”名犬ラッシー”が活躍する映画シリーズの第3作。 母犬と逸れた子犬と育ててくれた少女との交流を描く、監督フレッド・M・ウィルコックス、主演エリザベス・テイラー、フランク・モーガン、トム・ドレイク、セレナ・ロイル、ハリー・ダベンポート他共演の家族愛のドラマ。 |
・エリザベス・テイラー / Elizabeth Taylor / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:フレッド・M・ウィルコックス
脚本:ライオネル・ハウザー
撮影:レナード・スミス
編集:コンラッド・A・ネルヴィッヒ
音楽
スコット・ブラッドリー
ブロニスラウ・ケイパー
出演
キャサリン”キャシー”エレノア・メリック:エリザベス・テイラー
ハリー・マクベイン:フランク・モーガン
ビル:パル”ラッシー”
スミティ軍曹:トム・ドレイク
メリック夫人:セレナ・ロイル
アリス・メリック:キャサリン・マクロード
ピート・メリック:デビッド・ホルト
スティーヴ・ペイソン判事:ハリー・ダベンポート
老人:ジョージ・クリーヴランド
ペリー・クルーズ:モリス・アンクラム
エド・グレイソン保安官:マイナー・ワトソン
ギル・エルソン:ミッチェル・ルイス
狩りをする少年:カール“アルファルファ”スウィッツァー
アメリカ 映画
配給 MGM
1946年製作 92分
公開
北米:1946年11月8日
日本:1985年7月
製作費 $1,530,000
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
子犬達を出産したラフ・コリーの母犬メアリーは、自分を捜す飼い主(ジョージ・クリーヴランド)がボートで現れたことに気づき、湖のほとりに向かう。
動物と遊んでいた一匹の子犬は、メアリーと逸れてしまう。
メアリーがお産のために逃げたことを知った老人は、彼女と子犬達をボートに乗せる。
子犬が一匹戻らないためメアリーは心配するが、ボートを漕ぐ老人には意味が分からない。
置いて行かれた子犬は、その場で動物たちと暮らし始める。
クマと行動を共にするようになった子犬は、崖に倒れた大木を登ることができずにクマと別れる。
その後、狼に追われた子犬は川に飛び込み、流木に乗って何とか逃げ切り岸に上がる。
湖のほとりで本を読んでいた少女キャサリン”キャシー”エレノア・メリック(エリザベス・テイラー)は、現れた子犬にジーンズを奪われたことに気づき追いかける。 落としていったジーンズを拾ったキャシーは、子犬を捜し始める。 狩りをしていた少年(カール“アルファルファ”スウィッツァー)と友人は、動く茂みに向かって発砲する。 子犬を撃ってしまったことに気づいた少年は、苦しめたくないために射殺しようとする。 少年達を知っているキャシーはそれを阻止し、自分が追いかけたせいだと思い責任を感じ、何とか子犬を助けようとする。 ボートに子犬を乗せて湖を渡ったキャシーは、羊飼いのハリー・マクベイン(フランク・モーガン)の元に向かい、犬の治療をしてもらう。 必ず助かると思うキャシーは、マクベインに感謝する。 帰宅したキャシーが、意識が戻らない子犬が心配で食事もとらないことを、母(セレナ・ロイル)やその娘アリス(キャサリン・マクロード)、息子のピート(デビッド・ホルト)は気にする。 子犬が起き上がったために喜んだアリスは、食事をする気になり、素晴らしい犬だと母に伝える。 森の動物たちと子犬が、仲良く遊んでいたことを興奮しながら話すキャシーだったが、母に信じてもらえない。 子犬を牧羊犬にする提案をしたキャシーは、母から、ドッグショー向けの犬なので無理だと言われる。 翌日、子犬をビルと名付けたキャシーは、彼を連れてマクベインに会いに行く。 羊の様子を見ながら、ビルを牧羊犬にしたい考えをマクベインに伝えたキャシーは、仕事を手つだってくれた陸軍兵の彼の息子が、今はフィリピンにいることを知らされる。 キャシーを慕うビルは、きっと神様だ思っているのだろうと伝えたマクベインは、それを喜ぶ彼女の笑顔を見つめる。 素晴らしい犬であるビルは、必ず牧羊犬になれると言うマクベインは、愛犬で牧羊犬のネリーに訊いてみることにする。 ネリーがビルと仲良くする姿を見たキャシーは、牧羊犬になれることを確信し、マクベインが訓練してくれることになる。 その後キャシーは、ビルと出会った時からの日記をつけ始める。 その後、成長したビル(パル”ラッシー”)は、完璧な牧羊犬になる。 冬になり、はしかに罹ったキャシーは、ビルにうつらないか心配する。 吹雪の夜、10頭ほどの家の羊が逸れたことを知ったキャシーは、ビルを連れて山に向かう。 道が崩れて落ちそうになったキャシーは、ビルに助けられる。 その頃、子羊が生まれたため、アリスとピートは母と共にその世話をする。 羊たちを見つけたキャシーは、ビルと共に家に向かう。 家に戻り、キャシーとビルがいないことを母に知らせたアリスは、彼女らが羊を捜しに行ったと考える。 捜しに行こうとした三人だったが、そこに羊を連れたキャシーが戻り、ビルが最高の牧羊犬だと母に認めてもらえる。 立派な牧羊犬になったビルは、ある日、羊を追っている際にトラックに轢かれてしまう。 飼い主に知らせたいドライバーの二人だったが、大けがだったために、ビルを直ぐに獣医の元に連れて行く。 ビルが戻ってこないことに気づいたキャシーは、彼を捜し始める。 強風の中、湖でボートが転覆してしまったキャシーは、それを目撃したマクベインに助けられる。 ビルがいなくなり、何日も捜していることをキャシーから知らされたマクベインは、盗まれた可能性があると伝える。 ビルなら誰でも大切に扱い、賢い彼は隙を見て逃げ出し戻ってくると話すマクベインは、キャシーを励ます。 動物病院で治療を受けて回復したビルだったが、飼い主や名前も分からない状態だった。 立派な犬のビルは軍の目に留まり、軍用犬訓練所に連れて行かれる。 世話係のスミティ軍曹(トム・ドレイク)に”デューク”と名付けられたビルは、耳の内側に認識番号を刻まれる。 何かを気にする様子のビルが、自分に伝えたいことがあるように思えるスミティは、そんな彼を可愛がりながら訓練を続ける。 優秀な軍用犬になったビルは、スミティと共に輸送船に乗り込み戦地に向かう。 その頃、ビルの帰りを待つキャシーは、寂しい日々を送っていた。 ビルも、キャシーのことが気になり落ち着かなかった。 北方のアリューシャン列島に到着したスミティらは、任務に就く。 部隊と共に前線に向かうたビルは、マック軍曹と行動を共にする。 戦闘で部隊が孤立したために、ビルは、それを知らせるメモを本部に運ぶようマックから指示される。 日本軍の攻撃を受けたビルは、メモが入った首輪が外れてしまうが、傷つきながらも何とか本部にたどり着く。 ビルを治療をしたスミティは、伝言はないが、案内できるかもしれないことを指揮官に伝える。 スミティに励まされたビルは起き上がり、部隊をマックの元に案内する。 その後ビルの様子がおかしくなり、スミティは病院で治療してもらおうとする。 帰還したビルは貨物列車に乗せられ、兵士から注射を打たれそうになったために、車両から飛び降りて逃げ去ってしまう。 故郷の湖にたどり着いたビルは農場で食料を奪い、それに気づいた農夫のペリー・クルーズ(モリス・アンクラム)やギル・エルソン(ミッチェル・ルイス)は、彼に発砲する。 銃声を聴いたキャシーは、ビルが走り去るのを目撃し、クルーズらが追っていることを知る。 森の中に逃げ込んだビルを追ったキャシーは、様子がおかしい彼に話しかけるものの、襲われてしまう。 逃げようとしたキャシーは、転んだ拍子に石に頭をぶつけて気を失ってしまう。 キャシーのことを思い出し正気に戻ったビルは、目覚めた彼女に抱きしめられる。 その後、ビルをマクベインに預けて匿ってもらっていたキャシーは、彼に感謝する。 ビルと湖で遊んだキャシーは、マクベインから家に入るようにと言われる。 そこにエド・グレイソン保安官(マイナー・ワトソン)とクルーズが現れ、牧場荒らしの犬を捜していることを知り、それがメリック家の犬に似ていると言われる。 その時、キャシーが家から出てきてビルが吠えたために、彼はグレイソンとクルーズに連れて行かれてしまう。 スティーヴ・ペイソン判事(ハリー・ダベンポート)の下でビルの裁判は開かれ、被害に遭ったエルソンとクルーズは証言をする。 休廷となり、ペイソン判事に質問したキャシーは、ビルの無実を訴えようとするものの、聞き入れてもらえなかった。 泣きながらビルを抱きしめるキャシーの姿を見たマクベインは、不利な状況なので、午後の法廷には出席しない方がいいとメリック夫人に伝える。 その時、ビルの耳の認識番号に気づいたマクベインは、それをメモして陸軍に問い合わせしようとする。 法廷に戻り、友人でもあるペイソン判事から発言を許可されたマクベインは、ビルは普通の犬ではなく兵士であり、認識番号に気づき陸軍に問い合わせたことを伝える。 軍用犬であるビルの経歴を確認したマクベインは、部隊を日本軍から救った戦功を話す。 極度の疲労に苦しみながら帰還したビルは、病院に向かう途中で逃げだしたことを、マクベインはペイソン判事に伝える。 ビルの本能が子犬の時から暮らすキャシーの元へと導いたと言うマクベインは、同じような体験をして戦地から帰還し、現在は病院にいる息子のことを話す。 自分たちの想像を絶する体験をした者たちは、人々の愛と理解を求めていると語るマクベインは、必要なのは時間であり、困難を乗り越えたビルは善良な市民だと断言する。 優秀な兵士だったビルにチャンスを与え、ビルの神、そして最愛の人であるキャシーの元に戻してほしいと、マクベインはペイソン判事と傍聴席の人々に訴える。 ビルはキャシーに戻すべきだという判決を下したペイソン判事は、閉廷する。 ビルと共に法廷を出たマクベインは、彼をキャシーの元に向かわせる。 悲しくて泣いていたキャシーは、現れたビルが無実になったことを知り喜び、彼を抱きしめる。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
動物たちと遊んでいたために母犬と逸れた子犬は、狩りをしていた少年に撃たれてしまう。
子犬に気づき追っていた少女キャサリン”キャシー”エレノア・メリックは、傷ついた子犬を羊飼いのマクベインの家に連れて行き介抱してもらう。
回復した子犬をビルと名付けたキャシーは、賢い彼を牧羊犬にしようとするものの、母に無理だと言われてしまう。
諦められないキャシーは、ビルの優秀さを認めるマクベインの元に向かい、牧羊犬にするために協力を求める・・・。
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エリック・ナイトの小説”Lassie Come-Home”を基に製作された「家路」(1943)の成功による製作された、”犬ラッシー”が活躍する映画シリーズの第3作。
主演は「家路」に出演して注目されたエリザベス・テイラーであるが、物語の内容は異なるために、まったく違う役柄を演じている。
また、子犬から成長した”ビル”を演ずるのは、シリーズで活躍する雌のラフ・コリー”パル”で、映画のタイトルは”ラッシーの勇気”となっているものの、その名前では登場しない。
*パル=ラッシーと考えらているため、クレジットはパルではなくラッシーとなっている。
エリザベス・テイラーが登場するまでの冒頭の約20分は、大自然の中で生きる動物たちと子犬の交流を微笑ましく描くドキュメンタリーのような映像が映し出される。
優秀なパル”ラッシー”の活躍が続き、牧羊犬から軍用犬となり戦場で兵士たちを助け、人間と同じように”心的外傷後ストレス障害”に近い症状にまでなってしまう姿なども描かれ、見せ場の多い作品に仕上がっている。
主演のエリザベス・テイラーは、シリーズ第1作の「家路」(1943)で注目され、次回作「ラッシーの息子」(1945)では同じ役を代わったものの、本作では、主演としてパル”ラッシー”と共に、愛らしい清純な少女を熱演している。
主人公の少女キャシーの良き理解者である、湖のほとりに住む羊飼いのフランク・モーガン、軍用犬となったビル(パル”ラッシー”)の世話係の軍曹トム・ドレイク、主人公の母親セレナ・ロイル、その娘キャサリン・マクロード、息子のデビッド・ホルト、判事のハリー・ダベンポート、子犬の母犬の飼い主ジョージ・クリーヴランド、主人公の隣人モリス・アンクラムとミッチェル・ルイス、子犬を誤って撃ってしまう狩りをする少年カール“アルファルファ”スウィッツァーなどが共演している。