発生源が不明のまま感染が広がる新型ウィルスの恐怖を描く、監督、撮影スティーブン・ソダーバーグ、出演マリオン・コティヤール、マット・デイモン、ローレンス・フィッシュバーン、ジュード・ロウ、グウィネス・パルトロー、ケイト・ウィンスレット、ジェニファー・イーリー、ブライアン・クランストン、エリオット・グールド、ジョン・ホークス他共演のサスペンス。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:スティーブン・ソダーバーグ
製作総指揮
ジェフリー・スコール
マイケル・ポレール
ジョナサン・キング
製作
マイケル・シャンバーグ
ステイシー・シェア
グレゴリー・ジェイコブス
脚本:スコット・Z・バーンズ
撮影:ピーター・アンドリュース
編集:スティーヴン・ミリオン
音楽:クリフ・マルティネス
出演
レオノーラ・オランテス博士:マリオン・コティヤール
ミッチ・エンホフ:マット・デイモン
エリス・チーヴァー博士:ローレンス・フィッシュバーン
アラン・クラムウィード:ジュード・ロウ
ベス・エンホフ:グウィネス・パルトロー
エリン・ミアーズ医師:ケイト・ウィンスレット
ライル・ハガティ少将:ブライアン・クランストン
アリー・ヘクストール博士:ジェニファー・イーリー
イアン・サスマン博士:エリオット・グールド
スン・フェン:チン・ハン
ロジャー:ジョン・ホークス
ジョリー・エンホフ:アナ・ジャコービー=ヘロン
デヴィッド・アイゼンバーグ博士:ディミトリ・マーティン
デニス・フレンチ:エンリコ・コラントーニ
ロレイン・ヴァスケス:モニーク・ガブリエラ・カーネン
ダミアン・レオポルド:アルミン・ローデ
オーブリー・チーヴァー:サナ・レイサン
アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
2011年製作 106分
公開
北米:2011年9月9日
日本:2011年11月12日
製作費 $60,000,000
北米興行収入 $75,658,100
世界 $136,515,870
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
2日目
香港。
帰国のフライトを待つ”アルダーソン”社の幹部ベス・エンホフ(グウィネス・パルトロー)は、シカゴにいる元恋人からの電話を受け、自宅のあるミネアポリスに向かう前に寄ることにする。
咳き込むベスは、フライトが迫りターミナルのバーの席を立つ。
九龍 人口 210万人。
体調不良の青年が帰宅する。
イギリス、ロンドン 人口 860万人。
ある女性がホテルで死亡する。
ミネソタ州、ミネアポリス 人口 330万人。
ミッチ(マット・デイモン)と義理の息子クラークは、妻ベスを迎える。
東京 都市圏人口 3660万人
ベスと香港で一緒だったアルダーソンの日本人社員が、体調を崩して、通勤途中にバスの中で倒れてしまう。
九龍の青年は体調が回復せず、ふらつきながら街に出てトラックに轢かれてしまう。 3日目 ジョージア州、アトランタ、CDC/疾病予防管理センター。 サンフランシスコ 人口 350万人。 クラムウィードは、それを話題にしたブログを”クロニクル”の記者ロレイン・ヴァスケス(モニーク・ガブリエラ・カーネン)に見せるものの、即、記事にする気がない彼女に、無断で映像を使うなと警告してその場を去る。 クラークが熱が出たとの連絡を受けたミッチは、彼を迎えに行くために学校に向う。 4日目 放心状態のベスは倒れて痙攣を起こし、ミッチが病院に連れて行くものの死亡する。 それが信じられないミッチは、一般的なウィルス反応もないベスの死因が確定できないことを医師から知らされる。 病院の帰りに、ベビー・シッターからの連絡を受けたミッチは自宅に急行するが、クラークは息を引き取っていた。 5日目 スイス、ジュネーブ WHO/世界保健機関。 広東省 人口 9610万人。 その後、九龍では建物を隔離して全住民の検査が始まり、オランテスらは、香港、東京の死亡者の調査を急ぐ。 シカゴ 人口 920万人。 その頃、ベスの解剖が始まり、脳の状態を調べた医師は異常事態に気づき、各方面に連絡する。 6日目 CDC。 病院の隔離病棟に入ったミッチは、面会に来た娘ジョリー(アナ・ジャコービー=ヘロン)に、自分が感染していないことを伝える。 ミネソタ州保険局。 CDC、バイオセーフティ レベル4研究室。 同じ頃、サスマンに取材しようとしたクラムウィードは、ウィルスについて何かに気づき、サスマンを質問攻めにする。 7日目 CDC。 その頃、ベスとクラークの死から始まった感染を広めないために、地元の小学校などは閉鎖される。 ミアーズは、ベスの勤務していた”アルダーソン”に出向き、彼女と接触した社員を調査し、ある社員が発病して街にいることを突き止め、彼の元に急行する。 社員に連絡したミアーズは、乗っているバスを降りるよう指示して現場に向う。 ベスの行動を調べられていたミッチは、彼女が香港から戻る際に、シカゴで過ごしていた時間があったことで、会っていたと思われる元恋人も発病したのか知ろうとする。 同じ頃、サスマンの意見を参考にしたヘクストールは、豚とコウモリが遭遇した結果が感染源だという、新型ウィルスの可能性をチーヴァーに報告する。 ヘクストールは、チーヴァーからレベル4限定の研究を指示され、サスマンに連絡して研究の危険性を伝える。 8日目 CDC。 香港 人口 710万人。 WHOは、その時点で感染速度などをCDC側に知らせるのだが、チーヴァーとヘクストールは、ワクチンを作るのに手間取っていることを伝える。 街の人々の様子を見たサスマンは危険を感じ、CDCに禁じられた研究を続けてしまう。 サスマンが、”MEV-1”ウィルス培養に成功したことを知ったチーヴァーとヘクストールは、結果を製薬会社に渡さなかった彼が、善意で報告したと判断して、信用して研究を引き継ぐ。 12日 ウィルス培養の成功が一斉に報道されるが、ワクチンが出来るまでには時間が必要だった。 ミッチに会ったミアーズは、彼が発病しないことが、娘も同じ免疫を持つとは言い切れないことを伝える。 病院には人々が溢れ、ミアーズは、発病患者の収容施設を確保し、チーヴァーは激務の彼女の身を案ずる。 帰宅したミッチは、ジョリーのボーイフレンドのアンドリューの訪問を拒み、危険を避けなければならないことを彼女に理解させる。 マカオのカジノでベスが楽しむ、防犯カメラの映像を確認したオランテスは、尚も感染源を探る。 14日 ミアーズは発病してしまい、それを報告したチーヴァーに励まされるものの、彼女は覚悟を決める。 ミッチは、ベスと息子の遺体の埋葬を葬儀社に断られてしまい、その件について義母と話し合う。 カメラ映像を詳細にチェックしたオランテスは、ベスとカジノのボーイだった九龍の青年などの接点を見つけるが、アメリカやフランスが治療薬を開発したという噂を入手したスン・フェンは行動を起す。 発病した母親を亡くしていたスン・フェンは、オランテスを拉致して故郷の村に連れて行く。 スン・フェンは、オランテスを人質にして、生き残った村人のために治療薬を手に入れようとする。 症状の悪化したミアーズをチーヴァーは連れ戻すことが出来ず、ハガティも、この状況で彼女一人のための搬送は困難だと伝える。 クラムウィードは、防御方法として”レンギョウ”がウィルスに効くことを証明するために、それを試していることをネット上で知らせる。 シカゴの自宅に電話をしたチーヴァーは、婚約者であるオーブリー(サナ・レイサン)に危険を伝え、アトランタに来るよう指示するが、それを、職員のロジャーに聞かれてしまう。 18日目 人々は”レンギョウ”を求めるものの現物は不足し、やがて暴動が起きて略奪も始まる。 各地で軍が出動する厳戒態勢となり、街を離れようとしたミッチだったが、州境は閉鎖される。 CDCが真実を隠していることを訴えるクラムウィードは、自分の話を真剣に聞かなかったロレインが、妊娠しながら発病したことを知るが、”レンギョウ”がないことを彼女に伝える。 ミアーズは息を引き取り、CDCには人々が押しかけて抗議のデモを続ける。 厳しい立場に立たされたチーヴァーは、テレビ番組の中継で議論するクラムウィードが納得する答えを返せない。 その件を失態と判断したハガティは、チーヴァーの解任も考えるが後任の当てがなく、今後、公に出ることを禁ずる。 21日目 その後も事態は悪化する一方で、感染率はさらに上がり、世界人口の12人に1人は感染すると予想される。 クラムウィードはロレインが亡くなったことを知り、そして街から人々の姿が消える。 26日目 配給の食糧も不足し、各地で外出禁止令も発令され、治安維持は難しい状況になる。 29日目 近所の家も襲われる中、我慢出来なくなったジョリーは、アンドリューと外出してしまうが、ミッチは彼女を強引に連れ戻す。 チーヴァーから状況を訊かれたヘクストールは、猿の実験で、ついに感染しないワクチンを作ることに成功したことを伝える。 ヘクストールは、通常の方法では手遅れになると判断し、ワクチンを自分に投与し、感染ししていた父親の元に向う。 娘の身を案ずる父親に、ヘクストールは、医師である父が患者のために尽くしたことを誇りに思うと伝えてキスをする。 MEV-1ワクチンは承認され、即座に大量に生産が始まるが、最初の使用には約3ヶ月かかり、必要量に達するには1年近くを要することになる。 131日目 オーブリーは略奪者に襲われてしまい、それを知ったチーヴァーは、彼女の元に駆けつけて安全を確認し、ワクチンが翌日、手に入ることを伝える。 クラムウィードはワクチンの効果を疑い、その接種を止めさせる影響力を持つために、見返りを求めることを考える。 しかしクラムウィードは、国土安全保障省の囮捜査により、フレンチに逮捕されてしまう。 133日目 ワクチンの配布が始まり、その順番が抽選で決められるが、功労者であるヘクストールは、チーヴァーの賞賛の言葉だけで満足だった。 ジョリーは144日後の接種となるが、尚も続く牢獄のような日々に不満が募る。 オランテスは、村の人々との親交を深める毎日を送っていたが、やがて取引の日となり、彼女はワクチンと引換えに解放される。 同僚のダミアン・レオポルド(アルミン・ローデ)からワクチンを受け取ったオランテスは、スン・フェンに渡したワクチンが偽物だと知らされ、彼の言い訳も聞かずに村に戻ろうとする。 クラムウィードは、血液検査で感染していなかったことなどが判明するが、ネット上の彼の支持者が保釈金を払い釈放される。 ハガティから、オーブリーのワクチンを受け取ったチーヴァーは、自分の分をロジャーの息子に接種する。 ロジャーに感謝されたチーヴァーは、息子と彼と固い握手を交わし、帰宅してオーブリーにワクチンを接種する。 135日目 クラムウィードは、ワクチン接種センターの様子などをカメラで撮り取材を続ける。 ヘクストールとアイゼンバーグは、”SARS”や”豚インフルエンザ”と共に、”MEV-1”のウィルスを冷凍保存する。 ジョリーのために自宅でプロムを祝おうとしたミッチは、ベスのデジタル・カメラの映像を確認する。 ワクチン接種を受けたアンドリューを迎えたジョリーはミッチを呼ぶが、彼は楽しそうなベスの姿を見て涙する。 ミッチは、アンドリューとダンスするジョリーの微笑む姿を見つめながら、再び訪れた幸せを実感する。 ベスの会社アルダーソンの工場建設用地で、なぎ倒された木から飛び立ったコウモリが、バナナをくわえたまま、ある豚舎に舞い降りる コウモリが落としたバナナを食べた豚と、同じ場所で育った子豚がレストランに運ばれる。 それを調理しようとしていた料理長は、子豚を触った手を洗いもせずに、客のベスと握手しながら写真を撮る。 1日目
...全てを見る(結末あり)
エリス・チーヴァー博士(ローレンス・フィッシュバーン)は、職員のロジャー(ジョン・ホークス)から、子供の病気についての質問を受けて、医師を紹介することを約束する。
フリー・ジャーナリストのアラン・クラムウィード(ジュード・ロウ)は、ネット上にアップされた、日本人の伝染病らしき人物の映像に注目する。
レオノーラ・オランテス博士(マリオン・コティヤール)は、香港で発生した疑わしい病死などの報告を受ける。
九龍の青年の妹は、遺灰を持参して故郷に戻るものの、発病した彼女はバスの中で死亡する。
ベスの恋人が発病し、病院に搬送される。
チーヴァーは、感染症調査官エリン・ミアーズ博士(ケイト・ウィンスレット)を呼び寄せ、疑わしき患者の隔離を第一優先として、彼女をミネソタに派遣する。
現地入りしたミアーズは、事態の深刻さを理解しようとしない職員に、その状況を説明する。
アリー・ヘクストール(ジェニファー・イーリー)とデヴィッド・アイゼンバーグ(ディミトリ・マーティン)両博士は、送られてきたベスの血液などを調べ、サンフランシスコのイアン・サスマン博士(エリオット・グールド)に結果を報告する。
国土安全保障省の局員デニス・フレンチ(エンリコ・コラントーニ)に呼ばれたチーヴァーは、公衆衛生局士官部隊のライル・ハガティ少将(ブライアン・クランストン)に会い、今回の件がテロである可能性も討議される。
チーヴァーは記者会見を開いて現状を説明し、テレビ中継を見ていたクラムウィードは、彼の名前をメモする。
WHOから派遣されたオランテスは、現地の局員スン・フェン(チン・ハン)に迎えられ、直ちに調査を始めて、ベスや死亡者との関連性を調べる。
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*(簡略ストーリー)
アルダーソン社の幹部ベスは、香港出張で体調を崩し、アメリカに帰国後、間もなく死亡する。
香港、ロンドン、東京などで、相次ぎ感染症と思われる死亡者が確認され、CDC(疾病予防管理センター)やWHO(世界保健機関)が動き始める。
妻ベスの死を受け入れられないミッチは、直後に、彼女から感染したと思われる症状で義理の息子も亡くしてしまう。
その間にCDCは、チーヴァー博士を中心にして調査を始め、感染症調査官ミアーズ博士が、感染者が出ている現場に派遣される。
その後、チーヴァーの部下ヘクストール博士が、豚とコウモリが遭遇した結果に生まれた新型ウィルスが原因の感染だという可能性を報告し、ワクチンの開発を急ぐ。
一方、サンフランシスコのフリー・ジャーナリスト、クラムウィードは、いち早く、ネット上で異常事態を察知し、CDCやWHOが何かを隠していることを独自に取材して公表する。
しかし、猛威を振るうウィルス感染は多くの人々の命を奪い、治安は乱れ、暴動や略奪が始まる・・・。
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同類の作品として「アウトブレイク」(1995)が思い浮ぶ。
同作が、権力を盾にして細菌兵器に関わる軍部の陰謀を描いたドラマに対し、本作は、ごく単純な感染経路から、ウィルスが人々を襲う恐怖をドキュメンタリー・タッチで生々しく描く、現実的な描写が多いところが注目だ。
結局はワクチンが開発され、人々はとりあえず安堵するのだが、政府、CDCを疑う記者の目は変わらず、問題の”1日目”、ウィルス感染の発生原因は分からないまま物語が終わる。
その直後に、発生の原因が明らかになる”1日目”が映し出され、再び観客は恐怖を味わう。
主役を特定せず、それぞれの立場の人々が、いかにその生活や職務に向き合うかを淡々と描く内容であり、スティーブン・ソダーバーグのそつが無い演出や、スコット・Z・バーンズの見事な脚本により見応えのある作品に仕上がっている。
スティーブン・ソダーバーグの下に結集した豪華スター競演が話題になるものの、各々の役柄と演技は極力地味に抑えられ、”見えないウィルス”の脅威を際立たせている。
北米興行収入は約7600万ドル、全世界では1億3600万ドルのヒットとなった。
WHOから感染源の香港に派遣される疫学者のマリオン・コティヤール、感染元である妻グウィネス・パルトローを亡くすものの、免疫があるために発病しないマット・デイモン、その娘アナ・ジャコービー=ヘロン、CDCで冷静に陣頭指揮を執るローレンス・フィッシュバーン、彼らや化学者を批判するフリー・ジャーナリストのジュード・ロウ、発病するCDCの感染症調査官ケイト・ウィンスレット、本件の責任者である公衆衛生局士官部隊のブライアン・クランストン、ワクチンを開発するジェニファー・イーリーと同僚のディミトリ・マーティン、2人の研究に協力する科学者エリオット・グールド、国土安全保障省の局員エンリコ・コラントーニ、香港保険局員チン・ハン、CDCの職員ジョン・ホークス、事の重大さを理解しない記者モニーク・ガブリエラ・カーネン、WHO局員アルミン・ローデ、チーヴァー(ローレンス・フィッシュバーン)の婚約者サナ・レイサンなどが共演している。