1811年に発表された、ジェーン・オースティンの「分別と多感」の映画化。 資産家の後妻の子で全く性格の違う姉妹が遺産や愛のトラブルを乗り越えて幸せを掴むまでをユーモアも交えて描く、製作シドニー・ポラック、監督アン・リー、脚色(オスカー受賞)、主演エマ・トンプソン、ケイト・ウィンスレット、ヒュー・グラント、アラン・リックマン、トム・ウィルキンソン他共演による文芸恋愛ドラマの秀作。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:アン・リー
製作総指揮:シドニー・ポラック
製作:リンゼイ・ドーラン
原作:ジェーン・オースティン
脚本:エマ・トンプソン
撮影:マイケル・コールター
編集:ティム・スクワイアー
衣装デザイン
ジェニー・ビーヴァン
ジョン・M・ブライト
音楽:パトリック・ドイル
出演
エリノア・ダッシュウッド:エマ・トンプソン
マリアンヌ・ダッシュウッド:ケイト・ウィンスレット
エドワード・フェラース:ヒュー・グラント
クリストファー・ブランドン大佐:アラン・リックマン
ジョン・ウィロビー:グレッグ・ワイズ
ダッシュウッド夫人:ジェマ・ジョーンズ
ダッシュウッド:トム・ウィルキンソン
ジョン・ミドルトン卿:ロバート・ハーディー
ルーシー・スティール:イモジェン・スタッブス
シャーロット・ジェニングス・パーマー:イメルダ・スタウントン
パーマー:ヒュー・ローリー
ジョン・ダッシュウッド:ジェームズ・フリート
ファニー・フェラース・ダッシュウッド:ハリエット・ウォルター
マーガレット・ダッシュウッド:エミリー・フランソワ
イギリス 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1995年製作 136分
公開
イギリス:1996年2月23日
北米:1995年12月13日
日本:1996年6月1日
製作費 $16,500,000
北米興行収入 $42,993,770
世界 $135,000,000
■ アカデミー賞 ■
第68回アカデミー賞
・受賞
脚色賞
・ノミネート
作品
主演女優(エマ・トンプソン)
助演女優(ケイト・ウィンスレット)
撮影・衣装デザイン・作曲賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
19世紀初頭。
イングランド、サセックス、ノーランド・パーク。
財産を持つダッシュウッド(トム・ウィルキンソン)は、息子ジョン(ジェームズ・フリート)に屋敷等を遺し、後妻(ジェマ・ジョーンズ)とその娘エリノア(エマ・トンプソン)、マリアンヌ(ケイト・ウィンスレット)、マーガレット(エミリー・フランソワ)には年500ポンドを渡すことを告げこの世を去る。
しかし、ジョンの妻ファニー(ハリエット・ウォルター)は夫を言いくるめ、エリノア達に最小限の財産しか与えないように画策する。
自分の住んでいた屋敷を、突然、間借りすることになってしまったエリノアらは、屋敷を仕切るようになったファニーの弟エドワード・フェラース(ヒュー・グラント)を迎える。
エリノアらは、ファニーの弟ということで、それなりの気構えでいたのだが、意外にもエドワードは思慮深い好青年だった。 いつも姿を隠してばかりいる末の妹マーガレットが、エドワードになつく姿を見て、エリノアは心和む。 転居場所が決まったダッシュウッド夫人は、娘のエリノアとエドワードが親交を深め惹かれ合っているのに気づき、 マリアンヌは、自分には物足りない大人し過ぎるエドワードが、姉エリノアと釣り合いがとれるのか心配する。 ファニーが、それに横槍を入れそうな気配を察知したダッシュウッド夫人は、仕方なく転居することにする。 エリノアらは、新居となるデヴォンのバートン・パークのコテージを提供してくれた、ジョン・ミドルトン卿(ロバート・ハーディー)とその義母のシャーロット・ジェニングス・パーマー(イメルダ・スタウントン)に迎えられる。 ジョン卿の屋敷を訪れた、彼の親友であるクリストファー・ブランドン大佐(アラン・リックマン)は、そこに居合わせたマリアンヌに一目惚れしてしまう。 財産のある中年のブランドンは、かつて愛した女性が貧しかったため、父親に引き離されてしまったという暗い過去を持つ男性だった。 お節介なジェニングス夫人は、ブランドンとマリアンヌの仲を取り持とうとする。 その後、エドワードからマーガレット宛に世界地図が届くのだが、彼が届けるはずであったため、マーガレットはショックを受け、エリノアのことに触れていない手紙で彼女も気落ちする。 そんな時、散歩中のマリアンヌが足を捻挫してしまい、通りがかった青年ジョン・ウィロビー(グレッグ・ワイズ)に助けられる。 一家はウィロビーに夢中になり、翌日、マリアンヌは現れたブランドンへの挨拶もそこそこに、見舞いに訪れたウィロビーを歓迎する。 ウィロビーをよく知らないままに、一瞬にして恋に落ちたマリアンヌを、エリノアは心配しながら見守る。 ブランドンは冷静に二人の様子を窺うが、ウィロビーは人前であからさまに彼を嫌う。 ある日、ウィロビーから大切な話があると言われたマリアンヌは、期待に胸膨らませ彼を待つ。 しかし、ウィロビーはロンドンに行くことになり、逃げるようにダッシュウッド家から去っていく。 マリアンヌは泣き崩れるが、エリノアはウィロビーが何か隠し事をしているように思えた。 そんな時エリノアは、ジェニングス夫人の屋敷に滞在していた従妹のルーシー・スティール(イモジェン・スタッブス)が、内密にエドワードと婚約していたことを知らされる。 動揺するエリノアは、ジェニングス夫人がロンドンに自分達を連れて行く計画があると聞いても気乗りしない。 一方、ウィロビーに会えるかもしれないマリアンヌは元気を取り戻す。 ロンドンに着いたエリノアとマリアンヌは、ブランドンの訪問を受ける。 マリアンヌが席を外した後、ブランドンは彼女とウィロビーが愛し合っていることをエリノアから聞く。 しかしブランドンは、ウィロビーに疑いをかけるようなことを語りながらその場を立ち去る。 ウィロビーの訪問を心待ちにしていたマリアンヌは、舞踏会で彼に再会し、彼の心が自分から離れているのを知り卒倒しそうになる。 その後、ウィロビーから詫び状を受け取ったマリアンヌは、彼から愛を告げられたわけでもないことをエリノアに話し泣き崩れる。 ジェニングス夫人は、直ぐに二人の噂話を聞きつけて、ウィロビーが、5万ポンドの持参金目当てに他の女性と結婚することを、エリノアとマリアンヌに知らせる。 その後、ブランドンはエリノアを訪ね、かつて、自分が愛した女性が遠ざかってから産んだ娘を引き取ったのだが、ウィロビーがその娘に手を出し、妊娠させたことを彼女に告げる。 ウィロビーはブランドンが手を下す前に、ロンドンに逃亡したことをエリノアは知る。 遺産相続も出来なくなったウィロビーは、その結果としてマリアンヌを捨て、5万ポンドの持参金の娘を選んだのだった。 しかしブランドンは、ウィロビーがマリアンヌを本気で愛し、彼女に求婚する気だったらしいことも付け加える。 ファニーの家に滞在していたルーシーは、エリノアとマリアンヌを訪ねるが、そこにエドワードが現れる。 その場に、ショックから立ち直ったマリアンヌが顔を出し、エドワードとルーシーとの間柄を知らない彼女は、余所余所しいエドワードと、彼に素っ気無いエリノアの態度に戸惑いを見せる。 ルーシーは、世話になっているファニーに、彼女の弟エドワードに心を寄せていることを打ち明けてしまい、憤慨したファニーに追い出されてしまう。 エドワードが、ルーシーとの約束を果たすことを決めたため、彼は母親から絶縁され財産を受け継げなくなる。 それを知ったマリアンヌは、自分が犠牲になってでも全てが丸く収まることを望む、辛さに耐えてきたエリノアの気持ちを理解し涙する。 ブランドンは、エドワードとルーシーの結婚に協力したいことをエリノアに伝え、彼女にその仲介役を頼む。 断りきれないエリノアは、ブランドンの意向を友人としてエドワードに伝え役目を果たす。 デヴォンに戻ったエリノアらだったが、 マリアンヌが未だ忘れられないウィロビーを想い丘で雨にうたれ、重い感染症を患ってしまう。 屋敷でマリアンヌの様子を見守っていたブランドンは、エリノアの思いつきで彼女らの母親を呼び寄せる。 マリアンヌは奇跡的に助かり、母親との再会を喜び、エリノアそしてブランドンに心から感謝する。 その後、ブランドンはマリアンヌの心の支えになり、回復した彼女は、自分より辛い立場のエリノアを気遣う。 やがて、エドワードがルーシーと結婚式を挙げたという報せが入る。 ブランドンからのピアノがダッシュウッド家に届き、一家は穏やかな日々を過ごしていた。 そんなある日、エドワードがダッシュウッド家を訪ね、彼はエリノアらに丁寧な訪問の挨拶をする。 エドワードの妻ルーシーのことを気遣うダッシュウッド夫人だったが、ルーシーと結婚したのは弟だということを彼から知らされる。 それを知ったエリノアは、突然取り乱し、母や妹達は席を外す。 誠意を持ってエリノアに愛を告げるエドワードを、彼女は満面の笑顔で受け入れる。 そして、エリノアとエドワード、マリアンヌとブランドンは、人々に祝福されながら揃って結婚式を挙げる。
...全てを見る(結末あり)
屋敷に暫く滞在することを決める。
*(簡略ストー リー)
財産を持つダッシュウッド家の家長が亡くなるが、後妻とその三人の姉妹には、わずかな財産しか遺されなかった。
強欲な長男の妻ファニーは、同情も見せずに屋敷を仕切り、彼女らを追い出そうとする。
思慮深い長女のエリノアは、ファニーの弟で誠実な青年エドワードと惹かれ合うようになり、快活な次女マリアンヌは、転居先で資産家のブランドン大佐や、青年ウィロビーと運命の出会いを果たすのだが・・・。
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アン・リーが、本格的にハリウッド進出を果たした注目作品で、その後、様々なジャンルの作品で才能を発揮する、国際感覚溢れた彼の演出力の高さが評価された。
第68回アカデミー賞では、「ハワーズ・エンド」(1993)で、既に主演賞を受賞していたエマ・トンプソンが、初めて脚本を担当し見事に脚色賞を受賞した。(女優としては初受賞)
・ノミネート
作品
主演女優(エマ・トンプソン)
助演女優(ケイト・ウィンスレット)
撮影・衣装デザイン・作曲賞
北米興行収入は約4300万ドル、全世界では約1億3500万ドルのヒットとなった。
ジェーン・オースティンの伝記映画「ジェイン・オースティン」(2007)を観ると、原作者自身や生活が投影されていいることが理解できるために一層興味深い。
多くの登場人物が微妙に絡み合う、コメディの要素も含んだ展開、そしてクライマックスは、ヒューマンドラマとして見事な盛り上がりを見せ感動を誘う。
誠意を持って人に接していれば、必ず幸福が訪れる・・・。
という単純なテーマが、実にメルヘンチックでいい。
この種の作品でよく見られる、イングランドの美しくのどかな田舎の風景、”俗っぽい”都会人の生活の描写、当時の街並みのセットや衣装なども素晴らしい。
思慮深く落ち着いた雰囲気から、1歳年下のヒュー・グラントよりかなり年上に見えるエマ・トンプソンだが、クライマックスまで淡々と演じていた彼女が、突然訪れた”奇跡”に取り乱すシーンは、見ている者にショックを与えるほど衝撃的でもある。
撮影当時19歳、透き通るような白い肌が印象的な、まだあどけないケイト・ウィンスレットが、実力派スターとして認められるきっかけになった作品でもある。
若気の至りも全て許したくなる、資産家の好青年を演ずるヒュー・グラント、50歳目前で、落ち着きと渋さ抑えた演技で存在感を示すアラン・リックマン、王子様のように登場し、結局は不幸を背負った人生を送るであろうというラストの表情が印象的なグレッグ・ワイズ、姉妹の母親ジェマ・ジョーンズ、亡くなる夫トム・ウィルキンソン、末娘のエミリー・フランソワ、長男ジェームズ・フリートと強欲な妻ハリエット・ウォルター、一家にコテージを提供するロバート・ハーディー、その義母でなかなかの怪演を見せる世話焼き夫人イメルダ・スタウントン、娘婿ヒュー・ローリー、夫人の従妹イモジェン・スタッブス等が共演している。