チャイニーズ・マフィアを壊滅させようとする刑事と組織の若きボスの戦いを描く、製作ディノ・デ・ラウレンティス、脚本オリバー・ストーン、監督マイケル・チミノ(脚本)、ミッキー・ローク、ジョン・ローン共演の犯罪ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:マイケル・チミノ
製作:ディノ・デ・ラウレンティス
原作:ロバート・デイリー”Year of the Dragon”
脚本
オリバー・ストーン
マイケル・チミノ
撮影:アレックス・トムソン
編集:フランソワーズ・ボノー
音楽:デヴィッド・マンスフィールド
出演
スタンリー・ホワイト:ミッキー・ローク
ジョーイ・タイ:ジョン・ローン
トレイシー・ズー:アリアーヌ・コイズミ
ルイス・ブコウスキー:レイモンド・J・バリー
アンジェロ・リッツォ:レナード・テルモ
コニー・ホワイト:キャロライン・カヴァ
ハリー・ヤン:ヴィクター・ウォン
ハーバート・ウォン:デニス・ダン
ウィリアム・マッケンナ:エディ・ジョーンズ
ロニー・チャン:ジョーイ・チン
アメリカ 映画
配給 MGM
1985年製作 134分
公開
北米:1985年8月16日
日本:1986年2月8日
製作費 $24,000,000
北米興行収入 $18,707,470
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ニューヨーク、チャイナタウン。
チャイニーズ・マフィアのボスが殺害され、盛大な葬儀が執り行われる。
取材するテレビ・リポーターで、中国系のトレイシー・ズー(アリアーヌ・コイズミ)だったが、質問を受けた警官は組織の存在などを否定する。
そこに現れた、ベトナム戦争の退役軍人でもある警部スタンリー・ホワイト(ミッキー・ローク)は、トレイシーに声をかけた後、同じ区域で殺害された店主の死体を確認する。
新しいボス、ハリー・ヤン(ヴィクター・ウォン)のオフィスに押し入ったホワイトは、自分が区域の担当になったことを伝える。
ホワイトは、治安を乱すクズどもを更生させろとヤン側に迫る。
伝統や仕来りを理由に、好き勝手に振舞おうとする彼ら、特に若い幹部ジョーイ・タイ(ジョン・ローン)に、アメリカ社会に合わせた行動と法律を守るようホワイトは警告する。 署に戻ったホワイトは、警察との取決めもあるヤンらの領域を犯したことで上司ルイス・ブコウスキー(レイモンド・J・バリー)に非難される。 チンピラの取り締まりだけすればいいというブコウスキーに対し、納得いかないホワイトは気分を害して席を外す。 帰宅したホワイトは、不機嫌な妻コニー(キャロライン・カヴァ)をなだめるが、彼女は、身勝手な夫に不満を抱きながら看護師の仕事に向かう。 ヤンのレストランにトレイシーを呼び出したホワイトは、チャイニーズ・マフィアを潰すための協力を求める。 警察に利用されることを嫌うトレイシーは、それを断り席を立とうすとる。 その直後、店は武装した二人の男に襲撃され、ホワイトは応戦するものの犯人に逃げられる。 ヤンは幹部を集めて対策を考えるのだが、タイは、ボスの指導力の弱さなどを指摘し、協力関係にあったイタリア側と手を切ることなどを提案する。 本部長に呼ばれたホワイトは、事態の収拾を急ぐようにと指示される。 本部長は、同席したブコウスキーの意見は却下し、中国系の潜入捜査官が必要だというホワイトの要求を通す。 今回の一連の事件を裏で操っていたのはタイで、彼は組織をヤンから引き継ぎ目的を果たす。 タイは、ヤンの店を襲撃して傷を負った男達を始末させる。 訓練中のハーバート・ウォン(デニス・ダン)を捜査に加えたホワイトは、二人の死体が見つかった現場に向かいそれを調べる。 コニーと待ち合わせたホワイトは、遅れてきたことで呆れる彼女を席に座らせて、タイの店でもあるその場で彼と話す。 二人の死体が発見されたことなどを伝えたホワイトは、自分を組織に引き込もうとするタイに探りを入れる。 義父であるボスを殺したのもタイではないかと牽制するホワイトは、買収しようとする彼に、組織を潰すことを伝えてその場を去る。 タイの脅しと取れる言葉に対し、ホワイトは動ずることはなかった。 コニーは姿を消して帰宅し、自宅からホワイトの荷物を放り出し、それを知った彼はトレイシーに会う。 ポーランド系であるホワイトは、ベトナムでの体験もあり黄色人種に偏見を持っていることをトレイシーに伝える。 その後ホワイトは、拒まれながらもトレイシーと愛し合う。 翌日ホワイトは、チャイナタウンの取り締まりを始め、賭博場に押し入り多数を逮捕してタイの店を封鎖する。 取材でタイにマイクを向けるトレイシーは、一方的に責めるが、世間のために行動している面を報道しないことで彼に非難を受ける。 タイは、麻薬売買に関する、イタリア側と長年交わしてきた協定を変えることを提案し、双方は物別れに終わる。 その様子を盗聴し、強引な捜査の手を緩めめようとしないホワイトは、本部長やブコウスキーの意見も聞き入れない。 心の拠り所を求めたホワイトは、トレイシーの元に向かい愛し合う。 翌朝、ステイシーのことをコニーに伝えたホワイトだったが、彼女はそれを理解しない。 コニーはホワイトを追い払おうとするが、何者かが彼に襲いかかる。 ホワイトは一人を射殺し、コニーが殺されたことを確認してもう一人の男ロニー・チャン(ジョーイ・チン)も殺す。 騒ぎに気づいた近所に済むブコウスキーが駆けつけ、ホワイトは、射殺して事故を起こした犯人の焼死体を車から引きずり出す。 ブコウスキーがホワイトを落ち着かせて、彼は正気に戻る。 タイ。 コニーの葬儀を済ませたホワイトは、古くからの友人でもあるブコウスキーに慰められる。 ブコウスキーは、ベトナムのことをいつまでも引きずるべきではないとホワイトに助言して、力になることを伝える。 しかしホワイトは、そのような妥協がコニーを殺したと言って立ち去り、彼女の死を受け入れられない。 帰国したタイに、ホワイトの妻殺害やタイの麻薬王との接触を聞いたトレイシーは、カナダのボスの件の質問にも答えてもらえない。 アパートに戻ったトレイシーは、部屋をオフィス代わりにするホワイトを非難する。 その場にいたハーバートが限界だという部下アンジェロ・リッツォ(レナード・テルモ)の言葉もホワイトは聞き入れずに、彼の働きに期待する。 トレイシーが、タイやカナダの件をどのように知ったのかなど、ホワイト殺害失敗も含めて疑問を投げかけるヤンらに対し、タイは全て解決できることを伝える。 それを盗聴していたホワイトは、麻薬取引があることを突き止めるが、物が運び込まれる船名が分からない。 スパイがいることを知ったタイは、それがハーバートだと気づき彼の殺害命令を出す。 ハーバートは路上で撃たれ、駆けつけたホワイトは、瀕死の彼から取引の船名を聞き出す。 ホワイトはハーバートの死を見届け、タイの元に向かい彼を叩きのめす。 トレイシーはタイの手下に暴行され、取引のある埠頭に向かえというホワイトの指示に従おうとしない。 ホワイトは、トレイシーが暴行されたことを知り怒りが頂点に達するが、過剰な捜査で移動が言い渡される。 それを無視したホワイトは埠頭に向かい、取引を終えたタイに襲いかかる。 手に銃弾を受けたホワイトは、逃亡したタイを鉄橋に追い詰め、二人は対決する。 タイを銃撃したホワイトは、ヘロインが車にあることを聞き出す。 警官が近づき、最後と悟ったタイは、ホワイトから銃を受け取り自ら命を絶つ。 取材現場に戻ったトレイシーは、謎の死を遂げたタイの葬儀を伝える。 解任されたホワイトだったが、ブコウスキーの制止を振り切り、尚もヤンらを捕えろと言ってトラブルを起こす。 揉み合い倒れていたホワイトに駆け寄ったトレイシーは、冷静になり心を入れ替えるという彼を抱きしめ、二人はその場を去る。
...全てを見る(結末あり)
バンコクでカナダの対抗勢力のボスを殺害したタイは、麻薬王に会い麻薬ルートを確立する。
*(簡略ストー リー)
ニューヨーク、チャイナタウン。
チャイニーズ・マフィアのボスが殺され、組織壊滅を使命と考える警部スタンリー・ホワイトは、警察との長年の取決めも存在することを承知しながら強引な捜査を続ける。
組織はヤンに引き継がれるが、指導力のなさを追求する、殺されたボスの義理の息子タイが実権を握る。
実は、ボス殺害を企てたのはタイであり、彼は協力し合っていたイタリア系マフィアとの関係を解消し、新たな麻薬ルートを築き組織拡大を考える。
ホワイトは、上司ブコウスキーの忠告を聞かずに犯罪一掃に取り組む。
その後タイは、邪魔者であるホワイトの命を狙い彼の妻を殺害する。
失意の中、脅しに屈しないホワイトは、潜入捜査官なども使い、タイの麻薬密輸計画を阻止しようとする・・・。
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1981年に発表された、ロバート・デイリーの小説”Year of the Dragon”を基に製作された作品。
製作ディノ・デ・ラウレンティス、監督マイケル・チミノ、彼との共同脚本がオリバー・ストーン、そして売り出し中のミッキー・ローク主演ということで大いに話題になった作品。
その話題になった要因の一つには、マイケル・チミノの「天国の門」(1980)の大失敗に続く作品であったためであり、注目が集まった。
*「天国の門」にはミッキー・ロークも出演。
物語的に深みもない作品は賛否両論ありで、「天国の門」ほどは叩かれなかったものの、ラジー賞の作品、監督賞以下、主要部門にノミネートされてしまった。
そんなことよりも、公開当時30代前半のミッキー・ロークの際立つ魅力が、強烈に印象に残ったことを思い出す。
若者にも拘らずグレーに染めた髪で、警部としての貫録も見せるミッキー・ロークは、演技の良し悪しは抜きにして、体から発するオーラのようなものを当時感じたものだ。
その後に低迷し、長くつらい時期を乗り越えての彼の復活を歓迎した、当時からのファンも多いはずだ。
端正な顔立ち、裏社会の人間には思えない、そのギャップがなかなかいい熱演のジョン・ローン、モデルでもあり美しいのだがオーバーアクション気味の演技が気になるTVリポーターのアリアーヌ・コイズミ、主人公の上司レイモンド・J・バリー、部下役のレナード・テルモ、妻役のキャロライン・カヴァ、組織を引き継ぐヴィクター・ウォン、潜入捜査官デニス・ダンなどが共演している。