銃を使わず法と秩序を守ろうとする保安官補の戦いを描く、監督ジョージ・マーシャル、主演マレーネ・ディートリッヒ、ジェームズ・スチュアート、ブライアン・ドンレヴィ他共演の西部劇の傑作。 |
・西部劇
・マレーネ・ディートリッヒ / Marlene Dietrich / Pinterest
・ジェームズ・スチュアート / James Stewart / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョージ・マーシャル
製作:ジョー・パステルナーク
原作:マックス・ブランド”Destry Rides Again”
原案:フェリックス・ジャクソン
脚本
ゲートルード・パーセル
ヘンリー・マイヤーズ
撮影:ハル・モーア
編集:ミルトン・キャラス
音楽
チャールズ・プレヴィン
フランク・スキナー
出演
マレーネ・ディートリッヒ:フレンチー
ジェームズ・スチュアート:トーマス”トム”ジェファーソン・デストリーJr.
ブライアン・ドンレヴィ:ケント
チャールズ・ウィニンガー:ワシントン”ウォッシュ” ディムスデール
ミシャ・オウア:ボリス・キャラハン
ジャック・カーソン:ジャック・ティンドール
ウナ・マーケル:リーリー・ベル・キャラハン
トム・ファデン:レム・クラゲット
アレン・ジェンキンス:”ジップ”ワトソン
ウォーレン・ハイマー:”バグス”ワトソン
サミュエル・S・ヒンズ:スレード町長
アイリーン・ハーヴェイ:ジャニス・ティンドール
ヴァージニア・ブリサック:ソフィー・クラゲット
ディッキー・ジョーンズ:イーライ・ウィットリー・クラゲット
アン・E・トッド:クラゲットの娘
ジョー・キング:キーオ保安官
アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
1939年製作 94分
公開
北米:1939年12月29日
日本:1941年5月9日
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
西部の町ボトルネック。
酒場”ラスト・チャンス”のオーナーである悪党のケント (ブライアン・ドンレヴィ)は、ポーカーでカモを見つける。
ケントは、酒場の歌手フレンチー(マレーネ・ディートリッヒ)に片棒をかつがせ、牧場主レム・クラゲット(トム・ファデン)から、牧場と牛を巻き上げてしまう。
イカサマだと言い張るクラゲットは酒場から追い出され、銃を手にして戻ろうとする。
クラゲットから事情を聞いたキーオ保安官(ジョー・キング)は銃を奪い、自分任せろと言って彼を落ち着かせる。
キーオは酒場の二階にいるケントの元に向かい、銃声を聴いたフレンチーは、その場にいたスレード町長(サミュエル・S・ヒンズ)に、新しい保安官が必要だと伝える。
その後、ステージに立ったフレンチーは歌い、男たちを魅了する。
フレンチーに代わりステージに上がったケントは、スレードから発表があると客に伝える。
急務のためにキーオが町を離れたので後任を選ぶと言うスレードは、飲んだくれのワシントン”ウォッシュ” ディムスデール(チャールズ・ウィニンガー)を保安官に任命する。
かつて、名保安官のデストリーの助手だったと言いふらしていたウォッシュだったが、皆にからかわれる。
しかし、正義感に燃えたウォッシュは、酒を断ち法と秩序を守ると言って、デストリーの息子トーマス”トム”ジェファーソン(ジェームズ・スチュアート)を保安官補として迎えることを皆に伝える。 数日後、デストリーJr.は、ジャック・ティンドール(ジャック・カーソン)と妹のジャニス(アイリーン・ハーヴェイ)と共に駅馬車でボトルネックに向かう。 デストリーが着くことを知ったウォッシュは酒場に向かい、ケントに覚悟するようにと伝える。 保安官事務所の隣の住人で、ロシア人のボリス・キャラハン(ミシャ・オウア)に、妻リリー・ベル(ウナ・マーケル)が呼んでいることを伝えたウォッシュは、デストリーの到着を待つ。 駅馬車が到着し、リリー・ベルと共にデストリーを歓迎しようとしたウォッシュは、荒っぽい男のジャックがデストリーだと思い、頼もしい彼に期待する。 人違いだと分かったウォッシュは、長身ではあるが、温厚で見るからにひ弱なデストリーのことが心配になる。 人々に合わせる顔がないウォッシュは、デストリーの印象を変えようとするものの、彼から、見かけで人間は判断できないと言われる。 酒場に向かったウォッシュは、カードでフレンチーに負けてしまい、ズボンをとられて走り去るボリスが、リリー・ベルの夫だとデストリーに伝える。 デストリーは、ウォッシュが紹介するケントとスレード、そしてフレンチーに挨拶する。 デストリーは、脅しをかけるケントに丸腰であることを知らせて、ジョークで対応する。 ボリスのズボンを取り戻しに来たリリー・ベルは、フレンチーと取っ組み合いの喧嘩になる。 じゃじゃ馬フレンチーに手こずりながら、騒ぎを鎮めたデストリーはその場を去る。 笑い者になったデストリーに落胆したウォッシュは、名保安官だった父親のことを彼に話す。 銃があっても父は背後から撃ち殺されたと言うデストリーは、法と秩序を丸腰で守るとウォッシュに伝える。 自分が保安官に任命されたのは、飲んだくれの脳なしだからだと話すウォッシュは、ケントやスレードの鼻をあかしたいとデストリーに伝える。 協力し合おうと言うデストリーは、撃ち合いは悪党を英雄にするだけだと話しても納得しないウォッシュから、元の町に戻るよう指示される。 それを拒むデストリーは、新しい方法で悪を懲らしめてみせるとウォッシュに誓い、正式に保安官補に任命されバッジを受け取る。 牧場を奪おうとするケントらに襲われたクラゲットは銃撃戦になり、妻のソフィー(ヴァージニア・ブリサック)は、息子イーライ(ディッキー・ジョーンズ)に助けを呼びに行かせる。 ウォッシュと共に町を見回るデストリーは、前保安官のキーオが姿を消したことを知る。 発砲しながら馬に乗り現れた男に声をかけたデストリーは、男の銃を手にして見事な腕前を見せる。 驚く男に銃を返したデストリーは、再び発砲したら牢屋にぶち込むと言って脅し、彼を納得させる。 確かな腕前を持ちながら銃を使わないことが理解できない、ウォッシュの話に興味がないデストリーは、キーオが突然、姿を消した理由を考える。 そこにクラゲットの息子イーライが現れ、ウォッシュとデストリーに助けを求める。 デストリーと共に牧場に着いたウォッシュは、ケントと話をする。 ケントが見せた牧場の引渡書を確認したデストリーは、クラゲット夫妻の話を聞くが、法的にかなわない状況だと伝える。 クラゲットから、フレンチーがイカサマに加担したと言われたデストリーは、証拠がなければどうすることもできないと伝える。 必ず取り戻すと約束したデストリーは、一旦、牧場を明け渡すよう二と言ってクラゲットを説得する。 キーオも同じことを言ったが、結局、牧場は引き渡すことになり、その後、彼が姿を消したことを知ったデストリーは、何か裏があると考える。 ケントに牧場を引き渡すことを伝えたデストリーは、町に戻りフレンチーに会う。 デストリーから、イカサマに加担しているという噂を聞いたと言われたフレンチーは苛立ち、キーオに手を出したことを口にしてしまう。 思い通りだったデストリーは、フレンチーを牽制してその場を去る。 デストリーがただものではないと感じたフレンチーは、彼が気になる存在になる。 リリー・ベルは、ボリスが家を出ないようにズボンを隠していた。 クラゲット一家が牧場から追い出されたことを知ったリリー・ベルは、彼らに同情する。 ジャックから、ケントが谷の通行料を取ろうとしていることを知らされたリリー・ベルは、今こそ戦うべきだと主張する。 苛立つジャックから役立たずと言われたデストリーは、通行料は払わないと言って息巻く彼に、命取りになると忠告する。 部屋に戻り食事をしようとしたデストリーは、その場で自分のズボンを履いていたボリスが、町の情報に詳しいことを知る。 協力すればズボンを渡すと言われたボリスは、デストリーがキーオの死体を捜そうとしていることを知る。 協力を拒みズボンを脱ごうとするボリスは、保安官補にすると言われ、キーオの死体を捜そうとする。 フレンチーがデストリーと話をしたことを知ったケントは、裏切ったら酷い目に遭わせると言って彼女を脅す。 デストリーに一目置いたフレンチーは、彼にウサギのお守りを渡す。 谷を通る考えを変えないジャックに警告したデストリーは、ケントと手を組んでいるのではないかと言われたために、彼を殴り倒す。 その様子を見ていたウォッシュとボリスは驚く。 スレード町長と話したデストリーは、町の人々がキーオの情報提供に協力的ではないと伝え、裏で手をまわしているのではないかと言って彼を牽制する。 キーオを捜しているデストリーに探りを入れるケントは、手下の”ジップ”ワトソン(アレン・ジェンキンス)と弟のバグス(ウォーレン・ハイマー)に、キーオの死体を確認してくるよう指示する。 ウォッシュとボリスは、酒場から出てきたジップを追う。 牧場のお礼だと言うケントからのワインを飲みながら、フレンチーと踊ったデストリーは、楽しい時を過ごす。 戻ってきたボリスから、キーオの死体を確認しに行ったジップを逮捕したことを知らされたデストリーは、それを皆に伝える。 ジップを殺人罪で逮捕したと言うデストリーに釈放を要求するケントだったが、スレードが裁く裁判で決着をつけることになる。 翌日、牛を連れて谷を通るジャックは、通行料を要求するケントの手下に襲い掛かり逮捕される。 牢屋に入れられても考えを変えないジャックに呆れるジャニスは、説得しようとしてくれたことをデストリーから感謝される。 連邦判事が来るという手紙を受けたデストリーは、とりあえず通行料を払うべきだと言ってジャックを説得する。 金は後で取り戻せばいいと言われたジャックは納得し、デストリーは代理でボリスに払いに行かせる。 陪審員を選んだスレードは、ケントと共に彼らを買収する。 ボリスからジャックの通行料を受け取ったケントは、領収書を渡し、連邦判事が来ることを知る。 連邦判事が到着するまでの間、デストリーとウォッシュはジップを見張っていた。 フレンチーに呼ばれたデストリーは、彼女が町を出てニューオーリンズに向かうことを知る。 別れを告げるデストリーは、フレンチーにウサギのお守りを帰そうとする。 取っておくようにと言われたデストリーは、銃声が聴こえたために留置場に戻ろうとする。 デストリーを助けようとして誘いだしたフレンチーは、彼を引き留めることができなかった。 撃たれたウォッシュは、駆け付けたデストリーと話をすものの息を引き取る。 部屋に向かい、ついにガンベルトをつけたデストリーは、加勢するジャックらと共に酒場に向かう。 ケントらはそれを迎え撃ち、激しい銃撃戦になる。 デストリーは、二階に上り窓から酒場に入る。 町の女性たちの怒りも頂点に達し、団結して悪に立ち向かい、酒場に突入してケントらに襲い掛かる。 デストリーを背後から狙うケントに気づいたフレンチーは、それを阻止するものの銃弾を受ける。 ケントを射殺したデストリーに、フレンチーはキスしてほしいと伝える。 デストリーにキスされたフレンチーは、息を引き取る。 その後、ボトルネックには平和が戻り、デストリーは保安官になる。 ジャニスに呼ばれたデストリーは、ボリスが暴れていることを知らされる。 ことあるごとに前の夫の話をするリリー・ベルに対し、我慢の限界だと言って憤慨するボリスは、夫の肖像画を外して自分の肖像画を壁に飾り、彼女を納得させる。 その様子を見ていたデストリーは部屋を出て、ジャニスと愛情問題について話し合う。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
西部の町ボトルネック。
酒場のオーナーで悪党のケントは、酒場の歌手フレンチーに片棒をかつがせて、クラゲットの牧場を奪ってしまう。
それに気づいた保安官キーオは姿を消し、悪徳町長のスレードはケントと共謀し、飲んだくれウォッシュを保安官に任命する。
突然、正義感に燃えたウォッシュは、名保安官だったデストリーの息子デストリーJr.を保安官補にするために彼を町に呼び寄せる。
しかし、町に現れたデストリーは予想外の優男で、人々に笑われてしまう。
脅しをかけるケントに動ずることなく、じゃじゃ馬フレンチーも相手にしないデストリーは、丸腰で酒場の揉め事を鎮めてしまう。
弱腰だと落胆するウォッシュの意見を気にしないデストリーは、新しい方法で悪を懲らしめてみせると誓うのだが・・・。
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1930年に発表された、マックス・ブランドの小説”Destry Rides Again”を基に製作された作品であり、1932年の同名作品のリメイク。
善と悪がはっきりした明快なストーリー、テンポの良いジョージ・マーシャルの演出は、小気味よく痛快で実に楽しい。
1996年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。
邦題「砂塵」は硬いイメージなのだが、原題の”Destry Rides Again”という勇ましいタイトルもいい。
(デストリー再び悪に立ち向かう!!)
主演のマレーネ・ディートリッヒのじゃじゃ馬振りは豪快であり、存分に披露する歌やパフォーマンスも楽しめる。
また、”デストリー”(ジェームズ・スチュアート)に惹かれながら彼を助けて命を落とすクライマックスも泣かせてくれる。
「我が家の楽園」(1938)、「スミス都へ行く」(1939)、「フィラデルフィア物語」(1940)と、飛ぶ鳥を落とす勢いだったジェームズ・スチュアートの、彼らしい飄々とした好青年ぶりは役柄にぴったりであり、好感度は抜群だ。
また、ジェームズ・スチュアートの細身の長身が妙に目立ち、拳銃の腕を披露する場面の撃ち方などが様になっていないところがまた可笑しい。
町を牛耳る酒場のオーナーで悪党のブライアン・ドンレヴィも、正にはまり役で、正義感に燃える酔っ払い保安官のチャールズ・ウィニンガーも実に愉快な演技を見せてくれる。
異彩を放つユーモラスなロシア人で保安官補になるミシャ・オウア、その妻ウナ・マーケル、デストリーに協力する荒っぽい男ジャック・カーソン、その妹でデストリーと恋仲になるアイリーン・ハーヴェイ(歌手ジャック・ジョーンズの母)、ケント(ブライアン・ドンレヴィ)に牧場を奪われるトム・ファデン、その妻ヴァージニア・ブリサック、その息子ディッキー・ジョーンズ、娘のアン・E・トッド、ケントの手下アレン・ジェンキンスとその弟ウォーレン・ハイマー、悪徳町長サミュエル・S・ヒンズ、冒頭で殺される保安官ジョー・キングなどが共演している。