往年のスター女優グロリア・グレアムの晩年と年齢差のある若者との恋を描く、製作総指揮、監督ポール・マクギガン、主演アネット・ベニング、ジェイミー・ベル、ジュリー・ウォルターズ、ケネス・クラナム、スティーヴン・グレアム、ヴァネッサ・レッドグレイヴ他共演の恋愛ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ポール・マクギガン
製作
バーバラ・ブロッコリ
コリン・ヴェインズ
製作総指揮
スチュアート・フォード
ジギー・カマサ
ポール・マクギガン
マイケル・G・ウィルソン
原作
”Film Stars Don’t Die in Liverpool”
ピーター・ターナー
脚本:マット・グリーンハルシュ
撮影:ウルスラ・ポンティコス
編集:ニック・エマーソン
音楽:J・ラルフ
出演
グロリア・グレアム:アネット・ベニング
ピーター・ターナー:ジェイミー・ベル
ベラ・ターナー:ジュリー・ウォルターズ
ジョー・ターナー:ケネス・クラナム
ジョー・ターナーJr.:スティーヴン・グレアム
ジャンヌ・マクドゥーガル:ヴァネッサ・レッドグレイヴ
ジョイ:フランシス・バーバー
アイリーン:リアン・ベスト
フィフィ・オスカード:スザンヌ・バーティッシュ
ティム:トム・ブリトニー
イギリス/アメリカ 映画
配給
Lionsgate(イギリス)
ソニー・ピクチャーズ・クラシックス(北米)
2017年製作 106分
公開
イギリス:2017年11月16日
北米:2017年12月29日
日本:2019年3月30日
製作費 $10,000,000
北米興行収入 $1,026,120
世界 $4,047,920
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1981年、イングランド、ランカスター、”The Dukes”(劇場)。
女優グロリア・グレアムは、”ガラスの動物園”の舞台の準備中に倒れてしまう。
リバプール。
帰宅した役者のピーター・ターナー(ジェイミー・ベル)は、両親ベラ(ジュリー・ウォルターズ)とジョー(ケネス・クラナム)が揉めていることを知る。
兄ジョーJr.(スティーヴン・グレアム)から、化粧をしていることで嫌味を言われたピーターは、看護師の役を演じていることを伝える。
ベラが怒っている理由を尋ねたピーターは、オーストラリア旅行の帰りに、マニラに滞在することが気に入らないということだった。
マニラにいる息子のビリーは二度と帰国しないので、会っている間、これが最後だと思うのが辛いと考えるベラは苛立つ。
ベラの気持ちを察して気遣うピーターは、ランカスターの劇場からの電話を受ける。 元恋人のグロリアが病気だと知ったピーターは、ランカスターのホテルに向かう。 グロリアと話したピーターは、病院に戻る気はなく、ベラに看病してもらいたいと言うリバプールに行くことを望む彼女に、自分たちにとっていいことか尋ねる。 グロリアの希望を聞き入れたピーターは、彼女を連れて自宅に戻る。 ベラとジョンに歓迎されたグロリアは再会を喜び、二階の部屋で静養することになる。 病院の診断書に気づいたピーターは、家族への連絡を拒むグロリアを気遣う。 1979年、ロンドン、プリムローズ・ヒル。 グロリアから声をかけらたピーターは、ダンスをして楽しみ、働きながら役者のまねごとをしていることを伝える。 その後、二人は一緒に時間を過ごすようになり、話題作”エイリアン”を観に行く。 二人は帰りにパブに寄り、グロリアに4人も子供がいることに驚いたピーターは、彼女がオスカー女優だとバーテンダーから知らされる。 下宿に戻ったグロリアは、”ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー”で、”ロミオとジュリエット”の”ジュリエット”を演じたいとピーターに伝える。 乳母が適役だと言われたグロリアは、気分を害して出かけようとするが、謝罪するピーターからキスされて愛し合う。 その後グロリアは、”ワトフォード・パレス・シアター”で、”サマセット・モーム”の”Rain”の舞台に立ち脚光を浴びる。 グロリアがスターリング・ヘイドンと共演した”Naked Alibi”(1954)を彼女と観たピーターは、その姿に魅了される。 ベラにグロリアを任せて、ジョーとパブに向かったピーターは、彼女を医者に診せて、家族にも連絡するべきだという父の意見を聞く。 グロリアの家族に電話をしようとしたピーターは、ロサンゼルスで彼女に迎えられた時のことを思い出す。 海岸沿いの家に向かったピーターはグロリアと愛し合い、夜になり訪れた彼女の母ジャンヌ・マクドゥーガル(ヴァネッサ・レッドグレイヴ)と姉ジョイ(フランシス・バーバー)と食事をする。 ジャンヌはグロリアを自慢の娘だと話すが、ジョイは、ピーターが最初の夫ニコラス・レイとの息子ティムと変わらない年齢であることを確認し、皮肉を言い始める。 4番目の夫はニコラス・レイの連れ子アンソニーだと話すジョイから、結婚した時は大人だったが、最初に寝た時は子供だったはずだと言われ腹を立てたグロリアは、彼女を罵倒して席を外す。 ジャンヌは、グロリアに請われても結婚しないでほしいとピーターに伝える。 グロリアに義理の息子アンソニーとのことを確認したピーターは、家族や周囲が何と言おうと、自分には関係ないと伝える。 海岸でグロリアと話をしたピーターは、男と寝たことがあると告白し、彼女から同じ経験をしたと言われ、自分は正直でいたいと伝える。 ランカスターの病院に電話をしたピーターは、グロリアの主治医から彼女がガンであることを知らされ、彼女の胸の傷跡のことを思い出す。 その件をグロリアと話し合ったピーターは、完治することを信じる彼女から、家族への連絡はしないでほしいと言われるものの、病院の治療が必要だと伝える。 それを拒むグロリアは、良くなることをピーターに約束する。 舞台があるために出かけようとしたピーターは、ベラに呼び止められて家族と話し合う。 グロリアのことを訊かれたピーターは、ガンだと答える。 家族への連絡のことを訊かれたピーターは、グロリアが望んでいないことを伝える。 旅行は中止だと言うベラは、グロリアは自分が看病するとと皆に伝えて席を外す。 ジョーと兄ジョーから、家族に知らせるべきだと言われたピーターは、それを拒む。 その後、舞台を終えたピーターは、タクシーで家に戻るものの、グロリアのことを思うと辛くなり、そのまま走り去る。 その様子を、グロリアは窓から見ていた。 カジノで働く従姉のアイリーン(リアン・ベスト)に会ったピーターは、グロリアの件を知っている彼女と話をする。 病院を信じないグロリアは、良くなってランカスターの舞台に立つつもりだと話すピーターは、愛しているので辛いとアイリーンに伝える。 アイリーンからニューヨーク旅行の話をされたピーターは、その時のことを思い出す。 1981年、ニューヨーク、マンハッタン・プラザ。 ピーターに、若者に夢中の中年女だと思わないか尋ねたグロリアは、それでも構わないと言う彼の言葉が気に障り憤慨する。 グロリアに謝罪したピーターは許してもらい、滞在ではなく引っ越すことを提案され、それを断れなかった。 ある朝ピーターは、エージェントと朝食なので出掛けるというグロリアのメモに気づく。 ベラからの電話で”アラン・ブリースデイル”の舞台の誘いがあると言われたピーターは、グロリアが戻って来たために電話を切る。 その後、様子がおかしいグロリアがウソをついていることを知ったピーターは、度々、出かける彼女を疑う。 リバプールの舞台のオファーの話をしたピーターは、別れると言うグロリアに追い出される。 帰宅したピーターは、アイリーンと飲んでいたと兄ジョーに話し、病人を放っておいたことを非難されて苛立つ。 いがみ合う二人は、グロリアを看病していたベラが現れたために冷静になる。 グロリアが激痛で苦しんだために、ジョーが救急隊を呼んだことを知ったピーターは激怒し、再び騒ぎになる。 それを聴いていたグロリアは、家族に申し訳なく思う。 エージェントとの朝食というメモを残して出かけたグロリアは、”セント・ヴィンセント病院”に向かう。 診察を受けたグロリアは、主治医から、ガンが再発し治療は手遅れだと知らされる。 帰宅したグロリアは、ピーターが電話で舞台のオファーの件をベラと話していたため、病気のことは話さずにいた。 無駄だと思いながら治療を受けたグロリアは、ピーターのことを思い、冷たい態度を取り彼を追い出す。 そのことを考えながらキッチンに向かったグロリアは、家族に連絡してほしいとピーターらに伝える。 ピーターは、グロリアの息子ティム(トム・ブリトニー)に電話をする。 翌日、グロリアを連れ出したピーターは、”リバプール・プレイハウス”に向かう。 1866年から役者が演じているステージにグロリアを案内したピーターは、二人で”ロミオとジュリエット”の台本を読む。 数日後、舞台を終えて帰宅したピーターは、訪ねて来ていたティムが、家族にグロリアを帰国させる説明をしていることに気づく。 ティムに感謝されたピーターは、グロリアをニューヨークに連れて行くことを知らされ、彼が二階に向かった後で、両親に飛行機は無理だと伝える。 父ジョーから、グロリアの息子であるティムが決めたことに協力するのが自分たちの役目だと言われたピーターは、納得するしかなかった。 翌早朝に発つグロリアの旅支度をしたピーターは、彼女に寄り添う。 出発の時間になり、家族に別れを告げるグロリアは、マニラを忘れないでとベラに伝える。 椅子に座ったままのグロリアをタクシーに乗せたピーターは、彼女にキスして別れを告げる。 涙しながら、走り去る車をいつまでも見つめるピーターを、兄ジョーは抱きしめる。 家に帰るジョーから声をかけられたベラは、カバンを出してほしいと言って、旅支度をすることを伝える。 グロリアの部屋に向かったピーターは、彼女が出演した”十字砲火”のポートレートが落ちていることに気づく。 第25回アカデミー賞の映像が映し出される。 ”悪人と美女”(1952)で助演女優賞を受賞したグロリア・グレアムは、プレゼンターのエドマンド・グウェンからオスカーを受け取り、”ありがとう”と述べただけでステージを去る。 司会のボブ・ホープは、呆気ないスピーチに対し一言つぶやく。
...全てを見る(結末あり)
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ピーターは、下宿に越してきた元有名女優(グロリア)のことが気になる。
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リバプールに戻るアイリーンを見送ったグロリアとピーターは、楽しい時を過ごす。
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*(簡略ストー リー)
1981年、イングランド、リバプール。
元恋人でオスカー女優である往年のスター、グロリア・グレアムがランカスターで倒れたことを知った役者のピーターは、彼女の元に向かう。
リバプールで過ごしたいと言うグロリアの希望を聞いたピーターは、彼女を自宅に連れて行く。
ピーターの両親と兄に歓迎されたグロリアは静養することになるのだが、ピーターは、彼女がガンであることを知りショックを受ける。
グロリアを気遣うピーターは、病院の治療と家族への連絡を拒む彼女の望み通りにさせようとするのだが・・・。
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1940~1950年代に活躍し、「悪人と美女」(1952)でアカデミー助演賞を受賞した往年のスター女優グロリア・グレアムの晩年と、彼女が愛した年齢差のある青年ピーター・ターナーとの恋を描く伝記ドラマ。
*1987年にピーター・ターナーが発表した、同名の回顧録”Film Stars Don’t Die in Liverpool”を基に製作された作品。
主人公の二人が舞台を愛する役者であるため、随所で舞台風の演出がされていることが興味深い。
また、主人公のグロリアがガンの再発を知り、著名な脚本家である”アラン・ブリースデイル”の舞台に誘われたピーターの将来を考え、文字通り”演技”をして彼を突き放すシーンも印象に残る。
脚本自体は平凡だが、グロリア・グレアムを演ずるアネット・ベニングと、彼女を気遣うピーター・ターナーを演じたジェイミー・ベルの見事な演技に支えられた作品であり、二人の演技は高く評価された。
グロリアを身内のように接して看病するピーターの母親を演ずるジュリー・ウォルターズ、その夫ケネス・クラナム、その息子であるピーターの兄スティーヴン・グレアム、グロリアの母親ヴァネッサ・レッドグレイヴ、グロリアの姉フランシス・バーバー、ピーターの従姉リアン・ベスト、グロリアとニコラス・レイとの息子トム・ブリトニー、他スザンヌ・バーティッシュなどが共演している。