007シリーズ第13作。 1966年に発表された、イアン・フレミング原作の”Octopussy and The Living Daylights”の映画化。 NATO軍事施設爆破を企む犯罪組織に立ち向かうMI6諜報員ジェームズ・ボンドの活躍を描く、製作アルバート・R・ブロッコリ、監督ジョン・グレン、主演ロジャー・ムーア、モード・アダムス、ルイ・ジュールダン、スティーブン・バーコフ他共演のスパイ・アクション。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョン・グレン
製作:アルバート・R・ブロッコリ
制作総指揮:マイケル・G・ウィルソン
原作:イアン・フレミング”Octopussy and The Living Daylights”
脚本
ジョージ・マクドナルド・フレーザー
リチャード・メイボーム
マイケル・G・ウィルソン
撮影:アラン・ヒューム
編集
ピーター・デイヴィス
ヘンリー・リチャードソン
メインタイトル・デザイン:モーリス・ビンダー
音楽:ジョン・バリー
モンティ・ノーマン:ジェームズ・ボンドのテーマ
主題歌:”All Time High”
唄:リタ・クーリッジ
出演
ジェームズ・ボンド:ロジャー・ムーア
オクトパシー:モード・アダムス
カマル・カーン:ルイ・ジュールダン
マグダ:クリスティナ・ウェイボーン
ゴビンダ:カビール・ベディ
オルロフ将軍:スティーブン・バーコフ
ミシュカ:デビッド・マイヤー
グリシュカ:アンソニー・マイヤー
ジム・ファニング:ダグラス・ウィルマー
M:ロバート・ブラウン
Q:デスモンド・リュウェリン
アナトール・ゴーゴル将軍:ウォルター・ゴテル
フレデリック・グレイ国防相:ジェフリー・キーン
マネーペニー:ロイス・マクスウェル
ヴィジャイ:ヴィジャイ・アムリトラジ
イギリス映画
配給 MGM/ユナイテッド・アーティスツ
1983年製作 131分
公開
北米:1983年6月10日
日本:1983年7月2日
製作費 $27,500,000
北米興行収入 $67,893,620
世界 $187,500,000
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
中南米の某国。
軍事基地破壊工作の任務に就いていたイギリス諜報員ジェームズ・ボンド(ロジャー・ムーア)は、捕らえられてしまう。
しかし、ボンドは現地の女性諜報員に救出され、小型ジェット”Bede BD-5J”で逃れる。
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ベルリン。
イギリス諜報員009が、サーカス団の一員のミシュカとグリシュカ(デビッド/アンソニー・マイヤー)兄弟に襲われる。
兄弟にナイフで刺された009は、イギリス大使館にたどり着くものの息を引き取る。
009は、かつてのロシア皇帝献上品”ファベルジュ・エッグ”を持っていた。
ロンドンのMI6本部。
ボンドは、M(ロバート・ブラウン)の秘書マネーペニー(ロイス・マクスウェル)から助手を紹介される。
Mとフレデリック・グレイ国防相(ジェフリー・キーン)を待たせていたボンドは、”ファベルジュ・エッグ”を見せられるのだが、それは偽物だった。 本物は、その日のうちに”サザビーズ”の競売にかけられようとしていた。 売り手がロシア人ではないかという情報を得て、外貨稼ぎか諜報活動の資金調達の可能性があった。 009の後任を命ぜられたボンドは、アンティークのエキスパートであるジム・ファニング(ダグラス・ウィルマー)と共に”サザビーズ”に向かう。 モスクワ。 偽物の”ファベルジュ・エッグ”の件に関与していたオルロフは、ロンドンの本物を取り戻そうとする。 サザビーズ。 心配するファニングを気にせずセリを続けるボンドは、カーンを牽制しながら彼に競り落とさせる。 本部に戻ったボンドは、”ファベルジュ・エッグ”を本物と摩り替えてきたことをMに伝える。 普段は売り専門のカーンが、それを買ったことを不審に思うボンドはインドに向かう。 現地の協力者ヴィジャイ(ヴィジャイ・アムリトラジ)と合流したボンドは、カーンが毎晩現れるというカジノに向かう。 カジノでカーンを見かけたボンドは、”サザビーズ”でも彼に寄り添っていた腹心マグダ(クリスティナ・ウェイボーン)に接近する。 その後ボンドは、”バックギャモン”でカーンに勝負を挑み、本物の”ファベルジュ・エッグ”を賭けて彼を牽制する。 さらにボンドは、カーンがイカサマで使ったダイスで、20万ルピーの賭けに勝ち、現金での支払いを要求して彼を牽制する。 恥をかかされたカーンは、”エッグ”を手に入れるために、殺し屋ゴビンダ(カビール・ベディ)にボンドの命を狙わせる。 ボンドは、ヴィジャイの協力でゴビンダの追跡をかわして支部に逃れる。 現地に来ていたQ(デズモンド・ルウェリン)が、”エッグ”に発信機を装着し、ボンドはその他の装備品を支給されてホテルに戻る。 マグダに再会したボンドは、”エッグ”を渡せば命を助けるというカーンからの伝言を知らされる。 マグダと愛し合ったボンドは、翌朝、彼女が”エッグ”を盗むのを承知で、バルコニーから地上に向かい、カーンに迎えられた彼女を見つめる。 ボンドはゴビンダに捕らえられ、カーンはボンドを宮殿に連れて行き、客としてもてなすよう指示する。 その後、宮殿の部屋を抜け出したボンドは、ヘリコプターで現れたソ連の将軍オルロフとカーンが、何かを企んでいることを知る。 2人が1週間後に東ドイツのカール・マルクス・シュタット(現ケムニッツ)で会うことを知ったボンドは姿を消す。 カーンは、”エッグ”に発信機が仕掛けられていることを知り、宮殿から逃亡したボンドを狩の標的にして追跡する。 観光ボートに助けられて難を逃れたボンドは、マグダの背中にあったタコの刺青から、宝石密輸業者でカーンのビジネス・パートナーでもある、オクトパシー(モード・アダムス)という女性の存在を知る。 オクトパシーの宮殿の彼女の部屋に忍び込んだボンドは、かつてボンドが捕らえた諜報員が、オクトパシーの父親だったことを知る。 父が自殺したことを話すオクトパシーは、辱めを逃れられたことをボンドに感謝する。 部屋にカーンが現れ、ボンドがいつことを知らせたオクトパシーは、自分が相手をすることを伝える。 カーンは、殺し屋を雇いボンドを抹殺しようとする。 放浪する女性を集めたことを話すオクトパシーは、彼女たちに人生の目的を与え、船舶、ホテル、サーカスなど、宝石の密輸の他にも、多くのビジネスを展開していることをボンドに伝える。 ヨーロッパに行く予定のオクトパシーは、戻り次第ボンドを自分のビジネスに引き込もうとするものの、それを断られる。 気分を害したオクトパシーだったが、ボンドは彼女を強引にベッドに誘う。 ヴィジャイはQと交代で宮殿のある島を対岸から監視していたが、ゴビンダと殺し屋たちによって殺害される。 ボンドも殺し屋に襲われ、オクトパシーは、水中に落下した彼がワニの餌食なったと思い込む。 無事だったボンドは対岸で待つQの元に向かい、ヴィジャイが殺されたことを知る。 その後、Mをベルリンに呼んだボンドは、ソ連のオルロフが宝石密輸に絡んでいることを報告する。 カール・マルクス・シュタット(現ケムニッツ)。 3人は結託し、ロシアの財宝を偽物とすり替えてサーカスの一団に隠し、西側に持ち込もうとしていたのだった。 しかし、カーンとオルロフは手を組み、財宝と核爆弾を摩り替えて、西ドイツのアメリカ空軍基地に運ぼうとする。 それを知ったボンドは貨物車両に忍び込み、そこにいたミシュカを殺し、現れたオルロフに銃を向ける。 爆弾をサーカス団もろとも爆発させて、アメリカが誤って核爆弾を爆発させたように見せかけ、反核ムードを煽り、その隙に侵攻しようとするオルロフ自らの企みをボンドは見抜く。 隙を見てオルロフは逃亡し、貨物車は西ドイツに向けて出発する。 パンクした車で線路を走り、サーカス団の貨物車を追ったボンドは車両に飛び乗り、オルロフはそれを追跡する。 オルロフの悪事に気づいたゴーゴルは、彼を国境で追い詰める。 オルロフは射殺されるものの、貨物車は西ドイツに入国してしまう。 核爆弾の起爆装置をカーンが起動し、その場にボンドに気づいたゴビンダは、彼に襲いかかる。 ボンドは車両の屋根に逃げてしまい、ゴビンダはそれをカーンに知らせる。 オクトパシーに合図をするボンドに気づいたカーンは、彼に発砲してゴビンダに追わせる。 ゴビンダと車両の屋根でになったボンドは、現れたグリシュカとも戦い、彼と共に列車から転落する。 ボンドはグリシュカを倒し、009の仇を討つ。 サーカス団は爆弾に気づかないまま空軍基地に到着し、パレードが行われる。 ヒッチハイクをしたボンドは、ある町で車を奪い、警察に追われながら基地に向かう。 爆破の時間が迫り、カーンはゴビンダと共に基地から離れ、途中でボンドの車とすれ違う。 基地に到着したボンドは、検問を突破してサーカスに向かい、ピエロに扮して会場に入る。 ボンドは客席のオクトパシーに気づいて近づき、隣席の司令官に爆弾のことを話し、諜報員だと伝える。 カーンとオルロフが裏切ったことをオクトパシーに伝えたボンドは、信じてもらえないために爆弾の元に向かう。 その話を信用したオクトパシーの協力で、ボンドは爆破寸前で起爆装置を止める。 その後オクトパシーは、インドに逃れたカーンに復讐するため、仲間たちと共に宮殿に忍び込む。 カーンに銃を向けたオクトパシーは、オルロフに騙されたと言う彼に捕らえられる。 オクトパシー側とカーンの手下との戦いが始まり、ボンドがQと共に気球で現れる。 カーンとゴビンダは、オクトパシーを飛行機に乗せて逃亡するが、それに追いつき飛び乗ったボンドが、片方のエンジンを破壊する。 ボンドは機外に出たゴビンダを倒し、機内のオクトパシーを救出して、不時着しそうになった機体から飛び降りる。 操縦不能となったカーンは、崖に激突して大破する。 その後、ボンドとオクトパシーは不時着寸前で機外に飛び降り、カーンは機体ごと崖下に墜落する。 ボンドは、崖から落ちそうになったオクトパシーを救う。 MI6本部に出向いたゴーゴル将軍は、今回の事件に関するソ連政府の関与を否定する。 インドに残ったボンドは、オクトパシーとの休暇を楽しむ。
...全てを見る(結末あり)
その頃、オルロフ将軍(スティーブン・バーコフ)が西側侵攻を提案し、アナトール・ゴーゴル将軍(ウォルター・ゴテル)らから非難を受ける。
ボンドは、インド在住のアフガニスタン亡命貴族カマル・カーン(ルイ・ジュールダン)の存在が気になり、彼が”ファベルジュ・エッグ”を必ず競り落とすと考え、競売に加わる。
ボンドは、オクトパシー・サーカスの巡業会場に、オルロフ、カーンそしてオクトパシーが同席していること確認する。
*(簡略ストー リー)
ベルリンでイギリスの諜報員009がサーカス団の一員ミシュカとグリシュカ兄弟に襲われ、イギリス大使館にたどり着くものの、かつてのロシア皇帝献上品”ファベルジュ・エッグ”を手にしたまま息を引き取る。
MI6の諜報員ジェームズ・ボンドは、Mとグレイ国防相から偽物だった”エッグ”を見せられ、本物は”サザビーズ”の競売にかけられようとしていた。
ボンドは009の後任を命ぜられて”サザビーズ”に向かうが、”エッグ”を競り落としたのはロシア人ではなく、インド在住アフガニスタン亡命貴族カーンだった。
その頃モスクワでは、偽物の”エッグ”に関与していたオルロフ将軍が、本物を取り戻すことを考える。
ボンドは、”エッグ”を本物と摩り替えてきたことをMに伝えて、カーンの行動を探るためにインドに向かうのだが・・・。
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派手さを抑えた地味な内容であり、ボンドカーが登場しない作品でもある。
かといって本来のスパイ劇を楽しめる訳でもなく、物足りなさを感じる作品であり、興行収入も前作「ユア・アイズ・オンリー」(1981)を下回った。
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製作費 $27,500,000
北米興行収入 $67,893,620
世界 $187,500,000
華やかであり戦いにも参加するものの、アマゾネスのような迫力もない”オクトパシー”の女性集団の描写も滑稽に見える。
「黄金銃を持つ男」(1974)以来、2度目の出演となるボンドガールがモード・アダムスというところなども、彼女自身は魅力的ではあるが新鮮味がない。
ロジャー・ムーアは、相変わらずお茶目なボンドを演じ、第一線で活動する諜報員を熱演するものの、少々老けを感じさせる。
スタントをうまく使い、体を張った演技で奮闘はしている。
個人的には、Q役のデスモンド・リュウェリンの出演場面が多かったことが嬉しい。
また、前作「ユア・アイズ・オンリー」(1981)では、M役だったバーナード・リーが亡くなったために、彼に敬意を表してMが登場しなかったのだが、本作からはロバート・ブラウンがその役を担当して、癖のない”温和”な雰囲気のMを演じている。
007の敵役として、貴族という役柄を雰囲気ある演技で演ずるルイ・ジュールダン、ロシアの財宝入手に関与する、好戦的なソ連の将軍を演ずる実力派スティーブン・バーコフ、オクトパシー団No.2のクリスティナ・ウェイボーン、ナイフ使いの殺し屋役デビッド/アンソニー・マイヤー兄弟、ボンドと競売場に向かうアンティーク・エクスパートのダグラス・ウィルマー、マネーペニー役のロイス・マクスウェル、プロ・テニスプレイヤーである、ボンドの現地協力者ヴィジャイ・アムリトラジ、カーン(ルイ・ジュールダン)の右腕カビール・ベディ、国防相のジェフリー・キーン、そして、お馴染みソ連のゴーゴル将軍のウォルター・ゴテルなどが共演している。