2001年に発表された、フィリップ・リーヴのヤングアダルト・SFファンタジー小説”移動都市”を基に製作された作品。 巨大移動都市の支配者への復讐を誓う少女の戦いを描く、製作、脚本ピーター・ジャクソン、監督クリスチャン・リヴァース、主演ヘラ・ヒルマー、ロバート・シーハン、ヒューゴ・ウィーヴィング他共演のSFアドベンチャー・アクション。 |
・SF
■ スタッフ キャスト ■
監督:クリスチャン・リヴァース
製作
ゼイン・ワイナー
アマンダ・ウォーカー
デボラ・フォート
フラン・ウォルシュ
ピーター・ジャクソン
製作総指揮
ケン・カミンズ
フィリッパ・ボウエン
原作:フィリップ・リーヴ”移動都市”
脚本
フラン・ウォルシュ
フィリッパ・ボウエン
ピーター・ジャクソン
撮影:サイモン・ラビー
編集:ジョンノ・ウッドフォード=ロビンソン
音楽:トム・ホルケンボルフ
出演
ヘスター・ショウ:ヘラ・ヒルマー
トム・ナッツワーシー:ロバート・シーハン
サディアス・ヴァレンタイン:ヒューゴ・ウィーヴィング
アナ・ファン:ジヘ
ベヴィス・ポッド:ローナン・ラフテリー
キャサリン・ヴァレンタイン:レイラ・ジョージ
マグナス・クローム市長:パトリック・マラハイド
シュライク:スティーヴン・ラング
チャドリー・ポムロイ:コリン・サーモン
ヴァンブレイス:マーク・ミッチンソン
マジモヨ・コーラ船長:レジェ=ジーン・ペイジ
サスヤ:メニク・グーンラタン
ヤスミナ・ラシード:フランキー・アダムス
ニルス・リンドストローム:レイファー・シグルダルソン
トア・ヘケ:カーン・ウェスト
ハーバート・メリファント:アンドリュー・リーズ
クライティ・ボッツ:ソフィー・コックス
パンドラ・ショウ:カレン・ピストリアス
ニュージーランド/アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
2018年製作 128分
公開
ニュージーランド:2018年12月6日
北米:2018年12月14日
日本:2019年3月1日
製作費 $100,000,000
北米興行収入 $15,951,000
世界 $83,672,670
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
60分で文明を崩壊させた最終戦争後の世界。
人々は移動都市を作り、荒廃した地球で新たな暮らしを始め、食糧と燃料を奪い合い弱者は抹殺された。
強者は勢力を拡大し、新たに西方捕食都市の時代が始まった。
最大の移動都市ロンドンを確認したマスクをするヘスター・ショウ(ヘラ・ヒルマー)は、移動の準備をする岩塩採掘都市ザルツハーケンに戻る。
ロンドンの史学ギルド長サディアス・ヴァレンタイン(ヒューゴ・ウィーヴィング)は、ザルツハーケンの捕獲をマグナス・クローム市長(パトリック・マラハイド)から命ぜられる。
荷物を捨てて速度を上げたザルツハーケンは、捕獲を免れようとする。
大ロンドン博物館の史学ギルド長代行チャドリー・ポムロイ(コリン・サーモン)は、訪れたヴァレンタインの娘キャサリン(レイラ・ジョージ)に挨拶し、部下である史学ギルド三級見習いのトム・ナットワーシー(ロバート・シーハン)を捜す。
ヴァレンタインは、ザルツハーケンの捕獲に成功する。 遅刻したトムは、ポムロイに注意される。 ザルツハーケンの住民は、一応、歓迎される。 60分戦争のことを調べていたキャサリンは、トムから話を聞き、貴重な映像を見せられる。 兵器になる部品を密かに集めていたトムは、それを捨てるつもりであることをキャサリンに話す。 キャサリンに声をかけた史学ギルド一級見習いのハーバート・メリファント(アンドリュー・リーズ)は、トムに嫌味を言って彼を追い払う。 トムを追ったキャサリンは、彼と共に都市ガットに向かう。 価値のある物を見つけて博物館に運んでいることを、トムはキャサリンに話す。 ザルツハーケンの人々は武器などの所持を禁じられて調べられ、武器を隠し持つへスターはチェックを逃れる。 反移動都市同盟のリーダーである飛行船 ”ジェニー・ハニヴァー” 船長のアナ・ファン(ジヘ)は、お尋ね者として指名手配されていた。 トムと出くわした工学ギルド見習いのベヴィス・ポッド(ローナン・ラフテリー)は、話しかけてくるキャサリンを相手にしない。 捨てられるトースターを手に入れようとしたトムは、そこに現れたヴァレンタインから価値があるものだと言われ、彼に会えたことを光栄に思う。 ヴァレンタインとキャサリンが抱き合う姿を、へスターは見つめる。 一級史学士だったトムの両親を知っていたヴァレンタインは、飛行船操縦士を諦めた彼から、歴史が性に合うと言われて納得する。 岩塩都市ザルツハーケンには貴重なものがあると言うヴァレンタインは、渡されたオールドテクのフュージョン・インバーターを手にしながら、適切に処分することをトムに伝える。 騒ぎを鎮めたヴァレンタインは、捕獲者は敬意をもって扱われ、食事や住居そして仕事が与えられると人々に伝る。 その時、ヴァレンタインに近づいたへスターは、母パンドラの仇だと言って彼の腹部をナイフで突き刺す。 尚も襲いかかろうとするへスターを制止したトムは、マスクが外れた彼女の顔の傷を見て驚く。 その場から逃れたヘスターは、解体されるザルツハーケンに向かい、サイロの中に落下しようとするものの、トムに腕を掴まれる。 ヴァレンタインが母を殺したことをトムに伝えたヘスターは、手を離してサイロに落下する。 その場に現われたヴァレンタインは、へスターが話したことを聞き、嫌な思いをさせたと言ってトムに謝罪し、彼をサイロに突き落とす。 ヴァレンタインは、追ってきたキャサリンにトムと女が争い落下したことを伝える。 キャサリンは、その様子を目撃していたベヴィスに気づく。 治療を受けたヴァレンタインは、トムを捜していることをキャサリンに伝え、へスターのことについて訊かれる。 知らないと答えたヴァレンタインは、自分たちを憎む反移動主義者だろうと言って、移動都市と静止都市の共存はあり得ないとキャサリンに伝える。 キャサリンは納得せず、ヴァレンタインは、静止都市”楯の壁”に隠れるシャングオは自分たちを滅ぼすことを考えているため、和平は考えられないと伝える。 無事だったヘスターは、ヴァレンタインを殺すチャンスを逃し邪魔されたためにトムを非難するが、交易都市に行きたいと言う彼を連れて移動する。 クローム市長からヨーロッパ進行は最大の誤算だったと言われたヴァレンタインは、策はあるので時間がほしいと伝える。 キャサリンに、都市淘汰主義にこだわる市長は過去の幻影にしがみつき、恐れていると伝えたヴァレンタインは”セント・ポール大聖堂”に向かう。 捕らえられた者がヘスターの話をしていることを知ったヴァレンタインは、刑務所に向かう。 トムから亡くなった母親のことを訊かれたへスターは、話したくないと言って眠る。 暫くしてトムの叫び声で目覚めたヘスターは、人を狩る2台のサウジーに襲われる。 脚を怪我したヘスターとトムは、地下に隠れていたスクートルバグに乗り、所有者に救われる。 ベヴィスと話したキャサリンは、ヴァレンタインのことを目撃した彼から、父がウソをついている理由を知りたいと伝える。 皆を騙している父が、トムを突き落としたことを知ったキャサリンは、セント・ポール大聖堂で行われているエネルギー計画は偽装であり、何かを開発していると言うベヴィスの話を信じる。 トムと共に部屋に案内されたヘスターは、8歳の時に考古学者だった母が死んだことを彼に話す。 度々、訪ねて来ていたヴァレンタインは、滅びたアメリカ大陸の遺物の中にあったあるものを見た瞬間に態度を一変させた。 ヴァレンタインに襲われたパンドラは、へスターにペンダントを渡して彼に殺された。 へスターもナイフで顔を傷つけられたものの、その場から逃げたのだった。 刑務所に向かい、拘束されたいる兵士”ストーカー”のシュライク(スティーヴン・ラング)と話したヴァレンタインは、約束を破ったヘスターを捜していることを知る。 シュライクがヘスターを見つけて殺すことを知ったヴァレンタインは、独房を攻撃して彼を解放する。 部屋に閉じ込められていることに気づいたトムは、床のハッチを開けて飛び降りようとするものの、ヘスターが怪我をしていたために諦める。 奴隷市場に連れて行かれたヘスターとトムは、競売に加わったアナに救われる。 トムと共にその場から逃げたヘスターだったが、現れたシュライクに追われる。 シュライクに追い詰められたヘスターとトムは、アナの操縦するジェニー・ハニヴァーに乗ろうとする。 ヘスターは乗り込みトムはロープにしがみつき、シュライクがそれを掴む。 アナからロープを切るようにと言われたヘスターは、トムに剣を投げ渡す。 ロープを切ったトムを引き上げたヘスターは、傷の手当てをしてくれたアナが、母の死後、自分を捜していたことを知る。 ヘスターがシュライクに育てられたことに気づいたトムが復活者のシュライクを侮辱したため、命の恩人だと言うヘスターは傷つく。 ロンドンに戻ったヴァレンタインは、メリファントからオールドテクで兵器が作れると言われ、昇進を条件にその情報を提供しようとする彼を逆に脅す。 ヘスターは、トムにシュライクのことを話す。 母の死後、独りでさ迷い意識を失ったヘスターは、シュライクに救われて育てられた。 ヘスターは、シュライクに人間だった時の記憶が残っていることを知る。 痛む心の記憶を消し去り、自由にしてくれると言うシュライクに、ヘスターは彼のようになることを約束したのだった。 トムから、逃げた理由を訊かれたヘスターは、半年前にロンドンが陸の橋を渡り、ヴァレンタインが迫ったために彼を追ったことを話す。 キャサリンは、痛めつけられたポムロイから、ある装置が奪われたことを知らされる。 隠し扉を開けたポムロイは、螺旋階段の上のセント・ポール大聖堂に装置が運ばれたことをキャサリンに伝える。 アナから操縦を任されたトムは、空中都市エア・ヘイヴンに向かい、到着した彼らは、マジモヨ・コーラ船長(レジェ=ジーン・ペイジ)に迎えられる。 東に方向を変えたことを知ったクローム市長は、ヴァレンタインの命令であることを知る。 アナらは、コーラやシャングオの反移動都市同盟のルシャンであるニルス・リンドストローム(レイファー・シグルダルソン)、サスヤ(メニク・グーンラタン)らと共に話をする。 過去を思い出すようにと言われたヘスターは、ヴァレンタインが、オールドテクの何かを奪ったことをアナに話す。 アナは、ヴァレンタインらが大聖堂で作っているものが何かを考える。 フュージョン・インバーターを買い釣り始めたと話すコーラだったが、トムは不可能だと伝える。 トムは、ヴァレンタインが奪ったものの模様を描き、量子兵器の制御システムだと伝える。 同じ頃ヴァレンタインは、奪った制御システム”メドゥーサ”を起動させ、その場に侵入したキャサリンとベヴィスはそれを目撃する。 システムを停止させるにはクラッシュ・ドライブが必要であり、その在処は分からないとトムはアナに伝える。 アナは、ロンドンが楯の壁に向かっていることを知る。 命令に背くヴァレンタインを非難するクローム市長は、戦争は無意味だと言って移動を停止させようとする。 クロームの部下は指示に従わず、話を聞き入れるつもりがないヴァレンタインは、市長を殺す。 ショックを受けたキャサリンはヴァレンタインを憎み、もう父ではないとベヴィスに伝える。 シャグオのクワン総督に連絡しようとしたアナだったが、シュライクの襲撃を受ける。 エア・ヘイヴンはダメージを受け、アナからジェニー・ハニヴァーに向かうよう指示されたヘスターとトムは、シュライクに襲われる。 ヘスターは、トムを痛めつけて殺そうとするシュライクを制止する。 ヘスターがトムを愛していることを知ったシュライクはショックを受け、彼女にペンダントを渡して解放することを伝え、息絶える。 編隊を組んだアナらは、楯の壁に向かう。 ヴァレンタインは、その先の土地が新たな狩り場となるため、戦いを仕掛けることを市民に伝える。 楯の壁に到着したアナはクワン総督の元に向かい、メドゥーサを破壊するために戦隊の出動を提案する。 罪のない市民が死ぬと言うトムはそれに反対し、総督は彼の意見を理解するものの、先制攻撃を開始する命令を出す。 戦隊は出撃し、砲撃範囲に入るヴァレンタインは攻撃の準備をする。 石の壁のメドゥーサの彫刻がペンダントと同じであり、中にクラッシュ・ドライブが隠されていつことに気づいたヘスターは、それをトムに知らせる。 最初の砲撃により、壁の上部が破壊される。 母の形見であるクラッシュ・ドライブをアナに見せたヘスターは、彼女らと共にロンドンに向かう。 二回目の砲撃で、壁は半分以上破壊される。 ロンドンに到着したアナらは攻撃を開始し、ニルスが撃墜される。 被弾したコークは墜落し、ヤスミナ・ラシード(フランキー・アダムス)も撃墜される。 無事だったコークはトア・ヘケ(カーン・ウェスト)を助ける。 着陸したアナは、ヘスターを大聖堂に向かわせる。 トムに操縦を任せたアナも大聖堂に向かい、攻撃するものの脇腹に被弾する。 三度目の攻撃が迫り、アナがメドゥーサを停止さようとする間、アナはヴァレンタインと剣を交える。 クラッシュ・ドライブをセットしたヘスターはメドゥーサを停止させ、ヴァレンタインに止めを刺されたアナは、力尽きて落下する。 大聖堂を出たヴァレンタインは、その場にいたキャサリンに非難され、都市のためだったと伝えるものの信じてもらえない。 壁は崩壊すると言われたキャサリンは、ヴァレンタインが、コントロールルームのクルーを殺害し、ロンドンを暴走させる考えを知る。 ロンドンは壁に迫り、ヴァレンタインは飛行船で飛び立つものの、ロープが固定されたままだった。 コントロールルームにいたキャサリンと連絡をとったトムは、ロンドンが壁に激突することを知らされる。 ヴァレンタインを追ったヘスターは、彼に銃を向ける。 ヴァレンタインから父親であることを知らされたヘスターは、油断してしまう。 キャサリンに扉を開けさせて内部に入ったトムは、エンジンを攻撃して破壊する。 格闘となったヘスターはヴァレンタインの顔を傷つけ、接近したジェニー・ハニヴァーに飛び乗る。 トムの攻撃を受けたヴァレンタインの飛行船は墜落する。 ロンドンは、それを押しつぶす寸前で停止する。 市民と共に楯の壁に向かったキャサリンは警戒するが、クワン総督に歓迎される。 戦いを終えたヘスターは、今後は世界中を回ると言うトムに、一緒に旅することを伝えて愛を確かめる。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
60分で文明を崩壊させた最終戦争後の世界。
移動都市が作られ、人々は食料と燃料を奪い合っていた。
最大の移動都市”ロンドン”の史学ギルド長ヴァレンタインは、エネルギー開発の計画を進めながら、ある陰謀を企んでいた。
ヴァレンタインに母親を殺された、顔に傷のある少女ヘスター・ショウは復讐を誓い、彼に近づくのだが・・・。
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フィリップ・リーヴのヤングアダルト・SFファンタジー小説”移動都市”を基に、ピーター・ジャクソンが脚本を兼ねて製作し、彼の作品の多くに参加し、「キングコング」(2005)でアカデミー賞視覚効果賞を受賞したクリスチャン・リヴァースが、長編初監督を務めた作品。
世界戦争で国家などが崩壊した荒廃した世の中で、移動都市を作り互いに略奪をし合う弱肉強食の世界を描いた、SFアドベンチャー・アクション。
ピーター・ジャクソンらしいファンタジータッチの内容や、巨大移動都市の迫力ある映像などは見応えあるが、物語に新鮮味はなく、まずまず熱演する主人公ヘラ・ヒルマーとロバート・シーハン、存在感を発揮するヒューゴ・ウィーヴィング以外のキャスティングもいまいちパッとしない。
本作は批評家に酷評され、1億ドル賭けた製作費を世界興業でも回収できなかった、大失敗作となってしまった。
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北米興行収入 $15,951,000
世界 $83,672,670
母親を殺され復讐を誓う少女を熱演するヘラ・ヒルマー、彼女に協力する史学ギルド三級見習いのロバート・シーハン、巨大移動都市”ロンドン”の支配者として計画を実行する史学ギルド長ヒューゴ・ウィーヴィング、その娘で父の行動を疑うレイラ・ジョージ、反移動都市同盟のリーダー、ジヘ、キャサリン(レイラ・ジョージ)に協力する工学ギルド見習いのローナン・ラフテリー、ロンドン市長のパトリック・マラハイド、主人公を育てた復活者スティーヴン・ラング、史学ギルド長代行のコリン・サーモン、戦闘飛行船船長のレジェ=ジーン・ペイジ、同じく兵士のメニク・グーンラタン、フランキー・アダムス、レイファー・シグルダルソン、カーン・ウェスト、史学ギルド一級見習いのアンドリュー・リーズ、主人公の母親カレン・ピストリアス、他マーク・ミッチンソンなどが共演している。