1910年に発表された、E・M・フォスターの小説”ハワーズ・エンド”を基に製作された作品。 知的で理想主義的な中産階級家庭と現実的な資産家家庭の関係を描く、監督ジェームズ・アイヴォリー、主演エマ・トンプソン、ヘレナ・ボナム=カーター、ヴァネッサ・レッドグレーヴ、アンソニー・ホプキンス、ジェマ・レッドグレイヴ、サミュエル・ウェスト他共演のドラマ。 |
・ドラマ
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジェームズ・アイヴォリー
製作:イスマイル・マーチャント
製作総指揮:ポール・ブラッドリー
原作:E・M・フォスター”ハワーズ・エンド”
脚本:ルース・プラワー・ジャブヴァーラ
撮影:トニー・ピアース=ロバーツ
編集
美術・装置
イアン・ホイッティカー
ルチアーナ・アリジ
衣裳デザイン
ジェニー・ビーヴァン
ジョン・ブライト
音楽:リチャード・ロビンズ
出演
マーガレット・シュレーゲル:エマ・トンプソン
ヘレン・シュレーゲル:ヘレナ・ボナム=カーター
ルース・ウィルコックス:ヴァネッサ・レッドグレーヴ
ポール・ウィルコックス:ジョゼフ・ベネット
ジュリー:プルネラ・スケイルズ
ティビー・シュレーゲル:エイドリアン・ロス・マジェンティ
アニー:ジョー・ケンドール
ヘンリー・ウィルコックス:アンソニー・ホプキンス
チャールズ・ウィルコックス:ジェームズ・ウィルビー
イヴィー・ウィルコックス:ジェマ・レッドグレイヴ
駅長:イアン・ラティマー
レナード・バスト:サミュエル・ウェスト
ジャッキー・バスト:ニコラ・デュフェット
講演者:サイモン・キャロウ
ドリー・ウィルコックス:スージー・リンデマン
ピアニスト:メアリー・ナッシュ
質問する男性:ジークベルト・プラウアー
ハワーズ・エンドのメイド:アタランタ・ホワイト
ポルフィリオンの上司:ジェラルド・パリス
パーシー・カーヒル:マーク・ペイトン
シンプソンの彫刻家:デヴィッド・ディレイニー
ウィルコックスの赤ちゃん:メアリー・マクウィリアムス
エイヴリー:バーバラ・ヒックス
運転手:ロドニー・ライメル
トム:ルーク・パリー
銀行監督官:アントニー・ギルディング
フッセル大佐:ピーター・セリエ
アルバート・ファッセル:クリスピン・ボナム=カーター
結婚式の招待客:パトリシア・ローレンス
結婚式の招待客:マージョリー・メイソン
マートレット:ジム・ボウデン
ポルフィリオンの係長:アラン・ジェームズ
電報係:ジョセリン・コブ
医師:ピーター・ダーリング
配達人:テレンス・サック
警察官:ブライアン・リプソン
ヘレンの子供:バール・ヘックストール・スミス
昼食会のゲスト:マーク・タンディ
昼食会のゲスト:アンドリュー・セントクレア
昼食会のゲスト:アン・ラムトン
昼食会のゲスト:エマ・ゴドフリー
昼食会のゲスト:ダンカン・ブラウン
昼食会のゲスト:アイアン・ケリー
イギリス/日本 映画
配給
ソニー・ピクチャーズ・クラシックス(北米)
Palace Pictures(イギリス)
1992年製作 142分
公開
イギリス:1992年5月1日
北米:1992年3月13日
日本:1992年7月11日
製作費 $8,000,000
北米興行収入 $26,126,840
■ アカデミー賞 ■
第65回アカデミー賞
・受賞
主演女優(エマ・トンプソン)
脚色・美術賞
・ノミネート
作品・監督
助演女優(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)
作曲・撮影・衣裳デザイン賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
エドワード朝のイギリス。
ルース・ウィルコックス(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)は、家族と共に別荘の”ハワーズ・エンド”で過ごし、夕暮れの散歩を楽しむ。
その場に招かれ滞在していたヘレン・シュレーゲル(ヘレナ・ボナム=カーター)は、ルースと夫ヘンリー(アンソニー・ホプキンス)の息子ポール(ジョゼフ・ベネット)と惹かれ合う仲になる。
ロンドン。
ヘレンからの手紙を受け取った姉マーガレット(エマ・トンプソン)は、彼女がポールと婚約したことを知り、それを叔母のジュリー(プルネラ・スケイルズ)と弟のティビー(エイドリアン・ロス・マジェンティ)、メイドのアニー(ジョー・ケンドール)に伝える。
ウィルコックス家とは昨年ドイツで会っただけだと話すマーガレットは、ドイツ系イギリス人の中産階級の家柄を気にするジュリーから、相手方の様子を見に行くことを提案される。
ポールは、軽はずみに結婚の話をしたことを後悔し、財産はないしナイジェリアに行くことをヘレンに伝える。
ヘレンがマーガレットに手紙を出してしまったため、誰かが訪ねてくると言われたポールは、電報を打ちに自転車で町に向かう。 駅に着いたジュリーは、ポールの兄チャールズ(ジェームズ・ウィルビー)に迎えられ、車でハワーズ・エンドに向かう。 チャールズがヘレンの相手でないことを知ったジュリーは、結婚を約束したポールが文無しだと知り驚き憤慨する。 自転車で戻ったポールと同時に着いたジュリーは、迎えに出てきたヘレンと抱き合う。 数か月後。 ヘレンは、レナードの傘と気づかないまま外に出て通りに向かう。 ウィルコックス家のチャールズは、ドリー(スージー・リンデマン)との結婚式を終えてアパートに向かう。 雨の中、レナードはヘレンを追う。 マーガレットは、ウィルコックス家が向かいのアパートに越してきたことを知り驚く。 帰宅したヘレンにその件を話したマーガレットは、向かいのアパートを見つめながら彼女のことを気遣う。 通りに立っているレナードが自分に用があることに気づいたヘレンは、彼の話を聞く。 レナードの傘を間違えて持ち帰ってしまったことを知ったヘレンは、マーガレットと共に謝罪して、彼をお茶に招待する。 引き留めてしまったレナードに迷惑をかけたと思ったマーガレットは、彼に名刺を渡して見送る。 帰宅したレナードは、帰りが遅かったことを心配する婚約者のジャッキー(ニコラ・デュフェット)に、傘をなくして取り戻していたと伝える。 マーガレットから渡された名刺が気になるレナードは、口うるさいジャッキーに迫られるものの、それを拒む。 レナードが落とした、本に挟まっていた名刺を見つけたジャッキーは、”マーガレット・シュレーゲル”のことを尋ねる。 マーガレットが年配の女性だと知ったジャッキーは、ベッドでレナードに迫る。 ウィルコックス家のルースを訪ねたマーガレットは歓迎され、再会を喜ぶ。 ヘレンとポールの件を話したマーガレットは、病弱のルースに、18か月後に家の契約が切れるために引っ越すと伝える。 マーガレットの生家だと知り気の毒に思うルースは、一度、取り壊すことになった、インドで亡くなった兄の形見である大好きなハワーズ・エンドの話をして、ヘンリーが建て替えようとした時も反対したと伝える。 その後、ルースと親交を深めたマーガレットは、彼女を昼食会に招待する。 マーガレットと共にクリスマスの買い物を楽しんだルースは、彼女に特別なプレゼントをしようと考える。 集合住宅に暮らすつもりだというマーガレットの話を聞いたルースは、彼女を気の毒に思う。 マーガレットと共に帰宅したルースは、手術を受ける話をする。 ルースは、ハワーズ・エンドのクリの木にブタの歯が刺さっていて、その樹皮の汁を吸うと歯痛が治るとマーガレットに話す。 自分の生家であるハワーズ・エンドを見てほしいと言われたマーガレットは、ルースが夕方の汽車で向かおうとしたため、日を改めて同行することを約束する。 ルースの気落ちした様子が気になるマーガレットは、ハワーズ・エンドに向かう彼女に付き添うことにする。 マーガレットと駅のホームに向かったルースは、ヨークシャーから戻ったヘンリーと娘のイヴィー(ジェマ・レッドグレイヴ)に出くわす。 マーガレットに挨拶したヘンリーは、ハワーズ・エンドに向かうのは無理だと言って、別の機会に行くことを提案して彼女と別れる。 その後、体調が悪化したルースは入院し、彼女を見舞ったマーガレットは、ヘンリーを気遣う。 ルースは、看護師に手伝ってもらいながら遺言を書く。 ルースの死後、病院の婦長から送られてきた手紙を見て驚いたヘンリーは、マーガレットにハワーズ・エンドを譲るという内容だったことを子供たちに話す。 病人だったルースの精神状態などを疑ったヘンリーは、子供たちと話し合い、イヴィーが遺言を破って暖炉で燃やしてしまう。 レナードは、真面目ではあるが自分の世界に入り込む癖があり、火災保険会社”ポルフィリオン”に勤める彼は、仕事に集中できなかった。 ある日、訪ねて来たジャッキーから、レナードを隠していると言われたマーガレットらは、何の話か理解できない。 食事中に訪ねて来たレナードを歓迎したマーガレットらは、名刺のせいでジャッキーが迷惑をかけたと言われるものの、彼のことを思いだすことができない。 1年ほど前の講演会の時の話をしたレナードは、ジャッキーが訪ね経緯を伝えて謝罪する。 ジャッキーには友人の家に行くと言って、北極星を捜し一晩中、街をさ迷っていたというレナードの話を聞いたマーガレットらは、彼の好奇心に興味を持つ。 レナードから詳しい話を聞いたマーガレットは、”シュロップシャー”の農民だった先祖の血がそうさせたと話す彼と意気投合する。 ある夜、ヘレンと討論会に出席したマーガレットは、帰り道でヘンリーに出くわす。 マーガレットとヘレンは、貧しいが繊細で知的な、保険会社ポルフィリオンに勤める青年の話をして、彼に力を貸すための協力をヘンリーに求める。 ヘンリーは、ポルフィリオンはクリスマス前に倒産するので、自分ならその青年に退職を勧めて、失業する前に就職口を探すべきだと助言すると2人に伝える。 ハワーズ・エンドの話題になったヘンリーは、その話を避けて、青年の幸運を祈りながらマーガレットとヘレンと別れる。 レナードを家に招いたマーガレットとヘレンは、会社の経営状態などを話して転職を勧めるものの、心配入らないと言う彼の考えに従う。 そこにヘンリーとイヴィーが訪ねて来たために帰ろうとしたレナードは、二度と招待は受けないとヘレンに伝える。 ヘレンから失礼な言い方を非難されたレナードは、自分を呼んだのは会社の情報を探るためだったはずだと伝えてその場を去る。 誤解を解くために悦明するようマーガレットから指示されたヘレンは、あなたのことを心配しているとレナードに伝える。 その理由を訊かれたヘレンは、自分たちはあなたが好きだと答え、会社が倒産する前に転職すべきだという友人の助言をレナードに伝える。 納得したレナードは、ヘレンに感謝してその場を去る。 レナードのような人間は警戒すべきだとヘンリーに忠告されたマーガレットは、向上心のようなものを感じる好青年だと彼に伝える。 ヘンリーは、ルースに親切にしてくれたお礼だと言って、マーガレットに18世紀のクリスタルを贈る。 数日後、マーガレットを食事に招待したイヴィーは、婚約者のパーシー・カーヒル(マーク・ペイトン)を紹介する。 テーブルで待っていたヘンリーに挨拶したマーガレットは、楽しい時間を過ごす。 引っ越しの準備をしているマーガレットは、住む家が見つからないことを話し、ハワーズ・エンドを貸してほしいとヘンリーに伝える。 貸していると言うヘンリーはそれを断り、家探しの協力を約束する。 その後、引っ越したマーガレットはヘンリーからの手紙を受けとり、イヴィーの結婚でロンドンの家が空くため1年間貸すという内容を確認する。 ヘンリーを訪ねて家を見せてもらったマーガレットは、彼から求婚され、それを承諾する。 チャールズとイヴィーはヘンリーの暴走に頭を抱え、ハワーズ・エンドがマーガレットに奪われてしまうことを心配する。 その後、デンプスター銀行に就職できたというレナードからの手紙が届き、ヘレンはそれをマーガレットとヘンリーに伝える。 ポルフィリオンは堅実だと言うヘンリーは、倒産すると思ったのは、当時の経営方針がまずかったからだとヘレンに伝える。 レナードは減給になってまで転職したとヘレンから批判されたヘンリーは、人生とはそういうものだと言いながら、納得しない彼女に、貧乏人に同情するべきでないと忠告する。 夫になるヘンリーに対し礼儀をわきまえるべきだとヘレンに伝えたマーガレットは、苛立つ彼女を落ち着かせる。 帝国・西アフリカゴム社。 車でハワーズ・エンドに向かったヘンリーは、同行したドリーが鍵を忘れたため、待っていると言うマーガレットを先に降ろして戻る。 入り口が開いていたために家の中に入ったマーガレットは、その場にいたルースの友人エイヴリー(バーバラ・ヒックス)から、ルースと同じ足音だったと言われて驚く。 クリの木のブタの歯を見つけたマーガレットは、戻って来たヘンリーにそれを知らせる。 その後、シュレーゲン家の荷物がハワーズ・エンドに運び込まれる。 レナードと出くわしたヘレンは、彼が銀行を解雇され、職探しをしていることを知る。 ヘレンはレナードを気の毒に思い、ヘンリーに責任を取らせようとする。 シュロップシャーの家でイヴィーの結婚式を済ませたヘンリーとマーガレットは、パーティーを控えていた。 ヘレンがレナードとジャッキーを伴い現れたことに気づいたマーガレットは、彼が失業して餓死しそうだと知り驚く。 自分たちがレナードとジャッキーを破滅させた言って興奮するヘレンを落ち着かせたマーガレットは、遠慮する2人が空腹だと知り歓迎することにする。 パーティーで騒ぎを起こしたくないマーガレットは、2人をホテルに連れて行くことをヘレンに約束させる。 ヘレンは、空腹だと言うジャッキーを残し、レナードと共にホテルに向かう。 ドリーがその場にそぐわない服装のジャッキーに気づき、それを知ったチャールズが、彼女に声をかけて誰なのか確かめようとする。 ヘンリーにレナードらの話をしたマーガレットは、彼をヘンリーの会社で雇ってもらおうとする。 酔ったジャッキーを紹介されたヘンリーは驚き、彼女から覚えていないかと訊かれ、動揺してその場を去る。 罠にかけたと言ってマーガレットを非難するヘンリーは、婚約は破棄すると彼女に伝える。 来客を見送ったマーガレットは、部屋に戻り涙してしまう。 レナードは、悔し涙を流すジャッキーと共にホテルに向かう。 ジャッキーが愛人だったことに気づいていたマーガレットは、ヘンリーにそれを確認し、10年前にキプロスで独りだった時に付き合ったことを知る。 2人はそれ以上何も言わないことで同意し、ヘンリーは、噂にならないうちにレナードとジャッキーを発たせようとする。 ヘレンに落ちぶれたレナードらとの関係を断たせよううとしたヘンリーは、マーガレットに手紙を書かせる。 手紙を受け取ったヘレンは、ヘンリーが書かせたと考え、もう会わない方がいいと言うレナードから話を聞く。 16歳の時にキプロスでヘンリーと会ったジャッキーは、両親が死んだために自分で食べて行かなくてはならなかったことを、レナードはヘレンに話す。 ヘレンを川のボートに誘ったレナードは、義理もなく家族に反対されたものの、ヘンリーに捨てられたジャッキーと結婚したことを話し、2人は心触れ合う。 レナードとヘンリーは、ボートの上で愛し合ってしまう。 マーガレットとヘンリーの結婚式に出席したくないヘレンは、ドイツに向かうことをティビーに伝える。 レナードに迷惑をかけたことを気にするヘレンは、償いをしようと考え、5000ポンドを払おうとする。 5000ポンドの小切手を受け取ったレナードは、必要ないという返事と共に、ヘレンに頼まれたティビーにそれを送り返す。 結婚したヘンリーとマーガレットは、新居を建てることになる。 マーガレットとティビーは、旅に出たヘレンから絵葉書は届くものの、近況も知らせてこないのことが気になる。 具合が悪いジュリーを見舞ったマーガレットは、ヘレンから叔母の容態を知りたいという便りが届いたことを、ティビーから知らされる。 悪いと知らせれば戻ってくると言われたマーガレットは、ジュリーは回復に向かい会いたがっているという電報を打つ。 ドイツに戻るので本と家具の所在を知らせてほしいというヘレンからの電報が届き、マーガレットは、ヘンリーのことで未だに根に持っている彼女を正気ではないと思う。 ヘンリーと話し合ったマーガレットとティビーは、帰国しているにも拘らず、ヘレンが電報しか寄こさないことを伝える。 マーガレットは、ハワーズ・エンドに本を取りに行かせて、そこでヘレンに会い、異常ならば対処すればいいというヘンリーの意見を聞く。 マーガレットから、そういう方法は好まないと言われたヘンリーは、本はハワーズ・エンドにあるという電報をヘレンに打つ。 ヘンリーと医師(ピーター・ダーリング)を伴いハワーズ・エンドに向かったマーガレットは、妊娠しているヘレンと2人だけで話をする。 病気かと思ったというマーガレットに、6月に生まれると伝えたヘレンは、ドイツに戻るつもりだった。 相手がレナードだと知ったマーガレットは、彼とジャッキーのことを気にするヘレンに、2人の近況は知らないと伝える。 その後ヘンリーは、ヘレンの相手の男に多額に慰謝料を請求する考えをマーガレットに伝え、明日旅立つヘレンをハワーズ・エンドに泊める許可を求められるものの、それを許さない。 納得しないマーガレットだったが、ヘンリーはヘレンをハワーズ・エンドに泊めることを許さなかった。 ティビーを脅したチャールズは、ヘレンの相手がレナード・バストというおとこだと聞き出す。 マーガレットを訪ねたレナードは、アニーからハワーズ・エンドにいることを知らされる。 ヘンリーは、レナードとジャッキーを追い払うようチャールズに指示する。 ハワーズ・エンドに向かったレナードはマーガレットに挨拶し、その場にヘレンがいることを知る。 チャールズはレナードを殴り、シュレーゲン家の剣で彼を痛めつける。 本棚の下敷きになったレナードは、心臓発作を起こして死亡する。 警察の捜査が始まり、医師の話を聞いたヘンリーは、チャールズが剣でレナードを脅したことを知る。 ヘンリーと話したマーガレットは、ハワーズ・エンドの鍵を返し離婚することを伝える。 裁判が済んだらドイツに行くつもりのマーガレットは、裁判では心臓病が原因と判断されるだろうとヘンリーに伝える。 マーガレットは、故殺罪になる言いながら涙するヘンリーを気の毒に思う。 その後、チャールズは起訴される。 翌年の夏。 マーガレットの意思で現金は贈与せず、子供たちに分配すると話すヘンリーは、彼女の死後、家はヘレンの息子である甥に渡ることを伝える。 結局はルースの遺言通りになったとイヴィーに話すドリー言葉が気になったマーガレットは、ヘンリーにそれことを尋ねる。 生前、ルースが手紙にマーガレットの名前を書いたのだが、意味は不明だったがと話すヘンリーは、駅に向かうポールらを見送る。
...全てを見る(結末あり)
”音楽とその意味”の講演会で講演者(サイモン・キャロウ)の話を聞いていたヘレンは、隣りの席に座っていたレナード・バスト(サミュエル・ウェスト)の傘を持って中座してしまう。
ヘンリーのオフィスを訪ねたマーガレットは、結婚を控えてハワーズ・エンドに向かうことになる。
ヘンリーは、ポール、イヴィー、ドリーをハワーズ・エンドに呼び、彼らの同意を得て、マーガレットの前で、家を彼女のものにすることを決める。
*(簡略ストー リー)
エドワード朝のイギリス。
知的で理想主義的な中産階級のシュレーゲル家の長女マーガレットは、資産家ウィルコックス家の別荘”ハワーズ・エンド”に滞在している妹ヘレンが、一家の次男ポールと婚約したことを知る。
ところが、文無しだったポールはナイジェリアに旅立ってしまい、婚約は解消される。
数か月後、マーガレットは、向かいに越してきたウィルコックス家の主人ヘンリーの妻で、病弱のルースと親交を深めるようになる。
ルースの死後、彼女がハワーズ・エンドをマーガレットに譲るつもりだと知ったヘンリーは、子供たちと相談した結果、遺言を暖炉で焼いてしまう。
同じ頃、生活苦の青年レナードと知り合ったヘレンとマーガレットは、誠実な彼の力になろうとするのだが・・・。
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E・M・フォスターの小説”ハワーズ・エンド”を基に製作された作品。
ジェームズ・アイヴォリーにとっては、「眺めのいい部屋」(1985)、「モーリス」(1987)に続く3度目のE・M・フォスター作品の映画化であり、いずれもパートナーでもあるイスマイル・マーチャントが製作を担当している。
知的で理想主義的な中産階級の家庭と、現実的な資産家の家庭の関係を描くドラマ。
物語の序盤、進歩的な考えの主人公と、親交を持つ一家の夫人との心の交流を描く情緒的な描写は秀逸だ。
E・M・フォスターが言わんとするイギリスの階級社会を見事に描き、役者の見事な演技を引き出すジェームズ・アイヴォリーの演出、舞台となるエドワード朝時代の衣装や街並みのセットなど、美しい絵画のような映像なども素晴らしい。
第65回アカデミー賞では、作品賞以下9部門にノミネートされ、主演女優(エマ・トンプソン)、脚色、美術賞を受賞した。
・ノミネート
作品・監督
助演女優(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)
作曲・撮影・衣裳デザイン賞
主演のエマ・トンプソンは、進歩的な考えの中産階級の女性で、思慮深くもある主人公を見事に演じオスカーを受賞した。
主人公とは性格が違う、感情的で活動的な妹を好演するヘレナ・ボナム=カーター、序盤だけの出演ではあるが、主人公と心触れ合うウィルコックス家の夫人を印象深く演ずるヴァネッサ・レッドグレーヴ、その息子ジョゼフ・ベネット、主人公の叔母プルネラ・スケイルズ、主人公の弟エイドリアン・ロス・マジェンティ、その家族のメイド役ジョー・ケンドール、主人公と結婚するウィルコックス家の家長で実業家のアンソニー・ホプキンス、その息子ジェームズ・ウィルビー、その妹ジェマ・レッドグレイヴ、主人公と親交を深める青年サミュエル・ウェスト、その妻ニコラ・デュフェット、ジェームズ・アイヴォリー作品の常連である、講演会の講演者サイモン・キャロウ、チャールズ(ジェームズ・ウィルビー)の妻スージー・リンデマン、ピアニストのメアリー・ナッシュ、講演会で質問する男性ジークベルト・プラウアー、ハワーズ・エンドの近所に住む婦人バーバラ・ヒックス、結婚式の出席者ピーター・セリエ、その息子クリスピン・ボナム=カーター、結婚式の出席者パトリシア・ローレンスとマージョリー・メイソン、医師のピーター・ダーリング、昼食会のゲスト役マーク・タンディ、アン・ラムトン他、アリー・バーン、サリー・ゲーガンなどが共演している。