死後に地獄に行くことを覚悟した男性のたどった人生を描く、製作、監督エルンスト・ルビッチ、主演ジーン・ティアニー、ドン・アメチー、チャールズ・コバーン、レアード・クリーガー、ルイス・カルハーン、ユージン・パレット他共演のコメディ・ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:エルンスト・ルビッチ
製作:エルンスト・ルビッチ
原作:ラズロ・ブッス=フェテケ”Birthday/Szuletesnap”
脚本:サムソン・ラファエルソン
撮影:エドワード・クロンジャガー
編集:ドロシー・スペンサー
音楽:アルフレッド・ニューマン
出演
マーサ:ジーン・ティアニー
ヘンリー・ヴァン・クリーヴ:ドン・アメチー
ヒューゴ・ヴァン・クリーヴ:チャールズ・コバーン
閻魔大王:レアード・クリーガー
ランドルフ・ヴァン・クリーヴ:ルイス・カルハーン
バーサ・ヴァン・クリーヴ:スプリング・バイイントン
アルバート・ヴァン・クリーヴ:アリン・ジョスリン
E.F.ストレイブル:ユージン・パレット
ストレイブル夫人:マージョリー・メイン
イヴェット:シグネ・ハッソ
ペギー・ナッシュ:ヘレン・レイノルズ
ジェームズ:オーブリー・メイザー
ジャック・ヴァン・クリーヴ:トッド・アンドリュース
ヘンリー・ヴァン・クリーヴ(9歳):スコッティ・ベケット
ヘンリー・ヴァン・クリーヴ(15歳):ディッキー・ムーア
ヴァンクリーヴ家の祖母:クララ・ブランディック
ジャスパー:クラレンス・ミューズ
クーパー=クーパー夫人:アニタ・シャープ=ボルスター
ネリー・ブラウン:ドリス・メリック
医師:エドウィン・マックスウェル
アメリカ 映画
配給 20世紀FOX
1943年製作 112分
公開
北米:1943年8月11日
日本:1990年8月25日
製作費 $1,115,400
■ アカデミー賞 ■
第16回アカデミー賞
・ノミネート
作品・監督・撮影賞(カラー)
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
亡くなったヘンリー・ヴァン・クリーヴ(ドン・アメチー)は、死後の天国行きは無理だと思い、地獄に向かおうとする。
閻魔大王(レアード・クリーガー)に迎えられたヘンリーは、自分の人生を話そうとしながら、天国に相応しい生き方はしなかったと伝えて裁きを求める。
それを検討しようとする閻魔大王は、エドナ・クレイグを迎える。
ヘンリーに気づいたエドナは驚き、彼と昔会ったことを話すものの、閻魔大王に下界に堕とされる。
閻魔大王はヘンリーに興味を抱き、彼の話を聞くことにする。
人生で関わった女性について話すと言うヘンリーは、まず母親バーサ(スプリング・バイイントン)について語り始める。
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ニューヨーク。
1872年10月25日に裕福なクリーヴ家に生まれたヘンリーは、バーサや祖母(クララ・ブランディック)に可愛がられ、彼女らは孫を奪い合った。
9歳になったヘンリー(スコッティ・ベケット)は、女の子に興味を持つ。 クリーヴ家を訪れたフランス人のメイド、イヴェット(シグネ・ハッソ)は、バーサに推薦状を見せ、15歳になるヘンリー(ディッキー・ムーア)を紹介される。 バーサは、フランス語を習っているヘンリーの教師も兼ねるという条件で、イヴェットを雇うことにする。 父ランドルフ(ルイス・カルハーン)や祖父ヒューゴ(チャールズ・コバーン)らに子供扱いされていることが不満なヘンリーは、イヴェットのことも迷惑に思う。 話が分かるイヴェットが気に入ったヘンリーは、キスしてしまった近所の子と結婚することを、両親が決めてしまったと彼女に伝える。 イヴェットから、キスぐらいで結婚する時代ではないと言われたヘンリーは気が楽になる。 その後ヘンリーは、原因不明の病気になり、ランドルフらは心配する。 フランス語でうわ言を言うヘンリーは、イヴェットには微笑み、ヒューゴは鈍感なランドルフに呆れる。 ヒューゴはイヴェットを解雇し、ランドルフは、訪ねて来たフランス語が話せる甥のアルバートから、ヘンリーがイヴェットと共に酒を飲み、クラブで騒ぎを起こしたことを知る。 26歳の誕生日を迎えたヘンリー(ドン・アメチー)は、ヒューゴに甘やかされていたために、ショーガールに夢中になり両親を悩ませていた。 弁護士になったアルバート(アリン・ジョスリン)はヒューゴらに歓迎され、恋人とカンザスで精肉業を営むその父親E.F.ストレイブル(ユージン・パレット)の話をする。 バーサは、屋敷に戻ったヘンリーに厳しくできないランドルフに代わり、息子を叱ろうとするものの、どうしても甘やかしてしまう。 ショーガールではない素敵な女性に出会ったと言うヘンリーの話を聞いたバーサは、立派な弁護士になったアルバートを見習うようにと伝える。 しかし、どうしてもヘンリーを甘やかしてしまうバーサは、叱るつもりだった彼に小遣いを渡してしまう。 その夜、バースデー・パーティーが開かれ、アルバートがストレイブルと妻(マージョリー・メイン)、そしてその娘である婚約者のマーサ(ジーン・ティアニー)と共に現れる。 ストレイブル夫妻に挨拶したヒューゴは、アルバートからマーサを紹介され、その美しさに驚き歓迎する。 ヘンリーは、アルバートの婚約者が街で会ったマーサだと知りショックを受け、外出しようとする。 アルバートからヘンリーを紹介されたマーサも動揺し、出会いのことは二人だけの秘密にすることにする。 デパートでマーサを見かけたヘンリーは、母親に電話をしてウソをつく彼女に興味を持ち、書店”ブレンターノ”に向かった彼女を追い、店員に扮して声をかける。 ヘンリーは、マーサが”夫を幸せにしする方法”という本に興味を持っていることを知り、それを渡して、彼女が結婚間近だと知る。 マーサの気を惹こうとするヘンリーは、うまくいかないために後を追ってきたことを話す。 ヘンリーを迷惑に思うマーサは店を出て、彼にお別れを言って馬車でその場を去る。 クーパー=クーパー夫人(アニタ・シャープ=ボルスター)がアリアを披露し、クシャミが出るために席を外したマーサは、書斎で休むことをアルバートに提案される。 その場にヘンリーがいたために動揺するマーサは、彼にキスされて驚き部屋を出る。 書斎に戻ったマーサは、アルバートのキスは違うと言ってヘンリーを責める。 マーサがアルバートを愛していないことを知ったヘンリーは、カンザスの田舎で両親と暮らすことに耐えられず、アルバートと結婚すれば、憧れのニューヨークで暮らせると思ったと涙しながら話す彼女を気遣う。 ヘンリーは、カンザスでオールドミスになることを恐れていたマーサの気持ちを理解し、自分との結婚を提案する。 マーサの愛を確認したヘンリーは、パーティーを無視して彼女と駆け落ちしてしまう。 それを知ったストレイブルはマーサと勘当することを決め、アルバートは、罪深い息子を持ったランドルフとバーサに同情する。 ヒューゴは、ヘンリーとマーサを追い祝福しようとする。 10年後。 ある日の朝食の際、ヘンリーの様子がおかしいことが気になったヒューゴは、マーサが屋敷を去ったことを知る。 カンザス、ストレイブル邸。 ヘンリーが訪ねて来たことを知ったストレイブルは追い返そうとするものの、それがアルバートだったために驚く。 アルバートから、実家に戻ることを希望するマーサの話をされた夫妻は不機嫌になるものの、彼女が外の馬車にいることを知り、娘の顔を見て和解する気になる。 ヒューゴと共に屋敷を訪れたヘンリーは、窓の外からマーサの様子を見て安心するものの、アルバートがいたために驚く。 眠ろうとして部屋に向かうマーサを気遣うアルバートは、今でも気持ちは変わらないことを伝える。 マーサは、部屋に忍び込んでいたヘンリーと話し、離婚したいと伝えるものの、彼からその理由を訊かれる。 ヘンリーを責めるマーサだったが、日付が変わり彼の誕生日になったためにお祝いを言う。 諦めようとするヘンリーはマーサにブレスレットを渡すものの、宝石店の請求書を彼女から見せられ、その日には受け取っていないと言われたために戸惑う。 宝石店のミスだと言って、浮気を否定するヘンリーを許す気になれないマーサだったが、隠れていたヒューゴが自分を連れ戻すつもりであることを知る。 ヘンリーとジャックの話をしたマーサは気が変わり、二度目の駆け落ちを提案されてその気になってしまう。 うたた寝をしていたストレイブルは、出かけようとするマーサに気づくものの夢だと思う。 それが現実だったためにアルバートを起こしたストレイブルは、マーサらを追うものの馬車で逃げられたしまう。 15年後。 ヘンリーは、ペギーの恋人である息子のジャック(トッド・アンドリュース)を彼女から引き離そうと考えていた。 ヘンリーがジャックの父親だと気づいていたペギーは、手切れ金2万5000ドルで手を打つ。 マーサとジャックの話をしたヘンリーは、彼女がペギーのことを知っていたために驚く。 ペギーの手切れ金のこともマーサに気づかれたヘンリーは、帰宅したジャックから、デートのために100ドル必要だと言われてそれを渡す。 ジャックを牽制するヘンリーはペギーの名前を出し、惹かれていたが別れたと言われて安心する。 ヘンリーとマーサは、ジャックがフィラデルフィア出身のショーガールと付き合い始めていることを知り戸惑う。 寝室に向かったヘンリーは、マーサの愛を確認する。 結婚25周年のパーティーが開かれ、ヘンリーは、疲れ気味のマーサのことを気遣いながら、思い出の書斎で25年前のことを思い出す。 マーサは、かかってきた電話の相手を気にするヘンリーが嫉妬していることを知り、体調が心配だったために医師の診察を受けていることを伝える。 ヘンリーを心配させたくないマーサは、パーティーに戻り彼と踊る。 数か月後、マーサは亡くなる。 ヘンリーは60歳になっても夜遊びを続け、その件をジャックに非難されながら、マーサと出会った時の本”夫を幸せにする方法”を手にして彼女を想う。 ヘンリーを気遣うジャックは、男を孤独から救うのは女しかいないと伝えて、父が24歳の女性と付き合っていることを知る。 電話を受けたジャックは、相手の女性だとヘンリーに伝える。 70歳になったヘンリーは体調を崩し、交代した美しい夜間の付き添い看護師ネリー・ブラウン(ドリス・メリック)に見守られながら息を引き取る。 ヘンリーは、ネリーに気づき胸が高鳴り、理想的な死に方をしたと閻魔大王に話し、地獄に向かうことを覚悟する。 閻魔大王から、”上”の別館にはたまに空きがあると言われたヘンリーは、本館に行くには苦労するかもしれないが試すことを勧められる。 ヘンリーは、本館には、自分との楽しい思い出がある女性がいるかもしれないと言われ、良き理解者だった祖父ヒューゴとマーサもいることを知らされ、閻魔大王に別れを告げる。 エレベーター係から”下”かと訊かれた閻魔大王は、”上”に向かうよう指示する。
...全てを見る(結末あり)
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父ランドルフは亡くなり、ヘンリーは、マーサと息子ジャックと共に幸せな生活を送っているかに思えた。
執事のジャスパー(クラレンス・ミューズ)は、不仲のストレイブル夫妻の世話をする日々を送っていた。
ある日ヘンリーは、コーラスガールのペギー・ナッシュ(ヘレン・レイノルズ)の楽屋に向かう。
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■ 解説 評価 感想 ■
*(簡略ストー リー)
自分の人生を後悔し、死後に地獄に行く覚悟をしたヘンリー・ヴァン・クリーヴは、閻魔大王の裁きを受けようとする。
ヘンリーに興味を持った閻魔大王は、彼の人生についての話を聞いてみることにする。
ニューヨークの裕福な家庭で家族に甘やかされて育った少年ヘンリーは、、女性に興味を持ち始め、フランス人のメイドに愛を教わる。
26歳になったヘンリーは、街で出会った美しいマーサに惹かれるものの、いとこのアルバートの婚約者だと知りショックを受ける。
マーサに気持ちを伝えて納得させたヘンリーは、彼女と駆け落ちしてしまうのだが・・・。
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1934年に初演された、ラズロ・ブッス=フェテケの舞台劇”Birthday/Szuletesnap”を基に製作された作品。
過ちばかりの自分の人生を後悔し、死後に地獄に行くことを覚悟した男性のたどった人生を描くコメディ・ドラマ。
原題”Heaven Can Wait”の同名作品「天国から来たチャンピオン」(1978)は、1941年公開の「幽霊紐育を歩く」のリメイクであり、本作とのは関係ない。
ファースト・クレジットは、美しさ際立つジーン・ティアニー(主人公の妻役)だが、ドン・アメチーが奔放で女好きの主人公を見事に演じ、70年の人生、各時代の誕生日や記念日に起きた出来事が愉快に描かれた内容になっている。
全編にわたる抜群のユーモアセンス、若手、ベテラン・スターの個性を活かした、エルンスト・ルビッチの軽快な演出が光るコメディの秀作に仕上がっている。
第16回アカデミー賞では、作品、監督、撮影賞(カラー)にノミネートされた。
孫である主人公を可愛がり、最も理解する祖父を演ずるチャールズ・コバーン、主人公を裁く閻魔大王のレアード・クリーガー、主人公を甘やかして育てる両親のルイス・カルハーンとスプリング・バイイントン、主人公のいとこアリン・ジョスリン、ヒロインの両親ユージン・パレットとマージョリー・メイン、主人公にフランス語と”愛”についてを教えるメイドのシグネ・ハッソ、主人公の息子トッド・アンドリュース、彼と惹かれ合うコーラスガールのヘレン・レイノルズ、主人公の屋敷の執事オーブリー・メイザー、9歳の主人公スコッティ・ベケット、15歳のディッキー・ムーア、主人公の祖母クララ・ブランディック、ヒロインの実家の執事クラレンス・ミューズ、クリーヴ家の知人の夫人アニタ・シャープ=ボルスター、主人公を看取る看護師ドリス・メリック、医師エドウィン・マックスウェルなどが共演している。