1818年に発表された、メアリー・シェリーの小説”フランケンシュタイン”を基に製作された怪奇映画の傑作「フランケンシュタイン」(1931)の続編。 生きていたモンスターのために花嫁を創造しようとする科学者フランケンシュタインとプレトリアスの恐怖の実験を描く、監督ジェームズ・ホエール、主演ボリス・カーロフ、コリン・クライヴ、ヴァレリー・ホブソン、アーネスト・セジガー、エルザ・ランチェスター他共演のゴシック・モンスター・ホラー。 |
・マスターズ・オブ・モンスターズ Masters of Horror / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジェームズ・ホエール
製作:カール・レムリJr.
原作:メアリー・シェリー”フランケンシュタイン”
原案
ウィリアム・ハールバット
ジョン・L・バルダーストン
脚本:ウィリアム・ハールバット
撮影:ジョン・J・メスコール
編集:テッド・J・ケント
音楽:フランツ・ワックスマン
出演
フランケンシュタインの”モンスター”:ボリス・カーロフ
ヘンリー・フランケンシュタイン:コリン・クライヴ
エリザベス・レヴェンザ・フランケンシュタイン:ヴァレリー・ホブソン
セプティマス・プレトリウス博士:アーネスト・セジガー
メアリー・ウルストンクラフト・シェリー/モンスターの花嫁:エルザ・ランチェスター
ジョージ・ゴードン・バイロン卿:ギャヴィン・ゴードン
パーシー・ビッシュ・シェリー:ダグラス・ウォルトン
ミニー:ウナ・オコナー
村長:E・E・クライヴ
盲目の老人:O・P・ヘギー
カール:ドワイト・フライ
ルートヴィヒ:テッド・ビリングス
ハンス:レジナルド・バーロウ
ハンスの妻:メアリー・ゴードン
羊飼いの少女:アン・ダーリン
グルッツ:J・ガニス・デイヴィス
農民:ウォルター・ブレナン
猟師:ジョン・キャラダイン
アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
1935年製作 75分
公開
北米:1935年4月20日
日本:1935年7月11日
製作費 $397,020
■ アカデミー賞 ■
第8回アカデミー賞
・ノミネート
録音賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
イングランド。
嵐の夜、詩人パーシー・ビッシュ・シェリー(ダグラス・ウォルトン)と妻メアリー(エルザ・ランチェスター)と過ごしていた詩人のジョージ・ゴードン・バイロン卿(ギャヴィン・ゴードン)は、彼女の著書”フランケンシュタイン”を賞賛する。
”神を模倣する者は罰せられる”という小説の意図が伝わっていないと言うメアリーは、著書の内容を語り始めたジョージに、今夜はその話を聞きたくないと伝える。
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死体を掘り起こして盗んだヘンリー・フランケンシュタイン(コリン・クライヴ)は、山頂に立つ塔の実験室でモンスター(ボリス・カーロフ)を創造した。 しかし、ヘンリー自身も、少女を溺死させたモンスターの犠牲になったのだった。 物語には続きがあると言うメアリーは、その内容を話し始める。 火が放たれた風車は焼け落ち、モンスターは死んだと思われた。 亡くなったヘンリーの使用人ミニー(ウナ・オコナー)は、モンスターが死んだことを喜び、村長(E・E・クライヴ)は人々を解散させる。 幼い娘マリアを殺されたハンス(レジナルド・バーロウ)は納得できず、妻(メアリー・ゴードン)の制止も聞かずにモンスターの死を確認しようとする。 地下に落下したハンスは、生きていたモンスターに殺される。 地上に這い上がったモンスターは、自分をハンスだと思う妻も突き落とす。 モンスターを目撃したミニーは、叫び声をあげながらその場から逃げる。 ヘンリーの遺体が城に戻り、婚約者のエリザベス・レヴェンザ(ヴァレリー・ホブソン)は部屋に運ばせる。 城に戻ったミニーは、執事のアルバートにモンスターが生きていることを伝えるものの、信じてもらえない。 運ばれたハンスの手が動いたために、驚くミニーは生きていると言って叫び声をあげる。 ヘンリーに寄り添うエリザベスは、彼から声をかけられて喜ぶ。 その後、エリザベスに看病されるヘンリーは、生命とカのみが知る不死の秘密を解くために、研究を諦められないことを彼女に伝える。 それに反対するエリザベスは、恐怖のあまりモンスターの幻覚が見えてしまう。 そこに現れたセプティマス・プレトリウス博士(アーネスト・セジガー)は、ミニーに案内されてヘンリーの元に向かう。 プレトリアスに挨拶されたヘンリーは、哲学博士である彼をエリザベスに紹介する。 エリザベスに席を外してもらったヘンリーは、プレトリアスから、二人で組んで研究をすることを提案される。 それを断ったヘンリーは、プレトリアスから、殺人を犯したモンスターを創造した責任があり、二人で生命の神秘を解き明かすべきだと言われるものの、その気になれなかった。 違う生命の創造に自分も成功したと言うプレトリアスは、それに興味を示すヘンリーを伴い家に向かう。 プレトリアスの研究室に案内されたヘンリーは、ミニチュアの女王、王、大司教、悪魔、バレリーナ、人魚などを見せられる。 自分の研究の問題は大きさだと言うプレトリアスは、ヘンリーの協力が必要だと伝える。 科学ではなく黒魔術だと言われたプレトリアスは、死体を継ぎ合わせたものとは違う実験だと話し、自分にはない技術を持つヘンリーを説得して組むことを提案する。 戸惑うヘンリーは、プレトリアスから、モンスターにも花嫁が必要だと言う彼の考えに興味を持つ。 その頃、森の中で羊飼いの少女(アン・ダーリン)に出くわしたモンスターは、驚き叫び声をあげる彼女を黙らせようとする。 そこに現れた猟師に腕を撃たれたモンスターは、その場から逃げる。 そのことは村長に知らされて村は騒然となり、モンスターの捜索が始まる。 人々に捕らえられたモンスターは、地下の牢獄に閉じ込められて、鎖でつながれ拘束される。 しかし、鎖を切り難なくその場から逃れたモンスターは逃亡する。 森の中をさ迷うモンスターは、野営するジプシーの家族の食べ物を奪おうとして、焚火で手を火傷してしまう。 その後モンスターは、バイオリンの”アヴェ・マリア”の曲に誘われて小屋に向かい、盲目の老人(O・P・ヘギー)に歓迎される。 客人(モンスター)が怪我をしていることに気づいた老人は、言葉が話せない彼に食べ物を与える。 老人は、自分に友を与えてくれた神に感謝して祈りを捧げ、彼の気持ちを察したモンスターも涙する。 その後、老人はモンスターに言葉を教え、火を怖がる彼に、生活に役立ついいものだと伝える。 そこに道を尋ねる猟師(ジョン・キャラダイン)が現れ、モンスターに気づく。 友人(モンスター)を守ろうとした老人は、死体から造られたモンスターだと言われて驚く。 モンスターは暴れ出し、暖炉の火が引火して小屋は火事になる。 猟師は老人を連れ出し、モンスターは逃げる。 墓地に隠れたモンスターは地下に向かい、プレトリアスとカール(ドワイト・フライ)そしてルートヴィヒ(テッド・ビリングス)が現れたために身を隠す。 若い女性の死体を探していたプレトリアスは、19歳の女性の死体を手に入れ、カールとルートヴィヒを帰して、その場で食事をする。 そこに現れたモンスターに驚きもしないプレトリアスは、友達が欲しいと言う彼にヘンリーのことを尋ねる。 ヘンリーが自分を作ったと言われたプレトリアスは、モンスターに言葉を教えようとする。 女の友達を造ると言われたモンスターは、それが妻だと考える。 その後、エリザベスと結婚したヘンリーは、プレトリアスが訪ねて来たために迷惑に思う。 村を出るつもりのエリザベスは、プレトリアスに夫は渡さないと伝えて席を外す。 プレトリアスから、実験の準備ができたことを知らされたヘンリーは、協力を求められるもののそれを断る。 ヘンリーとモンスターを対面させたプレトリアスは、話せるように教育したことを伝える。 ヘンリーに協力を拒まれたモンスターは、プレトリアスから外で待つようにと指示される。 出発の準備をしていたエリザベスは、現れたモンスターに連れ去られる。 騒ぎに気づき、ミニーから、エリザベスがモンスターに連れ去られたことを知らされたヘンリーは、プレトリアスが仕組んだと気づく。 プレトリアスから、協力すればエリザベスは帰すと言われたヘンリーは、それに従うしかなかった。 モンスターは、エリザベスを山中の洞窟に連れて行く。 エリザベスを見つけられず協力するしかないヘンリーは、プレトリアスと最終実験を行うことになる。 カールとルートヴィヒを伴い山頂の塔の実験室に向かったヘンリーとプレトリアスは、若くて強い心臓が必要になる。 プレトリアスとヘンリーから、救急病院で突然死の女の遺体の心臓を手に入れるよう指示されたカールは、村に向かい女性に襲い掛かる。 その女性の心臓に満足したヘンリーは、警察から殺人事件の死体を買ったと言うカールの言葉を疑う。 現れたモンスターはヘンリーに実験を急がせ、プレトリアスが、邪魔をさせないように彼にワインを与える。 睡眠薬入りのワインを飲んだモンスターは眠ってしまう。 エリザベスが無事であることを通信装置で確認したヘンリーは、成功したら帰すと言うプレトリアスの言葉を信じて実験を続ける 心臓を移植したヘンリーとプレトリアスは、嵐が来ることを知り、カールに凧を上げるよう指示する。 屋上の扉が開き放電機が下げられ、凧が上がる。 落雷の電流を流すために、包帯を巻かれた花嫁の体は屋上に上げられる。 目覚めたモンスターは屋上に向かい、カールに襲い掛かり地上に放り投げる。 電流が体に流れた花嫁は実験室に下げられ、手が動き、まぶたが開いていることを確認したヘンリーは、”生きている!”と叫ぶ。 包帯が外されたフランケンシュタインの花嫁(エルザ・ランチェスター)を見たモンスターは、”友達”と言いながら彼女に近づくものの拒絶される。 叫び声をあげる花嫁に寄り添うモンスターは、自分を避ける彼女にも嫌われていると言いながら、興奮し始める。 そこに現れたエリザベスの元に向かったヘンリーは、モンスターから、逃げて生きるようにと言われてその場を去る。 プレトリアスと花嫁を残したモンスターは、涙を流しながら電源のレバーを引き、その場は破壊されて塔は崩れ落ちる。 ヘンリーとエリザベスは、その様子を見ながら抱き合う。
...全てを見る(結末あり)
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・「フランケンシュタイン」(1931)
・「フランケンシュタインの花嫁」(1935)
・「フランケンシュタインの復活」(1939)
・「ランケンシュタインの幽霊」(1942)
・「フランケンシュタインと狼男」(1943)
・「フランケンシュタインの館」(1944)
・「ドラキュラとせむし女」(1945)
*(簡略ストー リー)
科学者ヘンリー・フランケンシュタインが創造したモンスターは村人に追い詰められ、風車で死んだと思われるものの生きていた。
一命を取り留めたヘンリーは、プレトリアス博士の訪問を受け、新たな生命を誕生させるための実験への協力を求められる。
一方、一旦は捕らえられたモンスターは逃亡し、森の中で盲目の老人に出会い、歓迎されて言葉を学ぶ。
その頃、モンスターの花嫁を造るつもりのプレトリアスは、ヘンリーに協力させる方法を考えるのだが・・・。
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メアリー・シェリーの原作を基に製作された、怪奇映画の傑作「フランケンシュタイン」(1931)の続編。
死んだと思われたモンスターの復活と、それを創造したことを後悔する科学者フランケンシュタインが、再び新たな生命の創造に挑む姿が描かれている。
言葉を学んだモンスターや、フランケンシュタインを利用して自分の実験を成功させようとするプレトリアス博士の登場、更には特撮を駆使した映像など、娯楽の要素満載の内容は、怪奇映画史上に残る傑作となった前作に勝るとも劣らない上質な作品に仕上がっている。
第8回アカデミー賞では、録音賞にノミネートされた。
前作に続き、1998年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。
前作では、一キャラクターとして、創造された異様なモンスターという役柄だったボリス・カーロフは、その圧倒的なインパクトで世界的なスターとなり、本作では主演として登場している。
言葉を話し笑い、涙したりもする表情豊かなモンスターを見事に演じている。
再び新たな生命を誕生させるための実験に挑むヘンリー・フランケンシュタインのコリン・クライヴ、その妻エリザベス・レヴェンザ・フランケンシュタインのヴァレリー・ホブソン、ヘンリーを巻き込み実験を成功させようとするセプティマス・プレトリウス博士を異様な雰囲気で好演するアーネスト・セジガー、冒頭で登場する原作者メアリー・ウルストンクラフト・シェリーとモンスターの花嫁役のエルザ・ランチェスター、メアリー・シェリーの夫である詩人パーシー・ビッシュ・シェリーのダグラス・ウォルトン、その友人である詩人のジョージ・ゴードン・バイロン卿のギャヴィン・ゴードン、フランケンシュタイン家の使用人ウナ・オコナー、村長のE・E・クライヴ、モンスターと親交を深める盲目の老人O・P・ヘギー、プレトリアス博士に雇われるドワイト・フライとテッド・ビリングス、モンスターに娘を殺された村人レジナルド・バーロウ、その妻メアリー・ゴードン、羊飼いの少女アン・ダーリン、農民と猟師を端役で演ずるウォルター・ブレナンとジョン・キャラダインの出演も注目で、他、J・ガニス・デイヴィスなどが共演している。