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女王陛下の007 On Her Majesty’s Secret Service (1969)

007シリーズ第6作。
1963年に発表された、イアン・フレミング原作のシリーズ第11作”On Her Majesty’s Secret Service”を基に製作された作品。
国際的犯罪組織スペクターによる細菌を使用した人類抹殺計画を阻止しようとするMI6諜報員ジェームズ・ボンドの活躍を描く、製作ハリー・サルツマンアルバート・R・ブロッコリ、監督ピーター・ハント、主演ジョージ・レーゼンビーダイアナ・リグテリー・サバラス他共演のスパイ・アクション。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


007
007 / Pinterest


スタッフ キャスト
監督:ピーター・ハント

製作
ハリー・サルツマン

アルバート・R・ブロッコリ
原作:イアン・フレミングOn Her Majesty’s Secret Service
脚本:リチャード・メイボーム
撮影:マイケル・リード
編集:ジョン・グレン
メインタイトル・デザイン:モーリス・ビンダー
音楽
ジョン・バリー

モンティ・ノーマン:ジェームズ・ボンドのテーマ
主題歌:ルイ・アームストロングOn Her Majesty’s Secret Service

出演
ジェームズ・ボンド:ジョージ・レーゼンビー

トレーシー・ドラコ/テレサ・ディ・ヴィンセンゾ伯爵夫人:ダイアナ・リグ
エルンスト・スタヴロ・プロフェルド/デ・ブルーシャン:テリー・サバラス
マルク・アンジェ・ドラコ:ガブリエル・フェルゼッティ
イルマ・ブント:イルゼ・ステパット
ヒラリー・ブレイ卿:ジョージ・ベイカー
M:バーナード・リー
Q:デスモンド・リュウェリン
マネーペニー:ロイス・マクスウェル
ルビー・バートレット:アンジェラ・スコーラー

イギリス 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ

1969年製作 142分
公開
北米:1969年12月18日
日本:1969年12月27日
製作費 $7,000,000
北米興行収入 $22,774,490
世界 $87,400,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
イギリス諜報部/MI6のM(バーナード・リー)は、Q(デスモンド・リュウェリン)から新兵器の説明を受けていた。

Mは”ベッドラム作戦”の遂行状況が気になり、秘書マネーペニー(ロイス・マクスウェル)に、所在地不明の諜報員ジェームス・ボンド(ジョージ・レーゼンビー)の行方を捜すよう指示するものの、それがつかめないでいた。

ポルトガル
ボンドは、街道で自分を追い越した女性(ダイアナ・リグ)の車を追い、海岸で入水自殺しようとしていた彼女を救う。

ボンドは何者かに襲われ、彼らを倒す間に女性は姿を消してしまう。

ホテルに着いたボンドは、女性の車があることを確認し、彼女が伯爵夫人テレサ・ディ・ヴィンセンゾだということを知る。

カジノでテレサと再会したボンドは、通称”トレーシー”だという彼女の部屋に向かう。
...全てを見る(結末あり)

トレーシーの部屋で男に襲われたボンドは、その男を倒して部屋に戻り、待ち構えていたトレーシーと”商談”を始める。

トレーシーと一夜を過ごしたボンドは、翌朝、彼女がホテルを去ったことを知り、その後、何者かに拉致される。

ボンドは、ヨーロッパでも指折りの犯罪組織”ユニオン・コルス”の首領マルク・アンジェ・ドラコ(ガブリエル・フェルゼッティ)の元に連れて行かれる。

ドラコは、手に負えない行動を繰り返している娘のトレーシーを、親密になったボンドに立ち直らせてほしいという話をする。

ボンドは、トレーシーとの結婚を迫るドラコに、交換条件として”スペクター”のエルンスト・スタヴロ・プロフェルド(テリー・サバラス)に関する情報を要求する。

MI6本部に戻ったボンドは、ベッドラム作戦の進行に不満を持つMに任務から外される。

ボンドは、Mの秘書マネーペニー(ロイス・マクスウェル)に頼み、辞表を出してしまう。

その後Mに呼ばれたボンドは、”辞表”承諾したと言われてその場を去ろうとする。

ところが、マネーペニーが辞表を休暇申請に書き換えてくれたことを知ったボンドは驚き、それを知っていたMも彼女に感謝する。

ドラコの誕生日に現れたトレーシーは、ボンドを紹介されるものの、父の考えに気づいていた。

自分が取引に利用されたことに傷つくトレーシーだったが、ボンドは彼女の気持ちを察し、2人は親交を深めて愛し合うようになる。

ドラコからの情報提供で、ブロフェルドに関係する弁護士のオフィスに侵入したボンドは、金庫から資料を盗み出す。

復帰の許可をMに求めたボンドは、紋章院家系学教授ヒラリー・ブレイ卿(ジョージ・ベイカー)に会う。

ヒラリー卿に扮したボンドは、慈善事業であらゆるアレルギーの研究をしている、デ・ブルーシャン(ブロフェルド)のスイス・アルプスの施設に向う。

現地に着いたボンドは、デ・ブルーシャンの部下イルマ・ブント(イルゼ・ステパット)の出迎えを受けて療養所に向かい、その場で歓迎される。

ボンドは、世界各国から集められた、様々なアレルギーを持つ女性たちと対面し、家系学紋章院についてを語る。

デ・ブルーシャンに会ったボンドは、彼が伯爵の爵位継承者かを判断するために派遣されたため、役目を果たそうとする。

しかし、ボンドの調査要請に対し、デ・ブルーシャンは非協力だった。

部屋から出ることを禁じられている施設の中で、ボンドは患者のルビー・バートレット(アンジェラ・スコーラー)に誘われたため、部屋を出て彼女の元に向かう。

ルビーと愛し合ったボンドは、彼女から施設や療法の情報を聞き出し、部屋に戻り、侵入してきた他の女性患者とも愛し合う。

翌日もルビーの部屋に向かったボンドは、その場にいたブントらに襲われ、ブロフェルドの元に連れて行かれる。

正体を見破られていたボンドは、細菌戦争を勃発させて国連を脅迫するというブロフェルドの計画を知る。

抵抗したボンドは、ロープーウェイの動力室に閉じ込められる。

帰国することになった女性患者たちは、ブロフェルドの催眠療法を受け始める。

その間にボンドは脱出し、ブロフェルドの催眠療法により、患者たちが細菌戦争の兵器として各国に送り込まれることを知る。

ボンドは、施設を脱出してスキーで下山しようとするが、ブロフェルドと手下がそれを追う。

敵の追撃を逃れて村にたどり着いたボンドは、そこに現れたトレーシーの助けで村を脱出し、彼女がドラコの指示で来たことを知る。

ボンドを捜すブントらが、ボンドとトレーシーの車を追う。

次に町で電話をかけようとしたボンドは、ブントらに襲われる。

雪上レースに紛れ込んだボンドは、横転したブントらの追跡をかわす。

吹雪の中、ある民家の納屋に車を隠したボンドとトレーシーは、将来について話し合い、結婚することを決める。

翌日、ボンドらの車を見つけたブロフェルドは、スキーで下山する2人を追う。

ボンドとトレーシーは、ブロフェルドの起した雪崩に巻き込まれる。

2人は無事だったものの、トレーシーは捕らえられてしまう。

MI6本部に戻ったボンドは、Mから、国連がブロフェルドの要求をのむということを知らされる。

ボンドは、ブロフェルドの施設への攻撃をMに提案するが、許可は得られない。

納得できないボンドは、ドラコの協力を得て現地に向かう。

施設では、ブロフェルドがトレーシーを手懐けようとしていたが、そこに未確認のヘリコプター3機が接近しているという情報が入る。

通信を聞いたトレーシーは父の声だと気づき、ボンドもいると考えて、ブロフェルドを油断させようとする。

ヘリは攻撃を開始し、ボンドとドラコらは施設に侵入してトレーシーを救出する。

ボンドは、世界各地に向かった患者の情報を入手し、ブロフェルドを追う。

ドラコは施設に爆薬を仕掛け、トレーシーを連れて脱出する。

施設は爆破され、ボンドは、ボブスレーで逃げるブロフェルドを追う。

手榴弾を投げ込まれたボンドは吹き飛ばされるものの、ブロフェルドのボブスレーにしがみつき走行を妨害する。

ボンドと揉み合うブロフェルドは、木に激突して首の骨を折ってしまう。

ポルトガル
ブロフェルドの計画を阻止したボンドは、M、Q、そしてマネーペニーらに祝福されて、トレーシーと結婚式を挙げる。

ボンドは、涙するマネーペニーに帽子を渡して、トレーシーと共に”アストンマーティン・DBS”でハネムーンに出発する。

Mは、自分がいると言ってマネーペニーを慰める。

停車していたボンドとトレーシーを狙い、ブロフェルドが運転する車からブントが発砲する。

難を逃れたボンドだったが、銃弾はトレーシーの額を撃ち抜いていた。

警官が現れるが、ボンドは妻は疲れて眠っていると伝える。

ボンドは、トレーシーを抱きしめて涙する。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
MI6の本部長Mは、所在不明の諜報員ジェームス・ボンドを捜していた。
ポルトガル、ボンドは、海岸で入水自殺しようとしていた女性を救うものの、何者かに襲われる間に彼女は姿を消してしまう。
その後ボンドは、女性が伯爵夫人テレサ・ディ・ヴィンセンゾ、通称”トレーシー”だということを知る。
トレーシーと一夜を過ごしたボンドは何者かに拉致され、犯罪組織の首領ドラコの元に連れて行かれる。
ドラコの用件は、意味不明な行動をとり理解できない娘トレーシーを、立ち直らせてほしいということだった。
ボンドは、トレーシーとの結婚を迫るドラコに、交換条件として”スペクター”のプロフェルドの情報を要求するのだが・・・。
__________

ついにボンド役を降りたショ-・コネリーに代わり、オーストラリア人俳優のジョージ・レーゼンビーが登場したことで話題となった。

ジョージ・レーゼンビーは好演しているものの、撮影当時まだ29歳ということもあり、大人の男としての魅力不足という意見が多かった。
やはり、ショ-ン・コネリーのイメージが強過ぎて、当時としては斬新さが空振りした感じはする。

前作「007は二度死ぬ」(1967)では、やたらに大掛かりになり、舞台となる日本に合わない派手なアクションばかりが目立ったが、今回は、原作に近い純粋なスパイ劇に戻り、その辺りは好感が持てる。
しかし、当時流行りだしたアクション映画の嗜好と合わず、興行的に失敗してしまったのは皮肉な結果だ。

前作で落ち込ん興行収入は挽回できず、世界でも約8700万ドルに留まった。
北米興行収入 $22,774,490

悲劇で終わるラストも新しい試みだったのだろうが、それも受け入れられなかったようだ。

しかし、現在では、本作のジョージ・レーゼンビーのボンド役はかなり評価が高くなっている。

実際、今見ると、彼の容姿や身のこなしはかなり洗練されていて、当時言われた線の細さなども感じない、堂々としたボンド役を熱演している。
加えて、ジョージ・レーゼンビーは、同年のゴールデングローブ賞の新人賞にもノミネートされている。
彼のボンドを何作か見てみたかったものだ。

次回作「ダイヤモンドは永遠に」(1971)に無理矢理ショ-ン・コネリーを復活させて、急激に老けてしまった彼にガッカリしたファンも多かったはずなので、今となっては余計に悔やまれる。

ルイ・アームストロングの主題歌も、雰囲気ある名曲として印象に残る。

ブロフェルド役のテリー・サバラスは、彼の個性を活かした貫禄ある役柄を演じている。

歴代ボンドガールの中でも人気の高いダイアナ・リグは、ボンドの結婚相手となる女性を魅力的に演じている。

ドラマのクライマックス、犯罪組織の首領の娘とイギリス諜報部員が結婚し、その式に、MI6の幹部MやQ、マネーペニーまで出席するという設定には疑問もあるが、ほのぼのしたいい場面でもある。

ヒロインの父親である犯罪組織の首領ガブリエル・フェルゼッティ、お馴染みレギュラーのMのバーナード・リー、Qのデスモンド・リュウェリン、マネーペニーのロイス・マクスウェル、ブロフェルドの右腕で凄みのある殺し屋イルゼ・ステパット、ボンドが扮する紋章院の教授ジョージ・ベイカー、患者のアンジェラ・スコーラーなどが共演している。


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