アメリカ史上初の男女平等裁判に挑んだルース・ベイダー・ギンズバーグ(連邦最高裁判事)の闘いの日々を描く、監督ミミ・レダー、フェリシティ・ジョーンズ、アーミー・ハマー、ジャスティン・セロー、キャシー・ベイツ、サム・ウォーターストン、ケイリー・スピーニー、ジャック・レイナー、スティーヴン・ルート他共演のドラマ。 |
・ドラマ
■ スタッフ キャスト ■
監督:ミミ・レダー
製作
ロバート・W・コート
ジョナサン・キング
製作総指揮
ジェフ・スコール
ダニエル・スティープルマン
ベッツィー・ダンバリー
カレン・ループ
脚本:ダニエル・スティープルマン
撮影:マイケル・グレイディ
編集:ミシェル・テゾーロ
音楽:マイケル・ダナ
出演
ルース・ベイダー・ギンズバーグ:フェリシティ・ジョーンズ
マーティン・D・ギンズバーグ:アーミー・ハマー
メルヴィン”メル”ウルフ:ジャスティン・セロー
ドロシー・ケニヨン:キャシー・ベイツ
アーウィン・グリスウォルド:サム・ウォーターストン
ジェーン・C・ギンズバーグ:ケイリー・スピーニー
ジェームズ・スティーヴン・ギンズバーグ:カラム・ショーニカー
ジェームズ・H・ボザース:ジャック・レイナー
アーネスト・ブラウン教授:スティーヴン・ルート
ジェラルド・ガンサー教授:ロナルド・グットマン
チャールズ・モリッツ:クリス・マルケイ
ウィリアム・エドワード・ドイル判事:ゲイリー・ワーンツ
フレッド・ドーハティ判事:フランシス・X・マッカーシー
ウィリアム・ジャドソン・ホロウェイJr.判事:ベン・カールソン
ハリエット・グリスウォルド:ウェンディ・クルーソン
トム・ミラー:ジョン・ラルストン
ワイランド・リードベター医師:アーサー・ホールデン
エミリー・ヒックス:アンジェラ・ガルッポ
抗議行動のリーダー:アーレン・アグエイヨ=スチュワート
ミリセント:ホリー・ゴーティエ=フランケル
グリーン:トム・アーウィン
本人:ルース・ベイダー・ギンズバーグ
アメリカ 映画
配給 フォーカス・フィーチャーズ
2018年製作 120分
公開
北米:2018年12月25日
日本:2019年3月22日
製作費 $20,000,000
北米興行収入 $24,704,840
世界 $38,755,900
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1956年、ハーバード・ロー・スクール。
1回生のルース・ベイダー・ギンズバーグ(フェリシティ・ジョーンズ)は、弁護士になる夢があった。
ルースは、ほぼ全員が男子学生の中で、学部長アーウィン・グリスウォルド(サム・ウォーターストン)のスピーチを聞く。
その夜ルースは、夫マーティン(アーミー・ハマー)に幼い娘ジェーンを任せて、学部長主催のパーティーに出席する。
食事が始まり、女性が入学を許可されて6年目だと話すグリスウォルドは、9人の新入女子学生を歓迎する。
グリスウォルドは、女子学生に自己紹介をさせて、男性の席を奪ってまで入学した理由を話すよう指示する。
くだらない理由を述べた学生の発言を遮るグリスウォルドは、ルースの話を聞く。
夫のマーティンが法科の2年生だと言うルースは、夫を理解できる良き妻になるためだと、グリスウォルドが満足しそうもない理由を語る。
帰宅したルースは、女性を見下す学部長の態度などを批判するものの、マーティンに励まされる。
アーネスト・ブラウン教授(スティーヴン・ルート)の契約法入門の講義を受けたルースは、挙手するものの指名してもらえない。 それでも発言したルースは、ブラウンに一目置かれる。 友人たちとバーで楽しんでいた際、苦しむマーティンが倒れてしまい、ルースは病院に運ばれた彼に付き添う。 検査の結果、精巣ガンと診断されたマーティンはショックを受けるが、諦めないと言うルースは彼を励ます。 ルースは、治療しながら療養するマーティンを家に残し、自分と彼の講義の両方に出席する。 ノートを取ったルースは、帰宅後、マーティンに講義の内容を伝えながら幼いジェーンの世話もする。 2年後。 グリスウォルドに会ったルースは、”コロンビア・ロー・スクール”に移り学位をとる許可を得ようとする。 ハーバードの方針に従うべきだと言うグリスウォルドに許可してもらえないルースは、マーティンのためにコロンビア・ロー・スクールに編入する。 1959年、ニューヨーク。 仕方なくルースは”ラトガース・ロー・スクール”の教授として、”性差別と法”を教えることになる。 1970年。 息子のジェームズ(カラム・ショーニカー)を学校に迎えに行き帰宅したルースは、マーティンに新しい学生のことを話す。 学校をサボったジェーンを追及したルースは、彼女がフェミニストである活動家”グロリア・スタイネム”の集会に行ったことを知り、自分に反発する娘と意見が合わない。 立派な職業である大学教授に満足できないルースが、弁護士になることを諦めていないことを知ったマーティンは、彼女を励ます。 マーティンは、国税庁が親の介護用の控除を却下した、税法上の判例(Moritz v. Commissioner)のことをルースに話す。 デンバーに住むチャールズ・モリッツ(クリス・マルケイ)は、仕事を続けるために、年老いた母親の介護に看護師を雇わなければならなかった。 当時の”内国歳入法214条”では、控除の対象が”女性、寡婦、離婚した者、妻が能力を失っているか施設に入所している夫”に限定されていたため、モリッツは介護のための税金控除を拒否されていた。 裁判所は、独身のモリッツは控除の対象にならないと判断したのだ。 それを男性差別だと確信したルースは、連邦裁判所に違法と認めさせれば、法律上の差別を認めた先例になるり、男女の性差別のシステムを崩せると考え、この件を教えてくれマーティンに感謝する。 ”ACLU/アメリカ自由人権協会”。 モリッツに電話をしてデンバーに向かったルースは、彼と母親に歓迎されて話を聞く。 ルースは、今回の件が認められれば、何百万人もの人々が恩恵を受ける可能性があることをモリッツに伝えて、無償で弁護すると言って納得してもらう。 マーティンはルースと共に訴訟に備えることになり、上司のトム・ミラー(ジョン・ラルストン)の協力を得られる。 ルースと度々、対立するジェーンは悩み、それを気にするマーティンは彼女と話をする。 マーティンは、バカにしないでほしいだけだと思っているジェーンに、本を読み討論した母親から常に”すべてに疑問を持て”と言われていたルースは、娘に自信を持たせたいだけだと伝える。 ジェーンを連れたルースは、活動家である弁護士のドロシー・ケニヨン(キャシー・ベイツ)を訪ねて話を聞こうとするものの、追い払われてしまう。 ルースは、大人の男たちにからかわれても怯まないジェーンを頼もしく思う。 趣意書の草稿をタイプしたルースの秘書ミリセント(ホリー・ゴーティエ=フランケル)は、”性”という言葉が気になり、”ジェンダー”などに変えた方がいいとルースに意見する。 ACLU。 訪ねて来たメルと話したルースは、ドロシーから話を聞いたと言われ、協力を約束してもらう。 優秀ではあるものの、ルースの弁論能力を疑うメルは、模擬裁判をやることを彼女に伝える。 司法省。 ブラウンは、教え子のマーティンを説得して手を引かせようとするが、グリスウォルドは、裁判を開き法律上の性差別という考えを根絶させようと考える。 ボザースは、男女を区別するすべての法律のリストを作り、どんなに多いかを示すことを提案し、グリスウォルドに国防長官への紹介状を求める。 ペンタゴン。 司法省からの趣意書を受け取ったルースは、ブラウンが関わっている大量のリストのことをマーティンに知らせる。 ボザースは、裁判を担当するフレッド・ドーハティ判事(フランシス・X・マッカーシー)、ウィリアム・ジャドソン・ホローウェイJr.判事(ベン・カールソン)、ウィリアム・エドワード・ドイル判事(ゲイリー・ワーンツ)について調べたことを、グリスウォルドやブラウンに話す。 ルースは、模擬裁判の協力者である恩師のジェラルド・ガンサー教授(ロナルド・グットマン)を迎える。 公民権運動の活動家である法律家パウリ・マリー、そしてメルも加わり、控訴裁判所の法廷が再現される。 その結果、法廷の経験がないルースの弁論能力に問題があることは分かり、メルはマーティンに口頭弁論をする提案をするものの断られる。 パウリは、前半にマーティンが税法を、後半はルースが性差別を主張する方法を提案する。 その後、メルに呼び出されたルースは、最高裁の案件であるリード裁判(Reed v. Reed)の代理人アレン・ダーを紹介され、趣意書を任される。 ブラウンから連絡があったことをルースに伝えたメルは、政府がモリッツに1ドルの和解金を提示したことを知らせる。 モリッツを説得しろと言われたルースは、リード裁判に専念するよう指示される。 帰宅したルースは、諦めるべきではないと言うジェーンに励まされる。 モリッツに電話をしたルースは、和解を受けるべきだと言うACLUの考えを伝えながらも、彼から勝てるか訊かれる。 司法省。 ルースは、政府はモリッツが求めた金額を支払い、彼が悪いことをしていないと認め、さらに214条の性別による部分が違憲であることを記録に残すという条件を伝える。 提案を拒否され、法廷で会おうと言われたルースは、グリスウォルドとブラウンに面会してくれたことを感謝して、その場を去る。 第10巡回区控訴裁判所。 3人の判事が入廷し、ブラウンはボザースと共に着席する。 口頭弁論でマーティンは、予定していた時間以上に使ってしまう。 代わったルースは、緊張しながらもいくつかの重要なポイントを指摘しようとするが、時間になったために弁論を終える。 ボザースはアメリカの生活様式を語り、モリッツが税金を払いたくないだけではないかとほのめかす。 モリッツは政府ではなく弁護士の犠牲者であり、急進的な社会変革を求める者たちに利用されたと言って弁論を終えたボザースは、前判決を支持するよう法廷に求める。 4分間の反論の時間を与えられたマーティンを制止したルースは、自信を持って弁論を始める。 ルースは、”急進的な社会変革”という言葉に対し、100年前に”マイラ・ブラッドウェル”が性差別を争った裁判の敗訴から前例が増え続けたことを話し、その負の遺産が今法廷で問われていると述べる。 社会的役割やモラルはもはや適用されないと述べたルースは、憲法には “女性 “という言葉がないと言う判事の反論に対し、”自由 “という言葉もないと答え、制限時間になったものの発言を許可される。 介護援助を受けられる範囲を男性に広げるべきだと言うルースは、214条を改めることを要求し、頑固な母親の面倒を看るモリッツは男性の手本だと述べる。 裁判所に社会を変えることを求めているのではなく、自然に起きる社会の変化に法律を合わせていくことの重要性を訴え弁論を終えたルースは、前判決を破棄するよう求める。 ルースは裁判所の外で、感激したメルから、判決はともかく、あれこそが正義だと言われ、これが始まりだと彼に伝える。 モリッツに感謝されたルースとマーティンは、ジェーンと共にその場を去る。 デンバーの第10巡回区控訴裁判所は、全員一致で前判決を破棄し、チャールズ・モリッツに介護費用の控除を認めた。 ”Moritz v. Commissioner”と”Reed v. Reed”の裁判で、性差別が初めて違憲とされた。 ルース・ベイダー・ギンズバーグの法廷での実際の弁論が流れる中、本人が最高裁判所に向かう姿が映し出される。 ルース・ベイダー・ギンズバーグは、ACLUで”女性権利プロジェクト”を共同設立し、ボザースが指摘した、ジェンダーに基づくいくつもの裁判に勝訴した。 著名な税法の専門家として知られたマーティン・D・ギンズバーグは、2010年、結婚56周年を祝った数日後にガンで亡くなった。 ジェーン・C・ギンズバーグは、ハーバード・ロー・スクールを1980年に卒業し、コロンビア大学の教授となった。 ジェームズ・スティーヴン・ギンズバーグはクラシック音楽プロデューサーとなり、”Cedille Records”を設立した。 1993年6月14日、ルース・ベイダー・ギンズバーグは、最高裁判事候補に指名された。 上院は96対3で承認した。
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病状が収まったマーティンは卒業し、ニューヨークの法律事務所に就職する。
コロンビア・ロー・スクールを首席で卒業したルースだったが、弁護士になるために法律事務所を回るものの、職を得られなかった。
学業は誰にも負けなかったルースは料理が苦手で、マーティンと15歳のジェーン(ケイリー・スピーニー)が食事を担当した。
代表である旧友のメルヴィン”メル”ウルフ(ジャスティン・セロー)に会ったルースは、協力を求めるものの断られてしまう。
ルースの趣意書を読んだドロシーは、メルにそれを渡して”行動”するようにと伝える。
租税局上席弁護士となっていたブラウンは、ルースの訴訟を担当したいと言う弁護士ジェームズ・H・ボザース(ジャック・レイナー)と共に、訟務長官に就任していたグリスウォルドに会う。
ブラウンと共にコンピューター室に向かったボザースは、数日でリストを作成できることを伝える。
グリスウォルドとブラウンを訪ねたルースは、和解書を渡される。
マーティンとジェーン、そしてメルと共に法廷に向かったルースは、モリッツに3人を紹介する。
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*(簡略ストー リー)
1956年。
ハーバード・ロー・スクールに入学したルース・ベイダー・ギンズバーグは、同じ法学生の夫マーティンと共に弁護士になる夢があった。
3年後、ガンを克服したマーティンがニューヨークで弁護士となったために、ルースはコロンビア・ロー・スクールに編入して首席で卒業する。
しかし、学業優秀でも女であることで弁護士の職を得られないルースは、ラトガース・ロー・スクールの教授となる。
弁護士になることを諦めることができないルースは、ある日、マーティンから、税法上の判例(Moritz v. Commissioner)を知らされる。
独身男性ということで、老いた母親の介護のための税金控除を拒否されたモリッツのケースが男性差別だと確信したルースは、マーティンやACLU/アメリカ自由人権協会の旧友メルらの協力を得て、連邦裁判所にそれを違法と認めさせようとするのだが・・・。
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アメリカ史上初の男女平等裁判に挑んだ、後の連邦最高裁判事ルース・ベイダー・ギンズバーグの闘いの日々を描くドラマ。
ミミ・レダーにとっては「ザ・エッグ」以来9年ぶりの監督作品であり、当初の主演候補はナタリー・ポートマンだったが、フェリシティ・ジョーンズが起用された。
男女平等という考えにほど遠かった1950年代半ばから、1970年代の時代の移り変わりと共に、弁護士になることを夢見る主人公が、法の下だけでなく性差別のシステム自体を崩せると考え、信念を貫き通す姿を、人間の力強さと共に描いた骨太のドラマに仕上がっている。
実力派スターの説得力ある演技に加え、ミミ・レダーのシャープな演出が見どころの作品であり、マイケル・ダナの軽快な音楽も印象に残る。
アメリカ社会に大きな影響を与えたルース・ベイダー・ギンズバーグの功績を称える作品でもあり、最高裁判所に向かう本人が登場するクライマックスの演出も注目だ。
自身も”オックスフォード大学ウォーダム校”を卒業したエリートであり、知性を感じさせる主演のフェリシティ・ジョーンズは、信念の人として尊敬されるルース・ベイダー・ギンズバーグを見事に演じ切っている。
主人公である妻を支える税法の専門家マーティン・D・ギンズバーグのアーミー・ハマー、主人公に協力するACLU/アメリカ自由人権協会の代表ジャスティン・セロー、主人公に厳しく接するものの、陰で後押しする活動家である弁護士ドロシー・ケニヨンのキャシー・ベイツ、ハーバード・ロー・スクールの学部長、そして訟務長官となる女性を蔑視する人物アーウィン・グリスウォルドのサム・ウォーターストン、その妻ウェンディ・クルーソン、主人公の娘ジェーン・C・ギンズバーグのケイリー・スピーニー、その弟ジェームズ・スティーヴン・ギンズバーグのカラム・ショーニカー、司法省の弁護士ジャック・レイナー、彼に裁判を担当させる前ハーバード・ロー・スクール教授のスティーヴン・ルート、主人公の恩師であり、模擬裁判で協力するジェラルド・ガンサー教授のロナルド・グットマン、主人公と共に闘う、税法上の判例(Moritz v. Commissioner)の当事者チャールズ・モリッツのクリス・マルケイ、裁判を担当するウィリアム・エドワード・ドイル判事のゲイリー・ワーンツ、フレッド・ドーハティ判事のフランシス・X・マッカーシー、ウィリアム・ジャドソン・ホロウェイJr.判事のベン・カールソン、マーティンの上司ジョン・ラルストン、マーティンの主治医アーサー・ホールデン、主人公の学友アンジェラ・ガルッポ、抗議行動のリーダー役アーレン・アグエイヨ=スチュワート、主人公の秘書ホリー・ゴーティエ=フランケル、主人公を採用しない法律事務所の経営者トム・アーウィンなどが共演している。