様々な問題に直面しながら信仰について考える牧師の苦悩を描く、監督、脚本ポール・シュレイダー、主演イーサン・ホーク、アマンダ・サイフリッド、セドリック・ジ・エンターテイナー、ヴィクトリア・ヒル他共演のドラマ。 |
・ドラマ
■ スタッフ キャスト ■
監督:ポール・シュレイダー
製作
ジャック・バインダー
グレッグ・クラーク
ヴィクトリア・ヒル
ゲイリー・ハミルトン
ディーパック・シッカ
クリスティーン・ヴェイコン
製作総指揮
ブライアン・ベックマン
フィリップ・バーギン
ブルック・リンドン=スタンフォード
マーティン・マッケイブ
ルカ・スカリージ
ミック・サウスワース
イン・イェ
脚本:ポール・シュレイダー
撮影:アレクサンダー・ダイナン
編集:ベンジャミン・ロドリゲスJr.
音楽:ラストモード
出演
エルンスト・トラー牧師:イーサン・ホーク
メアリー・メンサナ:アマンダ・サイフリッド
ジョエル・ジェファーズ牧師:セドリック・ジ・エンターテイナー
エスター:ヴィクトリア・ヒル
マイケル・メンサナ:フィリップ・エッティンガー
エドワード・バルク:マイケル・ガストン
ジョン・エルダー:ビル・ホーグ
アメリカ 映画
配給 A24
2018年製作 113分
公開
北米:2018年5月18日
日本:2019年4月12日
製作費 $3,500,000
北米興行収入 $3,448,260
世界 $3,862,500
■ アカデミー賞 ■
第91回アカデミー賞
・ノミネート
脚本賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ニューヨーク州、スノーブリッジ。
奴隷の逃亡を助けた秘密結社”地下鉄道”の一つの拠点だった”アメリカ・オランダ改革派教会”に属する”ファースト・リフォームド教会”の牧師エルンスト・トラー(イーサン・ホーク)は、1年間、日記を書くことを決めて、ノートに自筆で綴る。
体調がすぐれないことを気にしながら日記を書くトラーは、それを最後の日に破棄するつもりだった。
日曜日、礼拝を終えたトラーは、オルガン奏者のジョン・エルダー(ビル・ホーグ)とトイレの水漏れの件を話す。
信者のメアリー・メンサナ(アマンダ・サイフリッド)から話があると言われたトラーは、環境保護活動に参加する夫マイケル(フィリップ・エッティンガー)のことで相談を受けて、明日、詳しい話をすることになる。
カナダでの活動により逮捕されたマイケルのことを話すメアリーは、自分の妊娠が分かった彼が、この世界で子供を産むのは過ちだと言っているとトラーに伝える。 翌日、メンサナ家を訪ねたトラーは、メアリーに歓迎されてマイケルと話す。 トラーが46歳であることを確認したマイケルは、自分の子が2050年に33歳になるその時代には、自然環境は破壊され、世界は大きく変化していると伝える。 それを知りつつ出産させることへの不安を語るマイケルに、子供でもメアリーでもなく問題は絶望している君だと伝えたトラーは、人間はいかなる困難も克服しようと考えると話す。 信念のために行動する環境活動家が多く死んでいると言うマイケルは、環境破壊は止められないとトラーに伝える。 従軍牧師だった自分のことを語り始めたトラーは、家の伝統により息子に入隊を勧めるものの妻に反対され、結局、入隊した息子は半年後にイラクで死んだことをマイケルに話す。 妻は去り自分は除隊し絶望したと言うトラーは、支援団体アバンダント・ライフのジョエル・ジェファーズ牧師(セドリック・ジ・エンターテイナー)が、今の教会に招いてくれたとマイケルに伝える。 この世で子を持つことが絶望的に思えても、子を奪われる絶望とは違う、それは断言できると言うトラーは、マイケルから立ち直れた理由を訊かれる。 勇気だと答えたトラーは、予想がつかない未来を人は選択しなければならないとマイケルに伝える。 絶望と希望は人生にはつきものでと言われたマイケルは、神は人が犯した罪を許すかと思うかとトラーに問う。 神の考えは分からないと答えたトラーは、我々は正しい人生を選べるとマイケルに伝える。 トラーは、明日また同じ時間に話をする約束をする。 アバンダント・ライフ本部。 トラーは、スタッフのエスター(ヴィクトリア・ヒル)とランチの約束をする。 メアリーからのメールで、マイケルに用事が入ったために予定変更をしたいという連絡を受けたトラーは、ジェファーズと話をする。 8週間後の記念式典の準備について、教会の座席数が少ないため本部の公会堂で映像を流す提案や、故障しているオルガンのことを話したトラーは、ジェファーズの協力に感謝する。 その後、食堂でエスターと話したトラーは、ジェファーズから、出資者である実業家のエドワード・バルク(マイケル・ガストン)に会うように指示されたことを伝える。 トラーに惹かれるエスターは、彼の体調を気にして、世話する者が必要だと伝える。 結婚に失敗したと言うトラーに対し、エスターは、幸せでいてもらいたいだけだと伝える。 教会に戻ったトラーは、メアリーからの電話を受けて家に呼ばれる。 トラーをガレージに案内したメアリーは、マイケルが隠していた自爆ベストを見せる。 それを処分するが警察には話さないと言うトラーは、明日マイケルに会うとメアリーに伝える。 翌日、オルガンの修理業者と話したトラーは、マイケルからのメールで公園に呼び出される。 その場に向かったトラーは、ショットガンで自殺したマイケルの遺体を見つける。 警察に通報したトラーは、警官と共にメアリーの元に向かう。 警官が帰った後でメアリーと話したトラーは、爆弾のことは警察には知らせていないと伝える。 トラーは、他に何かをみつけてもマイケルのために処分することをメアリーに伝えて、彼女には活動家的な考えがあるが、絶望せずに子供も産みたいと思っていることを知る。 パソコンなども処分しようとしたトラーは、自分宛ての封筒を見つけて、それがマイケルの遺言状であることを確認する。 直ったオルガンの音色に満足するエルダーは、バルクが資金を出したことと、マイケルの遺書に書かれていた通り、遺灰を撒くことをトラーから知らされる。 環境汚染地域でマイケルの葬儀を行ったトラーは祈りを捧げ、メアリーは遺灰を撒く。 ジェファーズと共にダイナーでバルクと話したトラーは、記念式典に政治色は出すなと指示される。 マイケルの葬儀の記事を見せるバルクは、政治活動に参加したことになると言ってトラーを批判する。 反論するトラーが、マイケルのカウンセリングをしていたのを知ったバルクは、考えが浅いことを指摘する。 その後もメアリーと親交を深めるトラーは、出産を控える彼女は姉夫婦の家に引っ越す考えで、子供は男の子だということを知る。 体調すぐれない日が続くトラーは、マイケルの資料をチェックして、バルクのエネルギー会社が、環境保護庁の政策を阻止したことを知る。 教会のゴミを捨てていたエルダーは、トラーが飲んだと思われる酒瓶の多さを気にする。 起き上がるのが辛い日もあるトラーは、病院で精密検査を受ける。 エルダーから話を聞いたエスターは、トラーのことを心配する。 検査結果を医師から聞いたトラーは、胃がんの可能性を指摘されて再検査をすることになり、禁酒するようにという指示を受ける。 エスターの気遣いを受け入れようとしないトラーは、彼女の話を聞こうとしない。 処分していなかったマイケルの自爆ベストのことを、トラーは調べ始める。 訪ねて来たメアリーを歓迎したトラーは、怯える彼女からある儀式のことを知らされ、それを試してみる。 バッファローの姉の家に向かうメアリーから、記念式典には出席すると言われたトラーは、来ないでほしいと彼女に伝える。 その後、寝室に向かったトラーは、ベストの準備をする。 翌日トラーは、バルクの工場を見学する。 ジェファーズに呼ばれたトラーは、体調のことを気にする彼から酒を控えるべきだと言われ、神について語り危機状態にある地球を救うべきだと話し始める。 記念式典後にリハビリ施設に入ることを勧めたジェファーズは、トラーを病人だと決めつける。 式典の進行には問題ないことで、二人の意見は一致する。 記念式典当日。 自爆ベストを着たトラーは、最後の日記をつけて礼拝堂に向かおうとする。 教会に入ろうとするメアリーの姿に気づいたトラーは、動揺しながらベストを脱ぐ。 現われないトラーの様子を見に行ったジェファーズは、彼が返事をしないために礼拝堂に戻り、エスターに式典を始めさせる。 有刺鉄線を体に巻き付けて”アルバ”を着たトラーは、排水クリーナーをグラスに注ぐ。 それを飲もうとしたトラーは、現れたメアリーに声をかけられる。 メアリーに近づいたトラーは、彼女を抱きしめてキスする。
...全てを見る(結末あり)
2か月後に250周年記念式典を控える教会の件で、トラーはジェファーズに呼ばれる。
ジェファーズは妻と共に教会に到着し、本部の公会堂ではその様子が映像で紹介される。
*(簡略ストー リー)
ニューヨーク州、スノーブリッジ。
250周年記念式典を控える”アメリカ・オランダ改革派教会”に属する”ファースト・リフォームド教会”の牧師エルンスト・トラーは、信者のメアリーから相談を受ける。
妊娠しているメアリーは、環境保護活動家である夫のマイケルが、この世界で子供を育てることを拒んでいるとトラーに話す。
マイケルと話をしたトラーは、絶望と希望は人生にはつきものだと伝える。
翌日もマイケルと会う約束をしたトラーは、呼び出された公園で自殺したマイケルの遺体を発見する・・・。
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「タクシードライバー」(1976)の脚本などで知られるポール・シュレイダーが、脚本を兼ねて監督した作品。
様々な問題に直面しながら信仰について考える牧師の苦悩を描くドラマ。
第91回アカデミー賞では、ポール・シュレイダーが脚本賞にノミネートされた。
平凡な牧師の日常が淡々と描かれる中で、死を覚悟した主人公が社会に制裁を加えようとして死を覚悟する、クライマックスにかけての演出は見応えある。
戦地で息子を亡くした父親、環境破壊、世の中に対する絶望感の末の自殺、企業の汚職など、アメリカが抱える様々な問題を描き、その社会のゆがみの中で生きる一牧師の信仰に対する考えを繊細に描く、ポール・シュレイダーの演出と脚本は各方面で高く評価された。
主演のイーサン・ホークは、家族や体調の悩みを抱えながら問題に対処する牧師を、実力派らしく見事に演じている。
主人公に夫の行動を伝えて協力を求める教会の信者アマンダ・サイフリッド、主人公の教会の支持団体の牧師セドリック・ジ・エンターテイナー、その団体のスタッフである主人公に惹かれる女性ヴィクトリア・ヒル、環境保護活動を行うヒロインの夫フィリップ・エッティンガー、支援団体の出資者である実業家マイケル・ガストン、主人公の教会のオルガン奏者ビル・ホーグなどが共演している。