1930年代前半の大恐慌の時代、後のFBIから史上初めて”社会の敵(パブリック・エネミーズ)No.1”に指名された伝説の凶悪犯ジョン・デリンジャーの波乱の半生を描く、製作総指揮ロバート・デ・ニーロ、製作、監督、脚本マイケル・マン、主演ジョニー・デップ、クリスチャン・ベール、マリオン・コティヤール他共演の犯罪アクション大作。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:マイケル・マン
製作総指揮
G・マック・ブラウン
ロバート・デ・ニーロ
ジェーン・ローゼンタール
製作
マイケル・マン
ケヴィン・ミッシャー
脚本
ロナン・ベネット
アン・ビダーマン
マイケル・マン
撮影:ダンテ・スピノッティ
編集
ポール・ルベル
ジェフリー・フォード
音楽:エリオット・ゴールデンサール
出演
ジョン・デリンジャー:ジョニー・デップ
メルヴィン・パーヴィス:クリスチャン・ベール
ビリー・フレシェット:マリオン・コティヤール
チャールズ・ウィンステッド:スティーヴン・ラング
アルヴィン・カーピス:ジョヴァンニ・リビシ
ベイビー・フェイス・ネルソン:スティーヴン・グレアム
ホーマー・ヴァン・メーター:スティーヴン・ドーフ
J・エドガー・フーバー:ビリー・クラダップ
ポリー・ハミルトン:リーリー・ソビエスキー
アンナ・セイジ:ブランカ・カティク
ジョン“レッド”ハミルトン:ジェイソン・クラーク
プリティ・ボーイ・フロイド:チャニング・テイタム
フィル・デアンドレア:ジョン・オーティス
ハリー”ピート”ピアポント:デビッド・ウェナム
サミュエル・P・コーリー:リチャード・ショート
チャールズ・マクレイ:クリスチャン・ストルティ
トミー・キャロル:スペンサー・ギャレット
アンナ・パツケ:エミリー・デ・レイヴィン
ジョン・マダラ:ショーン・ハトシー
クラレンス・ハート:ドン・フライ
ウォルター・ディトリッヒ:ジェームズ・ルッソ
リリアン・ホリー保安官:リリ・テイラー
フランク・ニッティ:ビル・キャンプ
アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
2009年製作 140分
公開
北米:2009年7月1日
日本:2009年12月12日
製作費 $100,000,000
北米興行収入 $97,030,730
世界 $214,104,600
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1933年、,大恐慌4年目、インディアナ州立刑務所。
ジョン・デリンジャー(ジョニー・デップ)は、収監される囚人に扮し、相棒のジョン“レッド”ハミルトン(ジェイソン・クラーク)と刑務所に侵入する。
そして二人は、仲間で囚人のチャールズ・マクレイ(クリスチャン・ストルティ)、ハリー”ピート”ピアポント(デビッド・ウェナム)、ホーマー・ヴァン・メーター(スティーヴン・ドーフ)らを、犠牲者を出しながら脱獄させる。
オハイオ州、イースト・リヴァプール。
BOI(捜査局/現FBI)捜査官のメルヴィン・パーヴィス(クリスチャン・ベール)は、プリティ・ボーイ・フロイド(チャニング・テイタム)を追跡の末に殺害する。
その後デリンジャーらは、シカゴに潜伏するため保安官を買収し、マフィアの援助を受けながら、インディアナ州、イースト・シカゴのファースト・ナショナル銀行を襲う。
DOI/BOI長官J・エドガー・フーバー(ビリー・クラダップ)は、長官として不適切だと判断され、委員会から予算の増額要請を却下される。 1934年6月22日。 デリンジャーはあるレストランで、凶悪犯アルヴィン・カーピス(ジョヴァンニ・リビシ)から、連邦準備銀行の170万ドルを輸送する列車強盗を持ちかけられる。 その後デリンジャーは、フランス人と先住民の混血ビリー・フレシェット(マリオン・コティヤール)に出会う。 デリンジャーはビリーに一目惚れしてしまい、お互い惹かれ合うが、彼が地元のマフィアと話している間に、ビリーは姿を消してしまう。 デリンジャーは、クラブのクローク係をしているビリーの元に向かい、彼女に仕事を辞めさせて強引にホテルに連れ帰り、お互いの素性を知った二人は愛し合う。 同じ頃、パーヴィスはデリンジャーの追跡を始め、彼が滞在すると思われるアパートに向かうが、そこにいたベイビー・フェイス・ネルソン(スティーヴン・グレアム)に、捜査官が殺害される。 デリンジャーは次の銀行を襲い、ネルソンも逃がしてしまったパーヴィスは、人材不足をフーバーに訴える。 そしてパーヴィスは、生死を問わず犯人を捕らえる手段を心得るテキサスの警官、チャールズ・ウィンステッド(スティーヴン・ラング)をシカゴに呼び寄せ捜査に加える。 アリゾナ州、ツーソン。 インディアナ州に移送されたデリンジャーらは、民衆の注目を浴び、裁判までの間、リリアン・ホリー保安官(リリ・テイラー)の元に監禁される。 しかし、デリンジャーは木で作った模造銃を使い、仲間達と共に脱獄し、ホリー保安官の車を盗んで逃亡する。 ビリーに連絡を入れたデリンジャーだったが、その電話は盗聴され、彼が必ずシカゴに戻るとパーヴィスは確信していた。 隠れ家を追い払われたデリンジャーは、アル・カポネの組織シカゴ・アウトフィットの幹部、フランク・ニッティ(ビル・キャンプ)の右腕フィル・デアンドレア(ジョン・オーティス)の元に向かう。 デリンジャーの犯罪が、州の境界をなくす捜査に広がりつつあり、政府が、犯罪全体にそれを適用する動きが出始めていた。 そしてデアンドレアは、ニッティが仕切る”ブックメイキング”に危険が及んでいることをデリンジャーに説明し、彼らへの協力を拒む。 組織の援助がなくなったデリンジャーは、映画館で銀行強盗のトミー・キャロル(スペンサー・ギャレット)に会う。 デリンジャーは、サウスダコタのスーフォールズでの銀行強盗で、大金が手に入れられることをキャロルに約束される。 気乗りしないまま、デリンジャーはベイビー・フェイス・ネルソンを仲間に引き入れ計画は実行されるが、彼が無謀な行動に出たために警官と撃ち合いになる。 デリンジャーは腕を撃たれてしまい、キャロルも負傷して置き去りにされる。 ウィスコンシン州マニトウィッシュ・ウォーター。 その後パーヴィスは、一命を取り留めたキャロルを拷問して、デリンジャーらの居場所”リトル・ボヘミア・ロッジ”を突き止め、現場に急行する。 隠れ家に到着し建物を包囲したパーヴィスは、周囲を固めてから攻めるべきだと言うウィンステッドの忠告を聞き入れずに、行動を開始する。 パーヴィスら捜査官とデリンジャー一味は激しい銃撃戦となり、デリンジャーとハミルトンは、ネルソンらと別行動をとり、その場から逃亡する。 パーヴィスは同僚捜査官に死者も出しながら、森の中に逃げた一味を追う。 そしてパーヴィスら捜査官は、車で逃亡したネルソンやヴァン・メーターらを殺害する。 デリンジャーらは農夫の車を盗み逃走するが、銃弾を受けたハミルトンは息絶える。 その頃、監視の目を逃れたビリーは、その後、デリンジャーと再会することが出来る。 そしてデリンジャーは、二人で逃亡するための資金を得るために、最後の仕事をすることをビリーに伝える。 しかし、街角でデリンジャーが安全を確認し、ビリーを車から降ろした後、彼女は捜査官に逮捕される。 デリンジャーは捜査官に気づかれなかったが、彼は何も出来ずに已む無くその場を立ち去る。 非情な捜査官から拷問を受けたビリーは、その仕打ちに耐え切れずデリンジャーの居場所を教えるが、それが嘘だと分かり、さらに暴力を振るわれそうになる。 それを知ったパーヴィスとウィンステッドは、拷問を止めさせて、彼女を正当に扱う。 その後、パーヴィスは、デリンジャーと通じているルーマニア移民アンナ・セイジ(ブランカ・カティク)に、国外強制退去命令をちらつかせながら、彼の逮捕の協力を承諾させる。 そんな時、デリンジャーは、”脱獄させないで”という獄中のビリーからの手紙を弁護士から渡される。 そしてデリンジャーは、カーピスと組んだ列車強盗で、巨額の現金を手に入れる計画を実行しようとする。 アンナの元に潜んでいたデリンジャーは、同居人のポリー・ハミルトン(リーリー・ソビエスキー)の用事で警察に向かう。 デリンジャーは、自分の捜査本部が置かれているオフィスに侵入し、何食わぬ顔で内部を見回して引き上げる。 1934年7月22日。 ”バイオグラフ・シアター”で、映画を観終わった3人は劇場を出るが、既に捜査官が周囲を包囲し、パーヴィスが合図の葉巻に火を付ける。 そして、人ごみを行くデリンジャーの背後から迫るパーヴィスらは、彼に発砲する。 ウィンステッドの弾丸がデリンジャーに致命傷を与え、彼は倒れて何か言葉を発しようとする。 それを聞いたウィンステッドは、パーヴィスにデリンジャーが何も話さなかったことを伝える。 その後、ウィンステッドはビリーと面会し、デリンジャーの最後の言葉を知らせようとする。 ウィンステッドは、”バイバイ、ブラックバード”と、デリンジャーが死に際に言ったと思うとビリーに伝える。 毅然としていたビリーは、それがデリンジャーとの思い出の曲だったことを理解して涙を浮かべ、ウィンステッドはその場を立ち去る。 翌年、メルヴィン・パーヴィスは、名称が変わったFBIを辞職し、1960年に自らの手で命を絶った。 ビリー・フレシェットは1936年に釈放され、ウィスコンシン州で余生を送った。
...全てを見る(結末あり)
フーバーは、その功績を評価しパーヴィスをシカゴ支局長に昇進させ、デリンジャーを”社会の敵No.1”に指名し、犯罪との戦いを宣言する。
警察はデリンジャー一味を発見して逮捕し、現地に到着したパーヴィスは、デリンジャー本人と面会しベイビー・フェイス・ネルソンに殺された捜査官の話しなどをする。
隠れ家の山荘”リトル・ボヘミア・ロッジ”に逃れたデリンジャーらは、強奪金が、予想よりはるかに少なかったことを知り落胆する。
その夜デリンジャーは、アンナとポリーとでクラーク・ゲーブル主演の「男の世界」を観に行くことにする。
__________
*(簡略ストー リー)
仲間を刑務所から脱獄させ、犯罪を重ねていたジョン・デリンジャーは、DOI/BOI/(現FBI)長官J・エドガー・フーバーに”社会の敵No.1”に指名されてしまう。
フーバーはその犯罪に対する組織強化のため、凄腕の捜査官メルヴィン・パーヴィスを呼び寄せる。
その後デリンジャーは、マフィアの援助を受けてシカゴに潜伏し、ビリー・フレシェットと出会い愛し合うようになる。
仲間達と共に、犯行を続けたデリンジャーだったが、パーヴィスの執念の捜査で、次第に追い詰められていく・・・。
__________
ジョン・デリンジャーとビリー・フレシェットのロマンスと、巨大捜査組織FBIが誕生していく過程で、それに貢献する捜査官メルヴィン・パーヴィスやチャールズ・ウィンステッドの堅実な仕事振りなど、マイケル・マンらしい、リアリティを重視した演出が見所の作品。
当時の定番の武器である、”トミーガン”を効果的に使った銃撃戦などは、戦争映画を見ているような迫力がある。
ジョニー・デップとクリスチャン・ベールの共演、1億ドルの巨費を投じた作品にも拘らず、北米では期待ほどのヒットとはならなかった。
しかし、全世界では約2億1400万ドルの興行収入を上げた。
*
北米興行収入 $97,030,725
世界 $214,104,620
”ノーメイク”のジョニー・デップの魅力爆発と言ったところで、ファンにとっては彼が画面に登場しているだけで満足できるだろう。
しかし、1973年公開の「デリンジャー」で主役を演じたウォーレン・ オーツが、本人に容姿も似ていただけに、その印象が強く、本作はギャング”ジョニー・デップ”にしか見えないところが気になる。
デリンジャーとは同じ年の、若き豪腕捜査官メルヴィン・パーヴィスを演じたクリスチャン・ベールは、感情を抑えた神経質そうな人物を好演し、その後、自殺すことを予感させ雰囲気もある。
ヒロインのマリオン・コティヤールも、ビリーがフランス人と先住民の混血ということで、恵まれない家庭に育った逞しさなどを感じさせる熱演を見せる。
敏腕捜査官振りと渋さが印象的な、ラストも締めるチャールズ・ウィンステッド役のスティーヴン・ラング、”パブリック・エネミーズ”の一人アルヴィン・カーピスのジョヴァンニ・リビシ、ベイビー・フェイス・ネルソンのスティーヴン・グレアム、デリンジャー一味のジョン“レッド”ハミルトンのジェイソン・クラーク、ホーマー・ヴァン・メーターのスティーヴン・ドーフ、チャールズ・マクレイのクリスチャン・ストルティ、ハリー・ピアポントのデビッド・ウェナム、J・エドガー・フーバーのビリー・クラダップ、呆気なくパーヴィス(C・ベール)に殺されるプリティ・ボーイ・フロイド役のチャニング・テイタム、ニッティの右腕ジョン・オーティス、デリンジャーを匿う、本作では、有名な”赤いドレスの女”として描かれていないアンナ・セイジのブランカ・カティクとリーリー・ソビエスキーなどが共演している。