ハリウッドのスターとなり夢を叶えた女優と酒で身を亡ぼす元スターの夫との愛を描く、製作、脚本デヴィッド・O・セルズニック、監督、原案ウィリアム・A・ウェルマン、主演ジャネット・ゲイナー、フレドリック・マーチ、アドルフ・マンジュー、メイ・ロブソン、アンディ・ディヴァイン他共演のドラマ。 |
・ドラマ
■ スタッフ キャスト ■
監督:ウィリアム・A・ウェルマン
製作:デヴィッド・O・セルズニック
原案
ウィリアム・A・ウェルマン
ロバート・カーソン
脚本
ドロシー・パーカー
アラン・キャンベル
ロバート・カーソン
デヴィッド・O・セルズニック
リング・ラードナーJr.
バッド・シュールバーグ
ジョン・リー・メイヒン
撮影:W・ハワード・グリーン
編集
ジェームズ・E・ニューコム
アンソン・スティーヴンソン
音楽:マックス・スタイナー
出演
エスター・ヴィクトリア・ブロジェット/ヴィッキー・レスター:ジャネット・ゲイナー
ノーマン・メイン:フレドリック・マーチ
オリヴァー・ナイルズ:アドルフ・マンジュー
レティ・ブロジェット:メイ・ロブソン
ダニエル”ダニー”マクガイア:アンディ・ディヴァイン
マット・リビー:ライオネル・スタンダー
ケイシー・バーク:オーウェン・ムーア
フィリップス:ペギー・ウッド
アニタ・リージス:エリザベス・ジェンズ
ポップ・ランドール:エドガー・ケネディ
ブロジェット:J.C.ニュージェント
マティ:クララ・ブランディック
姿勢コーチ:ギン”ビッグボーイ”ウィリアムズ
ジョージ・J・パリス判事:ジョナサン・ヘイル
衣装係:リリアン・ハーメル
帽子の女性:キャロル・ランディス
配達人:ジョージ・チャンドラー
アーティ・カーヴァー:ジェド・プルーティ
ウィリアム・グレゴリー:フランシス・フォード
アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1937年製作 111分
公開
北米:1937年4月20日
日本:1939年4月3日
製作費 $1,173,640
■ アカデミー賞 ■
第10回アカデミー賞
・受賞
原案・特別賞(カラー撮影)
・ノミネート
作品・監督・助監督
主演男優(フレドリック・マーチ)
主演女優(ジャネット・ゲイナー)
脚色賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ノースダコタ州。
農家の娘エスター・ヴィクトリア・ブロジェット(ジャネット・ゲイナー)は、弟のアレックと共に映画を観に行き帰宅する。
父(J.C.ニュージェント)に映画のことを話すエスターは、叔母マティ(クララ・ブランディック)から女優になる夢を否定されて苛立つ。
祖母のレティ(メイ・ロブソン)や父は理解してくれるものの、夢など叶わないと言うマティの言葉に傷ついたエスターは、部屋に閉じこもってしまう。
しかし、レティに励まされたエスターは、彼女から現金を受け取り、ハリウッドに向かう決心をする。
駅に着いたエスターは、レティに見送られて旅立つ。
ハリウッド。
”チャイニーズ・シアター”に着いたエスターは、スターの手形を見て機体に胸ふくらむ。
大スター、ノーマン・メイン(フレドリック・マーチ)の手形を見つけたエスターは、靴の大きさを比べてみる。
下宿の部屋を借りることにしたエスターは、管理人のポップ・ランドール(エドガー・ケネディ)に女優になることを話す。 その後、エキストラの仕事を探すエスターだったが、それさえも容易に見つからない。 エージェント事務所に向かったエスターは、受付のフィリップス(ペギー・ウッド)と話すものの、希望者が殺到しているため、応募を受け付けてもらえなかった。 スターになれるのは10万人に1人だと言われたエスターは、自分がその1人だと信じた。 そんなエスターは、同じ下宿に住む助監督のダニエル”ダニー”マクガイア(アンディ・ディヴァイン)と知り合うが、彼も仕事がなかった。 自分を実力者だと思うレスターに、からかわれたと思ったダニーは、彼女に厳しいことを言って悲しませてしまう。 エスターに謝罪したダニーは、彼女を連れてバーに向かい、2人は意気投合する。 ハリウッド・ボウル。 その場にノーマン・メインがアニタ・リージス(エリザベス・ジェンズ)を伴って現れ、エスターとダニーは、酔ったノーマンが騒ぎを起こす様子を見つめる。 大スターとして活躍していたノーマンだったが、アルコール依存症のために評判を落とし、人気は下降線をたどっていた。 その後、祖母に手紙を書いていたエスターは、ダニーが仕事を見つけてくれたために喜ぶが、それは映画の完成パーティーのウエイトレスだった。 気乗りしないエスターだったが、ダニーから、映画界の名士が集まるのでチャンスがあるかもしれないと言われ、それを引き受ける。 パーティー会場でエスターは、ウエイトレスをしながら来客にアピールするものの、相手にしてもらえない。 プロデューサーのオリヴァー・ナイルズ(アドルフ・マンジュー)は、監督のケイシー・バーク(オーウェン・ムーア)と話し、酒浸りのノーマンの作品を辞退すると言われるものの、彼を何とか説得しようとする。 広報のマット・リビー(ライオネル・スタンダー)からの電話を受けたオリヴァーは、ノーマンが逮捕されたことを知らされものの、彼が現れたために驚く。 オリヴァーは、ノーマンが世間から見捨てられるのを友人として見ていられれず、彼に説教する。 オードブルを運ぶエスターが気になったノーマンは、片づけをする彼女を手伝い話をする。 嫉妬したアニタはノーマンを皿で殴ってしまい、驚いたエスターは、彼と共にその場を去り、車で送ってもらう。 エスターを家に誘うものの断られたノーマンは、彼女の素朴な魅力に惹かれてしまう。 帰宅したノーマンはオリヴァーに電話し、エスターのスクリーンテストを頼む。 ノーマンからの電話でスクリーンテストのことを聞いたエスターは、それをダニーに知らせるものの、信じてもらえなかった。 翌日、ダニーが助手につくケイシーの指示でカメラの前に立ったエスターは緊張する。 ノーマンに励まされてテストを受けたエスターは、オリヴァーと契約することになり、厳しい世界だが耐え抜くようにと助言される。 エスターと話をしたマットは、彼女の名が気に入らないことをオリヴァーに伝え、芸名が”ヴィッキー・レスター”に決まる。 一応、期待の新星として売り出すことになるエスターは、様々なことを学びデビューに備える。 最初の小さな役を得たエスターは、少ないセリフを必死に練習していた。 そんなエスターと話したノーマンは、新作”魅惑の時間/The Enchanted Hour”の相手役が決まっていなかったために、オリヴァーを説得して彼女の起用が決まる。 ”魅惑の時間”の撮影は終り、最終編集前の試写が行われる。 エスターの演技は高い評価を受ける一方、観客のノーマンへの関心は薄れていく。 それに気づいていたノーマンは、ボクシングの観戦中にエスターにプロポーズする。 ノーマンは、浪費癖を直し酒をやめれば受け入れると言うエスターに、それを約束する。 試合が終り、ノーマンは、約束はたとえ話だと言いながら、エスターと共にオリヴァーの元に向かい結婚することを伝え、彼に祝福される。 マットは、2人の結婚を宣伝に利用しようとする。 ノーマンとエスターは、ダニーに付き添ってもらい判事の元に向かい結婚する。 2人が誰か分からなかった判事は、現れたマットが、新聞社にスターの結婚の情報を流そうとしたために驚く。 ノーマンとエスターの結婚は大きく報道され、2人はトレーラーハウスでのハネムーンを楽しむ。 旅行から戻ったノーマンとエスターは豪邸に向かい、現れたマットやオリヴァーと話をする。 ノーマンは、エスターだけが評価されている現実をオリヴァーから知らされる。 公開される”魅惑の時間”は、主演がヴィッキー・レスターに変更される。 エスターの人気は急上昇し、ノーマンは契約を解除される。 マリブ。 帰宅したエスターに軽食を出したノーマンは、彼女宛の小包を受け取り、”映画芸術科学アカデミー”から出席の確認があり、アーティの取材の件を伝える。 エスターは、使用人のような話し方をするノーマンを気遣う。 アカデミー賞授賞式。 受賞者であるエスターの名が呼ばれ、オスカーを渡された彼女はスピーチする。 そこに酔ったノーマンが現れ、最低賞のトロフィー3つを要求する。 騒ぎを起こしたノーマンは、近づいてきたエスターに誤って平手打ちしてしまい、動揺しながら席に着く。 帰宅したエスターは、酔い潰れたノーマンを気遣いながら涙する。 数か月後、訪ねて来たオリヴァーを迎えたエスターは、断酒するためにノーマンが療養所に入ったことを伝える。 エスターにノーマンを復帰させることを約束したオリヴァーは、療養所に向かう。 ノーマンと話したオリヴァーは、主役ではないが役を紹介できると伝える。 様々な企画の話がきていると言われたオリヴァーは、役のことを検討してほしいとノーマンに伝えてその場を去る。 サンタアニタパーク競馬場。 侮辱されたノーマンはマットを殴ってしまい、殴り返されて恥をかき、スコッチを口にしてしまう。 エスターは、4日間も行方が知れないノーマンを心配する。 泥酔して車で事故を起こしたノーマンが逮捕されたという連絡を受けたエスターは、オリヴァーと共に警察に向かう。 ノーマンは、ウィリアム・グレゴリー(フランシス・フォード)らと共に法廷で裁かれ、ジョージ・J・パリス判事(ジョナサン・ヘイル)から90日の禁固を言い渡される。 有名人のエスターに説得された判事は、ノーマンを彼女の保護下に置くことで執行猶予とする。 釈放されたノーマンはエスターと共に記者に写真を撮られ、翌日の新聞で報じられる。 その後エスターは、ノーマンの世話をするために女優を辞めることを決めて、それをオリヴァーに伝える。 エスターの考えを理解したオリヴァーは、彼女の幸運を祈り立ち去る。 オリヴァーを見送ったエスターは、オスカーを見つめながら涙する。 2人の話を聞いていたノーマンは、涙ぐむエスターと話し、浜辺を散歩してくることを伝える。 エスターを抱きしめたノーマンは、夕陽が沈む水平線を見つめる。 もう一度、顔を見せてほしいとエスターに伝えたノーマンは、彼女に微笑み外に出る。 海岸に向かったノーマンは、ガウンを脱いで入水自殺する。 その後、ノーマンの遺体はマリブ沖で発見され、その記事を読んだマットは祝杯を挙げる。 悲しみの中で葬儀を済ませたエスターは、故郷に戻ろうとする。 エスターを訪ねた祖母レティは、再会を喜び孫娘を抱きしめる。 落ち込むエスターを励ましたレティは、諦めるべきではないと助言する。 レティは、”ヴィッキー・レスター”の祖母であることを誇りに思い、生き甲斐だったことをエスターに話す。 試練である悲劇を乗り越えれば大きくなれるが、諦めれば一生、臆病者と言われ、自分自身からは逃げらえないと、レティはエスターに伝える。 結婚した時にノーマンから届いた手紙のことを話すレティは、彼の愛情の深さが伝わってきたと言って、自分の捧げた愛で臆病になったことをノーマンは喜ばないとエスターに伝える。 旅立つことをやめたエスターは、このまま女優の道を歩む決心をする。 レティは、エスターを抱きしめる。 ”チャイニーズ・シアター”。 エスターは、レティとオリヴァー、そしてダニーを伴い到着する。 コメントを求められたレティは、ハリウッドを目指す人々を励ますスピーチをする。 ノーマンの手形が目に入ったエスターは動揺するものの、オリヴァーに支えられる。 メッセージを求めらえたエスターは、マイクに向かう。 ”皆さん、私は、ノーマン・メイン夫人です・・・”
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仕事が見つかったダニーは、エスターとお祝いをすることになりコンサートを聴きに行く。
別荘にいたノーマンは、記者のアーティ・カーヴァー(ジェド・プルーティ)からの電話を受け、契約解消のことなどを訊かれ、エスターの取材について話をする。
ノーマンが現れないことを気にするエスターは、オリヴァーと共に主演女優賞の発表を待つ。
療養所から戻ったノーマンは、バーでジンジャエールを飲んでいたが、そこに現れたマットから、今まで迷惑をかけられたことで非難される。
復帰したエスターは、新作のプレミアの日を迎える。
参考:
「スター誕生」(1937)
「スター誕生」(1954)
「スター誕生」(1976)
「アリー/スター誕生」(2018)
*(簡略ストー リー)
ノースダコタ州の農家の娘エスター・ヴィクトリア・ブロジェットは、女優になる夢を諦めきれず、祖母レティに励まされてハリウッドに向かう。
しかし、エキストラの仕事でさえ見つからないエスターは、助監督のダニーと親交を深めながら、ひたすらチャンスを待つ。
そんな時エスターは、アルコール依存症のために人気が落ちていたとは言え大スターのノーマン・メインに気に入られ、スクリーンテストを受けることになる。
それが評価されたエスターは、プロデューサーのオリヴァーと契約し、”ヴィッキー・レスター”の芸名でデビューする。
その後、エスターの演技は絶賛される一方、共演したノーマンの名声は消え去っていく・・・。
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デヴィッド・O・セルズニックが製作と脚本を担当し、原案を兼ねたウィリアム・A・ウェルマンが監督した作品。
1932年公開の”栄光のハリウッド”と内容が類似していることが問題になり、同作の監督ジョージ・キューカーは、セルズニックから本作の演出を依頼されるものの断った。
”RKO”がセルズニックに対し盗作訴訟を検討したことでも知ら得る作品。
また、ジョージ・キューカーは、ジュディ・ガーランドとジェームズ・メイソンが主演した「スター誕生」(1954)の監督も務めた。
ハリウッドのスターとなり夢を叶えた女優と、酒で身を亡ぼす元スターの夫の愛を描くドラマ。
感傷的になりやすい内容ではあるものの、ユーモアをまじえたウィリアム・A・ウェルマンの丁寧な演出と、彼の原案による物語の素晴らしさが印象に残る。
初期のカラー作品としても知られる本作の中で、W・ハワード・グリーンによる撮影は高く評価され、ノーマンが入水自殺する際の水平線の夕陽の美しさは注目だ。
第10回アカデミー賞では作品賞以下8部門にノミネートされ、上記の原案と特別賞(カラー撮影)を受賞した。
・ノミネート
作品、監督、助監督、主演男優(フレドリック・マーチ)、主演女優(ジャネット・ゲイナー)、脚色賞
主演のジャネット・ゲイナーは、夢を諦めずに女優になり、それに協力してくれた夫に尽くそうとする女性を見事に演じ、その夫役のフレドリック・マーチが、凋落するスターを好演している。
主人公の2人を支えるプロデューサーのアドルフ・マンジュー、主人公を励ます祖母メイ・ロブソン、主人公と親交を深める同じ下宿に住む助監督のアンディ・ディヴァイン、意地の悪い広報担当ライオネル・スタンダー、映画監督のオーウェン・ムーア、タレント・エージェント事務所の受付係ペギー・ウッド、ノーマンの恋人である女優エリザベス・ジェンズ、主人公の下宿の管理人エドガー・ケネディ、主人公の父親J.C.ニュージェント、その妹で主人公の夢を理解しないクララ・ブランディック、姿勢コーチのギン”ビッグボーイ”ウィリアムズ、飲酒運転で事故を起こしたノーマンを裁く判事のジョナサン・ヘイル、衣装係のリリアン・ハーメル、競馬場の帽子の女性キャロル・ランディス、配達人のジョージ・チャンドラー、記者のジェド・プルーティ、ノーマンと共に裁かれる男フランシス・フォードなどが共演している。