2013年に上演されたケンプ・パワーズの戯曲”One Night in Miami”を基に製作された作品。 世界王者となったカシアス・クレイを祝うために集まったマルコムX、ジム・ブラウン、サム・クックの一夜の出来事を描く、製作総指揮、監督レジーナ・キング、主演キングズレー・ベン=アディル、イーライ・ゴリー、オルディス・ホッジ、レスリー・オドムJr.、ランス・レディック他共演のドラマ。 |
・ドラマ
■ スタッフ キャスト ■
監督:レジーナ・キング
製作
ジェス・ウー・カルダー
キース・カルダー
ジョディ・クライン
製作総指揮
レジーナ・キング
ケンプ・パワーズ
ポール・O・デイヴィス
クリス・ハーディング
原作:ケンプ・パワーズ”One Night in Miami”(戯曲)
脚本:ケンプ・パワーズ
撮影:タミー・レイカー
編集:タリク・アンウォー
音楽:テレンス・ブランチャード
出演
マルコムX:キングズレー・ベン=アディル
カシアス・クレイ/モハメド・アリ:イーライ・ゴリー
ジム・ブラウン:オルディス・ホッジ
サム・クック:レスリー・オドムJr.
ブラザー・カリーム:ランス・レディック
ジャマール:クリスチャン・マグビー
ベティX:ホアキナ・カルカンゴ
バーバラ・クック:ニコレット・ロビンソン
アンジェロ・ダンディー:マイケル・インペリオリ
ドリュー・バンディーニ・ブラウン:ローレンス・ギリアードJr.
カールトン:ボー・ブリッジス
エミリー・カールトン:エミリー・ブリッジス
ジャッキー・ウィルソン:ジェレミー・ポープ
ジョニー・カーソン:クリストファー・ゴーラム
イライジャ・ムハンマド:ジェローム・A・ウィルソン
L・C・クック:アモンドレ・D・ジャクソン
ソニー・リストン:アーロン・D・アレクサンダー
マイロン・コーエン:ランダル・ニューサム
エド・マクマホン:アラン・ウェルズ
ヘンリー・クーパー:ショーン・モナハン
アメリカ 映画
配給 アマゾン・スタジオ
2020年製作 114分
公開
北米:2020年12月25日
日本:2021年1月15日
製作費 $16,900,000
■ アカデミー賞 ■
第93回アカデミー賞
・ノミネート
助演男優(レスリー・オドムJr.)
脚色・歌曲賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1963年、ロンドンのウェンブリー・スタジアム。
ヘビー級ボクサーのカシアス・クレイ(イーライ・ゴリー)は、ヘンリー・クーパー(ショーン・モナハン)を圧倒していたが、油断して4ラウンド終了間際にパンチを浴びてダウンする。
ニューヨーク、コパカバーナ。
人気コメディアンのマイロン・コーエン(ランダル・ニューサム)の後に登場した歌手のサム・クック(レスリー・オドムJr.)は、白人客に全く受けず、ステージを下りた後に楽屋で気落ちする。
故郷のジョージアに戻った”NFL”のスーパースター、ジム・ブラウン(オルディス・ホッジ)は、世話になった農場主のカールトン(ボー・ブリッジス)を訪ねる。
感激するカールトンの娘エミリー(エミリー・ブリッジス)に歓迎されたブラウンは、家族ぐるみの付き合いのカールトンとポーチで話をする。
地元だけでなくジョージアの誇りだと言ってブラウンの活躍を誇りに思うカールトンは、エミリーから家具の移動を頼まれる。
手伝おうとしたブラウンだったが、カールトンから、黒人は屋敷の中には入れないと言われ、複雑な思いでその場を去る。
夫マルコムX(キングズレー・ベン=アディル)が、”NOI/ネーション・オブ・イスラム”の集会で、指導者イライジャ・ムハンマド(ジェローム・A・ウィルソン)を紹介する様子を伝えるニュース映像をテレビを見ていたベティ(ホアキナ・カルカンゴ)は、帰宅した夫を迎える。
ムハンマドとの関係が悪化していたマルコムXは、NOIを脱退することについてベティと話し合う。 1964年2月25日、フロリダ州、マイアミ。 妻バーバラ(ニコレット・ロビンソン)と共にホテルの部屋にいたクックは、マルコムXからの電話を受ける。 ハンプトン・ハウス。 クレイを迎えたマルコムXは、彼と共にイスラムの伝統的な方法で祈りを捧げる。 試合のことを話したクレイは、リングサイドの席を取ったことをマルコムXに伝えて、準備のためにホテルに戻る。 コンベンション・センター。 興奮するクレイは、ブラウンに声をかけてクックをリングに上げ、マルコムXは祈りを捧げる。 その後、ハンプトン・ハウスに着いたクックはカリームに迎えられ、誰もいない部屋に向かい1人で待つ。 クレイとブラウンと共に部屋に戻ったマルコムXは、クックを含めた4人だけで、自分たちの功績について振り返る時間にしたいと提案する。 マルコムXが話題にしたため、クレイはNOIに加わる考えをクックとブラウンに伝える。 クックがそれに意見し、マルコムXは、白人に迎合する彼を批判する。 カメラを車に忘れたことに気づいたマルコムXは、付き添うカリームと共にそれを取りに行く。 車からカメラを持ち出したマルコムXは、公衆電話から家に電話をかける。 クックのギターケースに酒が隠してあることを知っていたブラウンは、それを見つけたクレイからスキットルを受け取る。 カリームにその場を任されていたジャマール(クリスチャン・マグビー)は、チャンピオンになったクレイにサインを求め、ブラウンとクックも快くそれに応じる。 ジャマールに改宗した感想を訊いたクレイは、スリになるよりましだと言われて、思わず笑ってしまう。 クレイから、後悔したことはあるかと訊かれたジャマールは、もっと早く改宗するべきだったと後悔していると答える。 ベティと話したマルコムXは、クレイが明日、イスラム教徒だと公表すると伝え、NOI脱退に彼は理解を示すと考える。 ブラウンは、映画俳優として西部劇(リオ・コンチョス)に出演したことをクレイに話し、好評だったので映画の道もあるかもしれないと伝える。 マルコムXは、白人2人が監視していることに気づきながら、迎えに来たクックと共に部屋に戻る。 警戒しながら盗聴器を探すマルコムXは、屋上で話をすることにする。 マルコムXは、最近、”死”を考え悪い予感がすることを話し、クレイはブラウンが俳優になると言ってしまう。 ブラウンは、フットボール引退後のことを考えているだけだと伝える。 ふざけるクレイらに大事なカメラを奪われたマルコムXは憤慨し、芸術品だと言いながら、三人を撮影する。 クックと再び意見が対立したマルコムXは、黒人がウェイターをする場所で歌っている彼を批判し、声を武器にして戦い立ち上がるべきだと伝える。 自分が成功して、クリエイティブな活動をしていること自体が、黒人社会への刺激になっていると主張するクックは、マルコムXを侮辱する。 クックに襲い掛かろうとしたマルコムXは、クレイとブラウンに制止され、騒ぎに気づいたカリームとジャマールが現れる。 4人は部屋に戻り、マルコムXは、クックは成功しながら差別主義者を楽しませていると考え、迎合して才能や想像力を無駄にするべきではないと彼に伝える。 自分もムハンマドに従っているだけだと批判されたマルコムXは、イスラム教への情熱は純粋だと反論するものの、クレイは、その言葉は言い過ぎだと考える。 改宗に迷いもあると言うクレイは、自然な考えだとマルコムXに伝える。 クックは、黒人闘争に関心はあるが、プロテストソングは商業的には成りたたないと言って、投資した”ローリング・ストーンズ”の成功したことを例にとり、結局は彼らが歌った曲を書いた”ボビー・ウーマック”と自分が大金を手に入れたことを話す。 ボブ・ディランの”風に吹かれて”のレコードをかけたマルコムXは、ミネソタの白人が人権運動の歌を書き大成功したことをクック伝える。 気分を害したクックはその場を去り、マルコムXは、言い過ぎを指摘するクレイに、友人だからこそ目覚めさせたと興奮しながら伝える。 マルコムXと話したブラウンは、今の話は白人に対して主張しているのか、それとも、黒人でも肌の色が違う同胞に対してなのかを問う。 クックのやり方には意見するべきではないと言うブラウンは、真の自由を得ることが自分たちの目的なら、それは経済的な自由であり、クックだけが白人から賃金を得ていないとマルコムXに伝える。 批判しているのではないと言うマルコムXは、3人は黒人の武器だとブラウンに伝える。 それを否定するブラウンは、黒人が勝つために武器になるべきだと言われ、涙するマルコムXが、自分でもなんで苦悩しているか分からないことを知る。 クレイと酒を買いに行ったクックは、改宗することについて話し、彼が”パワー/影響力”を求めていることを知り、モーテルに戻る。 クックは、自分のホテルでパーティーすると言って皆を誘い、初めて会った時のことを話題にするマルコムXの話を聞く。 その前から知っていたと言うマルコムXは、ボストンの公演で、クックが前座で歌ったジャッキー・ウィルソン(ジェレミー・ポープ)に嫌がらせされたことを話す。 マイクが使えなくなりバンドも去り、観客から非難されたクックは、”チェイン・ギャング”をアカペラで歌った。 その場にいたマルコムXは、観客のチャントしか聴こえなかったが、満足したことを皆に話し、クックの才能を認めているからこそ、嫌な思いをさせても自分の考えを語ったと伝える。 1人で問題を背負わなくていいと言われたマルコムXは、NOIとの関係が複雑になっていることを話し、指導者に不信感があると皆に伝える。 脱退して新しい教団を作るつもりのマルコムXは、クレイの参加を望む。 利用されたと考えたクレイは憤慨し、マルコムXは、信頼できず疑うなら来なくてもいいと彼に伝える。 記者たちが集まっていると外から知らされたクレイは対応しようとして、傍にいてほしいとマルコムXに伝える。 2人が外に出た後、クックは、”風に吹かれて”のような曲は自分が書くべきだったとブラウンに話し、考えてある曲はまだ披露はしていないと伝える。 記者たちを前にクレイは、イスラム教徒である自分は奴隷の名を捨てると伝える。 4人は改めてパーティーを始めるが、マルコムXは、自分を監視する者たちが気になる。 その後、”ザ・トゥナイト・ショー”に出演したクックは、ジョニー・カーソン(クリストファー・ゴーラム)らの前で、”ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム”を披露する。 クレイは、正式に”モハメド・アリ”と改名する。 ブラウンは、出演する”特攻大作戦”撮影中に、”クリーブランド・ブラウンズ”との契約を解除して引退し、俳優業に専念することを発表する。 マルコムXは、自伝を完成させる。 ”兄弟のために殉教者になることは避けられない、この国を救うにはそれしかない” マルコムXは2日後に暗殺された。
...全てを見る(結末あり)
世界王者ソニー・リストン(アーロン・D・アレクサンダー)との対決を控えるクレイは、トレーナーのアンジェロ・ダンディー(マイケル・インペリオリ)から、マルコムXとの関係について忠告されるものの、話を聞き入れない。
マルコムXは、ボディーガードのブラザー・カリーム(ランス・レディック)から、客が来たことを知らされる。
実況解説でブラウンが見守る中、クレイはリストンを圧倒し、6ラウンド終了時にTKO勝ちして、世界チャンピオンとなる。
マルコムXは、NOIとの分裂の影響を受けて人生が変わり始め、自宅は放火される。
マルコムX 1965年2月19日
*(簡略ストー リー)
1964年、フロリダ州、マイアミ。
カシアス・クレイはソニー・リストンを破り世界王者となり、友人のマルコムX、ジム・ブラウン、サム・クックと共に、モーテルの一室で祝うことにする。
”NOI/ネーション・オブ・イスラム”に疑問を感じ始めていたマルコムX、彼の誘いを受けてイスラム教徒に改宗することを決めたクレイ、”NFL”のスーパースターではあるが俳優になる夢があるブラウン、歌手として成功しているクックは、マルコムXの提案で、自分たちの功績について振り返ることにするのだが・・・。
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俳優として活躍し、「ビール・ストリートの恋人たち」(2018)でアカデミー助演女優賞を受賞したレジーナ・キングが、製作総指揮を兼ねた初監督作品。
公民権運動が激しさを増す中、黒人としてアメリカ社会に大きな影響力を与えた4人、マルコムX、カシアス・クレイ、ジム・ブラウン、サム・クックが過ごした一夜を描く、ケンプ・パワーズの戯曲”One Night in Miami”を基に製作された作品。
4人の架空の対話の中で、友情や対立、不安や希望などを繊細に描写し、人種差別と戦いながら白人社会で成功し、アメリカ史上に名を残した者たちの考え、切実な思いを描いたドラマ。
本作は各方面で絶賛され、レジーナ・キングの演出家としての才能と実力も高く評価された。
第93回アカデミー賞では、助演男優(レスリー・オドムJr.)、脚色、歌曲賞にノミネートされた。
NOIとの関係に問題を抱えながら苦悩するマルコムXのキングズレー・ベン=アディル、世界王者となりイスラム教に改宗するカシアス・クレイ/モハメド・アリのイーライ・ゴリー、NFLのスーパースターであるジム・ブラウンのオルディス・ホッジ、人気歌手サム・クックのレスリー・オドムJr.、マルコムXのボディーガード役ランス・レディックとクリスチャン・マグビー、マルコムXの妻ベティX役ホアキナ・カルカンゴ、サム・クックの妻バーバラ役ニコレット・ロビンソン、カシアス・クレイのトレイナー、アンジェロ・ダンディーのマイケル・インペリオリ、同じくドリュー・バンディーニ・ブラウンのローレンス・ギリアードJr.、ジム・ブラウンの知人である農場主ボー・ブリッジス、彼の実娘である娘役のエミリー・ブリッジス、歌手ジャッキー・ウィルソンのジェレミー・ポープ、ジョニー・カーソンのクリストファー・ゴーラム、NOIの指導者イライジャ・ムハンマドのェローム・A・ウィルソン、世界王者ソニー・リストンのアーロン・D・アレクサンダー、コメディアンのマイロン・コーエン役ランダル・ニューサム、同じくエド・マクマホンのアラン・ウェルズ、カシアス・クレイと対戦するボクサーのヘンリー・クーパー役ショーン・モナハンなどが共演している。