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エンブリヨ Embryo (1976)

生命を救うために遺伝学者が行った胎児の成長促進実験が招く悲劇を描く、監督ラルフ・ネルソン、主演ロック・ハドソンバーバラ・カレラダイアン・ラッドロディ・マクドウォールアンヌ・シェディーン他共演のSFスリラー。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


スリラー/ホラー


スタッフ キャスト
監督:ラルフ・ネルソン

製作:アニタ・ドゥーハン
製作総指揮:サンディ・ハワード
原作:ジャック・W・トーマス
脚本
ジャック・W・トーマス
アニタ・ドゥーハン
撮影:フレッド・J・コーネカンプ
編集:ジョン・A・マルティネリ
音楽:ギル・メレ

出演
ポール・ホリストン:ロック・ハドソン
ヴィクトリア・スペンサー:バーバラ・カレラ
マーサ・ダグラス:ダイアン・ラッド
フランク・ライリー:ロディ・マクドウォール
ヘレン・ホリストン:アンヌ・シェディーン
ゴードン・ホリストン:ジョン・エリック
ヴィンス・コリアー:ヴィンセント・バゲッタ
ジム・ウィンストン医師:ジャック・コルヴィン
本人:ジョイス・ブラザーズ博士
ジョン・フォーブス:ディック・ウィンズロウ
ブリンク博士:ケン・ワシントン
ジャネット・ノヴァック:リナ・レイモンド
看護師:シェリー・ザック

アメリカ 映画
配給 Cine Artists Pictures
1976年製作 104分
公開
北米:1976年5月21日
日本:1977年10月8日
製作費 $1,400,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
遺伝学者のポール・ホリストン博士(ロック・ハドソン)は、雨の中、車で街道を走っていた。

ドーベルマンを轢いてしまったポールは家に連れ帰り、驚く義妹マーサ・ダグラス(ダイアン・ラッド)に、よける間もなかったことを伝える。

ポールは、妻の死後に研究をやめていたが、研究室で瀕死のドーベルマンの治療を始めて、妊娠中だったために、胎児だけでも救えるかもしれないと考える。

息子のゴードン(ジョン・エリック)に電話をしたポールは、治療に必要な医薬品などを手配することを頼む。

ゴードンは、同行すると言う妊娠中の妻ヘレン(アンヌ・シェディーン)と共に出かける。

ドーベルマンの3匹の胎児を摘出して人口子宮に入れたポールは、到着したゴードンとヘレンに状況を説明する。

妻ニコールのことを考えるポールは、自分だけが助かったことでマーサに対し罪悪感を感じていた。

胎児が一匹死んだことを確認したポールは、ゴードンとヘレンに感謝して家に帰す。

その後、受精後5週間ほどの胎児が1匹残り、ポールは、ニコールと研究した成長ホルモンを試す。
...全てを見る(結末あり)

母体は助からなかったものの、ポールは胎児を救うことに成功する。

子犬を保育器に移しNo.1と名付けたポールは、成長ホルモンの投与をやめて、栄養を静脈に注入した。

No.1は2日と15時間で生後6週間に成長し、ポールは成長ホルモンの副作用がでるか様子を見守る。

急激に成長したNo.1を、助かった母犬と偽ったポールは、秘密の実験を行い訓練を受けさせる。

やがてポールは、今回の実験を人間にも試すことを考える。

No.1は利口な犬に成長するのだが、内なる凶暴性も増し、子犬に襲いかかり殺し、死体を隠してしまう。

ポールは、友人である病院の院長ジム・ウィンストン医師(ジャック・コルヴィン)に実験のことを話し、反対されるものの、早産のために命を落とす新生児を救いたいと言って説得する。

ジムは、名前と病院名を公表しなければ検討するとポールに伝える。

その後ジムは、自殺した妊娠女性のことをポールに伝える。

ポールは、運ばれてきた胎児を受け取り、実験を始める。

急激に成長した胎児を保育器に入れたポールは、法的な問題を覚悟しながら、研究を発表することを考える。

ホルモンの投与をやめても新生児の成長の速度が止まらず、1日で1年、やがて2年分成長してしまう。

その後、成長の速度は鈍ったものの老化が進み、様々な方法を試したポールは、”メトトレキサート”を投与して効果を確認し、胎教も始める。

美しく成長した女性(バーバラ・カレラ)を見て驚いたポールは、ヴィクトリアと名づける。

マーサが留守にしている間、ポールはヴィクトリアと家の中で過ごし、学習能力の高い彼女に様々なことを教える。

家に戻ったマーサは、屋根裏部屋に向かい探しものをしていると、現れたNo.1に襲われそうになる。

ポールを捜したマーサは研究室に向かい、その場にいたヴィクトリアは身を潜める。

No.1を研究室に閉じ込めたマーサは、その場を去る。

買い物から戻ったポールは、ヴィクトリアからマーサが来たことを知らされる。

隠れていたと言うヴィクトリアは、自分を皆に紹介する前に、外の世界を見たいとポールに伝える。

ヴィクトリアを連れて様々な体験をさせたポールは、ゴードンとヘレンに彼女を紹介しようとする。

ゴードンの家に向かったポールは、パーティーが開かれていたその場で、ヴィクトリアをゴードンとヘレンに紹介する。

ポールは、マーサにも、助手だと言ってヴィクトリアを紹介する。

ヴィンス・コリアー(ヴィンセント・バゲッタ)に声をかけられたヴィクトリアは、彼が、テレテックス・インターナショナル社のコンピューター・システム・マネージャーであることを知る。

チェスのチャンピオンのフランク・ライリー(ロディ・マクドウォール)は、自分に意見するヴィクトリアとゲームをすることになる。

フランクを圧倒するヴィクトリアだったが、騒ぎになることを恐れるポールの指示でわざと負けてしまう。

それに気づいたフランクは激怒し、席を立ってしまう。

その夜、ヴィクトリアに求められたポールは、彼女と愛し合う。

その直後にヴィクトリアは体調の異変を感じ、細胞を調べる。

老化が進んでいることを知ったヴィクトリアは、ポールの研究データを読んでいたため、メトトレキサートを投与する。

ポールは、ヴィクトリアのことを疑うマーサとの関係が悪化する。

ヴィンスの会社に向かったヴィクトリアは、医療用のコンピューターを操作させてもらい、出産前の5~6カ月の胎児から脳下垂体液を抽出して、解毒剤を作れることを知る。

その後、ビーチで子供たちと遊んでいたヴィクトリアは、体に異変を感じて倒れてしまい、No.1に助けられる。

家に戻りメトトレキサートを投与したヴィクトリアは、中毒になったために取り乱してしまう。

家族で食事会が開かれ、ヴィクトリアは、ヘレンが妊娠6か月弱であることを知る。

ヴィクトリアのことが好きになれないマーサは、その件をポールに話し、家を出ることを伝える。

二人が言い争う話を聞いたヴィクトリアは、マーサが眠っている間に薬剤を投与する。

考えを変えないマーサは、ポールに見送られて家を出る。

その後ヴィクトリアは、マーサが心臓発作で亡くなったことをポールから知らされる。

マーサの葬儀のためにポールはミネアポリスに出発し、ヴィクトリアは、自分の研究に関する資料をすべて処分してしまう。

帝王切開の方法を学んだヴィクトリアは、病院に侵入してヘレンのカルテをチェックする。

ポールは、マーサが自然死ではなく薬物が投与されてことを知り、家に電話をする。

娼婦を実験材料にしたヴィクトリアは、訪ねて来たヘレンを眠らせる。

電話がつながらないポールは、ゴードンに電話をしてマーサのことを伝えようとするが、ヘレンが家に行ったことを知り焦る。

ゴードンと落ち合い家に向かうポールは、ヴィクトリアの実験のことを話す。

死体(娼婦)を発見したポールは救急車を呼び、興奮するNo.1を部屋に閉じ込めて研究室に向かう。

ヘレンの子供を帝王切開で摘出したヴィクトリアは、現れえたポールとゴードンに仕方なかったと伝えながら、老化した自分の顔を見せる。

中毒になりメトトレキサートも効かないと言うヴィクトリアは、解毒剤の製造方法をポールに見せる。

ヴィクトリアにメトトレキサートを投与しようとしたポールは、ヘレンが生きていることに気づく。

動揺するヴィクトリアは、ゴードンをメスで刺し殺してその場から逃げ出す。

救急車が到着し、救命士に研究室に向かうよう指示したポールは、ヴィクトリアを追う。

追跡されたヴィクトリアの車は横転して炎上し、ポールは、車から脱出した彼女を殺そうとする。

駆け付けた警官はポールを制止し、老婆となったヴィクトリアが陣痛を起こしていることが分かる。

ヴィクトリアから自分の子供だと言われたポールは、運ばれていく彼女を見つめながら取り乱す。

その後、赤ん坊の産声が聴こえる。


解説 評価 感想

*(簡略ストーリー)
遺伝学者のポール・ホリストン博士は、夜道でドーベルマンを轢いてしまい家に連れ帰る。
亡き妻の妹マーサと暮らしていたポールは、研究をやめていたが、瀕死のドーベルマン救おうとする。
妊娠していたドーベルマンの3匹の胎児のうち1匹を救ったポールは、妻と研究していた成長ホルモンを試す。
母体は救えなかったものの胎児は急激に成長し、ポールは、母親と偽りNo.1と名付ける。
早産で命を落とす人間の胎児も救えると考えたポールは、自殺者の胎児を使い同じ実験を行い、成人女性に成長させることに成功する。
女性をヴィクトリアと名付けたポールは、彼女を助手ということにして、その後の経過を見守るのだが・・・。
__________

野のユリ」(1963)など数々の名作を残したラルフ・ネルソンの晩年の監督作品であり、ロック・ハドソンが主演したことでも話題になった。

生命を救うために遺伝学者が行った、胎児の成長促進実験が招く悲劇を描くSFスリラー。

公開当時、オカルト・ブームが巻き起こっていた中で、それとは一線を画する内容である恐怖映画として、医学的根拠に基づき進行する展開はまずまず楽しめるものの、物語の進展に影響しない無駄な演出や脚本などが気になる。

主人公の遺伝学者を演ずるロック・ハドソンは、1950年代に一世を風靡するもののその後落ち目になり、まだ50歳前後にも拘らず、本作でもそれほどの存在感を感じさせないのは寂しい。

実験により成長した女性を演ずる、バーバラ・カレラのキャラクターの方が主人公よりインパクトがあり、エキゾチックな魅力でヒロインを熱演している。

主人公の義妹で、突然、現れたヒロインを嫌うダイアン・ラッド、ヒロインとチェスで対戦するロディ・マクドウォール、主人公の息子ジョン・エリック、その妻アンヌ・シェディーン、ヒロインに惹かれるコンピューターの専門家ヴィンセント・バゲッタ、主人公の友人である医師ジャック・コルヴィン、本人役で心理学者のジョイス・ブラザーズ博士、パーティーの招待客ディック・ウィンズロウなどが共演している。


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