無実の罪で服役した新聞記者が囚人仲間のギャングの協力を得て悪に立ち向かう姿を描く、製作総指揮ハル・B・ウォリス、監督ウィリアム・キーリー、主演ジェームズ・キャグニー、ジョージ・ラフト、ジェーン・ブライアン、ジョージ・バンクロフト他共演の犯罪ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ウィリアム・キーリー
製作総指揮:ハル・B・ウォリス
原作:ジェローム・オドラム
脚本
ノーマン・ライリー・レイン
ウォーレン・ダフ
チャールズ・ペリー(クレジットなし)
撮影:アーサー・エディソン
編集:トーマス・リチャーズ
音楽:マックス・スタイナー
出演
フランク・ロス:ジェームズ・キャグニー
”フード”ステイシー:ジョージ・ラフト
ジョイス・コノヴァー:ジェーン・ブライアン
ジョン・アームストロング刑務所長:ジョージ・バンクロフト
ファーゴ・レッド:マキシー・ローゼンブルーム
ミュラー:スタンリー・リッジス
カーライル:アラン・バクスター
W.J.グレイス:ビクター・ジョリー
ピート・カソック:ジョン・レイ
デール:エドワード・ポーリー
ラング:ウィラード・ロバートソン
ロス夫人:エマ・ダン
ガースキー:ポール・ハースト
ジョー・ラシター:ルイス・ジーン・ハイト
リンピー・ジュリアン:ジョー・ダウニング
シェイク・エドワーズ:アブナー・ビーバーマン
ジェシー・ハンリー:サーストン・ホール
ビル・メイソン:ウィリアム・デヴィッドソン
ロックハート弁護士:クレイ・クレメント
判事:チャールズ・トロウブリッジ
テンプル:ハリー・コーディング
アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1939年製作 92分
公開
北米:1939年7月21日
日本:1954年3月3日
製作費 $735,000
北米興行収入 $1,111,000
世界 $1,570,000
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
新聞記者のフランク・ロス(ジェームズ・キャグニー)は、州知事候補で悪徳地方検事であるジェシー・ハンリー(サーストン・ホール)の行動を追っていた。
ある雨の夜ロスは、ハンリーが関係すると思われるバントン建設を監視していた。
ハンリーと共謀する検事補W.J.グレイス(ビクター・ジョリー)は、新聞社の調査を妨害するために帳簿や台帳を燃やし、ロスはその様子を目撃する。
それを記事にしたロスは、ハンリーが橋の建設でバントン建設側からワイロを受け取ったことを、編集長のパターソンや恋人で同僚のジョイス・コノヴァー(ジェーン・ブライアン)そしてビル・メイソン(ウィリアム・デヴィッドソン)に話す。
ハンリーからの電話を受けたパターソンは、ロスの出過ぎた行動を批判して脅す彼に、報道をやめる気はないと伝える。 ハンリーの悪事に確信が持てたパターソンは、徹底的に取材するようロスに指示する。 その後、シェイク・エドワーズ(アブナー・ビーバーマン)が新聞社の入口を見張り、悪党のカーライル(アラン・バクスター)らがロスを襲い気絶させる。 カーライルらは、ロスが飲酒運転をして暴走し、事故をお起こしたように見せかける。 その事故で3人の若者が死亡し、逮捕され起訴されたロスは、ハンリーとグレイスの罠だという主張を却下され、過失致死罪で1年から20年の刑と重労働を言い渡される。 ロスは、涙するジョイスに母(エマ・ダン)のことを頼む。 その後ロスは、刑務所に護送される列車内で、死刑がないために199年の刑のギャング”フード”ステイシー(ジョージ・ラフト)と揉める。 刑務所長ジョン・アームストロング(ジョージ・バンクロフト)から、所内のルールを聞いたロスらは監房に向かう。 麻糸を管理する作業をすることになったステイシーは、顔なじみの看守ピート・カソック(ジョン・レイ)から、因縁があるリンピー・ジュリアン(ジョー・ダウニング)がいることを知らされる。 ステイシーは、ファーゴ・レッド(マキシー・ローゼンブルーム)やミュラー(スタンリー・リッジス)らに戻ったことを伝えて、記者のロスを紹介する。 仲間のガースキー(ポール・ハースト)からリンピーの刑が終身刑だと知らされたステイシーは、ナイフに気をつけろと言われ警戒する。 リンピーからステイシーがサボっていることを知らされたカソックは、それを確認する。 ステイシーはリンピーを殴り倒し、カソックに痛めつけられる。 ロスは、ナイフを手にしてステイシーに襲いかかるリンピーを妨害する。 再びリンピーを殴ったステイシーはカソックに制止され、作業に戻るよう指示される。 カソックは、ステイシーと生意気なロスに懲罰を与えようとする。 ロスに感謝したステイシーは、背後からリンピーが投げたナイフをかわして、それを奪う。 1か月が経ち、刑務所生活に限界を感じるミュラーを、ステイシーとロスは励ます。 ステイシーは、リンピーに告げ口されたガースキーの身代わりになり独房に入れられる。 ロスは、過酷な独房で辛い目に遭い、人格が変わってしまう例があることをファーゴから知らされる。 その後、独房から戻ったステイシーは、隠してあったナイフを投げる練習をして、決着をつけようとするリンピーに対抗しようとする。 映画鑑賞の夜、背中をナイフで刺されたリンピーは殺される。 その場は騒然となり、アームストロングが騒ぎを鎮める。 作業中にステイシーは、自分がリンピーを殺していないことをロスに話し、ナイフは別の男に渡したことを伝える。 ステイシーは、犯人は自分だと言えば釈放されることをロスに伝え、借りを返そうとする。 その気がないロスにステイシーは、自分がシャバに出て犯人を捜すことを約束し、法廷から逃亡する話をして協力を求める。 出所したガースキーと計画を練ったと言うステイシーは、彼が準備をするので必ず成功するとロスに伝えて、密告するよう指示する。 リンピーの死を利用したくないロスは即答できない。 カソックから面会だと言われたロスは、看守に監視されながら、会いに来たジョイスと話をする。 罠にハメられた証拠が掴めないことを知ったロスは、ジョイスが母を連れて来たことを知り動揺する。 ジョイスに頼まれて仕方なく母に会ったロスは、自分のことを心配する彼女を気遣う。 所内での麻糸の作業や、新聞に記事を書いていることなどを話したロスは、母が持参した食べ物にほとんど手をつけず、彼女を悲しませる。 母に心配いらないと伝えたロスは、面会を終える。 涙を堪えながら作業場に戻ったロスは、手を貸すことをステイシーに伝えて、事件の夜に新聞社の前にいたエドワーズのことを話す。 ロスは、ステイシーの裁判が特ダネになるので見逃すなというメモを、ジョイスに届けようとする。 アームストロングに呼ばれたステイシーは、その場にいたロスが指示通りに密告したことを知り、彼を恨むそぶりをして襲いかかる。 それを制止したアームストロングは、ステイシーを独房に入れて、ロスには、命の危険性があるので、この件は誰にも話すなと指示する。 その後、法廷に現れたステイシーと話をした弁護士のロックハート(クレイ・クレメント)は、その場にいたロスの元に向かい、準備は整ったことを伝える。 ロスは、表にガースキーが到着したことを確認し、ジョイスやビルから、エドワーズの行方が分かったことを知らされ、特ダネは間違いないと伝える。 ステイシーは法廷を覗くガースキーに気づき、開廷と同時に聴こえたクラクションの音で行動を開始し、席を立ち窓から飛び降りる。 道路に停車していたトラックの幌に落下したステイシーは、ガースキーらの車に乗り込み逃亡する。 法廷は混乱し、ロスは、ステイシーの弁護士ロックハートに接触するようジョイスに指示する。 刑務所に戻ったロスは、ステイシーと組んでいたことをカソックに疑われるものの、何も話さなかった。 服役してリンピーと行動を共にしていたカーライルは、ロスとステイシーが作業場で話していたことをカソックに知らせる。 カソックは、それを否定して何も話そうとしないロスを痛めつけ、現れたアームストロングが制止する。 ロスを連れて行かせたアームストロングは、カソックの行動を非難し、次は許さないと伝える。 独房のロスの元に向かったアームストロングは、すべてを話せばここから出すと伝える。 アームストロングは、ロスが何も話そうとしないために諦める。 その後、新知事のハーリーが、グレイスを仮釈放委員長に任命する。 事態は進展せず、ロスが限界だと思うジョイスは悲しむ。 ロックハートに頼みステイシーに会うことができたジョイスは、ロスの出所に手を貸してほしいと言って協力を求める。 ステイシーは、ロスが勝手に情報を流し、法廷に記者たちを集めたことを非難する。 5か月も過酷な独房で耐えているロスが、自分のことを友人として信頼していると話すジョイスに対し、ステイシーは、助けたくても今は無理だと伝える。 ステイシーは、それでも食い下がるジョイスに考えておくと伝えて、ロックハートに送らせる。 ロスを助けることにしたステイシーは、エドワーズを締め上げて情報を入手するようガースキーらに指示する。 刑務所に向かったジョイスは、ロスが面会を拒んでいることをアームストロングから知らされる。 アームストロングは、法廷で起きた事件の記事を見れば、ロスが同僚に情報を流したことは明らかだとジョイスに伝える。 独房から出さなないのは、ロスが不服従、暴力、ハンストを続けるためだと話すアームストロングは、今は無実を証明できないが、せめて独房から出してほしいと言うジョイスが、彼を愛していることに気づく。 ロスを独房から出すことにしたアームストロングは、彼をジョイスに会わせる。 正常とは言えない状態のロスは、不正を暴き正義を貫こうとしただけの自分が、独房に入れられる理由をアームストロングに尋ねる。 ロスは、ステイシーに手を貸したことをジョイスが話したことを知りショックを受ける。 その話は公言しないと言うアームストロングは、ジョイスに感謝するようにとロスに伝える。 30日我慢すれば審査があるので、問題を起こさなければ協力すると言われたロスは、納得してアームストロングと握手する。 30日後、審査を待つロスは、ジョー・ラシター(ルイス・ジーン・ハイト)の具合が悪いことをファーゴとミュラーに話し、日々弱っていく彼に治療を受けさせないことが気になる。 ロスは、ファーゴやデール(エドワード・ポーリー)が脱獄を考えていることを知る。 カソックは、具合が悪いと言うラシターの仮病を疑い殴り倒す。 ラシターは転んで頭を打ってしまい、それを見ていたミュラーは憤慨し、カソックに襲いかかろうとするが、ファーゴらに制止される。 ラシターが重傷を負ったことを知ったカソックは焦り、病室に運ばせて、自分で転び頭を打ったことにするよう囚人たちに指示する。 仮釈放審査会が開かれ、ロスを呼んだ委員長のグレイスは、仮釈放が妥当だとは思えないと伝える。 納得いかないロスは、無実を訴えて興奮する。 ロスは、泣きながら謝罪しチャンスが欲しいと言いながら、その場を去る。 結局、ロスの仮釈放は認められず、5年の追加刑が決まる。 その頃、エドワーズを締め上げたステイシーは、刑務所でリンピーとつるんでいたカーライルが、ハンリーから指示されロスを罠にハメたことを知る。 何とかロスを助けようとするステイシーは、反対するガースキーらを部屋から追い出し、ロックハートに協力を求め、デールを利用することを考える。 自首したステイシーは刑務所に戻り、脱獄してみせるとアームストロングに伝える。 デールから脱獄に誘われたロスは、それを断るものの、頼りにしていたステイシーが戻ったことを知りショックを受ける。 作業場で拳銃を手に入れたデールらは、カソックに気づかれないようにする。 ロスの制止を振り切ったミュラーがカソックに迫り、ラシターを入院させなかったことを非難して襲いかかる。 カソックは囚人たちに袋叩きに遭い、ロスはその様子を見ていられない。 デールは皆を扇動して暴動を起こし、カーライルも連れて逃げようとする。 無駄だと言うものの皆を制止できないロスは、ファーゴを殴り倒して手錠で拘束する。 所内のサイレンが鳴り響き、ロスは機関銃には勝てないと言って再び制止しようとするが、デールに銃を向けられ連れて行かれる。 アームストロングは、デールから門を開けることを要求されるものの、それを拒み応援を呼ぶよう部下に指示する。 独房を開けることには同意したアームストロングは、デールとロスらと共にその場に向かう。 解放されたステイシーは、デールからカーライルを連れて来たと言われ、ロスにはいい話があると伝える。 州兵が到着して所内に入り、制圧の準備を始める。 機関銃で攻撃されたステイシーらは逃げることができず、アームストロングを脅すものの、彼は自分が犠牲になる覚悟だった。 ステイシーはメモを州兵に渡すことを考え、ミュラーが白旗を持って外に出ようとするが射殺されてしまう。 ステイシーも撃たれ、ロスから降伏すべきだと言われるもののそれを拒む。 ロスにカーライルのことを話したステイシーは、エドワーズを締め上げたことを伝える。 ステイシーはカーライルを脅し、ロスを罠にハメたことをアームストロングの前で白状させる。 車の事故で人が死ぬとは思わなかったと言うカーライルは、ハンリーとグレイスに指示されたことを話し、それを聞いたアームストロングは納得する。 自分のやり方で逃げると言うステイシーは、ジョイスのおかげなので、彼女を大切にするようにとロスに伝える。 ドアを破壊した州兵はデールを射殺し、借りを返したと言ってロスに別れを告げたステイシーは、カーライルを連れて出口に向かい、手榴弾を投げられて爆死する。 ロスは、押し入ってきた州兵に降伏する。 その後、ハンリーとグレイスは殺人罪で起訴される。 釈放されるロスは、無事だったファーゴに感謝されて別れを告げる。 迎えに来たジョイスと抱き合ったロスは、アームストロングと握手する。 アームストロングは、迷惑をかけたことをロスに謝罪し、ステイシーから戻った理由を聞き出すことができなかったと伝える。 ロスは、”自分を悔い、命を懸けて君を守ったステイシーのことを忘れるな”と言うアームストロングから、ステイシーの写真を渡される。 ”ロスへ いいやつを見つけたよ”と書かれたステイシーの写真を受け取ったロスは、アームストロングに見送られてジョイスと共にその場を去る。
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*(簡略ストーリー)
新聞記者のフランク・ロスは、州知事候補で悪徳地方検事のハンリーと検事補グレイスの悪事を暴こうとしていた。
ハンリーの脅迫に屈しないロスは、彼に雇われた悪党の罠にはまり、死亡事故を起こして服役することになる。
その後ロスは、囚人であるギャングのステイシーを助けたことから、彼の協力を得て、罠にハメた犯人探しを始めるのだが・・・。
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1938年に発表された、ジェローム・オドラムの小説”Each Dawn I Die”を基に製作された作品。
製作総指揮ハル・B・ウォリス、役者としてデビューし、ブロードウェイでも活躍した後に監督となり、前年の冒険映画の傑作「ロビンフッドの冒険」(1938)をマイケル・カーティスと共に共同で監督したウィリアム・キーリーの演出、人気スターのジェームズ・キャグニーとジョージ・ラフトの共演が話題になった作品。
権力を握る巨悪を追及しようとする新聞記者が無実の罪で服役し、刑務所で知り合ったギャングとの協力関係と共に、その友情が爽やかに描かれた異色の犯罪ドラマ。
正義感あふれる新聞記者を演ずるジェームズ・キャグニーが、刑務所生活で精神状態が不安定になるシーンの凄まじい演技は見もので、悪党ではあるが、彼への義理を果たそうとするギャングを演ずるジョージ・ラフトの好演が光る。
主人公の同僚であり恋人のジェーン・ブライアン、公平な立場で主人公に対応する刑務所長のジョージ・バンクロフト、主人公に救われる囚人マキシー・ローゼンブルーム、同じく囚人のスタンリー・リッジス、主人公を罠にかけた男で囚人のアラン・バクスター、主人公を陥れる地方検事で知事になるサーストン・ホール、彼と手を組む検事補ビクター・ジョリー、囚人に酷い仕打ちをする看守のジョン・レイ、囚人のエドワード・ポーリー、ポール・ハースト、ルイス・ジーン・ハイト、看守のウィラード・ロバートソン、ハリー・コーディング、主人公の母親エマ・ダン、ステイシー(ジョージ・ラフト)と因縁がある囚人のジョー・ダウニング、主人公を罠にはめる男アブナー・ビーバーマン、主人公の同僚記者ウィリアム・デヴィッドソン、ステイシーの弁護士クレイ・クレメント、判事のチャールズ・トロウブリッジなどが共演している。