1963年にマーベル・コミックに初登場した、スタン・リーとジャック・カービーの”X-メン”の映画化シリーズの4作品目であり、1~3作より以前のチーム誕生秘話と共に戦ったエグゼビア/プロフェッサーXとレーンシャー/マグニートーの決別までを描く、監督、脚本マシュー・ヴォーン、主演ジェームズ・マカヴォイ、ローレンス・ベルチャー、ケヴィン・ベーコン、ニコラス・ホルト、ジェニファー・ローレンス、ジャニュアリー・ジョーンズ、ローズ・バーン他共演のアクション。 |
・ジェームズ・マカヴォイ / James McAvoy / Pinterest
・マイケル・ファスベンダー / Michael Fassbender / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:マシュー・ヴォーン
製作総指揮
スタン・リー
ジョシュ・マクラグレン
製作
グレゴリー・グッドマン
サイモン・キンバーグ
ローレン・シュラー・ドナー
ブライアン・シンガー
原案
ブライアン・シンガー
シェルドン・ターナー
脚本
ザック・ステンツ
アシュリー・ミラー
ジェーン・ゴールドマン
マシュー・ヴォーン
撮影:ジョン・マシソン
編集
エディ・ハミルトン
リー・スミス
音楽:ヘンリー・ジャックマン
出演
チャールズ・エグゼビア/プロフェッサーX:ジェームズ・マカヴォイ
チャールズ・エグゼビア(少年期):ローレンス・ベルチャー
エリック・レーンシャー/マグニートー:マイケル・ファスベンダー
エリック・レーンシャー(少年期):ビル・ミルナー
クラウス・シュミット/セバスチャン・ショウ:ケヴィン・ベーコン
エマ・フロスト/ホワイト・クイーン:ジャニュアリー・ジョーンズ
モイラ・マクタガート:ローズ・バーン
ハンク・マッコイ/ビースト:ニコラス・ホルト
レイヴン・ダークホルム/ミスティーク:ジェニファー・ローレンス
レイヴン・ダークホルム(少女期):モーガン・リリー
ミスティーク:レベッカ・ローミン
CIAエージェント:オリヴァー・プラット
国務長官:レイ・ワイズ
エンジェル・サルバドーレ:ゾーイ・クラヴィッツ
ショーン・キャシディ/バンシー:ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ
アレックス・サマーズ/ハヴォック:ルーカス・ティル
アーマンド・ムニョス/ダーウィン:エディ・ガテギ
アザゼル:ジェイソン・フレミング
ヤーノシュ・クエステッド/リップタイド:アレックス・ゴンザレス
ヘンドリー大佐:グレン・モーシャワー
CIA長官:マット・クレイヴン
ソ連の将軍:ラデ・シェルベッジア
艦長:マイケル・アイアンサイド
将軍:ジェームズ・レマー
ウィリアム・ストライカーSr.:ドン・クリーチ
ローガン/ウルヴァリン:ヒュー・ジャックマン
アメリカ/イギリス 映画
配給 20世紀FOX
2011作 132分
公開
北米:2011年6月3日
イギリス:2011年6月1日
日本:2011年6月11日
製作費 $160,000,000
北米興行収入 $146,408,310
世界 $353,624,120
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1944年、ナチス・ドイツ占領下のポーランド。
強制収容所に送り込まれた親子は引き離され、両親と別れた少年エリック・レーンシャーは、”鉄”のフェンスを、触れることなく捻じ曲げてしまう。
ニューヨーク州、ウエストチェスター郡。
少年チャールズ・エグゼビア(ローレンス・ベルチャー)は、夜中にキッチンにいた母が本人でないことを見破り、自分と同じミュータントの少女レイヴン・ダークホルム(モーガン・リリー)だと知り安心する。
エリック(ビル・ミルナー)を呼び出した、謎の人物であるナチのクラウス・シュミット(ケヴィン・ベーコン)は、机の上のコイン動かすよう彼に強要する。
それができないエリックは、母親に銃を向けられて再びコインを動かすことを命ぜられる。 尚もコインを動かせないことで、シュミットは、容赦なく母親を射殺し、激怒したエリックは、周囲の金属を自在に変形させる。 その威力を見たシュミットは満足し、計画を実行するために行動を始める。 1962年、スイス、ジュネーヴ。 イギリス、オックスフォード大学。 その頃、レーンシャーは、シュミットがアルゼンチンにいることを突き止める。 ラスベガス。 CIA長官(マット・クレイヴン)に、ヘンドリーが瞬間的に姿を消したことを伝えたマクタガートだったが、長官は、大佐がこの場にいることを伝え電話を切る。 困惑するマクタガートは、突然変異の専門家を探し、教授になったエグゼビアに目をつける。 アルゼンチン、ヴィラ・ヘセル。 マクタガートに話しかけられたエグゼビアは、彼女が目撃したことを感じ取りアメリカに向かう。 フロリダ州、マイアミ。 バージニア州、ラングレー、CIA本部。 それを信じない彼らに、同行したレイヴンがその能力を見せ、同席していたエージェント(オリヴァー・プラット)を納得させる。 マクタガートが、ショウの情報を収集していることを知ったエグゼビアは、早速、彼女らと行動を開始する。 マイアミ。 その場に到着したエグゼビアだったが、メンバーのヤーノシュ・クエステッド(アレックス・ゴンザレス)に妨害される。 レーンシャーは船の錨を操り攻撃を加えるが、ショウらは、船底から潜水艦に乗って脱出する。 それを追おうとしたレーンシャーだったが、彼の危険を察したエグゼビアが制止し、自分にも特別な能力があることを伝えて説得する。 その後エグゼビアらは、超能力を国防利用する方法を研究しているエージェント(オリヴァー・プラット)の秘密施設に向かう。 エージェントは、天才科学者ハンク・マッコイ(ニコラス・ホルト)をエグゼビアに紹介する、 エグゼビアは、マッコイがミュータントであることを見抜き、それを知らなかったエージェントの前で、その頭脳の他に獣のような足を持つ能力を見せる。 その頃、アメリカがミサイルの配備をはじめ、ソ連との緊張が高まる中、両国は平和への道を探るのだが、ショウがそれを妨害しようとする。 レイヴンとマッコイは親交を深め、ショウの資料を手に入れたレーンシャーはその場を去ろうとする。 しかし、ショウには仲間がいることを伝えたエグゼビアは、協力を約束してレーンシャーを引き止める。 思い留まったレーンシャーは、エグゼビアと共にミュータントを探し始め、それをエマが感じ取りショウに知らせる。 そして、エンジェル・サルバドーレ(ゾーイ・クラヴィッツ)、ショーン・キャシディ(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)、アレックス・サマーズ(ルーカス・ティル)、アーマンド・ムニョス(エディ・ガテギ)らミュータントは、秘密施設に集められ、それぞれの能力を確認する。 レイヴンはミスティークと名乗り、エグゼビアをプロフェッサーX、レーンシャーはマグニートーという名前を付けるが、そのはしゃぎ様見て彼らは失望する。 ソ連。 エマは、キューバでのソ連の次の出方について将軍に探りを入れるが、レーンシャーが屋敷に押し入ってしまう。 レーンシャーとエグゼビアはエマを捕らえて締め上げ、ショウが米ソによる核戦争を引き起こそうとしていることを知る。 同じ頃、秘密施設をショウらが襲い、彼はミュータント達を仲間に引き入れようとして、エンジェルがそれに従いアーマンドは殺される。 モスクワ。 施設に戻ったエグゼビアは、ミュータントらを帰そうとするが、レーンシャーが復讐を提案する。 エグゼビアは、訓練を始めるために、広大な敷地を有する義父の屋敷に拠点を構える。 CIAに拘束されていたエマは、長官とストライカーの前で余裕を見せ、ソ連はキューバにミサイルを輸送する。 国務長官(レイ・ワイズ)は、輸送船の動きを警戒し、臨戦態勢の指示を出す。 ソ連側もアメリカの出方に対抗し、ケネディ大統領はキューバ海域を封鎖する。 エグゼビアらは訓練を続け、その間、米ソの緊張は高まり、アメリカ国民は戦争の恐怖に怯える生活を送る。 レイヴンは、マッコイが開発した、能力を持続しながら姿だけ変える新薬を試す気にはなれない。 マッコイはそれを自分の醜い足に注射し、一瞬、人間の足になるものの、体全体が野獣のように変貌してしまう。 レーンシャーに、ありのままの姿でいるべきだと説得されたレイヴンは、”ミスティーク”となり人間の姿を封印する。 エグゼビアらに、メンバーのコスチュームを用意したマッコイは空軍基地に向かい、”ビースト”に変貌して彼らを迎える。 キューバ海域。 ソ連側は、輸送船に海域ラインを越えないよう連絡を入れるが、マッコイの開発したステルス・ジェット機で現場に到着したエグゼビアは、輸送船の乗組員が、ショウらによって殺されていることを知る。 アメリカ側の砲撃が始まる直前、エグゼビアはテレパシーでソ連軍のミサイルを発射させ、輸送船を撃沈する。 ショウが、テレパシーを防ぐヘルメットを被っているため、エグゼビアは彼の所在を確認できない。 ショーンが海中に飛び込み、エグゼビアはショウの潜水艦を見つけ、レーンシャーがそれを会場に引き上げる。 ”ヘルファイア・クラブ”のヤーノシュがそれに対抗し、潜水艦は浜辺に落下し、エグゼビアらのジェット機も墜落する。 ショウが、潜水艦のパワーを吸収し、自らが爆弾となろうとしていることを、エグゼビアらは米ソ両軍に知らせる。 ”ヘルファイア・クラブ”のメンバーとミュータントの戦いは始まり、潜水艦に侵入したレーンシャーは、パワーを停止する。 レーンシャーと対面したショウは、彼を叩きのめし仲間に引き入れようとする。 しかし、ヘルメットを奪ったレーンシャーは、母を殺された時のコインで、ショウの額を貫き殺害する。 米ソ両国はミュータントを敵とみなし、エグゼビアらを抹殺しようとする。 攻撃は始まり、ミサイルが浜辺に着弾する寸前で食い止めたレーンシャーは、米ソ艦隊に向けてそれをはじき返す。 エグゼビアはその制御を妨害しようとするが、マクタガートの銃撃をかわした、レーンシャーがはじき返した弾丸を腰に受けてしまう。 レーンシャーは、エグゼビアの腰の弾丸を摘出して彼を介抱する。 米ソの艦隊全滅は回避されるが、友のままでいたいと言うレーンシャーに対し、エグゼビアは二人の理想が違うことを伝える。 人類が狙う次の目標が、自分達だとミュータントに伝えるレーンシャーは、仲間になる者を確認する。 ミスティークは歩み出てエグゼビアに別れを告げ、エンジェル、ヤーノシュ、アザゼル(ジェイソン・フレミング)とレーンシャーに従い、彼らは消え去る。 マクタガート、ショーン、アレックス、ビーストらはエグゼビアに寄り添うが、彼は銃撃により足の感覚がなくなってしまったことに気づく。 その後、ケネディ大統領は、危機が回避されたことを声明で発表する。 一命を取り留め、屋敷に戻り車椅子生活を始めたエグゼビアは、”プロフェッサーX”として、国家の味方であるミュータントを集めたアカデミーを設立することを、マクタガートに伝える。 エグゼビアらが人間よりも優秀だと認めるマクタガートは、彼らを”X-MEN”と呼び、その存在を公言しないことを約束する。 マクタガートはエグゼビアに記憶を消され、彼女は何も覚えていないことを長官らに伝える。 そして、”マグニートー”となったレーンシャーは、CIAに拘束されていたエマを仲間に引き入れる。
...全てを見る(結末あり)
成長したレーンシャー(マイケル・ファスベンダー)は、母親を目の前で殺したシュミットの行方を追っていた。
遺伝学者となりミュータントに関する研究をしていたエグゼビア(ジェームズ・マカヴォイ)は、レイヴン(ジェニファー・ローレンス)と暮らしていた。
CIAエージェントのモイラ・マクタガート(ローズ・バーン)は、アメリカ陸軍のヘンドリー大佐(グレン・モーシャワー)の動向を監視し、特殊な能力を持つ集団”ヘルファイア・クラブ”のリーダー、セバスチャン・ショウ(ケヴィン・ベーコン)と接触したことを知る。
ナチの残党を殺害したレーンシャーは、シュミットを捜し出す手掛かりを得る。
レーンシャーは、エネルギーを吸収して若さを保つ能力を、ヘンドリーに見せ付ける。
マクタガートと共に、長官とウィリアム・ストライカーSr.(ドン・クリーチ)らに面会したエグゼビアは、突然変異による特殊能力により、心が読めることなどを説明する。
ショウの船に侵入し、彼の前に現われたレーンシャーだったが、”ヘルファイア・クラブ”のメンバー、エマ・フロスト(ジャニュアリー・ジョーンズ)に、海中に放り出される。
エグゼビアとレーンシャーは、ロシアの将軍(ラデ・シェルベッジア)の別荘に向かい、ショウの代理で将軍に接触するエマを確認する。
将軍に会ったショウは、宣戦布告とも言える、キューバへのミサイル配備を強要し実行させる。
戦艦艦長(マイケル・アイアンサイド)は、ソ連輸送船と艦隊を確認して戦闘配置につく。
参考:
・「X-メン」(2000)
・「X-MEN2」(2003)
・「X-MEN:ファイナル ディシジョン」(2006)
・「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」(2011)
・「X-MEN: フューチャー&パスト」(2014)
・「X-MEN: アポカリプス」(2016)
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・「ウルヴァリン: X-MEN ZERO」(2009)
・「ウルヴァリン: SAMURAI」(2013)
・「デッドプール」(2016)
・「ローガン」(2017)
*(簡略ストー リー)
ナチの迫害の犠牲になった、両親への思いによる怒りで、少年エリック・レーンシャーは金属を自在に操れる才能を知る。
戦後レーンシャーは、親の仇でもある、その能力を引き出したシュミットの消息を追う。
遺伝学者となり、自らも人の心を読む能力を持つチャールズ・エグゼビアは、ミュータントに関する研究を続けていた。
CIAのエージェント、マクタガートは、特殊能力を持つ集団”ヘルファイア・クラブ”のリーダーセバスチャン・ショウと、陸軍のヘンドリー大佐が接触したことを知る。
突然、変異の専門家であるエグゼビアに意見を求めたマクタガートは、彼の協力を得て、ショウについての調査を開始する。
その頃、ショウの所在を知ったレーンシャーは、彼に相対するものの打ちのめされる。
そこに現われたエグゼビアは、ショウらの乗る船に攻撃を仕掛け、逃げる彼を追おうとするレーンシャーを制止する。
その後、米ソの緊張が高まる中、ショウは、平和を探る両国を影で操り、核戦争を起そうと画策する。
自分もミュータントだと知らせ、レーンシャーに協力を約束したエグゼビアは、CIAの監視下で彼と共にミュータントを集め、ショウの行方を追う準備を始める・・・。
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前作「ウルヴァリン: X-MEN ZERO」(2011)では、主人公の”ウルヴァリン”自身についてを描いたのに対し、それとはまた違った展開を見せる、チームXの誕生秘話という内容が実に興味深い。
シリーズ中の幾多の謎が解けていく物語は、いずれの場面も実に新鮮で、キューバ危機を絡めた、主人公二人の分裂の秘密なども壮大に描かれている。
1作目の「X-メン」(2000)と同じシーンが映し出され、ナチの迫害をきっかけにして、少年レーンシャーが才能を見出される衝撃的な序盤も印象深い。
1、2作の監督ブライアン・シンガーが製作と原案を担当し、「キック・アス」(2010)などのマシュー・ヴォーンが監督し、シャープな演出を見せてくれる。
製作費1億6000万ドル、北米興行収入は約1億4600万ドル、全世界では3億5400万ドルの大ヒットとなった。
驚異的な能力を生かすに至る成長過程の主人公を演ずるジェームズ・マカヴォイとローレンス・ベルチャーが、まだまだ人間離れしていない様子に描かれているところなども注目で、両者はそれに応える熱演を見せる。
主演の二人に対する”ヘルファイア・クラブ”のリーダーを、存在感ある演技で好演するケヴィン・ベーコン、そのメンバーで妖艶なホワイト・クイーンを演ずるジャニュアリー・ジョーンズ、大活躍するCIAエージェント、マクタガートのローズ・バーン、天才科学者であり野獣ビーストと化すニコラス・ホルト、エグゼビアの元で育ち結局、マグニートーに従うことになるミスティークのジェニファー・ローレンス、その少女期モーガン・リリー、レーンシャーを誘う場面だけ姿を見せる同役のレベッカ・ローミン、秘密施設で研究を進めるCIAエージェント役のオリヴァー・プラット、国務長官のレイ・ワイズ、個性豊かにミュータントを演ずるエンジェルのゾーイ・クラヴィッツ、バンシーのケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、ハヴォックのルーカス・ティル、ダーウィンのエディ・ガテギ、アザゼルのジェイソン・フレミング、ヤーノシュのアレックス・ゴンザレス、陸軍大佐のグレン・モーシャワー、CIA長官のマット・クレイヴン、その部下でその後に登場するストライカー大佐の父親ドン・クリーチ、ソ連の将軍ラデ・シェルベッジア、艦隊司令官マイケル・アイアンサイド、国防総省の将軍ジェームズ・レマー、エグゼビアの少年期ローレンス・ベルチャー、レーンシャーの少年期ビル・ミルナー、そして、ヒュー・ジャックマンが、スカウトに来た主人公の二人を追い払うウルヴァリン役で登場するが、本作では原作者スタン・リーの出演はない。