マルクス兄弟が無名のオペラ歌手と恋人のソプラノ歌手の恋のキューピット役になるという物語。 製作アーヴィング・タルバーグ、監督サム・ウッド、主演グルーチョ・マルクス、ハーポ・マルクス、チコ・マルクス。 マルクス兄弟の作品中、最高傑作の呼び声も高い大爆笑コメディ。 |
・コメディ
■ スタッフ キャスト ■
監督:サム・ウッド
製作:アーヴィング・タルバーグ
原作:ジェームズ・ケヴィン・マッギネス
脚本:ジョージ・S・カウフマン
撮影:メリット・B・ガースタッド
編集:ウィリアム・レヴァンウェイ
出演
グルーチョ・マルクス:オーティス・B・ドリフトウッド
ハーポ・マルクス:トマッソ
チコ・マルクス:フィオレロ
キティ・カーライル:ローザ・キャスタルディ
アラン・ジョーンズ:リカルド”リッキー”バローニ
ウォルター・ウォルフ・キング:ロドルフォ・ラスパリ
マーガレット・デュモント:クレイプール夫人
シグ・ルーマン:ハーマン・ゴットリーブ
アメリカ 映画
配給 MGM
1935年製作 96分
公開
北米:1935年11月15日
日本:1936年4月16日
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ミラノ。
旅行中であった富豪の未亡人クレイプール夫人(マーガレット・デュモント)の知人オーティス・B・ドリフトウッド(グルーチョ・マルクス)は、夫人との結婚を望んでいた。
オーティスは、クレイプール夫人の社交界入りを約束していたために、自分の所属するニューヨーク・オペラ団の団長ハーマン・ゴットリーブ (シグ・ルーマン)を紹介する。
ゴッドリープは、クレイプール夫人から20万ドルの出資を受けて、世界的なテノール歌手ロドルフォ・ラスパリ(ウォルター・ウォルフ・キング)と契約を結ぼうとする。
ラスパリの付き人トマッソ(ハーポ・マルクス)は、意地の悪い彼を嫌っていた。
劇場の下積み歌手リカルド・バローニ(アラン・ジョーンズ)は、素質はあるもののチャンスを掴めずにいた。 ラスパリは、ソプラノ歌手のローザ・キャスタルディ(キティ・カーライル)に好意を抱いていた。 しかし、ローザはリカルドに惹かれ、彼がいつか成功することを願っていた。 そんな時、リカルドと共に音楽を勉強した仲のフィオレロ(チコ・マルクス)が劇場を訪れ、その場にいた知人のトマッソとの再会を喜ぶ。 フィオレロはリカルドの元に向かい、有名でもない彼と組みマネージャーに成りすます。 ゴットリーフはクレイプール夫人との契約を済ませようとして、彼女の代理人だというオーティスを無視する。 ラスパリは、トマッソからゴットリーフの名刺を渡され、オペラ団にローザも誘おうとするものの、彼女はそれに関心を示さずに、リカルドと共にその場を去る。 トマッソが、自分に酷い仕打ちばかりするラスパリを殴って気絶させて、その場に現れたオーティスは、それがテノール歌手とは知らない。 そこに現れたフィオレロは、歌手を捜しているオーティスに、自分がそのマネージャーだと偽る。 フィオレロは、ニューヨークのオペラ団にリカルドを入団させようと考え、オーティスと金銭面の交渉を始め契約する。 結局は、ラスパリとローザはゴットリーフと契約してアメリカ行きの船に乗船する。 ローザはリカルドとの別れを惜しみ歌を捧げ、彼もそれに応える。 その歌声をゴットリーブに認めてもらおうとしたローザだったが、リカルドの知名度の低さを指摘される。 船は出航し、悲しむローザに、オーティスはリカルドからの電報を渡して彼女を慰める。 オーティスは、クレイプール夫人の部屋に向かい彼女を口説こうとする。 それに応じない夫人を、オーティスは強引に部屋に誘うことで話をつける。 巨大なトランクと共に狭い部屋に向かったオーティスは、その中に隠れていたリカルド、フィオレロ、トマッソがニューヨークに向かうことを考えていることを知る。 空腹だという三人のために、オーティスは食事を注文し、その後、二人のメイドがベッドを直しに現れる。 暖房を直す技士、ネイリスト、巨漢の技士の助手、伯母を捜しに来た女性、床掃除、大量の食事を運ぶ三人のウェイターが狭い部屋に入り、その場は大混乱となる。 そこにクレイプール夫人が現れるが、ドアから人が溢れでる。 やがてディナーが始り、オーティスは、リカルドを歌手として評価していることをローザに伝える。 その頃、部屋を抜け出したリカルド、フィオレロ、トマッソは、甲板で3等客の宴が開かれていることを知り、彼らは歓迎されて空腹を満たす。 三人は、歌やピアノ、それにハープなどを披露するものの、 ラスパリに見つかり監禁されてしまう。 トマッソは窓から外に出てロープを使い、空の英雄三人組の船室に侵入し、彼らが伸ばしていた髭を切って持ち帰る。 船はニューヨークに到着し、三人は、空の英雄の髭を付けて彼らに扮し、オーティスは通訳と偽る。 オーティスと三人は市長の歓迎式典に向かい、フィオレロが挨拶を始める。 その後、市長がトマッソに演説を求めたため、言葉が話せない彼は焦り、その場にあった水をがぶ飲みする。 その水で濡れた髭が取れてしまったため、彼らは偽者だとばれてしまう。 その場から逃亡した三人は、市長を騙したとことで新聞でも報道されてしまう。 オーティスに匿ってもらった三人は、彼の協力で現れた刑事の捜査をかわす。 リカルドはローザの元に向かい、それを知ったラスパリは、親密な二人に嫉妬し彼女ををクビすることを考える。 オーティスは劇場に向かうが、リカルド、フィオレロ、トマッソとの関係を続けオペラ団の名を傷つけたため、クレイプール夫人やゴットリープは彼を見限る。 その後、オーティスと三人が途方に暮れているところに現れたローザも、クビになったことを彼らに伝える。 ニューヨークでのラスパリ初演の日、オーティス、フィオレロ、 トマッソ、リカルドは、劇場に忍び込みローザを出演させるようゴットリーブに迫る。 4人は、警察を呼ぼうとするゴットリーブを気絶させて監禁する。 桟敷席のクレイプール夫人の元に向かったオーティスは、彼女の支援により公演が決まったことを観客に知らせる。 トマッソとフィオレロが楽団に加わり、ゴットリープが拘束を逃れてその場に現れる。 劇場は混乱し、オーティスとトマッソ、フィオレロは一旦その場から逃れ、再び役者などに扮して戻る。 刑事も現れてゴットリープと共に三人を捜し、トマッソが舞台裏に逃れてその場は混乱する。 ラスパリが連れ去られていたためにテノールがいなくなり、困ったゴットリーブは、リカルドとローザを代役にして舞台を続ける。 リカルドとローザは観客から喝采を受け、現れたラスパリは観客から罵声を浴びせられる。 オーティスらは警官に取り押さえられ、アンコールを求める観客に応えるよう、ゴットリープはリカルドに指示する。 リカルドは、オーティスらと同罪で逮捕されては歌えないと答える。 クレイプール夫人に契約するよう促されたゴットリープは、リカルドやオーティスの条件を聞き入れる。 そして、ローザとリカルドは舞台に上がり、アンコールに応える。
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*(簡略ストー リー)
ミラノ。
旅行中である富豪の未亡人、クレイプール夫人の知人オーティス・B・ドリフトウッドは、彼女との結婚を望んでいた。
そのために、オーティスは夫人の社交界入りを約束して、所属しているニューヨーク・オペラ団団長のゴッドリープを紹介する。
ゴッドリープは、クレイプール夫人から20万ドルの出資で、世界的テノール歌手ラスパリと契約を結ぼうとする。
ラスパリは、ソプラノ歌手ローザに好意を持つが、彼女は、劇場の下積み歌手のリカルドに惹かれ、彼がいつか成功することを願っていた。
ラスパリとローザは、ゴットリーフと契約することになり、ニューヨーク行きの船に乗船するものの、彼女はリカルドとの別れを惜しむ。
そこでリカルドは、ラスパリを嫌っている付き人のトマッソと、共に音楽を学んだ仲のフィオレロとで、オーティスのトランクに忍び込み、ニューヨーク行きの船に密航するのだが・・・。
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マルクス兄弟が、前作「我輩はカモである」(1933)の大失敗でパラマウントから契約解除され、MGMに移り製作した第1回作品。
作品は絶賛されて大ヒットし、ミュージカル仕立てのようなシーンもある、MGMらしい作品に仕上がっている。
監督は、「打撃王」(1942)や「誰が為に鐘は鳴る」(1943)など、シリアス・ドラマが得意なサム・ウッドだけあり、極端なハチャメチャ・コメディではなく確りしたストーリーだというところが注目だ。
グルーチョ・マルクスの、人を食ったような表情と抜群のマシンガントークは冴え渡り、チコとハーポの体を張った演技も見ものだ。
最も笑わせてくれるのは、トランクに忍び込み船に密航したチコとハーポらが、グルーチョの狭い部屋で、様々な人々とすし詰め状態になってしまうシーンだ。
マルクス兄弟の作品に数多く出演する、今回もクレイプール夫人役のマーガレット・デュモント曰く、兄弟は、普段から映画と同様に騒がしい私生活を送っていたらしい。
今回ももちろん、チコはピアノ、ハーポはハープの見事な演奏を見せてくれる。
しかもハーポはピアノも弾いて、子供達を笑わせているが、よく見ると、そのハープやピアノの演奏に聴き惚れているエキストラもいる。
クライマックスのオペラの大騒動は、「ファール・プレイ」(1978)のラストを思い起こさせる。
オペラ歌手キティ・カーライル、その恋人でオペラ団の入団で夢を叶えるテノール歌手役のアラン・ジョーンズ、その敵役で世界的なテノール歌手のウォルター・ウォルフ・キング、そして、主人公らに翻弄されるオペラ団団長シグ・ルーマン等が共演している。