み合いになる。

銃が暴発し、スコットは撃たれて死亡し、トムを非難するデヴィッドは電話をかけようとするものの、線を切られてしまう。

共犯となり後に引けなくなったチャーリーらは、家に押し入ろうとする。

エイミーのヘンリーを引き渡してほしいという言葉を無視したデヴィッドは、対抗することを考え、相手の動きを知るために、二階に向かい電気を点けるよう彼女に指示する。

チャーリーに説得されたエイミーはドアを開けてしまい、それを制止したデヴィッドは、自分を見限った彼女に外に出ろと伝える。

ドアを開けようとしたエイミーを殴ったデヴィッドは、トムらが発砲してきたため、彼らを中に入れたら殺されると彼女に伝える。

戦うしかないと言うデヴィッドは、窓から入ろうとしたノーマンの手を針金で縛り、首にナイフを当てて脅す。

エイミーと共に罠を壁から下ろしたデヴィッドは、彼女に襲いかかったヘンリーを落ち着かせる。

キッチンのカーテンに火を点けられたデヴィッドは、沸騰させた油をトムらにかける。

エイミーと火を消したデヴィッドは、彼女を二階に向かわせる。

デヴィッドは、窓から入ろうとするトムの銃を殴る。

銃は暴発して、自分の足を撃ってしまったトムはもがき苦しむ。

押し入ってきたフィルとクリスを殴り殺したデヴィッドは、チャーリーに銃を向けられる。

ノーマンに襲われたエイミーの叫び声を聞いたデヴィッドは、二階に向かう。

エイミーを犯すと言うノーマンを射殺したチャーリーは、襲いかかるデヴィッドと格闘になる。

階段を転げ落ちたデヴィッドは、チャーリーの首を罠で挟ンで殺し、全員、始末したことを確認する。

生きていたフィルがデヴィッドに襲いかかり、エイミーがフィルを射殺する。

エイミーのことを気遣いながら、ヘンリーを車に乗せて町に向かうデヴィッドは、帰り道がわからないと言われる。

問題ないと言うデヴィッドは、自分も分からないとヘンリーに伝える。


解説 評価 感想

(簡略ストー リー)
イングランドコーンウォール、ウェイクリー。
アメリカ人の応用数学者デヴィッド・サムナーは、かつてこの町に住んでいた若くて魅力的な妻エイミーと共に引っ越して来る。
地元の青年ノーマンらに車庫の修理を頼んでいたデヴィッドは、エイミーと付き合っていたことがあるチャーリーにも手伝いを頼む。
静かな環境の中で仕事に集中したいデヴィッドだったが、作業をするチャーリーらの目的はエイミーだった・・・。
__________

1969年に発表された、ゴードン・M・ウィリアムズの小説”The Siege of Trencher’s Farm”を基に製作された作品。

2011年にジェームズ・マースデンケイト・ボスワースアレクサンダー・スカルスガルド共演でリメイクされた。
・「わらの犬」(2011)

暴力を否定し平穏な暮らしを望む数学者夫妻に襲いかかる恐怖を描く心理スリラー。

数々の話題作を手掛けたサム・ペキンパーが脚本を兼ねて監督し、若手の実力派スタートして認められたダスティン・ホフマンが主演した注目作。

第44回アカデミー賞では作曲賞にノミネートされた。

本作のタイトル”Straw Dogs”は、古代中国の”老子道徳経”の語録にある、祭儀では価値がある藁の犬に人が例えられ、天から見たその存在の小ささを表現している”

トラブルを避けることだけを考えていた主人公が、自分の家で起きる暴力を許さないことを妻に伝え、”豹変”して対抗する終盤の行動力と迫力をより強烈に見せるために、それに至るまでは、まったく異なる人物像を細やかに描く手法で観る者を惹きつける、サム・ペキンパーの演出手腕は光る。

主演のダスティン・ホフマンは、平穏な生活を望みトラブルを避けるものの、クライマックスでは暴力に敢然と立ち向かう主人公を見事に演じている。

主人公である夫の行動に不満を抱く若い妻を演ずる、撮影当時20歳のスーザン・ジョージの魅力も注目だ。

パブに入り浸る地元の住人で、終盤に主人公の家を襲うピーター・ヴォーン、彼と揉めて射殺されてしまう判事である元少佐T・P・マッケンナ、かつてヒロインと付き合っていた修理の仕事を手伝うデル・ヘニー、同じくジム・ノートン、ドナルド・ウェブスター、ケン・ハッチソン、トム(ピーター・ヴォーン)の息子レン・ジョーンズ、その妹で主人公に惹かれるサリー・トムセット、パブのオーナー、ロバート・キーガン、終盤で主人公に関り存在感を示す障害者のデヴィッド・ワーナー、その兄ピーター・アーン、牧師夫妻のコリン・ウェランドとチェリナ・シャア、その他、ジューン・ブラウンクロエ・フランクスなどが共演している。


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