同時多発テロの首謀者ウサーマ・ビン・ラーディンの所在を知り殺害する計画に加わったCIA分析官の執念の捜索と戦いの日々を描く、製作、監督キャスリン・ビグロー、主演ジェシカ・チャステイン、ジェイソン・クラーク、マーク・ストロング、ジェニファー・イーリー他共演のサスペンス。 |
・ジェシカ・チャステイン / Jessica Chastain / Pinterest
・マーク・ストロング / Mark Strong / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:キャスリン・ビグロー
製作
マーク・ボール
キャスリン・ビグロー
ミーガン・エリソン
製作総指揮
コリン・ウィルソン
グレッグ・シャピロ
テッド・シッパー
脚本:マーク・ボール
撮影:グレイグ・フレイザー
編集
ウィリアム・ゴールデンバーグ
ディラン・ティチェナー
音楽:アレクサンドル・デスプラ
出演
マヤ・ランバート:ジェシカ・チャステイン
ダン:ジェイソン・クラーク
ジョージ:マーク・ストロング
ジョセフ・ブラッドリー:カイル・チャンドラー
ジェシカ:ジェニファー・イーリー
スティーヴ:マーク・デュプラス
レッド中隊指揮官:フランク・グリロ
国家安全保障顧問:スティーヴン・ディレイン
ラリー:エドガー・ラミレス
ジャック:ハロルド・ペリノーJr.
アンマル:レダ・カテブ
レオン・パネッタ:ジェームズ・ギャンドルフィーニ
パトリック:ジョエル・エドガートン
ジャスティン:クリス・プラット
ジャレッド:テイラー・キニー
ジョン:スコット・アドキンス
C-130パイロット:マーク・バレー
ウサーマ・ビン・ラーディン:リッキー・セコン
アメリカ 映画
配給
コロンビア・ピクチャーズ(北米)
ユニバーサル・ピクチャーズ(世界)
2012年製作 157分
公開
北米:2012年12月19日
日本:2013年2月15日
製作費 $40,000,000
北米興行収入 $95,720,720
世界 $132,820,720
■ アカデミー賞 ■
第85回アカデミー賞
・受賞
音響編集賞
・ノミネート
作品
主演女優(ジェシカ・チャステイン)
脚本・編集賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
2001年9月11日。
世界中を震撼させる同時多発テロ事件が発生する。
”サウジ・グループ”
2年後、ある秘密施設。
CIA分析官マヤ・ランバート(ジェシカ・チャステイン)は、テロ事件の首謀者ウサーマ・ビン・ラーディンとの関係を知るために捕えたアンマル(レダ・カテブ)を拷問する諜報の専門家ダニエル”ダン”(ジェイソン・クラーク)に付き添う。
容赦なくアンマルを罵倒し痛めつけるダンの行為を直視できないマヤだったが、”911”の実行犯に金を渡し、150キロもの爆発物を自宅に所持していた彼は拷問されれ続ける。 パキスタン、イスラマバード、アメリカ大使館。 その後マヤは、同僚の分析官であるジェシカ(ジェニファー・イーリー)やジャック(ハロルド・ペリノーJr.)らと共に仕事を始める。 再びアンマルの元に向かったダンは優しく接するものの、突然、彼を脅し始め、次のテロについての情報を聞き出そうとするが無駄だった。 2004年5月29日、サウジアラビア東部、アル・コバール。 眠ることもできないアンマルの思考能力が鈍っていることを指摘したマヤの意見を聞き入れ、ダンは彼を施設から連れ出す。 マヤとダンは、アンマルに食事を与え、ビン・ラーディンの部下らしき”アブ・アフメド”という男の名前を聞き出す。 ”アブ・アフメド” ポーランド、グダニスク、CIA秘密施設。 パキスタンに戻ったマヤは、消息の掴めない”アブ・アフメド”が架空の人物で、ビン・ラーディンと会ったという証拠もない段階で、その行動に意味がないことをブラッドリーに指摘される。 ブラッドリーは、”アルカーイダ”を攻撃出来る確信ある情報をマヤらに求める。 2005年7月7日、ロンドン。 アフガニスタン、バグラム空軍基地。 パキスタン、軍情報部、拘留所。 パキスタン警察は、”アブ・アフメド”を見つけるための重要人物ファラジを拘束する。 ダンとマヤはファラジの尋問を始め、彼女は拷問も辞さない接し方で、”アブ・アフメド”の居場所を聞き出そうとする。 しかし”アブ・アフメド”に関しての情報は得られず、行き詰まったマヤは苦悩する。 ダンが本国に戻ることになり、マヤは彼に誘われるもののそれを断り、あくまで”アブ・アフメド”の居場所を突き止めようとする。 2008年9月20日、イスラマバード、マリオット・ホテル。 同僚のジャック(ハロルド・ペリノーJr.)を待っていた二人だったが、爆破テロが起き、無事だった彼女らはその場を脱出する。 ”会談” 2009年12月30日。 バラウィの到着を喜び警備を解かせたジェシカは、それをパキスタンのマヤにメールで知らせる。 ジェシカらは車に近づき、男(フマム・ハリル・アブムラル・バラウィ)は車を降りるが、次の瞬間に自爆する。 マヤはジェシカからの報告を待つが、彼女を含めたCIA局員7名が死亡し6名が負傷する。 ショックを受けたマヤは、”アブ・アフメド”が死んでいたことも知らされる。 ジャックに声をかけられたマヤは、今後を聞かれ、テロの関係者を捜しビン・ラーディンを殺すと答える。 ”人為的ミス” イスラマバード、アメリカ大使館。 マヤは、人為的ミスで知らされていなかった”イブラヒム・サイード”という要注意人物の情報を得て、彼が”アブ・アフメド”であることを知る。 ヴァージニア州、ラングレー、CIA本部。 マヤの話を信じたダンは上司の元に向かい、それを調査するための資金を得る。 クウェート、クウェートシティ。 ”トレードクラフト”スパイ技術 サイードの所在を突き止めたマヤは、特殊部隊”SAD”隊員ラリー(エドガー・ラミレス)に協力を要請する。 2010年5月1日、ニューヨーク。 その事件に追われ、ビン・ラーディンが死んでいるとまで言うブラッドリーに対し、マヤは彼を捜しだすことを強く主張し、自分にチームを任せるよう要求する。 チームを指揮したマヤは、ジャックの協力でサイードの電話通話信号を捉え、ラワルピンディやペシャワルをラリーに調べさせる。 市民は、パキスタン人に対する非道行為を続けたアメリカを非難してデモを起こし、その責任をとってブラッドリーは解任れる。 ラリーから、ターゲットの男を突き止めたことを知らされたマヤだったが、車で出かけた際に銃撃されてしまう。 難を逃れたマヤは、殺害リストに載っていることを新支局長に指摘され帰国する。 CIA本部、無人偵察機指令室。 屋敷の発見から50日以上が経ち苛立つマヤは、スティーヴから連絡を受けて指令室に呼ばれ、偵察機の映像で、屋敷にいる”第3の男”の存在を確認する。 ホワイトハウス、危機管理室。 ジョージは、”第3の男”がビン・ラーディンである証拠を求められるが、人権問題で捕虜を尋問できない状況下で、困難を極める情報収集に限界があることを伝える。 100日は過ぎ、ジョージはその後も顧問を説得するが聞き入れられず、ビン・ラーディンを捕えないリスクを訴える。 顧問は、大統領を説得するために必要な”攻撃”の方法を考えるようジョージに指示する。 ネバダ州、エリア51。 パネッタ長官は部下を集め、ビン・ラーディン存在の確立を聞くものの、意見はまとまらない。 しかし、マヤだけは確実にビン・ラーディンがいると主張する。 パネッタは、マヤの経歴などと共に彼女がビン・ラーディンのこと以外を考えていないことを確認する。 ”カナリアたち” 2011年5月11日 その夜、テルス型UH-60 ブラックホーク・ヘリコプター2機とCH-47 チヌーク2機に分乗した隊員は基地を飛び立つ。 隊員らを見送ったマヤは、基地で状況を見守る。 現地上空に到着した隊員だったが、一機が墜落してしまう。 ヘリを降りた隊員は敷地内に侵入し、ある男を殺害して家族を外に出し、次の家族を殺害する。 二階に上がった隊員は一人を射殺し、二人の女を捕える。 付近の住人は騒ぎに気づき屋敷に近づいてくるが、隊員はそれを制止する。 三階の女達と共にいた男を射殺したパトリックらは、それが誰かを確認する。 パトリックらは女達を部屋から出し、死体の男の写真を撮り、”ジェロニモ”(ビン・ラーディン)を確保したことを報告する。 隊員らは、その場にあった資料や遺体を回収するようレッド中隊指揮官(フランク・グリロ)から指示され、墜落機を爆破して撤退する。 部隊は基地に帰還し、遺体は搬送され、資料は階ごとに分別される。 マヤは、ビン・ラーディンの遺体が本人だと確認し、それが本部に報告される。 任務を終えたマヤは輸送機で帰国することになり、パイロットに姓を聞かれる。 自分のためだけに飛行するとも言われれたマヤは、行き先を訊かれるものの、何も答えない。 パイロットはコックピットに戻り、シートに座ったマヤは呆然としながら涙する。
...全てを見る(結末あり)
ダンにCIA支局長ジョセフ・ブラッドリー(カイル・チャンドラー)を紹介されたマヤは、粗末なデスクを与えられる。
非イスラム系とアメリカ人を殺害するテロが起きる。
変装して現地入りしたマヤは、捕えられていた男から情報を聞き出す。
路線バス及び地下鉄の爆破テロが起き、多数の死傷者を出す。
ダンは、新たな拘束者の尋問を始める。
ある拘束者を尋問したマヤは、透明人間のような存在の”アブ・アフメド”の所在を知るのは困難だと言われる。
マヤは、現地に赴任して時間が経つものの、当初から意見の合わないジェシカとの食事をしていた。
*イスラマバード・マリオット・ホテル爆破テロ事件
アフガニスタン、ホースト州、チャップマン基地。
チームを指揮していたジェシカは、情報源の男を待つ。
現地に到着した計画責任者ジョージ(マーク・ストロング)は、マヤを含めたCIA支局員を前に、成果が得られないことで彼女らを痛烈に非難する。
ダンは、”アブ・アフメド”が見つかったというマヤからの報告を受け、死んだのは兄であり彼が生きている可能性を知らされる。
ダンは、その資金を利用してサイードの情報収集を始める。
”タイムズスクエア”で自動車による爆破未遂事件が起きる。
同僚スティーヴ(マーク・デュプラス)から状況の説明を受けたマヤは、上司ジョージやダン、そして長官レオン・パネッタ(ジェームズ・ギャンドルフィーニ)を前に、ビン・ラーディンが潜む可能性のある屋敷を見つけたことを報告する。
ジョージは、国家安全保障顧問(スティーヴン・ディレイン)にその件を報告するが、”第3の男”をビン・ラーディンと断定することはできていなかった。
マヤはジョージやダンと共に”Navy SEALs”の隊員パトリック(ジョエル・エドガートン)らに会い、ビン・ラーディンが連絡員と共に潜んでいる可能性を伝え、自分のために殺すことを要求する。
アフガニスタン、ジャララバード、前進作戦基地。
”Navy SEALs”隊員パトリック(ジョエル・エドガートン)、ジャスティン(クリス・プラット)、ジャレッド(テイラー・キニー)らと共に現地で待機していたマヤは、作戦決行の連絡をジョージから受ける。
*参考
”ウサーマ・ビン・ラーディンの殺害”
*(簡略ストー リー)
2011年9月11日、同時多発テロが起きる。
パキスタン。
CIA分析官のマヤ・ランバートは、テロの首謀者ウサーマ・ビン・ラーディンの所在を突き止めるため、諜報の専門家ダンと行動を共にする。
捕虜を捕え拷問するダンの強引な方法を受け入れられず、時間だけが過ぎ進まない捜査にマヤは苛立つ。
捕虜拷問が人権問題になり、アメリカの強硬な姿勢は非難を受け、ダンは帰国する。
しかしマヤは、ビン・ラーディンを捕え殺害することに執念を燃やす。
その後、自爆テロにより同僚を亡くしたマヤは、人為的ミスで確認することができなかった、ビン・ラーディンの連絡員である重要人物の存在を知るのだが・・・。
__________
テロの脅威、それに対抗する、アメリカによる関係各国への弾圧とも言える行為を問題視する、社会派ドラマとも思える内容であるが、終盤は、ウサーマ・ビン・ラーディンの殺害に到るまでの作戦計画をサスペンスとして描かれ、キャスリン・ビグローの力強い演出は見応えある。
長期に渡る困難極まる計画遂行と同時に起きる、収まることのないテロの恐ろしさ。
その脅威を一掃しようとする、大国アメリカの武力、技術力を駆使した強引なまでの作戦の実行のリアルな描写、他人事のようにしか捉えていない自分達への警鐘とも言える内容に、責任のようなものを感じてしまう。
第85回アカデミー賞では、音響編集賞を受賞し、作品、主演女優(ジェシカ・チャステイン)、脚本、編集賞にノミネートされた。
北米興行収入は約9600万ドル、全世界では1億3300万ドルのヒットとなった。
前年公開の「ペイド・バック」(2011)でもモサドの工作員を好演したジェシカ・チャステインは、冒頭では捕虜拷問をためらいながら、長期化するターゲット捜索の中で、ビン・ラーディンを捕え殺害することに執念を燃やすCIA分析官を熱演する。
抑えた演技ながら主人公の意志の強さを見事に表現している。
目的を達して見せる、主人公がラストで見せる”空しい”涙は非常に印象的だ。
主人公の同僚であり、序盤の存在感が注目のCIAの諜報の専門家ジェイソン・クラーク、計画責任者マーク・ストロング、パキスタン支局長のカイル・チャンドラー、その部下である分析官のジェニファー・イーリー、同僚ハロルド・ペリノーJr.、スコット・アドキンス、マーク・デュプラス、特殊部隊”SAD”隊員のエドガー・ラミレス、CIA長官のレオン・パネッタ役ジェームズ・ギャンドルフィーニ、パキスタン人捕虜アンマルのレダ・カテブ、Navy SEALs隊員ジョエル・エドガートン、クリス・プラット、テイラー・キニー、国家安全保障顧問スティーヴン・ディレイン、レッド中隊指揮官フランク・グリロなどが共演している。