1880年に発表されたルー・ウォーレス将軍の大ベストセラー小説”Ben-Hur:A Tale of the Christ”を基に製作された作品で、1907、1925年のサイレント映画、1959年の「ベン・ハー」、2003年のアニメ作品などに続く5度目の映画化。 義兄弟として育ったユダヤの王子とローマ軍の英雄の憎しみと友情を描く、監督ティムール・ベクマンベトフ、主演ジャック・ヒューストン、モーガン・フリーマン、トビー・ケベル他共演の史劇の超大作。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:ティムール・ベクマンベトフ
製作
ショーン・ダニエル
ダンカン・ヘンダーソン
ジョニ・レヴィン
製作総指揮
マーク・バーネット
ジェイソン・F・ブラウン
キース・クラーク
ローマ・ダウニー
ジョン・リドリー
原作:ルー・ウォーレス”ベン・ハー”
脚本
キース・クラーク
ジョン・リドリー
撮影:オリヴァー・ウッド
編集
ドディ・ドーン
リチャード・フランシス=ブルース
ボブ・ムラウスキー
音楽:マルコ・ベルトラミ
出演
ジュダ・ベン・ハー:ジャック・ヒューストン
族長イルデリム:モーガン・フリーマン
メッサラ・セヴェラス:トビー・ケベル
エスター:ナザニン・ボニアディ
イエス:ロドリゴ・サントロ
ティルザ・ベン・ハー:ソフィア・ブラック=デリア
ナオミ・ベン・ハー:アイェレット・ゾラー
サイモニデス:ハルク・ビルギナー
ディスマス:モイセス・アリアス
ポンティウス・ピラト:ピルー・アスベック
ドルーサス:マーワン・ケンザリ
クイントゥス・アリウス:ジェームズ・コスモ
マルクス・デシマス:デヴィッド・ウォームズリー
アメリカ 映画
配給
MGM
パラマウント・ピクチャーズ
2016年製作 125分
公開
北米:2016年8月19日
日本:未公開
製作費 $100,000,000
北米興行収入 $26,384,680
世界 $94,061,310
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
紀元33年、エルサレム。
キリスト降誕の時代、ローマ帝国は、はるか遠方まで領土を拡大し、流血により繁栄して恐怖政治が人民を支配した。
かつて義兄弟として育った、ユダヤ人の貴族ジュダ・ベン・ハー(ジャック・ヒューストン)とローマ軍の指揮官メッサラ・セヴェラス(トビー・ケベル)は、憎しみ合いながら戦車競走で争うことになる。
8年前。
ベン・ハーと養子のメッサラは、義兄弟、そしてライバルとして成長する。
落馬して怪我をしたベン・ハーを屋敷に運んだメッサラは、競走したことを母ナオミ(アイェレット・ゾラー)から非難される。 ベン・ハーに心を寄せる使用人のエスター(ナザニン・ボニアディ)は、手当てを受けた彼に寄りそう。 義妹ティルザ(ソフィア・ブラック=デリア)と共に眠らずにいたメッサラは、ベン・ハーの意識が戻ったために安堵する。 その後、ベン・ハーは回復して祝宴が開かれ、ナオミは、ティルザが養子であり宗教の違うメッサラと親しくし過ぎることを良く思わない。 それを気にして、豪族の血筋でないと言ってティルザのことも諦めたメッサラは、ベン・ハーに別れを告げて、ローマ軍の兵士になるために旅立つ。 悲しむベン・ハーは、メッサラが去ったことを知りショックを受けるティルザを抱きしめる。 3年後。 その後、ローマの圧政は日を追うごとに厳しさを増すが、幸い優遇されていたベン・ハーは、メッサラの帰りを待つ。 そんなある日、ベン・ハーは、”汝の敵を愛せ”と言うナザレの大工イエス(ロドリゴ・サントロ)の言葉が気になる。 その場にいたエスターは、真実だと言ってイエスの考えを理解する。 ローマ軍に傷つけられたゼテロ派の少年ディスマス(モイセス・アリアス)を、ティルザと共に介抱したベン・ハーは、ローマ軍を追い払おうとして殺し合う彼らを批判する。 翌日、ローマ兵にある場所へと案内されたベン・ハーは、士官となって戻ってきたメッサラとの再会を喜ぶ。 戦いの話をしたメッサラは、ポンティウス・ピラト(ピルー・アスベック)から隊長に任命され、ドルーサス(マーワン・ケンザリ)らと共に勝利し続けたことを語る。 支配した土地の男達を皆殺しにすることを指令官のマルクス・デシマス(デヴィッド・ウォームズリー)から命ぜられたメッサラは、それに反発した。 ティルザの話などをしたメッサラは、軍が襲撃を受けたという報告を受ける。 命令でゼテロ派を襲撃したことをベン・ハーに伝えたメッサラは、戦場で使った剣を友情の証に渡す。 競技場の建設のために墓石などを運ぼうとした兵士が襲撃されたことを知ったメッサラは、厳しく対処する指示に従わなかったことをデシマスから批判さる。 ディスマスを匿うベン・ハーは、警戒することと、ローマ人を知りもしないで憎むべきではないと伝えるが、彼の父が殺され母は暴行されたこと知る。 メッサラを屋敷に招いたベン・ハーは、副官のドルーサスを紹介される。 ナオミにも歓迎されたメッサラはティルザと話し、結婚して幸せになるようにと伝える。 体は傷だらけだと言うメッサラは、いつかベン・ハーを殺すかもしれないことを伝え、彼に呼ばれる。 反ローマ派の情報を聞き出そうとしたメッサラだったが、ベン・ハーはそれを拒む。 その後、総督となるピラトがエルサレムに到着し、ベン・ハーは、家族と共に行進を屋敷の屋上から見ていた。 その時、ディスマスがピラトに向かって矢を放ち、兵士がそれを受ける。 落馬したピラトは犯人を殺すように命じ、ベン・ハーはディスマスを逃がし、家族は押入ってきたデシマスに捕らえられる。 矢を放った者の名を教えるよう強要されたベン・ハーは、メッサラに助けを求める。 メッサラはゼテロ派の弓を見つけてデシマスに渡し、自分が矢を放ったと言ってベン・ハーが罪を認める。 仕方なくメッサラは家族全員を連行し、自分だけを罪に問うようにと言うベン・ハーに、反逆者を選んだ罰だと伝えて痛めつける。 拘束されたベン・ハーに水を飲ませようとしたエスターは、兵士に制止される。 そこに現れたイエスは、抵抗できなくなった兵士の持っていた水をベン・ハーに飲ませる。 立ち上がったベン・ハーは、ガレー船に乗せられることになる。 ティルス港。 5年後、イオニア海。 戦いは終わり、一命を取り留めたベン・ハーは漂流して岸にたどり着く。 アラブの族長イルデリム(モーガン・フリーマン)は、命は助けたものの、ガレー船の奴隷だったベン・ハーを信用せず、ローマ軍に引き渡そうとする。 イルデリムが戦車競走をすることに気づいたベン・ハーは、病気の馬を治すと言って、馬には詳しいことを伝える。 その代わりに家族を捜すことに協力してほしいと言われたイルデリムは、命を救った借りを返すようにと伝えて鎖を外させる。 憎しみ合う同胞に、憎悪を排除すれば愛こそが自分達の真の姿だと分かると説くイエスを見て、毒だと言うピラトは、ゼテロ派よりも危険だと考える。 馬を救ったベン・ハーに感謝したイルデリムは、彼を信用する。 ローマが巨大な競技場を建設し、ピラトが戦車競争を行うことを知るイルデリムは、エルサレムに向かうことをベン・ハーに伝え、ローマの王者はメッサラだと知らせる。 エルサレムに着いたベン・ハーはエスターに再会し、彼女がイエスの教えを広めていることを知る。 母と妹は殺されたと言われたベン・ハーは、どこに葬られたかは知らないと話すエスターに、メッサラに訊けば分かると伝える。 ローマの英雄であり総司令官で戦車競争の騎手でもあるメッサラには近づけないとエスターから言われたベン・ハーは、町の外で野営をしていることを伝えてその場を去る。 ゼテロ派を排除しようとしたメッサラは、かつてベン・ハーに渡した剣を受け取る。 ハー家の屋敷に向かいベン・ハーと再会したメッサラは、母と妹を葬った場所を訊かれる。 ゼテロ派を選んだ自分のせいだと言われたベン・ハーは、メッサラを殴ってその場から逃げる。 野営地に戻ったベン・ハーは、現れたエスターと愛し合う。 信仰のおかげで戻れたと言われたベン・ハーは、憎しみの力で生きていることを伝える。 メッサラのことは忘れるいうにと言われたベン・ハーは、やり直す機会が与えられ、憎しみに支配されるなら奴隷と同じだと話すエスターの考えを理解しようとしない。 憎しみしかないと言うベン・ハーに、エスターは、自分がいると伝える。 メッサラへの攻撃がローマに対するものと判断したピラトは、ユダヤ人20人の処刑を命ずる。 それを知ったエスターは、ハー家でローマ人が襲われたたため、20人が処刑されたことをベン・ハーに伝える。 自分のせいではないと言うベン・ハーが、家族を殺された報復しか考えないために、自分も父親を殺されたと伝えたエスターは、考えを変えようとしない彼を見限る。 ローマ支配の現状をベン・ハーに理解させたイルデリムは、法が存在しない競技場で戦うしかないことを彼に伝える。 ピラトの元に向かったイルデリムは、金貨3000枚を6対1で自分の騎手の勝利に賭け、メッサラと勝負させることで話しをつける。 エスターに会ったベン・ハーは、自分が死んだ場合は母と妹と共に埋めてほしいと伝える。 イルデリムと共に競技の準備をしたベン・ハーは、メッサラに勝つ方法を考える。 メッサラの元に向かったエスターは、競技を止めなければ神の罰が下ると伝える。 野営地に忍び込んだ男がドルーサスだと分かったベン・ハーは、母と妹が生きていることを知らされ、ピラトから処刑を命ぜられたものの、洞窟に送ったため、金を渡せばその場に案内すると言われる。 ティルダを好いていたメッサラのために二人を救ったとドルーサスから言われたベン・ハーは、監禁されている母と妹が業病だということを知る。 母と妹を生き地獄に送ったメッサラを許せないベン・ハーは、エルサレムに戻る。 完成した大競技場に観衆は集まり、ピラトは、競技の開催を宣言する。 戦いは始まり、作戦通り後方で様子を見るベン・ハーは、メッサラらの争いに巻き込まれないようにする。 メッサラとの一騎打ちになったベン・ハーは、落車してしまうものの何んとか態勢を整える。 最終周、ラストのコーナーでメッサラは落車し、ベン・ハーは転倒しながらゴールして民衆に称えられる。 イルデリムに約束通り金を渡したピラトは、民衆が湧く姿を見つめながら、今や全てローマ人だと言って満足する。 その夜、野営地では祝宴が開かれ、ベン・ハーの考えを理解したイルデリムは、自分の道を歩むようにと伝える。 捕えられたイエスは磔刑にされることになり連行され、それを知ったベン・ハーは、かつて自分にしてくれたように彼に水を与えようとする。 それを兵士に阻まれて鞭打たれたベン・ハーは、石を手にするものの、イエスから、自分は自ら命を捨てると言われる。 ゴルゴダの丘で磔になったイエスは息絶え、その瞬間に雨が降り出し、ベン・ハーは全てを許す気になる。 雨水に触れてたナオミとティルザの病は消え、イルデリムが金を払い二人を解放する。 メッサラの元に向かったベン・ハーは、憎しみが消えていない彼に剣を向けられる。 争いや憎しみは終りにしたいと伝えたベン・ハーは、自分を許してくれたメッサラを抱きしめる。 その後の数日間にいくつもの奇跡が起き、ベン・ハーの家族は再び結ばれた。 ベン・ハーとメッサラは、イルデリムや家族に見守られながら、かつてのように競いながら馬を走らせる。
...全てを見る(結末あり)
メッサラに便りを出すものの返事が来ないベン・ハーは、結婚が決まり父サイモニデス(ハルク・ビルギナー)と旅立つエスターを、身分違いだと思いながら諦めきれず、彼女を引き止めて結婚する。
ガレー船に乗せられたベン・ハーは、奴隷として船を漕ぐことになる。
ギリシャ軍との戦いで衝突された船は沈没し、ベン・ハーは海に投げ出される。
*(簡略ストー リー)
紀元33年、エルサレム。
キリスト降誕の時代、ローマ帝国の圧政に耐えながら、ユダヤの王子ジュダ・ベン・ハーと養子のメッサラは、義兄弟、そしてライバルとして育った。
豪族ではないメッサラは、思いを寄せるベン・ハーの妹ティルザとの交際を義母ナオミに認められず、将来に不安を抱えてローマ軍に入るために旅立つ。
3年後、英雄となったメッサラは士官としてエルサレムに戻り、ベン・ハーとの再会を喜ぶ。
ところが、ベン・ハーが匿っていた反ローマのゼテロ派の少年が、新総督のピラトを襲撃する。
その結果、罪を認めたベン・ハーは、家族と共に捕らえられて連行される。
メッサラに助けを求めるものの、それを拒まれたベン・ハーは、ガレー船の奴隷となりながら、メッサラへの復讐を誓うのだが・・・。
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1959年に公開された「ベン・ハー」から57年、実写版の再映画化ということで大いに話題になった作品。
映画史上に残る不朽の名作のリメイク作品だけに、その期待を上回ることは不可能と言われながら製作され、予想通りに酷評される結果となってしまった。
1959年版とは大筋で似ているものの、細かい部分の変更があり、ラストは全く違った内容となっている。
ルー・ウォーレスの原作が”キリストの物語/A Tale of the Christ”であるのだが、1959年版とは違うイエスの描写が実に安っぽい。
技術的な発展は天と地ほどあるはずなのに、その迫力やスケール感は旧作の足元にも及ばないお粗末さだ。
モーガン・フリーマンの存在感以外は観るに値しないような作品で、これだけ話題になったにも拘らず、日本では公開されない事態となった。
1億ドルをかけた超大作なのだが、北米興行収入は約2600万ドル、全世界では1億ドルに達することなく、製作費を上回ることができなかった作品でもある。
役柄に全く重みが感じられない主人公ジュダ・ベン・ハーを演ずるジャック・ヒューストン、彼を支えるアラブの族長モーガン・フリーマン、主人公の義兄弟であり対決することになるローマ軍の指揮官メッサラのトビー・ケベル、主人公を愛する使用人ナザニン・ボニアディ、ナザレのイエス、ロドリゴ・サントロ、主人公の妹ソフィア・ブラック=デリア、母親アイェレット・ゾラー、ハー家の使用人ハルク・ビルギナー、ゼテロ派の少年モイセス・アリアス、総督ポンティウス・ピラトのピルー・アスベック、メッサラの副官マーワン・ケンザリ、ローマ艦体司令官のジェームズ・コスモ、ローマ軍指揮官のデヴィッド・ウォームズリーなどが共演している。