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追われる男 Run for Cover (1955)

過去がある流れ者の男と青年との友情と待ち受ける運命を描く、監督ニコラス・レイ、主演ジェームズ・キャグニーヴィヴェカ・リンドフォースジョン・デレクジーン・ハーショルトグラント・ウィザースアーネスト・ボーグナイン他共演の西部劇。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


西部劇


スタッフ キャスト
監督:ニコラス・レイ

製作
ウィリアム・H・パイン
ウィリアム・C・トーマス
原作
ハリエット・フランクJr.
アーヴィング・ラヴェッチ
脚本:ウィンストン・ミラー
撮影:ダニエル・ファップ
編集:ハワード・A・スミス
音楽:ハワード・ジャクソン

出演
マット・ダウ:ジェームズ・キャグニー
ヘルガ・スウェンソン:ヴィヴェカ・リンドフォース
デイヴィー・ビショップ:ジョン・デレク
スウェンソン:ジーン・ハーショルト
ジェントリー:グラント・ウィザース
ラーセン:ジャック・ランバート
モーガン:アーネスト・ボーグナイン
保安官:レイ・ティール
スコッティ:アーヴィング・ベーコン
ポールセン:トレヴァー・バーデット
ウォルシュ町長:ジョン・ミルジャン
リッジウェイ医師:ガス・シリング

アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1955年製作 93分
公開
北米:1955年5月14日
日本:1955年7月12日
北米興行収入 $1,500,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
川で水を汲もうとしていた流れ者のマット・ダウ(ジェームズ・キャグニー)は、背後から近づく若いカウボーイのデイヴィー・ビショップ(ジョン・デレク)に気づき銃を向ける。

馬に水を飲ませたいだけで、脅かす気はなかったと言うデイヴィーに謝罪したマットは、20歳の彼に、長生きしたければ背後から近づくなと忠告する。

互いに名乗り意気投合した2人は、マディソンの町に向かうことになる。

列車が通りがかり、強盗団のジェントリー(グラント・ウィザース)の話になった2人は、線路に近づく。

強盗に遭ったばかりだった列車の現金配達人は、近づいたデイヴィーが鷹を撃ったために、それが合図だと思う。

配達人はマットとデイヴィーを強盗だと思い、殺されることを襲れて、現金の入ったバッグを投げ捨てる。
...全てを見る(結末あり)

マットはそれを返そうとするが列車に追いつけづ、大金が気になるデイヴィーと共に町に向かう。

マディソン。
町に着いた配達人は保安官(レイ・ティール)の元に向かい、強盗に遭遇し仕方なく現金を渡したことを話す。

保安官は捜索隊を編成し、犯人を捜すために出発する。

犯人を見つけた保安官は、発砲してマットとデイヴィーを捕らえる。

マットは、配達人が投げ捨てた現金を町に運ぶ途中だったと話すものの、信じてもらえず、その場で吊るされそうになる。

重傷を負ったもう1人が町民のデイヴィーだということが分かり、保安官はスウェンソン(ジーン・ハーショルト)の農場に彼を運ぶことを指示し、マットを町に連行する。

配達人はマットを犯人の一人だと証言するものの、結局は襲われていないことが分かる。

町の様子を見に来ただけだと言うマットは釈放され、デイヴィーが心配な彼は、スウェンソンの農場に向かう。

人々は、無実の男を吊るそうとした保安官の無能さを非難する。

農場に着いたマットは、スウェンソンの娘ヘルガ(ヴィヴェカ・リンドフォース)にデイヴィーのことを尋ねる。

デイヴィーがリッジウェイ医師(ガス・シリング)の治療を受けていることを知ったマットは、彼の容態を訊き、危険だと言われて心配する。

スウェーデンからの移民である気難しい人物のスウェンソンに挨拶したマットは、デイヴィーを看病する。

息子が生きていればデイヴィーと同じくらいの年だとヘルガに話したマットは、彼の回復を祈り付き添う。

ヘルガは、そんなマットが気になる存在になる。

その後も献身的にデイヴィーの看病するマットは、住人のスコッティ(アーヴィング・ベーコン)と親しくなる。

ヘルガと話をしたマットは、息子は10年前に死に、ある問題があり離婚したことを伝える。

移住した経緯などをヘルガから聞いたマットは、世話になった代わりに農場を手伝う考えを伝える。

スウェンソンが自分たち関係を気にするために、ヘルガにそのことを尋ねたマットは、スウェーデンでは男女が2人になるのをよく思わないことを知る。

スウェンソンと話しをしたマットは、農場を手伝うことを了承してもらう。

順調に回復していたかに見えたデイヴィーだったが、リッジウェイは、彼の脚は一生治らないとマットとヘルガに伝える。

それを信じようとしないマットは、歩けないと言って嘆くデイヴィーに厳しく接し、誇りを持って生きるようにと伝える。

しかし、納得できないデイヴィーは、マットを部屋から追い出してしまう。

強引過ぎることを後悔したマットだったが、自分の気持ちを理解してくれたデイヴィーが歩いて見せたために、ヘルガと共に喜ぶ。

その後、家の外に出たデイヴィーは、馬に乗れるようになる。

スコッティがウォルシュ町長(ジョン・ミルジャン)らを連れて現れ、償いとして、デイヴィーに高給の仕事を与えることを提案する。

しかしデイヴィーは、生きているだけで十分であり、世話にはなりたくないと言ってそれを断る。

マットは保安官になることを提案され、自分で保安官補を選ぶことを条件にそれを引き受ける。

銃に弾丸を込めたマットは、前払いの報酬を、葬儀代だと言ってシリンダーに詰める。

早撃ちではないマットは、自分より早いデイヴィーに保安官補にする。

マットは、一緒でなけらば保安官は受けなかったとデイヴィーに伝えて、彼を納得させる。

農場を去ることになったマットと話したヘルガは、デイヴィーにチャンスと勇気を与えたいと言う彼の考えを理解し、互いの愛を確認してキスする。

マットとデイヴィーは仕事を始めるが、平穏な日々が続いた。

そんな時、2人組に銀行が襲われ、1人を銃撃したマットは、後をデイヴィーに任せて、もう1人の男モーガン(アーネスト・ボーグナイン)を追う。

モーガンを捕らえたマットは、彼に買収されそうになるものの、町に連行する。

捕らえた男がリンチに遭い殺されたことを知ったマットは、それを止められなかったデイヴィーを責める。

仕方がなかったと言うデイヴィーは、辞めることを考えバッジを投げ捨てるが、それを拾ったマットは彼に返し、モーガンを見張らせる。

モーガンを移送して連邦保安官に引き渡すことにしたマットは、それをデイヴィーに任せる。

マットは、酒場で騒いでいたリンチの首謀者ラーセン(ジャック・ランバート)らを逮捕するが、判事は10ドルの罰金で釈放してしまう。

デイヴィーが怪我をして戻ったことを知ったマットは、モーガンに襲われて逃げられたと話しながら、保安案補を諦めたと言う彼からバッジを渡される。

訪ねて来たヘルガと話したマットは、この町で長く暮らしたくなったと言って、彼女にプロポーズしようとする。

先に結婚すると言われてしまったマットは、プロポーズするつもりだったと彼女に伝えて、スウェンソンと話をすることになる。

その夜、訪ねて来たマットとチェスをしたスウェンソンは、彼が結婚を承諾して欲しいために、わざと負けたと考える。

既に2人で決めていることだと考えるスウェンソンは反対するつもりはなく、マットからこの農場を買い取ると言われ、問題ないと伝える。

ヘルガを呼んだスウェンソンは、2人の結婚を承諾する。

マットとヘルガは結婚し、デイヴィーは商店で働くようになる。

イースターのミサが行われている教会に、銃を手にしたジェントリーが現れ、銀行の頭取に金庫の現金の金額が8万5000ドルであることを確認する。

保安官が旧知のマットだと知ったジェントリーは驚き、金庫を爆破するまで動くなと警告する。

銀行の金庫は爆破され、ジェントリーは人々を教会に閉じ込める。

ジェントリーは、馬車で着いたスウェンソンを射殺して仲間と共に逃亡する。

ドアを壊して外に出たマットらはスウェンソンに駆け寄り、ヘルガは父の死を知り悲しむ。

ジェントリーと知り合いだったことをマットは人々に追及され、6年間同じ監房にいたことを話す。

ラーセンから犯人とグルだと言われたマットは、彼を殴り倒す。

マットは、確かに囚人だったが、他人に似ていたために投獄され、結局は刑は取り消されたと皆に話す。

それでもマットを疑う声はあったが、ヘルガは彼を信じる。

ジェントリーの行動は読めると言うマットは捜索隊を編成し、デイヴィーもそれに加わり追跡を始める。

捜索は続きコマンチの居住地に入ってしまい、マットとデイヴィー以外は町に引き返すことにする。

その後、デイヴィーに腕を撃たれたマットは、彼に襲いかかり撃った理由を訊く。

デイヴィーがジェントリーの仲間だと知ったマットは彼を殴り、モーガンを移送した時に買収された彼を非難する。

デイヴィーを連れて先を急ぐマットは、コマンチに殺されたジェントリーらを発見する。

死体を確認しに行ったデイヴィーは、現金を見つけてマットに渡す。

川の近くで休んだマットとデイヴィーは、一夜をその場で過ごす。

マットは、裏切りは自分しか知らないと言って、デイヴィーにチャンスを与えようとする。

そこにコマンチが現れ、日暮れまで待ち川を渡ることを考えたマットとデイヴィーは、その後、現金を隠して行動を開始する。

2人は川を渡り始め、マットは溺れそうになり、デイヴィーは彼を見捨てて対岸に向かう。

流木にしがみついたマットは何とか川を渡り、歩いて廃墟にたどりつく。

そこが強盗団のアジトだと知ったマットは、その場にあった銃を手にして、モーガンと合流したデイヴィーが、現金を取り戻す話をしっていることに気づく。

モーガンを銃撃したマットは、デイヴィーにチャンスを与えたことを後悔して、裏切った彼を非難する。

生きていたモーガンが銃を手にしたために射殺したデイヴィーは、同時にマットに撃たれて倒れ込む。

デイヴィーが自分を助けたことを知ったマットは、息を引き取った彼の前で涙する。

マットが戻ったことに気づいたオルセンは、人々にそれを伝えて彼を迎えに行く。

ウォルシュ町長に現金を渡したマットは、デイヴィーからだと言ってヘルガの元に向かう。

ヘルガと抱き合うマットはデイヴィーのことを訊かれ、彼はうまくやったと答える。


解説 評価 感想

*(簡略ストーリー)
流れ者のマット・ダウは、出会った青年デイヴィーと意気投合し、マディソンの町に向かおうとする。
途中、列車強盗に間違われたマットとデイヴィーは、保安官らに襲われる。
デイヴィーは重傷を負い、マットは町に連行されるものの、疑いが晴れて釈放される。
スウェーデン移民のスウェンソンの農場で手当てを受けるデイヴィーの看病をしたマットは、スウェンソンの娘ヘルガとの親交を深める。
町長から保安官になることを頼まれたマットはそれを引き受け、脚は完治しないものの回復したデイヴィーを保安官補にして、町の治安を守ろうとするのだが・・・。
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過去がある流れ者の男と青年との友情と、2人を待ち受ける運命を描く西部劇。

流れ者がたどりついた町で保安官になる単純な話ではなく、過去がある主人公の苦悩や、成長しきれない青年の行動や許しがたい裏切りなどが描かれた、複雑な内容の作品。

過去がある流れ者である主人公を50代半ばで渋みが増すジェームズ・キャグニーが熱演し、ニコラス・レイの無駄のないシャープな演出が見どころの作品でもある。

犯人追跡のシーンも多く、大自然を映し出す美しい映像も印象に残る。

主人公と惹かれ合う、スウェーデン移民である農場の娘ヴィヴェカ・リンドフォース、その気難しい父親ジーン・ハーショルト、好青年風に登場し、人生経験の未熟さから主人公を裏切ってしまうジョン・デレク、強盗団のリーダー役グラント・ウィザース、主人公を疑う町の住人ジャック・ランバート、強盗団の一員で、同年、本作の直前に公開された「マーティ」(1955)でアカデミー主演賞を受賞することになるアーネスト・ボーグナイン、無能な保安官のレイ・ティール、主人公と親しくなる町の住人アーヴィング・ベーコン、同じくトレヴァー・バーデット、町長のジョン・ミルジャン、医師のガス・シリングなどが共演している。


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