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マルクス一番乗り A Day at the Races (1937)

経営不振の療養所を救おうとする獣医らが巻き起こす騒動を描く、製作、監督サム・ウッド、主演グルーチョ・マルクスチコ・マルクスハーポ・マルクスアラン・ジョーンズモーリン・オサリヴァン他共演のコメディ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


コメディ


スタッフ キャスト
監督:サム・ウッド

製作
サム・ウッド
アーヴィング・タルバーグ(クレジットなし)
ローレンス・ウェインガルテン(クレジットなし)
脚本
ロバート・ピロッシュ
ジョージ・シートン
ジョージ・オッペンハイマー
撮影:ジョセフ・ルッテンバーグ
編集:フランク・E・ハル
音楽:フランツ・ワックスマン

出演
ヒューゴ・Z・ハッケンブッシュ博士:グルーチョ・マルクス
トニー:チコ・マルクス
スタフィ:ハーポ・マルクス
ギル・スチュワート:アラン・ジョーンズ
ジュディ・スタンディッシュ:モーリン・オサリヴァン
エミリー・アップジョン:マーガレット・デュモン
ホイットモア:レナード・シーリー
J.D.モーガン:ダグラス・ダンブリル
フロー・マーロウ:エスター・ミューア
レオポルド・X・スタインバーグ博士:シグ・ルーマン
保安官:ロバート・ミドルマス
ダンサー:ヴィヴィアン・フェイ
歌手:アイヴィー・アンダーソン

アメリカ 映画
配給 MGM
1937年製作 109分
公開
北米:1937年6月11日
日本:1938年3月日 未公開


アカデミー賞
第10回アカデミー賞

・ノミネート
ダンス監督賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
競馬場の近くにあるスタンディッシュ療養所の経営者ジュディ・スタンディッシュ(モーリン・オサリヴァン)は、職員のトニー(チコ・マルクス)と共に駅に向かうものの、誰も興味を示してくれなかった。

ジュディから、このままでは雇い続けられないと言われたトニーは、報酬なしでも働くことを彼女に伝える。

トニーの気持ちはありがたく思うものの、経営困難が続いているジュディの心は沈む。

患者である富豪夫人エミリー・アップジョン(マーガレット・デュモン)を共同経営者にすることをトニーに提案されたジュディは、施設に戻る。

ところが、エミリーが施設を去ろうとしていたために驚いたジュディは、オフィスにいた歌手志望の恋人ギル・スチュワート(アラン・ジョーンズ)にそのことを伝えて涙する。
...全てを見る(結末あり)

競走馬を全財産の1500ドルで買ったギルから、レースに勝った賞金で療養所が再建できると言われたジュディは、そんな話を喜べるはずもなく返金してもらうべきだと意見する。

憤慨したギルは、頑固なジュディを非難してその場を去る。

エミリーが、フロリダ一の医師ハッケンブッシュ博士の療養所に行くつもりだと知ったトニーは、彼が施設に来ることを装う。

それを知ったエミリーは喜び、ジュディに博士が院長なら資金援助することを伝えて、荷物を部屋に戻す。

戸惑うジュディだったが、トニーは、フロリダのハッケンブッシュ博士を呼び寄せるために電報を打つ。

電報を受け取った獣医のヒューゴ・Z・ハッケンブッシュ博士(グルーチョ・マルクス)は、エミリーのことを思い出して療養所に向かう。

事務長のホイットモア(レナード・シーリー)と共謀し施設を乗っ取ろうと考えている債権者のJ.D.モーガン(ダグラス・ダンブリル)から、施設の引き渡しの期限がきたことを知らされたジュディは困惑する。

ハッケンブッシュ博士が来ることをエミリーから知らされたジュディは、モーガンとホイットモアに、あと1か月頑張ることを伝える。

そこにハッケンブッシュが現れ、興奮するエミリーは皆に彼を紹介する。

雇うべきではないとジュディに忠告したホイットモアは、ハッケンブッシュに医師としての経歴を尋ね、まともに答えない彼を疑う。

ファンファーレが聴こえたハッケンブッシュは、ホイットモアの話も聞かずに競馬場に向かう。

馬主のモーガンから負けるように指示されていた騎手のスタフィ(ハーポ・マルクス)は、レースに勝ってしまう。

憤慨したモーガンに追われたスタフィは、厩舎にいたギルに匿ってもらい、現れた友人のトニーの話を聞く。

次のレースに賭けようとしたトニーは、現れたハッケンブッシュに声をかけ、予想屋を装い情報を買ってもらう。

ハッケンブッシュを騙したトニーは、彼から巻き上げた金を賭けて勝つ。

施設に戻ったハッケンブッシュは、ホイットモアが自分のことを調べていることを知り、医師会の職員に扮して彼と電話で話し適当に対応する。

ホイットモアとモーガンが施設を乗っ取ろうとしていることをスタフィに話したトニーは、患者に扮して見張るよう指示する。

院長室に向かったトニーは、ハッケンブッシュとは競馬場で会っていたために驚く。

スタフィの診察してもらったトニーは、ハッケンブッシュが獣医だということを知り、焦る彼に、このままエミリーの機嫌を取るよう指示し、従わなければ通報すると言って脅す。

そのことをギルに話したトニーは、驚く彼に、手に入れた競争馬”ハイ・ハット”でレースに勝ち大金を稼ぐしかないことを伝える。

水上カーニバルが開催され、ハイ・ハットの餌代を稼ごうとしたギルが歌手として登場し、仲たがいしていたものの、ジュディは彼のことが気になる。

トニーとスタフィは、仲直りしたジュディとギルの様子見守り、ハッケンブッシュはエミリーと踊る。

ホイットモアは、施設の事務員フロー・マーロウ(エスター・ミューア)に指示して、ハッケンブッシュを誘惑させる。

保安官(ロバート・ミドルマス)に餌代の借金があるトニーは、彼から逃げてバンドに加わり、ピアノを演奏する。

演奏を終えたトニーはその場から逃げ去り、代わってピアノを弾いたスタフィは、それを壊してしまう。

ピアノの弦をハープにしたスタフィは、見事な演奏をして喝采を受け、その場から逃げる。

フローは、12時にハッケンブッシュの部屋に行くことをホイットモアに伝える。

その場にエミリーを連れて行くつもりのホイットモアは、これでハッケンブッシュは解雇されるだろうと考える。

その話を聞いていたスタフィは、それをトニーに知らせる。

スタフィと共にハッケンブッシュの部屋に向かったトニーは、フローと共に楽しんでいた彼に、騙されていることを伝える。

何度も追い払われながらも何とか二人の邪魔したトニーとスタフィは、ホイットモアに連れて来られたエミリーに、疑われることはなかった。

翌日、昨夜のことをハッケンブッシュに謝罪したエミリーは、施設に資金援助をすれば許すと言われ、ギルからは、その契約書のサインを求められる。

ホイットモアからウィーンの名医レオポルド・X・スタインバーグ博士(シグ・ルーマン)を紹介されたエミリーは、健康に見えると言われたために戸惑う。

ホイットモアの提案でエミリーの検査をすることになったハッケンブッシは焦り、逃げようとする。

自分の部屋でハイ・ハットを匿っていることに驚いたハッケンブッシュは、ギル、トニーとスタフィに説得されて、仕方なく診察室に向かう。

トニーとスタフィを助手にしたハッケンブッシュは、スタインバーグから、エミリーは正常だと言われ、適当に診察を始めて騒ぎを起こし、現れたハイ・ハットに乗ってその場を去る。

ハッケンブッシュらと厩舎に隠れていたギルは、毛布を持ってきてくれたジュディから、施設のことは諦め気落ちする彼女を励ます。

トニーらは、黒人の子供たちや使用人と共に歌い踊り、大いに楽しむ。

モーガンや保安官と共に現われたホイットモアから、獣医だとバレていると言われたハッケンブッシュは、トニーらと共にスタフィが乗って逃げたハイ・ハットを追う。

車などを飛び越えるハイ・ハットが障害馬だと気づいたギルは、土曜日の障害レースに出場することを考える。

レース当日。
モーガンとホイットモアは、ハイ・ハットが賞金5万ドルがかかったレースに出場するのを阻止しようとする。

ギルとジュディが、偽装救急車でハイ・ハットを運んできたことに気づいたモーガンらは、彼らを捕えて仲間を捜す。

それを知ったトニーらはその場を混乱させ、レースの開始を遅らせてハイ・ハットを捜す。

ギルとハイ・ハットを偽装救急車に乗せていた保安官は、事故に気づき、怪我人を助けようとする。

倒れていたのはジュディで、ギルは、ハイ・ハットを救い出そうとする彼女の考えを知る。

保安官を信用させて病院に向かわせたギルとジュディは、ハイ・ハットを連れて競馬場に戻る。

レースは始まり、トニーとハッケンブッシュがそれを妨害し、ハイ・ハットにスタフィを乗せたギルは出走させようとする。

再スタートが切られ、ハイ・ハットも加わるものの障害を越えることができない。

スタフィから、嫌っているモーガンの写真を見せられ興奮したハイ・ハットは、障害を飛び越える。

スタフィは写真を落としてしまい、それを知ったジュディは、モーガンの声をハイ・ハットに聴かせることを考える。

モーガンを怒らせたトニーとハッケンブッシュは、その声をマイクで場内に流し、それを聴いたハイ・ハットは興奮して先頭に迫る。

モーガンの馬との一騎打ちになったスタフィは障害で転倒し、泥だらけになりながら激走するものの敗れてしまう。

優勝馬がモーガンに襲いかかったために、それがハイ・ハットだと気づいたスタフィは、泥を落としてゼッケンを確認する。

ハイ・ハットの優勝が決まり、得意げに馬に乗ったスタフィは皆に称えられる。

ギルとジュディそしてトニーは喜び、ハッケンブッシュはエミリーに結婚を申し込む。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
財政難の療養所を経営するジュディは、富豪夫人のエミリーの資金援助に期待するものの、彼女が施設を出ることを知り困惑する。
職員のトニーは、エミリーがヒューゴ・Z・ハッケンブッシュ博士の元に向かうことを知り、彼を院長にすることをジュディに提案する。
早速、呼び寄せられた実は獣医のハッケンブッシュは、債権者のモーガンが事務長のホイットモアと組んで施設を乗っ取ろうとしていることも知らずに、院長に就任するのだが・・・。
__________

傑作コメディとして高い評価を得て大ヒットした「オペラは踊る」(1935)に続く”マルクス兄弟”による大爆笑コメディ。

前作同様サム・ウッドが製作を兼ねて監督し、同じくアーヴィング・タルバーグはクレジットなしで製作に参加している。

大奮闘するマルクス兄弟が巻き起こす騒動に加え、MGM映画らしいレビューや歌のパフォーマンスなど、ミュージカル風のシーンも多く、見所満載の作品に仕上がっている。

第10回アカデミー賞では、ダンス監督賞にノミネートされた。

もちろん、お馴染みのチコによる見事なピアノや、壊したピアノの弦をハープのように使ったハーポの演奏シーンも登場し、クライマックスでは、競馬の障害レースが迫力ある映像で映し出され、更には、気の利いたオチなど、ファンを大いに楽しませてくれる。

田舎の獣医であるにも拘らず、診療所の院長として迎えられて騒動を巻き起こすグルーチョ・マルクス、療養所の職員として、若い女性経営者を財政難から救うために奮闘するチコ・マルクス、彼に協力する友人で騎手のハーポ・マルクス、経営難の療養所を何とか救おうとするモーリン・オサリヴァン、その恋人である歌手のアラン・ジョーンズ、療養所への資金援助を求められる、主人公に惹かれる富豪夫人マーガレット・デュモン、療養所を乗っ取ろうとする事務長のレナード・シーリーと債権者のダグラス・ダンブリル、彼らに加担する事務員のエスター・ミューア、呼び寄せられるウィーンの名医シグ・ルーマン、保安官のロバート・ミドルマス、ダンサーのヴィヴィアン・フェイ、歌手のアイヴィー・アンダーソンなどが共演している。


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