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陽のあたる場所 A Place in the Sun (1951)

1925年に発表された、セオドア・ドライザーの「アメリカの悲劇」を基に製作された、1931年のジョゼフ・フォン・スタンバーグ作品「アメリカの悲劇」のリメイク。
製作、監督ジョージ・スティーヴンス、主演モンゴメリー・クリフトエリザベス・テイラーシェリー・ウィンタースアン・リヴィアレイモンド・バー共演によるロマンス・ドラマの秀作。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(ロマンス)

エリザベス・テイラー / Elizabeth Taylor / Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:ジョージ・スティーヴンス

製作:ジョージ・スティーヴンス
原作:セオドア・ドライザー
脚色:
マイケル・ウィルソン

ハリー・ブラウン
撮影:ウィリアム・C・メラー
編集:ウィリアム・ホーンベック
衣装デザイン:イデス・ヘッド
音楽:フランツ・ワックスマン

出演
モンゴメリー・クリフト:ジョージ・イーストマン
エリザベス・テイラー:アンジェラ・ヴィッカーズ
シェリー・ウィンタース:アリス・トリップ
アン・リヴィア:ハンナ・イーストマン
レイモンド・バー:フランク・マーロー地方検事
ハーバート・ヘイズ:チャールズ・イーストマン
シェパード・ストラドウィック:アンソニー・ヴィッカーズ
フリーダ・アイネスコート:アン・ヴィッカーズ
キーフェ・ブラッセル:アール・イーストマン
イアン・ウォルフ:ウィーランド医師

アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1951年製作 121分
公開
北米:1951年8月14日
日本:1952年9月24日
製作費 $2,295,300


アカデミー賞 ■
第24回アカデミー賞

・受賞
監督・脚色・編集・撮影(白黒)・作(コメディ・ドラマ映画)曲・衣装デザイン(白黒)賞
・ノミネート
作品
主演男優(モンゴメリー・クリフト
主演女優(シェリー・ウィンタース


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
貧しい青年ジョージ・イーストマン(モンゴメリー・クリフト)は、シカゴのホテルでボーイをしていたところ、偶然出会った水着工場を経営する叔父チャールズ・イーストマン(ハーバート・ヘイズ)に誘われ、彼の会社を訪れる。

不在だったチャールズからの連絡で、彼の屋敷に招かれたジョージは、場違いな雰囲気に戸惑いながらも、宗教活動に没頭する母ハンナ(アン・リヴィア)の話などをしてその場をやり過ごす。

そこに、社交界にデビューしたばかりの女性アンジェラ・ヴィッカーズ(エリザベス・テイラー)が現れる。

ジョージは、自分とは全く無縁の世界に生きるアンジェラに魅力を感じる。

翌日、チャールズの息子アール(キーフェ・ブラッセル)の計らいで、工場に職を得たジョージは、社員の90%を占める女性社員との交際は禁じられる。
...全てを見る(結末あり)

工場で働き始めたジョージは、アンジェラのことを忘れかけていた頃、若い女性工員で職場の同僚アリス・トリップ(シェリー・ウィンタース)に、映画館で偶然出くわす。

アリスは、今は工場働きのジョージも、イーストマンの名前で出世すると言って、彼を特別な目で見る。

ジョージは謙遜して、自分と境遇が似ているアリスに優しく接し、以前から気になっていた彼女に、気持ちを打ち明けて抱きしめる。

社員同士の交際を禁止されているジョージとアリスだったが、その後もデートを重ね、やがて二人は結ばれる。

その後、工場の視察に訪れたチャールズは、ジョージが未だに包装係をしているのを知り、彼を昇進させることにする。

野心があるジョージは、チャールズに提案したいレポートを渡そうとしたため、翌月の、屋敷のパーティーに招待される。

その日はジョージの誕生日で、アリスはそれに不満を漏らすが、すぐ帰る約束で、ジョージはパーティーに出席することにする。

そしてパーティー当日、知り合いもいないジョージが、一人で過ごしていると、アンジェラが偶然、彼を見かけて声をかけてくる。

アンジェラは、上流階級の男達にはない、ジョージの素朴な魅力に惹かれ、意気投合した二人は、時を忘れてその場を過ごす。

誕生祝の支度をして、ジョージを待っていたアリスは、ようやく現れた彼に不満を言う。

アリスは、妊娠しているかもしれないことをジョージに伝えて、二人は不安を抱える日々を送ることになる。

そんな時、アンジェラから誘われたジョージは、アリスに内緒で付き合ってしまう。

ジョージは、アンジェラの魅力にとり憑かれてしまい、同じ気持ちの彼女と夢心地の時を過ごす。

そんなジョージは、妊娠したアリスのことで悩み、蓄えのない二人は、ウィーランド医師(イアン・ウォルフ)に相談するが、解決策は見つからなかった。

休暇をとり、他所の土地で結婚することを決めた二人だったが、アリスを事故死させる考えがジョージの脳裏を過ぎる。

アンジェラはそんなこととも知らず、両親がジョージを湖畔の別荘に招待しようとしていることを彼に告げる。

ジョージはそれを断れず、叔父チャールズから湖畔に呼ばれ、それに行けば特別手当が出ると、アリスに嘘をつき、アンジェラとの情事を楽しむ。

アンジェラの両親、アンソニー(シェパード・ストラドウィック)とアン(フリーダ・アイネスコート)は、気まぐれな娘の様子をみることにする。

その頃、ジョージが、アンジェラと豪遊する新聞記事の写真で知ってしまったアリスは、湖畔に向かい彼を呼び出す。

迎えに来たジョージに、結婚を迫るアリスだったが、裁判所が休みだったために、二人は湖畔のロッジに向かい、翌日、出直すことにする。

ジョージは、車のガソリンが切れたことにして、湖でボートを借りる。

気を取り戻したアリスはそれを喜ぶのだが、今後、質素な生活ができれば満足だと言う彼女の話に、既に上流社会を知ってしまったジョージは耐えられなくなる。

アリスに対して、声を荒げてしまったジョージだったが、それを見て動揺した彼女と共に、二人は誤って湖に転落してしまう。

泳げないアリスを助けないまま、岸辺にたどり着いたジョージは、途中、ボーイスカウトに出くわすものの、道に迷ったことにして車で別荘に戻る。

その後、フランク・マーロー地方検事(レイモンド・バー)による、カップルの溺死事件の捜査も始まる。

マーローは、溺死した女性アリスの身元と、貸しボート屋の証言で、相手の男が車で逃走したらしいことを知る。

アリスが溺死したことを知ったジョージは、アンジェラの父アンソニーに、恵まれない身の上に育ったことを正直に話す。

アンソニーは、正直なジョージを理解するのだが、いくつもの痕跡を残してしまった事件への不安を抱えながら、ジョージはアンジェラとの時を過ごす。

やがて、アリスの部屋の家主の証言で、相手の男がジョージだということが分かる。

別荘に戻ったジョージは、警察が来ることを知り森に逃走するが、マーロー達に逮捕されてしまう。

失意のアンジェラは、それを知り卒倒してしまい、療養する日々を送る。

裁判で、ジョージは、直接手を下していないことを主張するが、マーローは、状況証拠をつきつけて彼を厳しく追及する。

そして判決は下り、ジョージは第1級殺人罪で有罪となり死刑が言い渡される。

死刑執行の日、面会に来た母ハンナは、神の言葉で息子を導く。

同行した神父は、手を下したことが問題ではなく、”殺意”があったことが罪だと説く。

ジョージは面会に来たアンジェラに、罪を償うべきだと悟ったとこと伝え、永遠の愛を誓う彼女に、自分のことを忘れるよう伝えて、別れを告げる。

そして、ジョージは、アンジェラとの日々を想いながら処刑室へと向かう。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
貧しい青年ジョージ・イーストマンは、偶然出会った、叔父チャールズの経営する会社で働くことになる。
面倒見のいいチャールズは、ジョージを屋敷に招待したりもするが、彼は場違いな雰囲気になかなか馴染めない。
そんな時、富豪令嬢アンジェラの存在を知ったジョージは、一目で彼女に惹かれるものの、生きる世界の違いを痛感する。
そんなジョージは、同僚で自分と同じような境遇に育ったアリスと付き合い始める。
社員同士の交際を禁じられている二人だったが、ようやく心の拠り所を見つけたジョージの前に、彼の存在に気づいたアンジェラが、歩み寄ってくる・・・。
__________

主役三人の演技を十分に引き出し、束の間の幸せと大きな悲劇のギャップを、繊細なタッチで描く、アカデミー監督賞受賞のジョージ・スティーヴンスの演出は見事だ。

ドラマチックなフランツ・ワックスマンの音楽、大自然のロケを多用したウィリアム・C・メラーの撮影、そして、役者の表情を見事に捉えるカメラワークなども秀逸だ。

1991年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。

第24回アカデミー賞では作品賞以下9部門にノミネートされ、監督、脚色、編集、撮影(白黒)、作曲(コメディ・ドラマ映画)、衣装デザイン(白黒)賞を受賞した。
・ノミネート
作品
主演男優(モンゴメリー・クリフト
主演女優(シェリー・ウィンタース

伝説的とも言われる、モンゴメリー・クリフトエリザベス・テイラーのロマンスは、当時、最高潮に達し、二人の真に迫るラブシーンは話題を呼んだ。

貧しさゆえに出世を夢見て、ほんの一瞬味わった上流社会の世界に、愚かにも足を踏み入れてしまい、それが悲劇につながる。

信仰と共に貧しく育った、心の未熟な青年の惨めさや、情愛をからだ全体で表現して見せる、モンゴメリー・クリフトの演技の素晴らしさ。

当時19歳のエリザベス・テイラーの美しさと愛情表現は、アップのショットを多く使ったことにより、スクリーン上で一際輝いている。

私の年代だと、「ポセイドン・アドベンチャー」(1972)の太った夫人役のシェリー・ウィンタースがお馴染みだが、どうみても助演のように思える彼女を、アカデミー主演賞にノミネートした選考に拍手を贈りたいほど、素晴らしい演技を見せてくれる。
彼女とモンゴメリー・クリフトは「赤い河」(1948)でも共演している。
彼女は後に「アンネの日記」(1959)と「いつか見た青い空」(1965)でアカデミー助演賞を受賞し、上記「ポセイドン・アドベンチャー」(1972)でもノミネートされた実力派女優だ。

宗教活動に身を捧げる、主人公の母親アン・リヴィア、地方検事レイモンド・バー、叔父のハーバート・ヘイズ、その息子キーフェ・ブラッセル、アンジェラ(E・テイラー)の両親シェパード・ストラドウィックフリーダ・アイネスコート、医師イアン・ウォルフなどが共演している。


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