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家路 Lassie Come Home (1943)

生活苦のために売られた名犬ラッシーが様々な人々に出会い助けられながら数百キロ離れた主人の元に戻るまでを描く、監督フレッド・M・ウィルコックス、主演ロディ・マクドウォールドナルド・クリスプメイ・ウィッティエドマンド・グウェンエルザ・ランチェスターナイジェル・ブルースエリザベス・テイラーパル他共演の家族愛のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(家族愛)

エリザベス・テイラー / Elizabeth Taylor / Pinterest


スタッフ キャスト
監督:フレッド・M・ウィルコックス

製作
サミュエル・マークス
ドア・シャリー
原作:エリック・ナイトLassie Come-Home
脚本:ヒューゴ・バトラー
撮影:レナード・スミス
編集:ベン・ルイス
音楽:ダニエル・アンフィシアトロフ

出演
ジョー・カラクラフ:ロディ・マクドウォール
サム・カラクラフ:ドナルド・クリスプ
ダリー・ファッデン:メイ・ウィッティ
ローリー:エドマンド・グウェン
ヘレン・カラクラフ:エルザ・ランチェスター
ラドリング公爵:ナイジェル・ブルース
ラッシー:パル
プリシーラ:エリザベス・テイラー
ダネル・ファッデン:ベン・ウェブスター
ハインズ:J.パトリック・オマリー
ジョック:アラン・ネイピア
アンドリュー:アーサー・シールズ
バックルズ:アレック・クレイグ

アメリカ 映画
配給 MGM
1943年製作 89分
公開
北米:1943年10月7日
日本:1951年2月10日
製作費 $666,000


アカデミー賞
第16回アカデミー賞

・ノミネート
撮影賞(カラー)


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
世界恐慌の時代、イングランドヨークシャー
不景気で職を失ったサム・カラクラフ(ドナルド・クリスプ)は、売ることができる唯一の財産が愛犬のラッシー(パル)だった。

雌のラフ・コリーのラッシーは、村人に愛され誰もが認める優秀な犬だった。

毎日ラッシーは、午後4時前になるとサムの息子ジョー(ロディ・マクドウォール)を学校に迎えに行った。

授業が終わり、迎えに来たラッシーと共に帰宅したジョーは、母ヘレン(エルザ・ランチェスター)からおやつをもらい、遊びに行こうとする。

”今日”は楽しんできなさいとヘレンから言われたジョーは、その言葉を気にしながら、ラッシーと共に出かける。
...全てを見る(結末あり)

そこにサムが戻り、ラドリング公爵(ナイジェル・ブルース)にラッシーを売ることにした彼は、明日、家に来ることをヘレンに伝える。

翌朝、ジョーに懐いているラッシーを見て心が沈むサムは、何が起きても男は強く生きるべきだと息子に伝える。

ラッシーと共に学校に向かったジョーは、別れる際に彼女の様子がおかしいことに気づく。

いつもように4時に終わると言われたラッシーは家に戻り、待っていたラドリング公爵は、15ギニーを渡したサムに、本当に売りたいのか尋ねる。

サムからやむを得ずと言われたラドリング公爵は、世話係のハインズ(J.パトリック・オマリー)に指示し、ラッシーに首輪を掛けさせてその場を去る。

ジョーに何て言えばいいか分からないヘレンに、自分で気づくはずだとサムは伝える。

学校が終わり、ラッシーがいないことを不思議に思うジョーは、帰宅して何かあったのか両親に尋ねる。

外されたラッシーの首輪に気づいたジョーは、ヘレンから売ってしまったと言われて戸惑う。

ジョーはこの話は終わりだと言われ、サムは出て行ってしまう。

ラッシーが居なくなって助かると話すヘレンが涙したために、ジョーは彼女の気持ちを察する。

ヘレンから、もう大きいので理解してほしいと言われたジョーは、ラッシーのエサ代が大変だということを知る。

自分たちが食べるのがやっとなので、サムは責めないでほしいと言われたジョーは納得する。

買い戻せるかと訊かれ、無理だと答えたヘレンは、お金が貯まったら別の犬を買ってあげると伝えるものの、ジョーはラッシーがいいと言って涙する。

孫娘のプリシーラ(エリザベス・テイラー)を連れて犬小屋に向かったラドリング公爵は、3年前から目をつけてようやく手に入れたラッシーを彼女に見せてあげる。

元気のないラッシーのことをプリシーラが気にするため、ハインズを呼んだラドリング公爵は、彼に後を任せる。

4時前になり、ジョーを迎えに行こうとしたラッシーは、穴を掘って檻から出て学校に向かう。

ラッシーが迎えに来ていることを知ったジョーは喜び、帰宅して、両親にラッシーが戻ったことを伝える。

サムはラッシーを無視し、ヘレンから、エサをあげたら返すと言われたジョーは、それに従おうとする。

そこに現れたハインズから、戻るようにラッシーをしつけて人に売ろうとしていると言われたサムは苛立ち、彼を追い払う。

ラッシーを嫌うハインズは彼女を檻に戻し、穴が掘れないことを確認してその場を去る。

しかし、檻の高いフェンスを飛び越えたラッシーは、再び逃げ出してしまう。

サムの家に向かったハインズは、追い払われてしまう。

ヘレンから、ジョーと共にラッシーは逃げたと思うと言われたサムは、心当たりがあるためにその場に向かう。

ラッシーと一緒にいる方法を考えていたジョーは、現れたサムと共にラドリング公爵の屋敷に向かう。

訪ねて来たサムから、ラッシーが二度も逃げたことを知らされたラドリング公爵はハインズを呼び、そのことを追及する。

ハインズを非難したラドリング公爵は、今度ラッシーが逃げたらクビだと伝える。

ジョーに会うためにラッシーが逃げたことをハインズに伝えたサムは、檻に向かう。

檻に入れられたラッシーに、もう家に戻らないようにと命令することをサムから指示されたジョーは、それに従いラッシーに別れを告げる。

その様子を見ていたプリシーラは、自分が面倒を見ることをジョーに約束する。

ジョーの気持ちを察するプリシーラは、彼て別れた悲しそうなラッシーに話しかける。

サムと話したジョーは、辛いだろうが男は誠実であるべきで、買われたラッシーのことは諦めるようにと言われる。

また戻ると言うジョーだったが、ラッシーはスコットランドに連れて行かれたことを知る。

スコットランド
ラッシーが鎖でつながれていることに気づいたプリシーラは、それをラドリング公爵に伝える。

それを知ったラドリング公爵はハインズを非難し、鎖を外して散歩に連れて行くよう指示する。

その後、散歩中にラッシーがハインズから逃げたことを知ったプリシーラは、わざと門を開ける。

敷地内から出たラッシーが南に向かったため、プリシーラは、彼女の行き先はヨークシャーだと考える。

海岸線の岩場を歩き続けたラッシーは足を痛めてしまい、雷雨の中、森で雨宿りする羊と共に一夜を過ごす。

翌日、羊飼いのジョック(アラン・ネイピア)とアンドリュー(アーサー・シールズ)は、現れたラッシーが羊を襲うと思い銃を構える。

アンドリューから撃てと言われたジョックは、悪い犬に見えないために、銃撃するもののわざと外す。

放たれた犬と格闘したラッシーは、その場を去ろうとする。

ラッシーが勇敢な犬であり、旅の途中だと考えるジョックは、アンドリューに弾切れだと伝えるものの納得してもらえない。

犬を撃つ気がなかったジョックは、銃の弾を抜き出す。

その頃サムは、ジョーの誕生日に筆箱をプレゼントしようとするヘレンと共に、彼が喜ぶ顔を想像する。

登校しようとしたジョーは、両親からプレゼントがあると言われ、ラッシーだと思い喜ぶ。

ラッシーがいないことを知ったジョーは、プレゼントの筆箱を渡され、気落ちしながらも両親に感謝する。

川をひたすら泳いだラッシーは疲労困憊となり、雨の中、ある民家の前で倒れてしまう。

妻のダリーから外で物音がすると言われたダネル・ファッデン(ベン・ウェブスター)は様子を見に行き、倒れているラッシーを見つける。

ダネルに呼ばれたダリーは、ラッシーを家に運び介抱する。

ラッシーが川を渡ってきたはずだとダネルから言われたダリーは、彼女がスコットランドから来たと考える。

衰弱するラッシーを何とか回復させたダリーは、近所を回ったダネルから、犬を捜している家はないと言われ、ラッシーの飼い主になれたことを喜ぶ。

夜中に目覚めたジョーは、窓から外を眺めながらラッシーのことを想う。

毎日4時前になると落ち着きがなくなるラッシーが気になるダリーは、彼女は出て行きたいのだということに気づく。

自分たちを気遣うラッシーが、出て行きづらいと考えていると言うダリーは、許可を得ないと出ていけないのだろうとダネルに伝える。

ラッシーは旅の途中だと考えるダリーの話を聞いたダネルは、ラッシーが4時前に出て行こうとしたら、そうさせてあげようとする。

4時が近づき、出て行きたがるラッシーに涙しながら別れを告げるダリーは、ダネルから、今夜は灯りをつけておこうと言われる。

森の中で一夜を過ごした行商人のローリー(エドマンド・グウェン)は、愛犬のトゥーツが、近づくラッシーに気づいて吠えたために彼女を呼び寄せる。

ラッシーが食べ物を欲しがっていることに気づいたローリーは、地面に肉を置いて去ろうとする。

それを食べようとしないラッシーはしつけのいい犬だと思いながら、ローリーは出発する。

ついてきたラッシーが、湖に行きたいことを知ったローリーは、その方向に向かう。

野営をするローリーは、皿に入れた食べ物は食べるラッシーの礼儀作法に感心し、商売を手伝ってくれるかもしれないと考える。

毎年寄る村で商売をしたローリーは、子供たちにトゥーツとラッシーの芸を見せて喜ばせる。

浮浪者のバックルズ(アレック・クレイグ)とスニッカーズは、ローリーが稼いだことを確認する。

その夜、森の中で野営をするローリーは、現れたバックルズとスニッカーズから金を要求される。

それに従うフリをしたローリーは、棒切れで二人に襲い掛かり、ラッシーとトゥーツも加勢する。

ローリーを殴ったスニーカーズは、ズボンに噛みつくトゥーツを棒で強打する。

憤慨したローリーとラッシーは、反撃して二人を追い払う。

ローリーは、息を引き取ったトゥーツを抱きかかえて悲しむ。

翌日、ラッシーが違う方向に行きたいことを知ったローリーは、冬になるために自分は家に戻るつもりだったために、別の目的があるように思えるラッシーと別れる。

ある町で保健所の職員に追われたラッシーはビルに逃げ込み、二階の窓から飛び降りて、左前脚を怪我してしまう。

その日も職が見つからないまま帰宅したサムは、ヘレンから、ジョーはラッシーが家から運を持ち去ったと考えていると言われる。

その時、外の犬の声に気づいたサムとヘレンは、ラッシーがスコットランドから戻ってきたことを知り驚く。

サムは、傷つき弱っているラッシーを介抱し、ヘレンは、とっておいた彼女の皿にシチューを入れて食べさせようとする。

ラッシーがそれを口にしようとしないために、長い間、何も食べていなかったと考えたサムは、ミルクを分けてもらうために出かけようとする。

そこにラドリング公爵とプリシーラが現れ、サムはラッシーを奥の部屋に隠す。

二人に歓迎されたラドリング公爵は孫娘のプリシーラを紹介し、ラッシーに逃げられたことを伝える。

家には戻っていないと伝えたサムは、プリシーラに促されたラドリング公爵から、仕事をしているか訊かれる。

ヘレンから数件依頼があると言われたラドリング公爵は、それを断り、屋敷の犬の世話係をしてほしいとサムに伝える。

喜んでそれを引き受けたサムとヘレンは、ラッシーが声を出したために焦る。

奥の部屋にいた傷つき弱った犬を確認したラドリング公爵は、サムからラッシーでないと言われる。

ラドリング公爵は、この犬を見たことがあるかプリシーラに尋ね、祖父からウインクされた彼女は、知らないと答える。

自分の犬ではないと言うラドリング公爵は、この犬には治療が必要なので、屋敷の犬小屋を使うようにとサムに伝えてその場を去る。

ラドリング公爵は気づいていたとヘレンに伝えたサムは、4時が近づいたために起き上がったラッシーを、ジョーの迎えに行かせようとする。

心配するヘレンに、何百キロもの旅をしたので大丈夫だと伝えたサムは、彼女から首輪を渡され、それをラッシーにつける。

学校に向かうラッシーが戻ってきたことを知った村人は、笑顔で彼女を見守る。

校庭で待つラッシーに気づいたジョーは驚き、彼女に駆け寄り抱きしめる。

その後ラッシーは回復し、ジョーはプリシーラと仲良しになる。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
世界恐慌の時代、イングランドヨークシャー
不景気で職を失ったサム・カラクラフは、生活苦のために、可愛がっていた愛犬ラッシーをラドリング公爵に売ってしまう。
それを知ったサムの息子ジョーは悲しむものの、家族の生活のために納得するしかなかった。
その後、何度も逃げ出し家に戻るラッシーとジョーらの絆を知ったラドリング公爵の孫娘プリシーラは、彼らを気遣う。
その後、スコットランドに連れて行かれたラッシーは、プリシーラの協力で逃げだしてしまい、南に向かいヨークシャーを目指すのだが・・・。
__________

1940年に発表された、エリック・ナイトの小説”Lassie Come-Home”を基に製作された作品。

生活苦のために家族と別れた名犬ラッシーが、様々な人々に出会い助けられながら、スコットランドからヨークシャーに戻るまでを描く家族愛のドラマ。

本作の成功により、雌のラフ・コリーパル”が活躍する映画”名犬ラッシー・シリーズ”がこの後7作製作され、”TVシリーズ”も放映された。

主人公と言っていいパルの演技は絶賛され、彼女が慕う一家との絆が、心温まる描写で描かれる感動作でもある。

その後、ハリウッドを代表する大女優となるエリザベス・テイラーのデビュー2作目の作品で、その愛らしい表情は天使のようであり、撮影当時10歳の彼女は一挙に注目される存在となった。

自然を映し出す美しいテクニカラーの映像も素晴らしく、第16回アカデミー賞では撮影賞(カラー)にノミネートされた。
物語の部隊はイングランド北部及びスコットランドではあるが、撮影のほとんどはカリフォルニアで行われた。

1993年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。

家族の生活のために仕方なく愛犬ラッシーと別れる少年ロディ・マクドウォール、彼とは2年前に名作「わが谷は緑なりき」(1941)でも父子役を演じた失業中の父親ドナルド・クリスプ、その妻エルザ・ランチェスター、ラッシーを助ける老婦人メイ・ウィッティ、その夫ベン・ウェブスター、ラッシーと出会い旅をする行商人のエドマンド・グウェン、ラッシーの飼い主である人間味のある公爵ナイジェル・ブルース、その孫娘エリザベス・テイラー、ラッシーを嫌う公爵の屋敷の犬の世話係J.パトリック・オマリー、ラッシーと遭遇する羊飼いアラン・ネイピアアーサー・シールズ、行商人を襲う浮浪者のアレック・クレイグなどが共演している。


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