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ハイ・シエラ High Sierra (1941)

出所した凶悪犯が愛と自由を求める姿を描く、監督ラオール・ウォルシュ、脚本ジョン・ヒューストン、主演アイダ・ルピノハンフリー・ボガートアラン・カーティスアーサー・ケネディジョーン・レスリー他共演の犯罪ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(サスペンス/犯罪)

ハンフリー・ボガート / Humphrey Bogart / Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:ラオール・ウォルシュ

製作
ハル・B・ウォリス

マーク・ヘリンジャー
原作:W・R・バーネット
脚本
ジョン・ヒューストン

W・R・バーネット
撮影:トニー・ゴーディオ
編集:ジャック・キリファー
音楽:アドルフ・ドイチュ

出演
マリー・ガーソン:アイダ・ルピノ

ロイ・アール:ハンフリー・ボガート
ベイブ・コサック:アラン・カーティス
レッド・ハタリー:アーサー・ケネディ
ヴェルマ・ボーマン:ジョーン・レスリー
ルイ・メンドーサ:コーネル・ワイルド
ビッグ・マック:ドナルド・マクブライド
バントン医師:ヘンリー・ハル
グッドヒュー:ヘンリー・トラヴァース
ジェイク・クランマー:バートン・マクレーン
ヒーリー:ジェローム・コーワン
グッドヒュー夫人:エリザベス・リスドン
アルジャノン:ウィリー・ ベスト

アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ

1941年製作 100分
公開
北米:1941年1月24日
日本:1988年12月3日
製作費 $455,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
強盗犯ロイ・アール(ハンフリー・ボガート)は、知事の特赦を受け、8年間の刑の末に釈放される。

仲間のビッグ・マック(ドナルド・マクブライド)に会いに行ったロイは、後を受け継いだという元警官のジェイク・クランマー(バートン・マクレーン)に迎えられる。

出獄に手を貸したというマックの、あるリゾート地に向かえとの連絡を受けたロイは、インディアナの故郷を懐かしく思いながら、その地を通り過ぎて目的地に向かう。

カリフォルニアに入ったガソリンスタンドで、ロイは、農園を失い、ロサンゼルスに向かうというグッドヒュー夫妻(ヘンリー・トラヴァース/エリザベス・リスドン)、そして孫娘のヴェルマ(ジョーン・レスリー)に出会う。

その後、仲間との合流地点であるキャンプ場に着いたロイは、レッド・ハタリー(アーサー・ケネディ)とベイブ・コサック(アラン・カーティス)、そして若い女性マリー・ガーソン(アイダ・ルピノ)と顔を合わせる。
...全てを見る(結末あり)

ロイは、リゾート地のホテルの客は満杯だという情報を聞き、それを狙う準備を始めるが、マリーの存在が仕事の妨げになる可能性を指摘する。

マリーを追い払うようロイから指示を受けたレッドは、彼女を連れてきたベイブにそれを伝える。

ベイブはロイの言動が気に障り、マリーも引き払う気はないため、彼女はロイに直訴する。

ロイはマリーの身を案じただけで、数日様子を見ることになり、それを聞いた彼女は納得する。

翌日、強盗の手引きをする予定の、ホテルのフロント係ルイ・メンドーサ(コーネル・ワイルド)が現れるが、ロイは彼が裏切らないかを見極めるために牽制する。

ロイに威圧されたメンドーサは、レッドらに冷やかされてびびってしまう。

ホテルを下見に行ったロイは、その帰りに、グッドヒュー一家が事故に遭っている現場を通りかかる。

ロイはグッドヒューを気の毒に思い、彼らを助けて感謝されるのだが、ヴェルマの足が悪いことが気になる。

ヴェルマは先天性内反足で、手術をすれば治るということだったが、グッドヒューはその金がないことをロイに伝える。

ロイはヴェルマに優しく接し、一家は彼を信頼する。

その後ロイは、病気のマックを訪ねて昔話に花を咲かせ、馴染みの医師バントン(ヘンリー・ハル)に再会する。

マックの様態が悪いことをバントンから聞いたロイは、彼にヴェルマの内反足の診察を頼もうとする。

そしてロイは、何かあった時のための手紙をマックから受け取り、その場を立ち去る。

早速、ヴェルマにバントンの診察を受けさせたロイは、孫娘への親切心は、結婚を望んでいるためかとグッドヒューに聞かれる。

ロイは、ヴェルマが他人には思えないことをグッドヒューに伝え、彼女には婚約者がいることを知る。

診察の結果、ヴェルマの足は手術により治ることが分かり、バントンはそれには400ドルがかかることをロイに伝える。

バントンは、ヴェルマがロイの正体を知って傷つくことを心配する。

しかし、ロイはヴェルマの足が治るのであれば、それはどうでもいいことだった。

キャンプ場に戻ったロイは、マリーがベイブに殴られたことを知る。

一緒に殴られたレッドとベイブを呼び出し、マリーの元に連れて行ったロイは、ベイブを殴り倒し、自分の指示に従うよう二人に警告する。

ロサンゼルスに帰るようにロイに言われたマリーは、父親の暴力に耐えかねて家を出たことを語る。

マリーはロイに心惹かれるようになるが、彼が足の悪い女性の世話をしていることを知りそれが気になる。

手術を終えたヴェルマの様子を見に行ったロイは、大きな仕事を片付けた後で結婚したいことを彼女に告げる。

しかし、故郷に恋人がいるヴェルマはそれを断り、気落ちしたロイはその場を立ち去る。

そして、計画実行の夜となり、ロイはマリーを見張り役に、レッドとベイブを引き連れてホテルに向かおうとする。

その時、飼い犬がマリーを追ってきてしまい、仕方なくロイは犬を連れて行く。

ホテルに押し入ったロイらは、メンドーサの手引きで金庫室に侵入する。

客が戻ったことをマリーが知らせ、ロイが彼らを人質にするが、その後、警備員も現れる。

女性客が叫び声を上げたため、ロイは銃を抜いた警備員を銃撃してしまう。

宝石を奪ったロイらは、ホテルを出て車で逃亡するが、レッドがハンドルを誤り、彼らの車は横転して炎上してしまう。

レッドとベイブは死亡しメンドーサは重傷を負い、彼は自分は人質に取られたと警察に話す。

マックの元に向かったロイは、そこにいたクランマーから仲間達のことを聞く。

その後、マックが死んでいることが分かり、ロイは彼から受け取っていた手紙を開けて指示に従う。

しかし、クランマーがロイに銃を向け宝石を奪おうとする。

ロイは、隙を見てクランマーを射殺するが撃たれてしまい、マリーの運転でバントン医師の元に向かう。

傷の手当てを終えたロイは、足が治ったヴェルマを見舞うが、犬が家に入ってしまいマリーも彼女と顔を会わせる。

ヴェルマと踊っていた婚約者は、ロイに治療費を渡そうとするが、彼は不機嫌そうな顔でそれを拒絶する。

それを見たヴェルマは、ロイに迷惑だと言い放ち、彼は失望してその場を立ち去る。

マックの指示通り、宝石を、ある男に預けたロイは、その中の指輪だけ受け取り、それをマリーに渡す。

その後ロイは、強盗犯に懸賞金1万ドルが懸けられていることを知り、マリーは連れてきた犬が不運を呼んでいると、冗談のような話をする。

やがて、犯人が判明し、新聞は”狂犬”ロイ・アールと見出しをつけ、彼の写真を掲載する。

宝石の金が用意できたとの連絡を受けたロイだったが、モーテルのオーナーが彼の正体に気づく。

メンドーサが全てをばらしたことを知ったロイは、マリーと別行動をとろうとする。

ラスベガスで落ち合うことにした二人は、マリーが犬を連れバスで旅立つ。

ロイは逃亡中、雑貨店で強盗を働き、そのため警察は各地に非常線を張る。

警官隊に追われ、”ハイ・シエラ”(ホイットニー山)の山道で車を捨てたロイは、機関銃を放ち抵抗し、長時間持ちこたえる。

それをラジオで知ったマリーは、バスを降りて現場に向かい、保安官に説得され、ロイに投降するよう呼びかけようとする。

しかし、マリーはそれが出来ず、連れて来た犬がロイの元に駆け寄ろうとする。

マリーは無関係だとメモ書きを残そうとしてたロイは、犬の吠える声で彼女が現場にいることに気づく。

ロイは、叫びながらマリーを気遣うが、狙撃手に撃たれ転落死してしまう。

そして、ロイの遺体に寄り添い泣き崩れるマリーは、これでようやく彼が自由になったことに気づき安堵する。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
特赦を受け出獄したロイ・アールは、仲間の指示を受け、リゾート・ホテルの宝石強奪計画に乗ることになる。
現場の仲間達と合流したロイは、その中に若い女性マリーがいることが、仕事の妨げになることを気にする。
そんなロイは、出会った貧しい一家グッドヒューと親交を持ち、彼の孫娘ヴェルマに心惹かれてしまう。
ヴェルマの足の病気を知ったロイは、手術の世話をして、彼女の幸せへの手助けをしようとする。
ロイに好意を持ち始めたマリーは、そのことが気になり始める。
その後、手術が成功したヴェルマにロイは求婚するが断られてしまう。
そして、中途半端な気持ちでマリーの愛を受け入れながら、ロイは計画を実行するのだが・・・。
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W・R・バーネットの著書を基に、同年「マルタの鷹」(1941)で監督デビューすることになる、ハンフリー・ボガートの盟友ジョン・ヒューストンが共同脚本を担当した作品。

既に十分なキャリアを積んでいたものの、本作が彼の地位を築くきっかけとなったと言える、大スター、ハンフリー・ボガートの注目の犯罪映画。

アイダ・ルピノ次ぐクレジットではあるが、どう見てもハンフリー・ボガート主演作品で、腕っ節の強い凶悪犯として登場はするものの、貧しい家族との交流などで見せる人情は心和ませてくれる。

裏切りではないが、その家族や孫娘に対する自分の願いが叶わない描写などは哀れで、ただの犯罪映画では終わらない、ラオール・ウォルシュの問題提起的演出手腕も見逃せない。
ウォルシュは、物語を西部劇に置き換えた「死の谷」(1949)で本作をリメイクしている。
*「I Died a Thousand Times」(1955)も本作のリメイクである。

手に汗握るカーチェイス、クライマックスの”ハイ・シエラ”(ホイットニー山)での攻防も見応え十分だ。

タフさに加え、女性としてのしなやかな演技も披露する、アイダ・ルピノの終盤にかけての熱演も印象に残る。
彼女は、女流映画監督の先駆けとなった存在としても有名。

実行犯の仲間達のアラン・カーティスアーサー・ケネディコーネル・ワイルド、主人公と交流を深めるヘンリー・トラヴァース、孫娘ジョーン・レスリー、妻役のエリザベス・リスドン、強盗の黒幕ドナルド・マクブライド、医師ヘンリー・ハル、元警官の仲間バートン・マクレーン、キャンプ場の世話係ウィリー・ ベストなどが共演している。


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