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その男ゾルバ Zorba the Greek (1964)

1946年に発表された、ギリシャの作家ニコス・カザンザキスの”Zorba the Greek”の映画化。
父親の生まれ故郷に向かったイギリス人作家と彼と意気投合した楽天家の自由人との親交と生き様を描く、製作、監督、脚本、編集マイケル・カコヤニス、主演アンソニー・クインアラン・ベイツイレーネ・パパス他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ

アンソニー・クイン / Anthony Quinn / Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:マイケル・カコヤニス

製作
マイケル・カコヤニス

アンソニー・クイン
原作:ニコス・カザンザキス
脚本:マイケル・カコヤニス
撮影:ウォルター・ラサリー
編集:マイケル・カコヤニス
音楽:ミキス・テオドラキス

出演
アレクシス・ゾルバ:アンソニー・クイン

バジル:アラン・ベイツ
未亡人:イレーネ・パパス
マダム・ホーテンス:リラ・ケドロヴァ
ミミトス:ソチリス・マウスタカス

アメリカ/ギリシャ 映画
配給 20世紀FOX

1964年製作 142分
公開
北米:1964年12月17日
日本:1965年9月
製作費 $783,000


アカデミー賞 ■
第37回アカデミー賞

・受賞
助演女優(リラ・ケドロヴァ
美術(白黒)・撮影(白黒)
・ノミネート
作品・監督
主演男優(アンソニー・クイン
脚色賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
ギリシャ
イギリスの作家バジル(アラン・ベイツ)は、クレタ島に向かう船を待つ。

バジルは、粗暴で厚かましいが、楽天的な男アレクシス・ゾルバ(アンソニー・クイン)という男に声をかけられ、彼と共にクレタ島に向かうことになる。

悪天候で船の出港を待たされたバジルは、父の生まれ故郷でもある島に、遺産として残された亜炭の炭鉱があることをゾルバに話す。

バジルは、自分とは違う独特の雰囲気を持つゾルバが気に入り、彼に炭鉱を任せることを決め、二人は島に向かう。

クレタ島では、村人達がよそ者の到着を知り慌てふためき、バジルとゾルバは、 ホテルを営むマダム・ホーテンス(リラ・ケドロヴァ)の元に案内される。

マダムに歓迎された二人は、食事の後に、彼女の他愛もない恋愛話を聞かされる。
...全てを見る(結末あり)

バジルはそれを滑稽に思い、笑いを堪えるが、ゾルバはその話を真剣に聞き入り、マダムの身になり、彼女を抱き寄せる。

しかし、バジルは笑いを堪えきれず、それを見たマダムは気分を害して席を外してしまう。

ゾルバはマダムを気遣い、ショックを受けた彼女を慰める。

翌日、村人達が、人々との関わりを嫌う未亡人(イレーネ・パパス)をからかうのを見て、ゾルバとバジルは彼女に優しく接する。

炭鉱管理人の息子が、未亡人に心を寄せていたのだが、彼女の相手が出来るのはバジルだけだと、ゾルバは言い切る。

そして、炭鉱の作業が始まるが、落盤が続くことで悩んだゾルバは、山腹の修道院の周辺に頑丈な木が生い茂る森を見つける。

修道院に向かい、修道士らと親交を持ったゾルバは、家に戻りバジルの前で踊り始める。

何事が起きたのかと心配するバジルだったが、幼い息子を亡くした時、又は嬉しい時も、踊ることしか出来なかったことをゾルバは伝える。

ゾルバは、修道士や材木のことの詳細は語らず、バジルと酒を酌み交わす。

翌朝、ゾルバは、修道院の森の木を伐採し、炭鉱の補強や材木として売りさばき、稼いだ金で船を造り、世界中を旅する計画をバジルに話す。

バジルは一応それに賛成し、期限をクリスマスまでとすることをゾルバに伝える。

やがてクリスマスを迎え、ゾルバとバジルは病気のマダムを訪ねて励ます。

その帰り道、未亡人をものにしろと、ゾルバにせかされたバジルだったが、彼は、自分のペースで事を運ぶことを告げ、安易な行動を避ける。

数日後、仕事で町に行くことになったゾルバだったが、彼はその場で女を作り、バジルを苛立たせる。

ゾルバからの便りが来ていることを知ったマダムは、その内容を聞きにバジルを訪ねる。

バジルは真実を語れず、ゾルバがマダムに思いを寄せ、結婚を申し込むという作り話をしてしまう。

その夜、自分を抑えきれなくなったバジルは、未亡人の元に向かい愛し合ってしまう。

それを村人から聞かされた、未亡人を思う青年は、絶望して自ら命を絶つ。

ゾルバが村に戻り、青年の葬儀が行われるが、その父親や村人の前で、現れた未亡人が辱めに遭い、殺されそうになる。

そこに、バジルが呼び寄せたゾルバが現れ、未亡人を助けるのだが、引き上げようとしたその時、彼女は青年の父親に殺される。

その後、ゾルバの計画の準備が始められるが、自分が笑いものになっていると言って、マダムが彼に言い寄る。

ゾルバは、結婚する意思のあることをマダムに伝え、即、婚約を求める彼女に同意し、バジルを立会人にして二人は婚約する。

やがて、マダムの病状が悪化したことを知った村人達は、国に没収される前に、彼女の財産を奪おうとする。

そして、マダムはゾルバの腕の中で引き取り、村人達は、家の中の物を全て持ち去る。

春が訪れ、ゾルバの、ケーブルを使った材木の移送設備の試運転が始まる。

村人達や司祭が見守る中、成功したかに見えた作業だったが、ケーブルを張る支柱が全て倒れてしまい、計画は失敗に終わる。

ゾルバは、計画に挑戦した満足感に浸り、用意してあった料理を前に、旅立つバジルと二人だけで祝杯を挙げる。

バジルは、自由を得るための愚かさが足りないとゾルバに指摘され、彼にダンスを教わろうとする。

ゾルバは喜んでそれに応じ、作業の失敗を笑い飛ばし、バジルと共にいつまでも踊り続ける。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
イギリス人作家バジルは、父親の故郷クレタ島に向かう船を待つ間に、アレクシス・ゾルバという男に話しかけられる。
バジルは、豪放磊落なゾルバを気に入り、彼に父の遺産の炭鉱を任せようとする。
島に着いた二人は、ホテルの経営者のマダム・ホーテンスの元に案内され歓迎される。
マダムもゾルバが気に入り、バジルは村人との関わりを避ける、未亡人が気になる存在になる。
その後、炭鉱の作業は始まるが、落盤がゾルバを悩ませ、彼は修道院周辺の森を伐採し、炭鉱の支柱や売りさばくことを考える。
そんな時、体調を崩していたマダムは、ゾルバの愛を求め、未亡人への気持ちを抑えられなくなったバジルは、彼女の元に向かうのだが・・・。
__________

アメリカの資本で製作され、アメリカ人アンソニー・クインイギリス人のアラン・ベイツの主演ではあるが、観光以外ではほとんど接する機会がない、ギリシャの人々の生活風土、そして、それを象徴する、楽天家の主人公ゾルバの人物像など、その躍動感や活力ある生き様に共感できる痛快作でもある。

半世紀が経つ今、クレタ島のロケ地となった村を訪れても、当時と変わらないだろうと思えるところが、いつ観ても、本作が新鮮に感じる理由だ。

日本人の感覚からすると、主人公ゾルバを筆頭に、何をするにも大袈裟に見える人々の行動などが実に興味深い。

第37回アカデミー賞では作品賞以下7部門にノミネートされ、助演女優(リラ・ケドロヴァ)、美術(白黒)、撮影(白黒)を受賞した。
・ノミネート
作品・監督
主演男優(アンソニー・クイン
脚色賞

映画史上に残るキャラクター”ゾルバ”を演ずるアンソニー・クインは、主人公を豪快に演じ、出色の名演を見せてくれる。

対照的に冷静なアラン・ベイツは、ゾルバとの出会いで、作家、そして人として成長する、未熟さを抱える青年を好演している。

疎外感の中で喜びを手にするものの、悲惨な結末を迎える未亡人イレーネ・パパス、同じく、ロマンチストでありながら悲しい死を遂げるホテル経営者リラ・ケドロヴァ、彼女を慕う村人のソチリス・マウスタカスなどが共演している。

他、クレジットにあるとおりクレタ島の人々が出演している。


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