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去り行く男 Jubal (1956)

牧場に雇われた流れ者と関係者達による嫉妬と憎しみの末に起きる事件を描く、監督、脚本デルマー・デイヴィス、主演グレン・フォードアーネスト・ボーグナインロッド・スタイガーヴァレリー・フレンチフェリシア・ファーチャールズ・ブロンソンジャック・イーラム他共演の西部劇。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


西部劇


スタッフ キャスト
監督:デルマー・デイヴィス

製作:ウィリアム・ファディマン
原作:ポール・I・ウェルマン”Jubal Troop”
脚本
ラッセル・ヒューズ
デルマー・デイヴス
撮影:チャールズ・ロートンJr.
編集:アル・クラーク
音楽:デイヴィッド・ラクシン

出演
ジューバル・トループ:グレン・フォード
シェップ・ホーガン:アーネスト・ボーグナイン
ピンカム”ピンキー”:ロッド・スタイガー
メイ・ホーガン:ヴァレリー・フレンチ
ナオミ・ホクター:フェリシア・ファー
シェム・ホクター:ベイジル・ルイスデール
レブ・ハイスリップ:チャールズ・ブロンソン
マッコイ:ジャック・イーラム
サム:ノア・ビアリーJr.
カーソン:ジョン・ディークス
ジェイク・サリヴァン:ロバート・ナップ

アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1956年製作 101分
公開
北米:1956年4月6日
日本:1956年2月25日
製作費 $1,800,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
ワイオミング準州
流れ者のジューバル・トループ(グレン・フォード)は、土手から転げ落ち、道で倒れて意識を失う。

通りががった牧場主のシェップ・ホーガン(アーネスト・ボーグナイン)は、ジューバルを助けて牧童のピンカム”ピンキー”(ロッド・スタイガー)らの元に連れて行く。

意識が戻ったジューバルから峠に倒れていた理由を聞いたホーガンは、自分がここの牧場主だと伝えて、牧童のピンキー、サム(ノア・ビアリーJr.)、カーソン(ジョン・ディークス)を紹介する。

ジューバルが馬を乗りこなせることを確認したホーガンは、その場を去る。
...全てを見る(結末あり)

翌朝、目覚めたジューバルは、ピンキーから、羊の匂いが染みついた服は燃やしたと言われ、サムから別の服を渡される。

ピンキーは、仕事をもらう気なのかジューバルに尋ねる。

ホーガンに服と寝どこのお礼を言ったジューバルは、その場を去ろうとする。

不運から逃げていると伝えたジューバルは、ホーガンから落ち着くべきだと言われる。

からかうピンキーの言葉を気にしないジューバルは、ホーガンから、生まれつき意地の悪い男だが腕はいいと言われ、朝食を勧められる。

食堂で食事をしようとしたジューバルは、現れた女性メイ(ヴァレリー・フレンチ)から声をかけられ、働くつもりなのか訊かれるものの、明確には答えず食事をする。

現れたホーガンから、娘だと思ったメイは妻だと言われたジューバルは驚き、結婚して1年だということを知る。

ホーガンから、荒馬を乗りこなしカウボーイであることを証明するようにと言われたジューバルは、その腕を認められて牧童となる。

そんなジューバルに惹かれるメイはピンキーに言い寄られ、それを拒んで、ホーガンに頼んで追い出すと彼に伝える。

自分達の関係をバラすと言われたメイは、ホーガンが留守の時は見張っているつもりのピンキーに脅される。

宿舎に戻ったジューバルは、サムからメイには関わるなと言われ、分かっていると伝える。

翌日、仲間と町に繰り出すピンキーに、ホーガンから食事に招待されたことを伝えたジューバルは、嫌味ばかり言う彼の態度を批判する。

食事を済ませたホーガンは、メイと過ごす時間を増やし組合の仕事もする考えがあるため、ジューバルに牧童頭をやる気はないか尋ねる。

新入りだということもあり遠慮するジューバルは、他に適任者がいるのではないかとホーガンに伝えるものの、信用できないピンキー他、頼りにならないと言われる。

皆が納得しないと言うジューバルは、特にピンキーのことを気にするものの、ホーガンに説得されて引き受けることにする。

お祝いだと言って自動ピアノを鳴らしたホーガンは、メイと踊ることをジューバルに促す。

ホーガンが席を外している間に、メイの気持ちを知りキスされたジューバルは、こんな関係はやめるべきだと伝える。

別の演奏ロールをピアノにセットしたホーガンから、ワルツだと言われたジューバルとメイは再び踊り始める。

翌日、牛を襲うピューマ退治に懸賞金を払おうとしたホーガンは、ジューバルを牧童頭にすることをピンキーに伝える。

その理由を訊かれたホーガンは、ジューバルを信用したからだと答える。

当然それが気に入らないピンキーは、様子を見ることにする。

ピンキーに銃撃されたジューバルは、ピューマと間違えたと言われ、撃ち返して彼を牽制する。

北の牧場の牧童マッコイ(ジャック・イーラム)らと共に、西に向かう宗教団体の幌馬車隊の人々を発砲して脅したピンキーは、責任者のシェム・ホクター(ベイジル・ルイスデール)に、この土地から出て行くようにと伝える。

安息日には移動せず病人もいると伝えたシェムだったが、ピンキーは聞き入れようとしない。

銃声を聴いて駆け付けたジューバルは、土地に入った以外には何もしていないシェムに滞在している理由を訊く。

病人がいて祈りを捧げる日曜だと言われたジューバルは、共に旅をしていたレブ・ハイスリップ(チャールズ・ブロンソン)から、皆、善人だということを知らされる。

休息して滞在することを許可したジューバルは、人々に感謝される。

シェムの娘ナオミ(フェリシア・ファー)は、ジューバルに惹かれる。

一度は人々と別れたが、銃声がしたので戻ってきたと言うレブは、ジューバルに付いて行き牧童として雇われる。

ジューバルが幌馬車隊の女目当てで妥協したと、ピンキーから昼間の話を聞いたホーガンは、リーダーに従うよう指示し、不満ばかり言う彼を黙らせる。

その話を聞いていたメイは、ホーガンから、ジューバルに出会いがあったらしいと言われ、心穏やかではなかった。

牧場に戻ったジューバルはホーガンにレブを紹介し、雇うことを許可してもらう。

レブはメイに挨拶し、ジューバルは、昼間の話をピンキーから聞いたはずだとホーガンに伝え、女のことでからかわれる。

そのことでメイが話に加わろうとしたため、寝る時間だと言うジューバルは、レブと共に宿舎に向かおうとする。

メイから会いたかったと言われたジューバルは、何も語らずにその場を去る。

宿舎に戻ったジューバルは、明かりをつけて窓からこちらを見つめるメイが気になる。

納屋に向かったジューバルは、誘われたと思い現われたメイの話を聞き、ホーガンとの関係が嫌なら故郷に帰ればいいと伝える。

故郷のカナダに帰れば笑い者になるが、男には不自由しなかったと言うメイは、23人にも求婚され、牛を買いに来たホーガンに見初められたことを話す。

帰る気はないと言うメイは、自分の気持ちを伝えるものの、ジューバルはそれを拒む。

翌日、メイとうまくいっていないと言うホーガンから相談を受けたジューバルは、男にとっての愛情表現が、女にとってうんざりすることがあるため、他の方法を考えるようにと助言する。

幌馬車隊の女のことを訊かれたジューバルは、会っていないと答えるものの冷やかされる。

川辺で野イチゴ摘みをしていたナオミに声をかけたジューバルは、病気の母が回復したので、直に”約束の地”に向かい出発することを知る。

定住して家を持つことを考えないかと尋ねたジューバルは、自分にも家はなく、船の上で生まれて育ち、母にも好かれていなかったとナオミに話す。

7歳の時には見捨てられそうになったと言うジューバルは、誤って船から落ちても母は見ているだけで、川に飛び込んだ父に助けられた話をする。

父は別の船のスクリューに巻き込まれて死亡したのだが、自分を助けてくれたと話すジューバルは、素晴らしい男だったとナオミに伝える。

引き上げられた父の遺体を前にした母から、”お前ならよかった”と言われたジューバルは、それ以来、自分の生きる道を見つけて旅を続けていた時にホーガンと出会ったことを話す。

涙しながら話を聞いたナオミは、あなたのことを知れたのでよかったとジューバルに伝えてその場を去る。

幌馬車隊の元に向かいシェムと話したジューバルは、直に出発すると言われ、理想の地を探し求める人々を応援すると伝え、別れを告げる。

ナオミの婚約者であるジェイク・サリヴァン(ロバート・ナップ)はジューバルを追い、彼女に手を出すなと伝える。

その後、仲間達と休息していたジューバルは、現れたナオミと話して記念にハンカチを渡され、明日の日の出には旅立つと言う彼女から、皆が集会を開きジェイクが話し続けていることを知らされる。

ジェイクを好きでないと言うナオミは、父が決めたことで、子供には選択肢がないことをジューバルに伝える。

知っていると言うジューバルは、もう会えないのかと訊かれるものの、明確には答えられない。

初めてのキスを自分との思い出にしたいと言われたジューバルは、ナオミにキスして別れを告げる。

その夜、皆とカードを楽しんでいたホーガンは、現れたメイから組合の手紙を受け取る。

牧場に帰るメイが危険だと考えるホーガンから、彼女を送ってほしいと頼まれたジューバルは指示に従う。

ピンキーは、二人に何か起きると考える。

牧場に戻ったメイは、人生をやり直したいとジューバルに伝えるものの、彼から相手にはなれないと言われる。

愛されていることを確信するメイは、ジューバルを誘惑して寝室に向かうものの、彼は馬に乗り走り去る。

眠っていたホーガンを起こしたピンキーは、レブが姿を消しジューバルも戻ってきていないことを伝える。

ジューバルとメイの関係を疑うピンキーを殴ったホーガンは、彼女が誘いに来たと思わないのかと言われ、サムにそれを確かめる。

サムが何も答えないためにホーガンは、ピンキーがウソをついていると決めつける。

その通りだとサムから言われたホーガンは、牧場に行き真実を確かめテ、ピンキーを八つ裂きにすると伝える。

牧場に着いたホーガンは、メイが一人で眠っていたために安心するが、彼女が寝言でジューバルの名前を口にするのを聞いてしまう。

目覚めたメイはジューバルが戻ったと思うが、ランプを点けたのはホーガンだった。

ジューバルが寝室にいたのか尋ねたホーガンは、その通りだと答えるメイから、自分が嫌いでキスされると寒気がすると言われる。

銃を手にしたホーガンは、ジューバルを捜すために町に向かう。

酒場にいたジューバルと話をしたレブは、ホーガンとのことはどうするのか訊かれる。

そこに現れたホーガンは、メイとの関係をジューバルに尋ねて発砲する。

ジューバルは勘違いしていると答え、レブから丸腰だと言われたホーガンは再び発砲する。

話し合いに応じようとしないホーガンにテーブルを投げつけたレブは、ジューバルに銃を渡す。

ジューバルはホーガンを射殺してしまい、レブから仕方なかったと言われる。

その場にいたマッコイらに、レブは正当防衛だったことを確認する。

恩人を射殺してしまったことで動揺するジューバルは、レブと共にその場を去る。

マッコイは、ジューバルがメイと関係していたと言いながら、ピンキーらの元に向かう。

酒場のことをピンキーらに話したマッコイは、会合を開くと言われて自分の牧場に向かう。

ジューバルを捜すようサムに指示したピンキーは、自分のせいでこうなったと言われる。

自分はここにいて何もしていないと言うピンキーは、最高のボスだったホーガンのことの方が大切だとサムに伝える。

牧場に向かったピンキーは、ホーガンが死んだことをメイに伝えて、ジューバルのことを気にする彼女に、夫殺しを頼んだのか尋ねる。

ホーガンをたきつけてジューバルが彼を殺すよう仕向けたと言われたメイは、夫は来ていないと伝える。

本人に聞いてみると言って、いるはずもないホーガンを招き入れようとするピンキーの行為を見て取り乱しそうになったメイは、納屋に向かい隠れる。

メイを見つけたピンキーは、自分が牧童頭になると伝えて近づくものの、犬の方がましだと言われたために、彼女を殴り痛めつける。

怪我をしたジューバルを連れて、出発の準備をする幌馬車隊の元に向かったレブは、助けを求める。

正当防衛でジューバルがホーガンを殺したことを話すレブは、追っ手が来るはずだと言われたため、それを否定はしない。

追い返せと言う声もあったが、レブは、怪我をしたジューバルの治療をしてほしいとシェムに頼む。

自分の一存では決められないと言うシェムだったが、平和は隣人への愛により生まれると皆に話し、恩人に恩返しをする時だと伝える。

シェムは女性達にジューバルの介抱をさせるが、ジェイクは彼の意見に反対する。

ジェイクに無理強いはしないと伝えたシェムは、交差路で別れて目的地で合流することを提案する。

危険は承知でジューバルの回復を待つと言うシェムは、皆の同意を得る。

マッコイから酒場で起きたことを聞いたピンキーは、レブが投げた銃で早撃ちするジューバルの銃の腕を知っているはずだとサムに確認する。

あれは遊びだと言われたピンキーは、もともと仲間だったジューバルがレブを雇ったと決めつける。

これは正当防衛ではなく仕組まれた殺人計画であり、ジューバルが隠れているのがその証拠だと言うピンキーは、グラント医師に彼の傷の手当てをしたか尋ねる。

それを否定するグラント医師は、自分はホーガンの友人だったとピンキーに伝える。

親友だったと言われたサムはジューバルの居場所を訊かれ、知らないと答える。

サムは、相手の話を聞きもしないで殺人者扱いして、見つけたら裁判なしで吊るし首にする考えをピンキーに確認する。

そんな考えはないと言うピンキーは、別の人妻に手を出す前に捕まえたいだけで、皆に愛されたホーガンのために黙っていられないと伝えて、ジューバルを捜そうとする。

サムは、神の最大の失敗は人間を創ったことではないかとカーソンに伝える。

いい場所を見つけたシェムらは、幌馬車を隠す。

ホーガンを殺したことで苦しむジューバルを介抱するナオミは、神が助けてくれると言って祈りを捧げる。

祈っても死者は生き返らないと言うジューバルは、親友を殺してしまったことで悩む。

幌馬車隊を見つけたピンキーは、ジューバルがいないために、仲間と別れた理由などを男に尋ねるものの、何も分からなかった。

別れた集団の中にジューバルがいると判断したピンキーは、それを探そうとする。

シェムらが進んだ方面に向かい彼らを捜したジェイクは、ナオミの姿を確認して戻り、レブがそれを目撃する。

見つかっていない1台の幌馬車にジューバルがいると考えたピンキーは、現れたジェイクから力になると言われ、レブは、その様子を確認する。

回復したジューバルは、レブが危険だと知り心配し、一人で悩みを抱えないでほしいと言うナオミは、彼に愛を告げる。

傷つくのを見たくないと言ってナオミにキスしたジューバルは、その場を去ろうとする。

現れたレブから、ピンキーが約50人を引き連れて来ると言われたジューバルは、ジェイクが裏切ったことを知らされる。

シェムからここにいるべきだと言われたジューバルは、皆を巻き込みたくないと伝えて、ピンキーらを牧場に連れて来るようにとレブに指示する。

吊るされると言われたジューバルだったが、牧場に答えはあるとレブに伝える。

傷も癒えていないのに戦えないと言うナオミは、メイの話などピンキーは信じずに殺されるとジューバルに伝える。

しかし、真実を明らかにしたいだけのジューバルは牧場に向かう。

レブらは、ジューバルがいると見せかけて時間を稼ごうと考え、そこにピンキーらが現れる。

ピンキーからジューバルの居場所を訊かれたシェムは何も答えず、黙って引き渡して見ていろと言われる。

レブから裏切り者も一緒だと言われたジェイクは、シェムらに見捨てられてその場を去る。

ピンキーに暴力は振るわないことを約束させたレブは、ジューバルに何をする気かを問う。

酒場でジューバルに銃を渡したことを責められたレブは、丸腰だったと話し、自衛は当然だとピンキーに伝える。

ホーガンはメイを寝取られたと言われたレブは、彼女に聞くべきだと伝えるものの、ジューバル本人に聞く気のピンキーは彼の引き渡しを求める。

ここにはいないと言うレブは、ジューバルが牧場で待っているので、自分で真相を確かめろとピンキーに伝える。

一緒に行って証明するので、ウソだったら自分を吊るせと伝えたレブは、ジューバルはメイを殴り言いなりにさせるだけだと考えるピンキーと共に牧場に向かう。

それを見たナオミも、牧場に向かうためにピンキーらを追う。

牧場に着いたジューバルは、納屋で倒れているメイを見つけて、ピンキーに殴られたことを知る。

ホーガンは自分が殺したのも同然だと言うメイは、ウソをついて彼を傷つけたとジューバルに伝える。

そこにピンキーらが現れ、グラント医師にメイを診せたジューバルは、彼女が死んだと思い、自分に罪を着せたかったのかとピンキーに問う。

レブから銃を受け取ったジューバルはピンキーを銃撃し、殴り合いになる。

メイが死んだことを伝えたグラント医師は、ピンキーがしつこく迫り、拒むと殴られたと聞いたと言って、彼が殺したと皆に話す。

その場を去ったジューバルは、現れたナオミ、そしてレブと共に幌馬車隊の元に向かう。


解説 評価 感想
*(簡略ストー リー)
ワイオミング準州
峠の道で気を失っていた流れ者ジューバル・トループを助けた牧場主のホーガンは、彼を牧童として雇う。
ホーガンの若い妻メイは、夫との結婚生活に不満を抱えていたためにジューバルを誘惑するものの、それを拒まれる。
その後、信頼されたジューバルは牧童頭となり、古株の牧童ピンキーは彼の存在をよく思わない。
宗教団体の幌馬車隊と揉めたピンキーの意見を退け、ジューバルは人々の滞在を認め、責任者シェムの娘ナオミは彼に惹かれる。
その後もメイに迫られるものの、恩人のホーガンを裏切ることができないジューバルは、彼女を拒み続けるのだが・・・。
__________

1939年に発表された、ポール・I・ウェルマンの小説”Jubal Troop”を基に製作された作品。

監督ロバート・アルドリッチ、主演バート・ランカスターの「アパッチ」(1954)やジョン・ウェイン主演の「コマンチェロ」(1961)など西部劇を多く手がけたポール・I・ウェルマンの原作を基に、デルマー・デイヴィスが脚本を兼ねて監督し、主演のグレン・フォード他、豪華共演陣による西部劇。

愛欲や妬みや恨み、憎悪と暴力などと共に、宗教的観念も絡めた異色の内容は、デルマー・デイヴィスの繊細な人物描写と演出により見応えある作品に仕上がっている。

謎の人物のようにして登場する主人公は、的確な判断で物事に対処するのだが、母から受けた仕打ちなどによる、辛い過去から逃れるための放浪人生を送っていたことも語られる、深い人間ドラマとしても描かれているところにも注目したい。

主演のグレン・フォードは、常に不安を抱えるナイーヴな雰囲気の流れ者を好演し、当時は若手だった、主人公の恩人でもある牧場主を演ずるアーネスト・ボーグナインと、主人公の存在を煙たがる牧童を熱演するロッド・スタイガーの強烈な個性が活かされている。
アーネスト・ボーグナインは、前年の「マーティ」(1955)で見事にアカデミー主演賞を受賞している。

チャールズ・ロートンJr.の美しい映像とデイヴィッド・ラクシンの軽快な音楽も印象に残る。

主人公を誘惑する牧場主の妻ヴァレリー・フレンチ、主人公に惹かれる幌馬車隊の女性フェリシア・ファー、その父親ベイジル・ルイスデール、主人公に協力する流れ者を好演する演技が光るチャールズ・ブロンソン、別の牧場の牧童ジャック・イーラム、牧童のノア・ビアリーJr.ジョン・ディークス、幌馬車隊の一員ながら仲間を裏切るロバート・ナップなどが共演している。


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