「マッチポイント」(2005)「タロットカード殺人事件」(2006)に続くウディ・アレンの”ロンドン3部作”の最後の作品。 投資資金を弟の借金に回してしまった兄が実業家の伯父の殺人の依頼を断れず兄弟で深みにはまっていく様を描く、監督、脚本ウディ・アレン、主演ユアン・マクレガー、コリン・ファレル、ヘイリー・アトウェル、サリー・ホーキンス、トム・ウィルキンソン他共演のサスペンス・コメディ。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:ウディ・アレン
製作総指揮:ヴァンサン・マルヴァル他
製作
レッティ・アロンソン
スティーヴン・テネンバウム
ギャレス・ワイリー
脚本:ウディ・アレン
撮影:ヴィルモス・ジグモンド
編集:アリサ・レプセルター
音楽:フィリップ・グラス
出演
イアン・ブレイン:ユアン・マクレガー
テリー・ブレイン:コリン・ファレル
アンジェラ・スターク:ヘイリー・アトウェル
ケイト:サリー・ホーキンス
ハワード:トム・ウィルキンソン
マーティン・バーンズ:フィル・デイヴィス
ブレイン:ジョン・ベンフィールド
ブレイン夫人:クレア・ヒギンズ
アメリカ/フランス/イギリス 映画
配給
MGM(世界)
ワインスタイン・カンパニー(北米)
2008年製作 110分
公開
北米:2008年1月18日
フランス:2007年10月31日
イギリス:2008年5月9日
日本:2010年3月20日
製作費 $15,000,000
北米興行収入 $971,560
世界 $22,658,530
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ロンドン南部。
父(ジョン・ベンフィールド)が経営するレストランで働くイアン(ユアン・マクレガー)は、弟テリー(コリン・ファレル)と金を出し合い、小さなヨットを買い”カサンドラズ・ドリーム” という名前を付ける。
イアンは、カリフォルニアのホテル事業に投資する準備をしていたが、 自動車修理工場に勤める、ギャンブルと酒が好きなテリーは、恋人ケイト(サリー・ホーキンス)と、ささやかな家庭を築くのが夢だった。
ある日、路上で立ち往生していた女優兼モデルのアンジェラ・スターク(ヘイリー・アトウェル)の車を見てあげたイアンは、お礼に彼女の舞台に招待される。
舞台を見たイアンは、その後、アンジェラを誘い会話を交わし、再会を約束する。 数日後、アンジェラのモデルの仕事に同行したイアンは、彼女と親密になる。 イアンは、テリーの工場から車クラシック・カーを借り、投資家と言ってアンジェラと付き合っていた。 テリーは家の購入資金を稼ごうとして、ギャンブルで9万ポンドの借金を作ってしまい、仕方なく、イアンは投資のために貯めた金を彼に渡し、店の金を持ち出してしまう。 テリーは母(クレア・ヒギンズ)に金を借りようとするが、赤字続きの店の経営で四苦八苦の彼女はそれを断る。 イアンは、店の金が盗まれたことを父から伝えられ、自分が投資のために借りたことを伝える。 納得できない父だったが、そこに実業家として大成功している伯父のハワード(トム・ウィルキンソン)が訪れるという連絡が入り、イアンとテリーはそれを聞いて喜ぶ。 家族の歓迎を受けたハワードは、食事の後、イアンとテリーとで話し合うことになる。 ハワードは、テリーの借金とイアンの投資の力になることを約束する。 そんなハワードは、事業に税務調査が入ることになり、弱みを握られている元同僚のマーティン・バーンズ(フィル・デイヴィス)に証言させたくないため、イアンとテリーに、なんと彼の殺害を依頼する。 これまで何度となく世話になりながら、答を渋る二人に憤慨したハワードはその場を立ち去る。 その夜、考え抜いた末に、イアンはハワードへの協力を決めたことをテリーに伝える。 ハワードに会った二人は、彼が出張している間に、事を済ませるよう言われる。 バーンズを確認した二人だったが、実行に自信のないテリーは迷ってしまう。 そこで、テリーは手製の拳銃を作り、それを使うことをイアンに提案する。 そんな時、二人はあるパーティーでバーンズに偶然出くわして話をする。 その後テリーは動揺してしまい、帰宅後、ケイトもバーンズと話をして、彼がハワードと知り合いで、仲が悪いことを察したことを聞かされる。 手作り拳銃を試射して準備を整えた二人は、バーンズの家に忍び込み彼の帰りを待つ。 しかし、バーンズが女を連れてきたために、二人はその日の計画を中止する。 数日後、バーンズを尾行した二人は、人影のない路地で彼を射殺する。 二人は、出張から戻ったハワードにそれを報告し、彼は甥達に感謝する。 犯行後、精神的に不安定になったテリーは、酒と薬に頼る日々を送る。 工場もクビになり落ち込むテリーをイアンは励ますが、ケイトから、彼が”人を殺したと思い込んでいる”と相談される。 精神的に極限に達したテリーは自首すると言い出し、イアンはそれをハワードに伝える。 二人は、仕方なくテリーを、事故か自殺に見せかけて殺すことを考える。 ケイトはテリーが自殺しそうだとイアンに伝え、二人は気晴らしにヨットで海に出る計画を立てる。 海に出たイアンは、ビールに大量の薬を入れテリーに飲ませようとする。 しかし、イアンは思い止まり、どうして割り切った考えができないのか、テリーに言い寄り揉み合いになる。 テリーはイアンを押し倒し、その弾みでイアンは死亡する。 そして、テリーはショックを受けて、飛び込み自殺してしまう。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
父親のレストランで働いていたイアン・ブレインは、カリフォルニアのホテル事業に投資する準備をしていたが、 弟テリーがギャンブルで多額の借金を抱えてしまい、仕方なく資金をそれに回す。
それでも金額が足りず、店の金を持ち出したイアンだったが、そこに助け舟のごとく成功している実業家の伯父ハワードが現れる。
イアンとテリーは、投資と借金への援助をハワードに約束されて安心する。
しかしハワードは、その代わりに自分を破滅に追い込みかねない元同僚バーンズの抹殺を、甥兄弟に依頼する。
已む無く、それを受け入れて準備を始めた二人は、苦労した末にバーンズを殺すことに成功する。
ハワードの窮地と、自分達の問題を解決した兄弟だったが、テリーがその罪の重さから精神的に極限に達してしまう。
そしてイアンとハワードは、究極の選択を迫られるのだが・・・。
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ささやかな贅沢のつもりで購入した、小型ヨットの”カサンドラズ・ドリーム”(原題)を手に入れたことから始まる、労働者階級の野望と破滅を、ユーモアを交えた前半から殺人計画を進めるの中盤、そして、殺人実行後の恐ろしい結末までを、ウディ・アレンらしく巧みな話術で一気に見せる、スリリングな作品。
批評家の受けも悪く、興行的にも成功した作品とは言えないのだが、アクションもこなせる主演のユアン・マクレガーとコリン・ファレルが、ごく普通の青年を演じ平民が犯した重罪に乱心する兄弟の、滑稽で哀れな姿の表現力は見ものだ。
イアン(E・マクレガー)の恋人役ヘイリー・アトウェル、テリー(C・ファレル)の恋人サリー・ホーキンス、兄弟の伯父で成功している実業家のトム・ウィルキンソン、彼の元同僚で弱みを握り殺されるフィル・デイヴィス、兄弟の両親ジョン・ベンフィールドとクレア・ヒギンズなどが共演している。