1912年に発表された、ジーン・ウェブスターの小説”あしながおじさん”を基に製作された作品。 孤児の少女の後見人になった大富豪と美しく成長した少女との恋を描く、監督ジーン・ネグレスコ、主演フレッド・アステア、レスリー・キャロン、テリー・ムーア、セルマ・リッター、フレッド・クラーク他共演のミュージカル・コメディ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジーン・ネグレスコ
製作:サミュエル・G・エンゲル
原作:ジーン・ウェブスター”あしながおじさん”
脚本
フィービー・エフロン
ヘンリー・エフロン
撮影:レオン・シャムロイ
編集:ウィリアム・レイノルズ
美術・装置
ライル R. ウィーラー
ジョン・デキュアー
ウォルター・M・スコット
ポール・S・フォックス
音楽
アルフレッド・ニューマン
シリル・J・モックリッジ
出演
ジャーヴィス・ペンドルトン三世/ジョン・スミス:フレッド・アステア
ジュリー・アンドレ:レスリー・キャロン
リンダ・ペンドルトン:テリー・ムーア
アリシア・プリチャード:セルマ・リッター
グリッグス:フレッド・クラーク
サリー・マクブライド:シャーロット・オースティン
アレクザンダー・ウィリアムソン大使:ラリー・キーティング
ガートルード・ペンドルトン:キャスリン・ギヴニー
ジミー・マクブライド:ケリー・ブラウン
本人:レイ・アンソニー
アメリカ 映画
配給 20世紀FOX
1955年製作 126分
公開
北米:1955年5月4日
日本:1955年9月14日
製作費 $2,600,000
■ アカデミー賞 ■
第28回アカデミー賞
・ノミネート
ミュージカル映画音楽・歌曲・美術賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ニューヨーク、ペンドルトン・ハウス。
一般公開されている屋敷で暮らす、先代とは違い型破りな億万長者ジャーヴィス・ペンドルトン三世(フレッド・アステア)は、アシスタントのグリッグス(フレッド・クラーク)の小言も気にせず、気ままな日々を送っていた。
国務省の依頼で使節団に加わりフランスに向かったペンドルトンは、田舎道のぬかるみで車が立ち往生してしまう。
歩いて家を探したペンドルトンは、途中にあったジャンヌ・ダルク孤児院に着き、電話を借りようとする。
院長を待つペンドルトンは、庭で子供たちの世話をする少女ジュリー・アンドレ(レスリー・キャロン)が気になる。
院長サヴァンヌに歓迎されたペンドルトンは、電話はないと言われ、修理工場もない上に、村には車が1台しかないことを知る。
第一次大戦時代の車を借りることになったペンドルトンは、ジュリーのことを院長に尋ね、孤児だった彼女を18年間育てたことを知り、子供の扱いがうまいことに感心する。 院長から、ジュリーが農夫に求婚されている話も聞いたペンドルトンは、車を借りて皆の元に戻る。 パリ、アメリカ大使館。 孤児が18歳だと知ったウィリアムソンは驚き、話を聞く気になれず、グリッグスは、誤解されて問題になるとペンドルトンに忠告する。 ペンドルトンは匿名で支援することを考え、多額を寄付しているマサチューセッツ州のウォルストン大学にジュリーを入学させようとする。 そのことを院長から知らされたジュリーは喜び、後見人の名前を教えてもらえないために、お礼もできないと言って戸惑う。 後見人を父親と思い、月に一度、手紙を書くことが条件だと言われたジュリーは、ニューヨークの”ジョン・スミス”宛の私書箱を知らされる。 その後ジュリーは、アメリカ人の男性が来ていたことを子供たちから知らされ、その人物の特徴を訊く。 足が長かったので”足ながおじさん”だと言う子供たちを寝かせたジュリーは、庭の黒板に足の長い男性を描いてみる。 ニューヨークに着いたジュリーは、電車でマサチューセッツに向かう。 ウォルストン大学。 ジュリーの元に大きなトランクが2つ届き、送られてきた手紙に同封されていた鍵を使い、リンダとサリーがそれを開ける。 ジュリーらは、後見人から届いた何着もの洋服やドレスを見て驚く。 早速、洋服を着替えたジュリーは、足ながおじさんに手紙を書く。 手紙をチェックするペンドルトンの秘書アリシア・プリチャード(セルマ・リッター)は、グリックスから、ペンドルトンには見せなくていいと言われて、その指示に従う。 返事が来ないことが気になるジュリーは、その後も足ながおじさんに手紙を書く。 手紙が届いても保管するだけのアリシアは、ジュリーを気の毒に思い、内容を読みながら涙する。 2年が経ち、後見人のことを疑い始めたジュリーの気持ちを察するアリシアだったが、グリッグスは、人間性を疑われても、手紙は保管しておくようにと彼女に伝える。 しかし、アリシアの訴えを最もだと思ったグリッグスは、ジュリーのことを忘れているペンドルトンに、彼女の手紙を見せようとする。 ファイルを持ってきたアリシアが涙する姿を不思議に思うペンドルトンは、返事どころか手紙を読もうとしないことをグリッグスに非難される。 匿名で交流もしないことが条件だと言うペンドルトンは、ジュリーが自分に興味を持っていると考えるグリッグスから、義姉ガートルード(キャスリン・ギヴニー)の娘リンダとクラスメイトであることを知らされる。 ジュリーが自分を”足ながおじさん”と呼び慕っていることも知らされたペンドルトンは、グリッグスから手紙を読むべきだと言われて、仕方なく指示に従う。 ペンドルトンは、ジュリーが自分に興味を持ち、どんな物か想像していることを知る。 手紙をすべて読み終えたペンドルトンは、ガートルードに電話をして、リンダに会いに行くという名目で大学に向かうことを考える。 正体は明かさず、ジュリーの姿を見に行くだけだとグリッグスに伝えたペンドルトンは、ガートルードと共に大学に向かう。 レイ・アンソニーの楽団が演奏する春のダンスパーティーの会場で、リンダと話したペンドルトンは、ダンスの相手を選んであることを知る。 ジュリーは、ダンスの相手であるハーバード大学の学生で、サリーの兄ジミー(ケリー・ブラウン)に話しかける。 サリーからそのことを聞いたペンドルトンは、彼女に誘われて踊る。 リンダとも踊ったペンドルトンは、ジュリーがジミーに惹かれていることを知る。 ペンドルトンは、ジュリーとダンスする順番が回ってきたため、彼女と静かな場所で話したいと思い外に出る。 ペンドルトンに見覚えがあるような気がしたジュリーは、銅像の元に向かう。 ジュリーが祖父の銅像を見てそう思ったことを知ったペンドルトンは、身内が誰もいないと言う彼女の話を聞く 後見人がいると言うジュリーはその人物について話し、卒業したら一緒に暮らして世話をするとペンドルトンに伝える。 後見人が会いに来るかと訊かれたジュリーは、愛されていないと答える。 ジュリーは、後見人は思ってくれているはずだと言うペンドルトンに、寂しくて手紙を書いても読んでくれないと伝える。 それは違うと考えるペンドルトンに、返事が来ない理由を尋ねたジュリーは、手が不自由なのかもしれないとジョークを言う彼と踊る。 そこに、ペンドルトンを教授だと思っていたジミーが現れ、ジュリーは教授ではないことを彼に伝えて紹介し、会場に戻る。 スルーフットの曲に合わせて学生たちは踊り、それに加わったペンドルトンは、ジュリーを相手に見事なダンスを披露して皆を驚かせる。 ニューヨークに戻ったペンドルトンは、ジュリーが気になる存在になる。 ジュリーから手紙を受け取ったペンドルトンは、”リンダの叔父様はいい人です”という内容に満足できない。 ジミーが鉱山技師として南アフリカ行きを希望していることを知ったペンドルトンは、自社の鉱山で雇いたい学生がいるとグリッグスに伝えて、ジミーのボリビア行きを手配する。 ペンドルトンからの電報を受け取ったジュリーは、リンダと共にニューヨークに招待される。 空港でジュリーを待つペンドルトンは、知人のハミルトンに出くわす。 到着したジュリーから、リンダが風邪で来られなかったことを知らされたペンドルトンは、ハミルトンの目が気になる。 ジュリーをホテルに案内したペンドルトンは、その場でのディナーの約束をする。 夕食を終えたペンドルトンとジュリーは、愛について語りながら、外出して楽しい夜を過ごす。 翌朝、ペンドルトンはジュリーをホテルの部屋に送る。 ペンドルトンと入れ替わりでそのフロアに現われたウィリアムソン大使は、ジュリーの隣りの部屋に案内される。 その後、指輪を手に入れたペンドルトンは、ジュリーの部屋に向かいテラスで朝食をとる。 隣りの部屋のテラスにいたウィリアムソンは、ペンドルトンが女性と話していることに気づき耳を傾ける。 話の内容で、ペンドルトンの相手が例の孤児だと知ったウィリアムソンは驚き、隣りの部屋に電話をする。 ジュリーから自分への電話だと言われたペンドルトンは、卑劣な男だと言うウィリアムソンに非難される。 ウィリアムソンに呼ばれて話をしたペンドルトンは、責める彼に誤解だと弁解し、プロポーズするつもりだと伝える。 魅力的な富豪なので承諾されると言われたペンドルトンは、ダメな場合もあると考えながら、ジュリーとは友だちの叔父として付き合い、ボリビアで働く恋人もいることを伝える。 その話も怪しく思うウィリアムソンは、下心はないと言いながら間違えに気づいたペンドルトンに、ジュリーが魅力的な女性か尋ねる。 ジュリーのことを諦めて、ジミーをボリビアから呼び戻すことを考えながら去ろうとするペンドルトンは、この街に何百、何千ものホテルがあるのに運が悪かったとウィリアムソンに伝えて悔やむ。 ジュリーの部屋に戻るのをやめたペンドルトンは、彼女に電話をして、”国務省”関連の仕事のため、外国に行く可能性があり暫く会えないと伝える。 ジュリーは残念に思い、ペンドルトンは指輪を確認してエレベーターに乗る。 卒業式が迫り、リンダとサリーは、ジュリーがペンドルトンのことで悩んでいることが気になる。 足ながおじさんに手紙を書いたジュリーは、会って助言してほしいという、苦しい胸の内を伝えようとする。 その手紙が届き、内容を読んだアリシアは、ペンドルトンに電報を打つべきだとグリッグスに伝える。 ジュリーは結婚の予定もあり、彼女の生活は一生、保障されると言われても納得できないアリシアは、自分でペンドルトンに電報を打とうとする。 卒業式に出席してジュリーを見守ったアリシアは、寮に向かい彼女の部屋を訪ね、ジョン・スミス/足ながおじさんの使いだと伝える。 ついに足ながおじさん本人に会えることを知ったジュリーは、アリシアと共にニューヨークに向かうことになる。 それを知ったペンドルトンはジュリーに会う気になれず、グリッグスに足ながおじさんに扮するよう命じて身を隠す。 そこにリンダが現われたために話をしたペンドルトンは、彼女から結婚することを知らされ、話の内容から相手がジミーだと気づく。 反対しているガートルードを説得してほしいと言われたペンドルトンは、相手がジミーであることを確認してリンダを祝福する。 ジュリーのことをリンダに尋ねたペンドルトンは、”誰か”にフラれて落ち込んでいることを知り、リンダを見送る。 この展開を嬉しく思うペンドルトンは、グリッグスに感謝する。 ペンドルトン邸。 ペンドルトンに気づいたジュリーは驚き、後見人のことはよく知っていると言われ、ツアーガイドの歴代当主の説明が気になる。 ペンドルトンが足ながおじさんだったことに気づいたジュリーは、ジョン・スミスに会いに来たと言うペンドルトンに、その内容を尋ねる。 ペンドルトンは、ジョン・スミスが後見人を務める女性にプロポーズする許可を得るためだと答える。 ”順番を待つこと、自分が先にプロポーズする”と言われたと話すペンドルトンに、ジュリーは、”それならば、どうぞ”と伝える。 2人が踊る姿を見つめるグリッグとアリシアは、自分たちも踊りたい気分だったが、祝杯を挙げることにする。 愛を確かめるペンドルトンとジュリーは抱き合う。
...全てを見る(結末あり)
何とか到着したペンドルトンは、アレクザンダー・ウィリアムソン大使(ラリー・キーティング)に迎えられ、孤児を養子にする手続きの方法を尋ねる。
学生寮でジュリーは、同室のリンダ・ペンドルトン(テリー・ムーア)とサリー・マクブライド(シャーロット・オースティン)に歓迎される。
アリシアと別れたジュリーは屋敷内に向かい、その場が一般公開されているのを知り、ツアーに加わることになってしまう。
*(簡略ストー リー)
ニューヨーク。
大富豪のジャーヴィス・ペンドルトン三世は、使節としてフランスを訪問した際、たまたま立ち寄った孤児院で、18歳の少女ジュリーが、子供たちの世話をする姿を見て感心する。
友人であるアメリカ大使ウィリアムソンの協力を得て、ジュリーの後見人になることを決めたペンドルトンだったが、彼女が18歳であることが疑問視される。
そこでペンドルトンは、匿名でジュリーを支援することにして、彼女をマサチューセッツ州のウォルストン大学に入学させることにする。
アメリカに到着して大学に入学したジュリーは、後見人”ジョン・スミス”を父と思い、月に一度、手紙を書くことを義務付けられ、その約束を守るのだが・・・。
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世界中で愛されるジーン・ウェブスターの小説”あしながおじさん”を基に製作された作品。
本作は、フレッド・アステアのフランスをテーマにした3作品の最初の作品として知られている。
*他2作
「パリの恋人」(1957) 「絹の靴下」(1957)
また、本作は20世紀FOX作品なのだが、明らかに「巴里のアメリカ人」を意識した”MGM風”のミュージカルである。
第28回アカデミー賞では、ミュージカル映画音楽、歌曲、美術賞にノミネートされた。
持ち味を活かした演技で大富豪を演ずるフレッド・アステアと、後見人である彼との恋が芽生えるヒロインのレスリー・キャロンのパフォーマンスは見事なのだが、それに頼り過ぎているジーン・ネグレスコの単調な演出が気になる。
主人公の姪でヒロインの学友テリー・ムーア、主人公の秘書でヒロインの気持ちの理解者セルマ・リッター、主人公のアシスタント、フレッド・クラーク、ヒロインの学友シャーロット・オースティン、その兄でヒロインと付き合うケリー・ブラウン、主人公の友人であり、ヒロインをアメリカに向かわせる駐フランス・アメリカ大使のラリー・キーティング、主人公の義姉キャスリン・ギヴニー、大学のダンスパーティーのバンドとして登場する本人役のレイ・アンソニーなどが共演している。