殺人狂の怪人となりオペラ歌手である娘のために人生を捧げる男を描く、監督アーサー・ルービン、主演クロード・レインズ、ネルソン・エディ、スザンヌ・フォスター、エドガー・バリア他共演のホラー・ミュージカル。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:アーサー・ルービン
製作:ジョージ・ワグナー
原案:ハンス・ジャコビー
原作:ガストン・ルルー”オペラ座の怪人”
脚色
エリック・テイラー
サミュエル・ホッフェンスタイン
撮影
ハル・モーア
W・ハワード・グリーン
編集:ラッセル・F・シェーンガース
美術・装置
アレクサンドル・ゴリッツェン
ジョン・B・グッドマン
ラッセル・A・ガウスマン
アイラ・S・ウェッブ
音楽:エドワード・ウォード
出演
エリック・クロウデン/オペラ座の怪人:クロード・レインズ
アナトール・ガロン:ネルソン・エディ
クリスティーヌ・デュボワ:スザンヌ・フォスター
ラウル・ドーベール:エドガー・バリア
ビアンカローリ:ジェーン・ファーラー
アミオット:J・エドワード・ブロンバーグ
ルクワ:フリッツ・フェルド
ヴィルヌーヴ:フランク・パグリア
フランツ・リスト:フリッツ・ライバー
ヴェルシェ:スティーヴン・ジレイ
フェレッティ:レオ・キャリロ
モーリス・プレイエル:マイルス・メンダー
ジェラルド:ヒューム・クローニン
舞台係:ハンク・マン
アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
1943年製作 92分
公開
北米:1943年8月12日
日本:1952年1月24日
製作費 $1,500,000
■ アカデミー賞 ■
第16回アカデミー賞
・受賞
美術(カラー)・撮影賞(カラー)
・ノミネート
ミュージカル音楽・録音賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
パリ、オペラ座。
歌手アナトール・ガロン(ネルソン・エディ)が主演を務めるオペラの開演を見守る警官のラウル・ドーベール(エドガー・バリア)は、心を寄せる歌手クリスティーヌ・デュボワ(スザンヌ・フォスター)を舞台脇に呼び寄せ愛を伝える。
クリスティーヌに惹かれるアナトールは、二人が気になる。
ラウルから食事に誘われたクリスティーヌは、アナトールに認められている今は、オペラに打ち込みたいことを伝える。
途中で姿を消したことを気にするアナトールは、クリスティーヌを気遣う。
クリスティーヌは、舞台主任のヴェルシェ(スティーヴン・ジレイ)に注意される。
指揮者のヴィルヌーヴ(フランク・パグリア)が二人の話に割って入り、クリスティーヌを部屋に呼ぶ。
ヴィルヌーヴは、警部のラウルと歌手のアナトールに好かれている様子のクリスティーヌが、歌手としての自覚があることを確認する。
外で待っていたバイオリニストのエリック・クロウデン(クロード・レインズ)は、部屋から出てきたクリスティーヌと話し、舞台から離れたことで、体調が悪いのではないかと彼女を気遣う。 自分のことが心配だと言うエリックの言葉に何かを感じながら、クリスティーヌは彼に感謝してその場を去る。 実は、クリスティーヌはエリックの娘であり、彼はそれを隠しながら彼女の歌のレッスン料を払い、オペラに人生を捧げていたのだった。 エリックを部屋に呼んだヴィルヌーヴは、彼のバイオリン演奏を聴く。 エリックが弾いた故郷の子守唄は素晴らしい演奏だったものの、左手の指を痛めている彼が完璧な演奏をすることが無理だと判断したヴィルヌーヴは引退を勧める。 下宿に戻ったエリックは、食事代を払わないことで女主人に責められる。 歌の教師フェレッティ(レオ・キャリロ)の元に向かったエリックは、その場でレッスンしていたクリスティーヌに気づかれないようにする。 クリスティーヌはその場を去り、フェレッティと話したエリックは、彼女のためにレッスン料を払い続けることが理解できないと言われ、これ以上の協力を拒まれる。 協奏曲を音楽出版社に売って金を用意するつもりのエリックは、モーリス・プレイエル(マイルス・メンダー)の元に向かう。 話を聞いてくれないプレイエルに楽譜を返してもらおうとしたエリックは、見つからないと言われて追い払われる。 別室でエリックの子守歌を演奏するフランツ・リスト(フリッツ・ライバー)は、曲の素晴らしさを確認して、プレイエルが採用することを確信する。 子守唄が聴こえたエリックは、プレイエルが曲を盗んだと思い込み、彼に襲い掛かる。 プレイエルの助手に酸を顔面に浴びせられたエリックは、激痛で苦しみながらその場から逃げる。 殺人があったと言って騒ぐ助手は、医者を呼ぶよう指示し、警察にも通報される。 警察の捜査は始まり、身を隠すエリックは下水道に逃げ込む。 オペラ座の支配人アミオット(J・エドワード・ブロンバーグ)は、所属していたエリックの犯行により劇場の評判が落ちることを懸念する。 劇場から衣装や食料が盗まれたことを知ったアミオットは、ヴェルシェから犯人は幽霊だと思うと言われ、マスターキーも奪われたことに気づく。 その頃、アナトールと一緒に過ごしていたクリスティーヌは、昔から知っている子守唄を歌って聞かせる。 そこにラウルが現れ、クリスティーヌは、彼をアナトールに紹介する。 仕事で来たと言うラウルは、クリスティーヌにエリックのことを尋ねる。 変わった人物だが、殺人のことを知るまでは親切な人だと思っていたと話すクリスティーヌに、ラウルは、曲を盗まれたと思い込んだエリックが、殺人狂に変貌したと伝える。 早急に逮捕する必要があると言うラウルに、エリックと自分との関係について尋ねたクリスティーヌは、彼と自分を結びつけるものが発見されたことを知らされる。 持参したクリスティーヌの胸像を見せたラウルは、彼女に贈るためにアナトールが作ったことを知り、それが衣裳部屋から紛失したということだった。 モデルになったこともないと言うクリスティーヌに、50歳近いエリックとの交際関係もないことを確認したラウルは、胸像を彼女に渡す。 クリスティーヌに惹かれるアナトールとラウルは、互いを牽制しながらその場を去る。 その夜、開演を控えたクリスティーヌは、”必ず成功する・・・”という声を聞く。 クリスティーヌに絶対に成功すると伝えたアナトールは、同じ言葉を聞いたと言う彼女と食事の約束をする。 プリマドンナのビアンカローリ(ジェーン・ファーラー)と共に舞台に立ったアナトールは、彼女と共に熱唱する。 何者かが、ビアンカローリの杯に液体を入れる。 それを飲んだビアンカローリは、舞台から離れたところで倒れてしまう。 ヴェルシェからビアンカローリの代役を指示されたクリスティーヌは、見事な歌声を披露する。 回復したビアンカローリは、クリスティーヌが代役となったことで憤慨し、薬を盛った犯人をアナトールだと決めつける。 歌い終えたクリスティーヌは、喝采を受ける。 その後、ラウルが捜査を始め、ビアンカローリの楽屋に行ったことを認めたアナトールは、この場にいる全員に薬を盛るチャンスはあったと伝える。 クリスティーヌをプリマ・ドンナにしたいアナトールには動機があると言うビアンカローリは、容疑を否認する彼が犯人であることを疑わない。 アミオットから、劇場の一員であるため、これがスキャンダルになれば自分の立場も悪くなると言わらたビアンカローリは、仕方なく納得する。 しかしビアンカローリは、代役を変えて、クリスティーヌを契約中の2年間コーラスに戻し、今夜の自分に関する件を記事にしないことを条件にして、納得しないアナトールの意見を聞こうとしない。 部屋に戻ったビアンカローリは、現れた仮面の怪人/エリック(クロード・レインズ)から、明日はクリスティーヌが歌うと言われ、パリを去るよう指示される。 怪人の仮面を取ろうとしたビアンカローリは、メイドと共に殺され、逃げ去った男をアナトールが追う。 警官のジェラルド(ヒューム・クローニン)がビアンカローリとメイドの死を確認し、クリスティーヌは驚く。 舞台裏で追い詰められたエリックは、アナトールを突き落とす。 幕にしがみついたアナトールは、何とかステージに下りて、ラウルに殺人犯がいたことを伝える。 オペラ座は閉鎖され、捜査は難航する中、アミオットに呼ばれたラウルは、警告を無視したビアンカローリに制裁を加えたという、犯行声明がデスクの上にあったことを知らされる。 犯人を誘き出すためにオペラを再開し、クリスティーヌには歌わせないと言うラウルは、気が強い歌手のロレンジをおとりにすることを決める。 訪ねて来たアナトールとラウルを歓迎したクリスティーヌは、オペラは再開するが自分は歌わないことを知り戸惑う。 アナトールは歌わせるべきだと主張するが、ラウルは考えを変えない。 開演を控え、アナトールはリストにエリックの曲を演奏させることを考える。 仮面を被らせた者たちと打ち合わせをしたラウルは、クリスティーヌに部屋で待つよう指示する。 開演直後、エリックは仮面の役者の一人を殺し、その役に扮して舞台に向かう。 殺されている役者に気づいたラウルは、それをジェラルドに知らせて警戒させる。 舞台裏からシャンデリアに向かったエリックは、鎖を切ろうとする。 シャンデリアは落下してその場は騒然となり、エリックはクリスティーヌを連れ去る。 仮面の男(エリック)から”娘”と言われたクリスティーヌは、地下に案内される。 自分のために歌ってほしいと言うエリックは、シャンデリアを落としたことと、もう上には戻らないとクリスティーヌに伝える。 歌わせなければ死と破壊が起きると予告したと話すエリックは、クリスティーヌをオペラ座の真下に連れて行く。 リストに演奏を任せるアナトールは、ラウルからクリスティーヌの姿が見えないと言われ、彼女を捜すために地下に向かう。 子守唄の演奏が始まり、それに気づいたエリックもピアノを弾く。 その曲を聴いたクリスティーヌは、自分も知っている子守唄だったために驚く。 近くで演奏していることに気づいたアナトールとラウルは、その場所に向かう。 歌うよう指示されたクリスティーヌはそれに従い、アナトールとラウルは、彼女の歌声に近づく。 エリックの仮面を外したクリスティーヌは、酸でただれた顔を見て驚き、そこにアナトールとラウルが現れる。 アナトールに制止されるものの、ラウルは発砲してしまい、壁や天井が崩れ始める。 アナトールとラウルは、クリスティーヌを連れてその場から避難する。 子守唄は自分もよく知る曲だと言うクリスティーヌに、アナトールは、エリックの出身地は君と同じだと伝える。 故郷の曲ではないかと言われたクリスティーヌは、エリックのことはよく知らないが、彼を見ているとなぜか同情してしまうと、アナトールとラウルに伝える。 アナトールから、エリックの狂気は忘れられるが、彼の曲は永遠に残ると言われたクリスティーヌは、あの曲が演奏されてよかったと考える。 その後、プリマ・ドンナになったクリスティーヌは、アナトールから食事に誘われる。 ラウルと約束があると言われたアナトールは、迎えに来た彼と共に、3人で食事をすることをクリスティーヌから提案される。 アナトールは警官とラウルは歌手とは食事する気はないと言う二人を残し、人々の声が聞こえたクリスティーヌは、部屋を出て皆に祝福される。 二人で食事をすることで同意したアナトールとラウルは、クリスティーヌが人々に囲まれる姿を見つめる。 クリスティーヌは自分ちに構っている場合ではないと考えるアナトールとラウルは、腕を組んでその場を去る。
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*(簡略ストー リー)
パリ、オペラ座。
バイオリニストのエリック・クロウデンは、プリマ・ドンナの代役である歌手で娘のクリスティーヌのために、父であることを隠し、彼女に知られないようにして支援していた。
引退することを勧められたエリックは、クリスティーヌのレッスン代が払えなくなり、曲を音楽出版社に売ろうとする。
ところが、曲を盗まれてと思い込んだエリックは激怒して出版者を殺害し、助手に酸を浴びせられる。
地下に逃げ込んだエリックは、オペラ座に現れる仮面の怪人となり、クリスティーヌをプリマ・ドンナにするために邪魔者を消していくのだが・・・。
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1909年から日刊紙”Le Gaulois”に連載された、ガストン・ルルーの小説”オペラ座の怪人”を基に1925年に製作された、ロン・チェイニー主演の「オペラの怪人」のリメイク。
1925年版で製作されたオペラ座(ガルニエ宮)のセットなどは再利用されたが、前作とは大きく変わった内容となっている。
大筋はミュージカル・ドラマであり、ホラーと言う点では、前作で大いに観客を怖がらせたロン・チェイニーの怪人のインパクトはなく、逆に、ヒロインを巡る歌手と警官の関係などを含め、コメディ・タッチのシーンが多く挿入されているところに注目したい。
第16回アカデミー賞では、美術(カラー)、撮影賞(カラー)を受賞し、ミュージカル音楽、録音賞にノミネートされた。
主演のクロード・レインズは、娘を成功させることに人生を捧げ、怪人として狂気の殺人鬼になる男を熱演している。
オペラ歌手としてヒロインに惹かれ、彼女の幸せのために尽くすネルソン・エディ、彼や父であった怪人に支えられながらプリマ・ドンナとなるスザンヌ・フォスター、彼女に惹かれる警部のエドガー・バリア、ヒロインの活躍を妬むプリマ・ドンナのジェーン・ファーラー、オペラ座の支配人J・エドワード・ブロンバーグ、劇場関係者のフリッツ・フェルド、指揮者のフランク・パグリア、作曲家フランツ・リストのフリッツ・ライバー、舞台主任のスティーヴン・ジレイ、音楽教師のレオ・キャリロ、音楽出版者のマイルス・メンダー、警官のヒューム・クローニン、舞台係のハンク・マンなどが共演している。