1968年から数年間に実際に起きた殺人事件を基に、作品の主人公ロバート・グレイスミスが1986年に発表した同名小説の映画化。 監督デヴィッド・フィンチャー 、主演ジェイク・ギレンホール、マーク・ラファロ、ロバート・ダウニーJr、ブライアン・コックス他共演のサスペンス。 |
・ロバート・ダウニーJr. / Robert Downey Jr. 作品一覧
■ スタッフ キャスト ■
監督:デヴィッド・フィンチャー
製作総指揮:ルイス・フィリップス
製作
ジェームズ・ヴァンダービルト
マイク・メダヴォイ
ブラッドリー・フィッシャー
アーノルド・メッサー
セアン・チャッフィン
原作:ロバート・グレイスミス”Zodiac”
脚本:ジェームズ・ヴァンダービルト
撮影 ハリス・サヴィデス
編集 アンガス・ウォール
音楽:デヴィッド・シャイア
出演
ジェイク・ギレンホール:ロバート・グレイスミス
マーク・ラファロ:デイヴィッド・トスキ
ロバート・ダウニーJr:ポール・エイブリー
アンソニー・エドワーズ:ウィリアム・アームストロング
ブライアン・コックス:メルヴィン・ベリー
ジョン・キャロル・リンチ:アーサー・リー・アレン
クロエ・セヴィニー:メラニー・グレイスミス
イライアス・コティーズ:ジャック・マラナックス
ドナル・ローグ:ケン・ナーロウ
ダーモット・マローニー:マーティ・リー
フィリップ・ベイカー・ホール:シャーウッド・モーリル
チャールズ・フライシャー:ボブ・ヴォーン
クレア・デュヴァル:リンダ・デル・ブオノ
アダム・ゴールドバーグ:ダッフィー・ジェニングス
ジミ・シンプソン:マイク・マギュー
アメリカ 映画
配給
ワーナー・ブラザーズ(世界)
パラマウント・ピクチャーズ(北米)
2007年製作 157分
公開
北米:2007年3月2日
日本:2007年6月16日
製作費 $65,000,000
北米興行収入 $33,048,350
世界 $84,785,910
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1969年7月4日、カリフォルニア州、ヴァレーホ。
若いカップルがデート中に銃撃され、男性は一命を取り留めるものの、女性は死亡する。
4週間後、サンフランシスコ・クロニクル。
ヴァレーホの犯人だという、名前のない暗号化された犯行声明と予告文が届く。
犯罪リポーターのポール・エイブリー(ロバート・ダウニーJr)が担当となり、ヴァレーホの事件を調べ始める。
離婚して息子と暮らす風刺漫画家のロバート・グレイスミス(ジェイク・ギレンホール)は、その暗号文を見て解き始める。
エイブリーは事件についてを上司に報告し、社内ではそれが重要事項となり、グレイスミスは暗号文を家に持ち帰り解読しようとする。 ソノマの海軍情報センターやサンフランシスコのFBI支局、CIA本部でも暗号解読は始まるが、犯行声明の大量殺人は実行されなかった。 3日後。 再び新聞社に犯人からの手紙が届き、今度は”ゾディアック”という名前が明記してあった。 1カ月半後、9月27日、ナパ郡、ベリエッサ湖。 10月11日、サンフランシスコ。 市警の刑事デイヴィッド・トスキ(マーク・ラファロ)と相棒のウィリアム・アームストロング (アンソニー・エドワーズ)は、事件の捜査を始める。 3日後、サンフランシスコ・クロニクル。 10時間後、サクラメント、犯罪鑑識捜査局。 12時間後、サンフランシスコ。 アームストロングは、ヴァレーホ署のジャック・マラナックス(イライアス・コティーズ)と、ナパ郡のケン・ナーロウ(ドナル・ローグ)ら殺人が起きた地区の警官に連絡をとる。 しかし、両地区からの協力や、犯人を目撃した警官からの情報も得られない。 2日後。 取材が思うようにいかないエイブリーは、グレイスミスが事件に興味を持つことを鬱陶しく思っていた。 そんなエイブリーは、当初は指紋を残さなかった犯人が、突然それを残したことをグレイスミスに伝える。 同じ頃、トスキもその件について疑問に思い、犯人が行動パターンを変えたと考える。 10月22日。 番組は始まり、ベリーはゾディアックと話して、別の場所で話し合うことになるものの、結局、相手は現れなかった。 トスキは、ナパ郡の被害者男性に犯人の声の録音テープを聴かせるものの別人だと言われ、番組への電話が精神病院からだったことを知らされる。 2週間半後、サンフランシスコ・クロニクル。 1か月半後、サンフランシスコ。 1970年3月22日、モデスト近郊。 ゾディアックの犯行と報道され、その後も犯行声明文は届き、警察やマスコミは翻弄される。 4週間後、サンフランシスコ。 そんな時エイブリーは、ゾディアックから脅迫状を受け取る。 グレイスミスは、メラニー(クロエ・セヴィニー)と食事をするが、事件が気になってしまう。 精神的に追い込まれたエイブリーは、ゾディアック事件を解明したことをテレビで発表してしまう。 1970年11月18日。 その後も情報が錯綜し、トスキは捜査の方向性が掴めずにいた。 1971年7月26日、トーランス。 トスキはその件に興味を示さなかったが、リー・アレンが、小児性愛者で両手利きということなどから、彼に会うことを考える。 翌日、ロデオ。 三人はリー・アレンに質問するものの、彼が犯人とは特定できなかった。 10時間後、ヴァレーホ。 トスキとアームストロングは、それを上司リーに報告して、リー・アレンが犯人であることをほぼ確定する。 しかし、筆跡鑑定士シャーウッドは、リー・アレンとゾディアックの筆跡が違うことをトスキらに伝える。 トスキは、リー・アレンの家の家宅捜査が、証拠不十分のため却下されたことをマラナックスから知らされ、他の2300人もの容疑者からの犯人洗い出しをリーに指示される。 1年後。 1972年9月7日、ヴァレーホ。 9月14日、サンタローザ、サンセット・トレーラー・パーク。 リスを飼い、その死骸を冷凍庫に入れ、各事件との関連性のある物や銃を確認した二人だったが、リー・アレンの容疑は確定できない。 事件と似た題材の内容の映画「ダーティハリー」を劇場で観ていたトスキは席を立ち、それを観終わったグレイスミスは、ロビーにいた彼に話しかける。 グレイスミスは、犯人が射殺される映画の結末をトスキに伝えて、事件は必ず解決すると彼を励ます。 4年後。 限界を感じたアームストロングは、転属願いを出したことをトスキに伝えて殺人課を去る。 メラニーと結婚していたグレイスミスは、その後も徹底的な調査を続ける。 グレイスミスはエイブリーを訪ね、ゾディアックについての著書を書くよう勧める。 しかし、過去の話だと言われ、エイブリーにそれを断られたグレイスミスはその場を去る。 1977年10月11日、サンフランシスコ。 グレイスミスは、ナパ郡の警官ナーロウをトスキに紹介され、ヴァレーホのマラナックスにも会う。 事件の資料を見ることを許されたグレイスミスは、それを調べてトスキの元に向かいその件を話し、弁護士ベリーなどに会うことを勧められる。 ゾディアック事件の本を執筆することなどをメラニーに問われたグレイスミスは、事件に関わることを恐れる彼女を安心させようとする。 使命感で行動するグレイスミスは、メラニーとの生活を犠牲にしながらも調査を続け、筆跡鑑定士シャーウッドに会う。 グレイスミスは、容疑者”リック・マーシャル”の筆跡を確認していないことをシャーウッドから知らされる。 帰宅したグレイスミスは無言電話を受け、メラニーはそれを気にする。 ナーロウに会ったグレイスミスは、彼がマーシャルを疑っていたことを知らされる。 事件現場の指紋や筆跡がマーシャルと一致しなかったことを指摘しながら、ナーロウは、彼の容疑を追求することは不可能だとグレイスミスに伝える。 グレイスミスは、何とかマーシャルの筆跡を入手して、それをシャーウッドに見せる。 シャーウッドは、マーシャルの筆跡が手紙に最も近いことをグレイスミスに伝えるが、細かい部分で一致しない個所も指摘する。 1978年4月25日、サンフランシスコ。 トスキは、尚も事件を追求するグレイスミスに、漫画家が関わることではないことを伝えて彼を追い払う。 1979年8月9日、サンフランシスコ。 グレイスミスが、家族を犠牲にしてまで事件に関わろうとする姿に、メラニーは限界を感じる。 マーシャルが映写技師をしていた映画館のボブ・ヴォーン(チャールズ・フライシャー)に会ったグレイスミスは、調べた筆跡のポスターの字は、彼が書いたことを知り警戒する。 資料を見にヴォーンと地下室に向かったグレイスミスは、危険を感じてその場を去る。 帰宅したグレイスミスは、メラニーが子供達を連れて実家に向かったことを知る。 模範囚労働者収容所のリンダ・デル・ブオノ(クレア・デュヴァル)に会ったグレイスミスは、妹を殺した男がマーシャルだと考えていたが、彼女はそれが”リー”という男だと答える。 ヴァレーホのマラナックスを訪ねたグレイスミスは、資料を調べ、リンダが”妹の友人リー”と証言している記録を指摘する。 犯人がリー・アレンだと確信するグレイスミスだったが、それだけでは証拠にならないとマラナックスに言われ、彼の捜査は終わっていると付け加えられる。 クロニクルを辞めたグレイスミスは、その後も調査に没頭し、リー・アレンが犯人である証拠を掴みトスキの元に向かう。 トスキは、リー・アレンが痴漢行為で服役し出所後に送ってきた手紙をグレイスミスに渡し、彼が捜査への協力を申し出た、タイプで打たれた文面を見せる。 それらの状況証拠から、リー・アレンを犯人と断定できないことを伝えたトスキは、事件が起きる前からの調査と、最初の被害者の働いていた店と彼の住まいが数十メートルしか離れていなかったことをグレイスミスから知らされる。 トスキは納得はするものの、刑事の立場として証拠不十分では結論を出せず、グレイスミスに本を書き上げるようにと助言してその場を去る。 1983年12月20日、ヴァレーホ。 グレイスミスはリー・アレンと対面するものの、何も語らずにその場を去る。 1986年に発表された、グレイスミスの著書”ゾディアック”はベストセラーとなる。 1991年8月16日。 容疑者の写真を見せられたマギューは、リー・アレンの顔写真を指差して犯人に間違いないことを伝える。 マギューの証言を得た検察は、リー・アレンが犯人であるという結論が出て起訴を検討する。 しかし、その準備中にリー・アレンは心臓発作で死亡し、2002年に行われたDNA鑑定も彼と一致しなかった。 その後も、リー・アレンは容疑者として扱われるが、2004年、サンフランシスコ市警は捜査を打ち切る。 殺人が起きた地域では現在も捜査は続き、リー・アレンが唯一の容疑者である。 デイヴィッド・トスキは、1989年に警察官を引退し、手紙の偽装は無実と判明する。 ポール・エイブリーは、2000年に肺気腫で死去し遺灰は海に撒かれた。 ロバート・グレイスミスはよき父であり、リー・アレンの死後、無言電話は一切なくなった。
...全てを見る(結末あり)
エイブリーは、グレイスミスに声明文を見せて、パズル好きの彼がそれを説こうとしていることを知る。
再びカップルが襲われて刺され、女性は死亡して男性は保護され、二人の車のドアには殺人の日付が残されていた。
タクシー・ドライバーが銃撃されて死亡する事件が起きる。
ゾディアックの犯行声明文が届き、トスキとアームストロングは送られてきた証拠品を受け取り指紋を調べ、ヴァレーホとナパ郡との関連性を考える。
筆跡鑑定シャーウッド・モーリル(フィリップ・ベイカー・ホール)に犯人の手紙を調べさせたトスキは、小文字の”R”に類似点が見られることだけが分かる。
ゾディアックの犯人が市内に現れたことが報道され、警察には情報が殺到し、トスキは、ヴァレーホとナパ郡に連絡を入れたことを上司マーティ・リー(ダーモット・マローニー)に報告する。
スクールバスを襲うというゾディアックの犯行声明もあり、グレイスミスは息子を車で学校に送る。
テレビのトークショーにゾディアックが電話で出演するということを知らされたトスキは、著名な弁護士メルヴィン・ベリー(ブライアン・コックス)を呼び出すことを指示され、彼を連れて局へと連れて行く。
再びゾディアックからの手紙と暗号文が届き、エイブリーはグレイスミスをバーに誘い、彼から暗号が解けそうだという話を聞く。
ベリーの屋敷にゾディアックからの手紙が届き、トスキとアームストロングはそれを知らされる。
赤ん坊を連れた女性が、車で街道を走っていた際に連れ去られるが、誘拐は未遂に終わる。
エイブリーとグレイスミスは親交を深めて、事件について調べ始める。
捜査が行き詰まる中、トスキは、エイブリーの行動がその妨げになっていることで彼を非難し、グレイスミスもその件を気にする。
アームストロングは、ある情報で、アーサー・リー・アレン(ジョン・キャロル・リンチ)という男を疑う。
トスキとアームストロングは、ヴァレーホの警官マラナックスを伴いリー・アレンの職場を訪れる。
リー・アレンの弟夫婦を訪ねた三人は、ゾディアックの手紙と兄からのカードの綴りが一致することなどの情報などを得られる。
エイブリーは、誇大妄想に悩み薬とアルコール漬けになってしまい、グレイスミスは彼の身を案ずる。
リー・アレンの義妹からの情報で、アームストロングは再び彼が犯人だという確信を持ち、トスキと共に捜査を続けて裏付けをとる。
トスキとアームストロングはリー・アレンのトレーラーを調べる。
エイブリーはクロニクルを去り、グレイスミスは、彼のデスクに現れたダッフィー・ジェニングス(アダム・ゴールドバーグ)に挨拶する。
トスキに会ったグレイスミスは、彼が事件を忘れていないことを確認し、調べた資料などを見せて協力を申し出る。
ゾディアックの犯人から51ヶ月振りに手紙が届くのだが、トスキは、それを偽造した疑いをかけられてしまう。
グレイスミスは、ゾディアックの暗号文を解読して、それをマスコミに発表する。
最初の殺人からのまる14年後、グレイスミスは、金物屋にいたリー・アレンを捜し出す。
ヴァレーホのマラナックスの後任は、22年前にゾディアックに襲撃されたマイク・マギュー(ジミ・シンプソン)に会う。
*(簡略ストー リー)
1969年7月、カリフォルニア。
若いカップルが銃撃され、男性は一命を取り留めるものの、女性は死亡する。
4週間後。
”サンフランシスコ・クロニクル”に、名前のない暗号化された犯行声明文が届く。
犯罪リポーターのポール・エイブリーは、風刺漫画家ロバート・グレイスミスにその暗号文を見せ、パズル好きの彼は、れを解き始める。
再び新聞社に犯人からの暗号化された手紙が届き、今回は”ゾディアック”という名前が明記してあった。
その後、別の場所で再びカップルが襲撃されて、市内でタクシー・ドライバーが銃撃され死亡する。
市警のデイヴィッド・トスキとアームストロングの両刑事は、その事件の捜査を任される。
エイブリーとグレイスミスは協力し合い、事件について詳細に調査を始めるが、脅迫状を受け取ったエイブリーは、誇大妄想に悩まされ、薬とアルコール漬けになってしまう。
1971年。
トスキとアームストロングは、犯人として疑われているアーサー・リー・アレンに会うものの、犯人とは特定できず、彼とゾディアックの筆跡も違うことが分かるり、事件は謎のまま時間だけが過ぎていく・・・。
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容疑者死亡で、結局は未だに解決していない殺人事件を題材にしたドラマ。
忘れ去られようとしていた難事件を、執念の調査で著書にまとめたロバート・グレイスミスの姿は、ウォーターゲート事件でそれを追った記者ボブ・ウッドワードとカール・バーンスタインを思い起こさせる。
記者、刑事、容疑者が互いに交差する複雑な作りと、聞きなれない地名などが登場し、やや難解なところはあるものの、20年以上にも及ぶ主人公彼らの活躍や人間模様を、丁寧にサスペンスととして描いたデヴィッド・フィンチャーの演出は見応えがあり、2時間半以上の上映時間も全く長さを感じさせない。
この事件をモデルにした作品「ダーティハリー」(1971)も登場する。
主演のジェイク・ギレンホールは、温厚で家庭的だが、ガッツのある風刺漫画家を好演し、マーク・ラファロも、庶民的な刑事を熱演、 脅迫を受け正気を失うリポーター役のロバート・ダウニーJr.も自虐的な怪演を見せる。
その他、刑事役アンソニー・エドワーズ、著名な弁護士メルヴィン・ベリーのブライアン・コックス、筆跡鑑定士フィリップ・ベイカー・ホール、、容疑者のアーサー・リー・アレン役のジョン・キャロル・リンチ、主人公の妻クロエ・セヴィニー、殺人が起きる地域の警官イライアス・コティーズ、ドナル・ローグ、トスキの上司役ダーモット・マローニー、事件関係者のチャールズ・フライシャー、クレア・デュヴァル、記者アダム・ゴールドバーグ、最初の被害者の22年後ジミ・シンプソンなどが共演している。