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危険なメソッド A Dangerous Method (2011)

世界的な心理学者カール・グスタフ・ユングと師でもあるジークムント・フロイトの女性患者ザビーナ・シュピールラインとの関係を描く、監督デヴィッド・クローネンバーグ、出演マイケル・ファスベンダーヴィゴ・モーテンセンキーラ・ナイトレイヴァンサン・カッセル他共演の歴史ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


・ドラマ

マイケル・ファスベンダー / Michael Fassbender / Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:デヴィッド・クローネンバーグ

製作:ジェレミー・トーマス
原作
クリストファー・ハンプトン”The Talking Cure”(舞台)
ジョン・カー”A Most Dangerous Method: The story of Jung, Freud, and Sabina Spielrein”
脚本:クリストファー・ハンプトン

撮影:ピーター・サシツキー
編集:ロナルド・サンダース
音楽:ハワード・ショア

出演
カール・グスタフ・ユングマイケル・ファスベンダー

ジークムント・フロイトヴィゴ・モーテンセン
ザビーナ・シュピールラインキーラ・ナイトレイ
オットー・グロスヴァンサン・カッセル
エマ・ユングサラ・ガドン

イギリス/ドイツ/カナダ 映画
配給 ソニー・ピクチャーズ・クラシックス

2011年製作 99分
公開
イギリス:2012年2月10日
ドイツ:2011年11月10日
カナダ:2012年1月13日
北米:2011年11月23日
日本:2012年10月27日
製作費 €15,000,000
北米興行収入 $5,702,080
世界 $27,462,040


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1904年8月17日、チューリッヒブルクヘルツリ病院
精神科医で心理学者でもあるのカール・グスタフ・ユング(マイケル・ファスベンダー)は、運び込まれた統合失調症患者で、ロシア人のザビーナ・シュピールライン(キーラ・ナイトレイ)の分析を始める。

裕福な家庭に育ったユダヤ人のザビーナは、医学を目指したいということだった。

ユングは、オーストリアの精神分析学の権威のジークムント・フロイト(ヴィゴ・モーテンセン)の”談話療法”に興味を抱いていたため、それをザビーナに試そうとする。

兵役で2週間留守にしていたユングは病院に戻り、変化のないザビーナに対し、医学に興味があるなら自分の助手になってみてはどうかと提案する。

エマ(サラ・ガドン)に分析実験に協力してもらったユングは、助手を務めたザビーナが、鋭い観察力を持っていることを知る。
...全てを見る(結末あり)

やがてエマは女の子を出産し、男の子を望んでいたユングに謝罪するものの、彼は娘の誕生を喜ぶ。

ユングザビーナの治療を続け、彼女が父親に鞭打たれたことで興奮し、酷い仕打ちを求めるようになってしまったことを知る。

1906年3月3日、オーストリアウィーン
エマと共にフロイトの屋敷を訪ねたユングは、ザビーナが、マゾヒズムに執着する、実に興味深い患者であることを伝える。

フロイトと初対面で多くを語り合ったユングは、彼には、従いたい気にさせる、強い意志を感じることをザビーナに伝える。

また、フロイトが、全ての症状を性的な考えで解釈することに関して、柔軟性のなさをユングは指摘する。

そんなユングは、医師になる夢を語るザビーナに、なれると言って励ます。

ユングフロイトの依頼を受けて、精神症者である精神科医オットー・グロス(ヴァンサン・カッセル)の分析を始め、彼が患者の自殺を助け関係を持った話などを聞かされる。

その後、ザビーナが愛情を示すようになったことでユングは戸惑うが、グロスは、単純な快楽を求めるべきだと彼に助言する。

やがてグロスは姿を消し、ユングザビーナの元に向かい激しく愛し合う。

三人目を妊娠したエマと共に、手に入れた家を見に行ったユングは、彼女にヨットを贈られる。

裕福な家庭に育ったとは言え、自分のことだけを考えてくれるエマの気持ちを考え、ユングは罪悪感を感じる。

ザビーナの元に向かったユングは、関係を止めるべきだと切り出すものの決心がつかない。

エマは、三人目でようやく希望の男の子を出産してユングを喜ばせる。

フロイトに会ったユングは、薬物依存症だったグロスには、今後近づくべきでないと言われる。

ユングは、フロイトから自分の後継者であると告げられ、それに相応しいかを考える。

グロスに影響を受けてしまったことも事実のユングは、危険な分野に足を踏み入れる思想をフロイトに指摘され戸惑う。

その後もザビーナと別れられないユングは、訪ねてきたフロイトに、患者と関係を持っていることが噂になっていると言われる。

動揺して限界に達したユングは、ザビーナと別れることを考え、エマにも、夫を手放す気のないと言われる。

訪ねて来たザビーナに、今後は医師と患者の関係を守ると伝えたユングは、彼女に顔を傷つけられてしまう。

ザビーナは、ユングに診察料を払いその場を去る。

その後、ザビーナフロイトに手紙を書き、彼はその内容をユングに知らせる。

ユングは、友情を感じていた患者だったザビーナが、自分への復讐を考えているという意見をフロイトに伝え、仲裁を依頼する。

フロイトは、これまでのユングとの”友情”を終わりにするべきだという手紙をザビーナに送る。

動揺するザビーナユングの元に向かい、病院を辞める彼に、自分に責任があることを伝えて謝罪する。

ユングは、自分達の関係を全てフロイトにを話すことをザビーナに要求される。

脅しとも取れるその言葉に加え、ザビーナフロイトの患者になることをユングに伝える。

ユングは、望み通りフロイトに手紙を書くことをザビーナに約束する。

フロイトは、ユングからの告白文を受取り、ザビーナには謝罪文を送る。

1908年。
ユングフロイトと共に、招待を受けたアメリカに渡航する。

1910年9月25日、スイスキュスナハト
ユングは、卒論の修正作業の協力を求めて訪ねて来たザビーナの要望を受ける。

二人は再び愛し合い、別れるべきだというザビーナを、ユングは離そうとしない。

1912年4月17日、ウィーン
ザビーナフロイトを訪ね、論文内容の、性の衝動が破壊的な力を示す考えなどについて聞かれる。

フロイトは、後継者だと考えていたユングを誤解していたと語り、決別は避けるべきだというザビーナに対し、関係は保つことを伝える。

更にフロイトは、お互いユダヤ人である身で、アーリア人を信じ過ぎるべきでないとザビーナに警告する。

フロイトは、招いた目的は、患者を任せたかったからだと言ってザビーナを驚かせる。

そしてフロイトは、精神症扱いされたことに抗議する手紙を送ってきたユングに別れを告げる。

1913年7月16日、キュスナハト
医師と結婚し妊娠していたザビーナエマと会い、ユングの様子がおかしいことで相談を受ける。

フロイトと別れた後からだと言うエマは、ザビーナに夫の分析を依頼する。

それを承諾したザビーナユングに会い、彼がフロイトの治療法で、自分を治したことなどを語る。

全てを受け入れる気にならないユングは、ザビーナに似たユダヤ人患者の愛人がいることなども話す。

抜け殻のようなユングを愛しく思うザビーナは、彼も同じ気持ちだと知りながらその場を去る。
__________

オットー・グロスは、1919年にベルリンで餓死した。

ジークムント・フロイトは、ナチスウィーンを追われて、1939年、ロンドンで癌のため死亡した。

ザビーナ・シュピールラインは、ロシアで優秀な精神科医を育て、後に故郷のロストフ・ナ・ドヌで幼稚園を設立したが、1941年に二人の娘と共にナチスに銃殺された。

カール・グスタフ・ユングは、第一次大戦中、長期間、精神衰弱に苦しんだが、その後、世界的な心理学者となる。
エマや愛人トニ・ウォルフに先立たれ、1961年にこの世を去った。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
1904年、チューリッヒ
ブルクヘルツリ病院の精神科医カール・グスタフ・ユングは、統合失調症患者でロシア人のザビーナ・シュピールラインの分析を始める。
ユングは、優秀な学生のザビーナが、医師を目指していることを知り、精神分析学の権威ジークムント・フロイトの”談話療法”により、彼女を治療することを考える。
ウィーンフロイトを訪ねたユングは、多くを語り合いながら、ザビーナが、マゾヒズムに執着する実に興味深い患者であることを伝える。
二人の親交は深まり、フロイトは、ユングを自分の後継者だと考える。
その後、劇的な症状の改善がみられたザビーナだったが、ユングは患者と医師の一線を越えてしまう。
やがてそれが、ユングフロイトの友情に亀裂を生じさせることになる・・・。
__________

1993年に発表された、ジョン・カーの著書”A Most Dangerous Method: The story of Jung, Freud, and Sabina Spielrein”を基にしたクリストファー・ハンプトンの舞台劇”The Talking Cure”の映画化。

世界的な心理学者と、二人に関わった女性患者の関係をスリリングなまでに描く、鬼才デヴィッド・クローネンバーグの重厚な演出が注目の作品。

主人公の三人を演ずる新旧の実力派の三人、マイケル・ファスベンダーヴィゴ・モーテンセン、そしてキーラ・ナイトレイの、時に激しい演技のぶつかり合いも見ものだ。

序盤は、統合失調症患者として完全に正気を失っている、ザビーナ・シュピールライン役のキーラ・ナイトレイの鬼気迫る演技に圧倒される。
彼女と関係を持つカール・グスタフ・ユングの苦悩を演ずる、マイケル・ファスベンダーの好演が印象的だ。

デヴィッド・クローネンバーグとは、「ヒストリー・オブ・バイオレンス」(2005)、「イースタン・プロミス」(2007)などで組んだヴィゴ・モーテンセンは、助演の立場ながら後半に存在感を発揮する。

ユングに影響を与える精神症者オットー・グロス役のヴァンサン・カッセルユングの妻エマ役のサラ・ガドンなどが共演している。


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