1847年に発表された、エミリー・ブロンテの小説”嵐が丘”を基に製作された作品。 虐げられた生活を送る孤児の復讐と屋敷の主人の娘との恋を描く、製作サミュエル・ゴールドウィン、監督ウィリアム・ワイラー、主演マール・オベロン、ローレンス・オリヴィエ、デヴィッド・ニーヴン、ジェラルディン・フィッツジェラルド、フローラ・ロブソン他共演のドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ウィリアム・ワイラー
製作:サミュエル・ゴールドウィン
原作:エミリー・ブロンテ”嵐が丘”
脚本
チャールズ・マッカーサー
ベン・ヘクト
撮影:グレッグ・トーランド
編集:ダニエル・マンデル
音楽:アルフレッド・ニューマン
出演
キャシー・アーンショー・リントン:マール・オベロン
ヒースクリフ:ローレンス・オリヴィエ
エドガー・リントン:デヴィッド・ニーヴン
イザベラ・リントン:ジェラルディン・フィッツジェラルド
エレン・ディーン:フローラ・ロブソン
ヒンドリー・アーンショー:ヒュー・ウィリアムズ
ジョセフ:レオ・G・キャロル
ケネス医師:ドナルド・クリスプ
アーンショー:セシル・ケラウェイ
ロックウッド:マイルズ・マンダー
アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1939年製作 103分
公開
北米:1939年4月13日
日本:1950年12月1日
北米興行収入 $624,640
■ アカデミー賞 ■
第12回アカデミー賞
・受賞
撮影賞(白黒)
・ノミネート
作品・監督
主演男優(ローレンス・オリヴィエ)
助演女優(ジェラルディン・フィッツジェラルド)
脚色・美術・作曲賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
イングランド、ヨークシャー。
旅人ロックウッド(マイルズ・マンダー)は、吹雪の中、ある屋敷にたどり着く。
屋敷の主人のヒースクリフ(ローレンス・オリヴィエ)は、仕方なくロックウッドに部屋を与える。
ロックウッドは、使用人のジョセフ(レオ・G・キャロル)に部屋へ案内される。
夜中に目覚めたロックウッドは、窓の外から聞こえる女性の声に気づきヒースクリフを呼び、”キャシー”という言葉を聞いたことうを伝える。
動揺するヒースクリフはロックウッドを部屋から追い出し、窓を開けてキャシーの名を呼び、階下に向かい表に飛び出す。
ロックウッドはその様子を見て驚き、使用人エレン・ディーン(フローラ・ロブソン)からキャシーの話を聞く。 40年前。 アーンショーの娘キャシーはヒースクリフと仲良くするが、彼女の兄ヒンドリーはヒースクリフを嫌う。 酷い仕打ちに復讐を誓うヒースクリフだったが、やがてアーンショーは病に倒れ息を引き取る。 実の息子と同様に育ててくれたアーンショーの死を悲しむヒースクリフは、ヒンドリーから使用人扱いすると言われる。 時は流れ、屋敷の主人となったヒンドリー(ヒュー・ウィリアムズ)は、ヒースクリフ(ローレンス・オリヴィエ)を奴隷扱いしていた。 兄の態度をよく思わないキャシー(マール・オベロン)は、虐げられる毎日を送るヒースクリフと愛し合うようになっていた。 ある日、隣人のリントン家のパーティーに気づき敷地内に忍び込み、屋敷内を覗いていたキャシーとヒースクリフは番犬に襲われてしまう。 リントン家の長男エドガー(デヴィッド・ニーヴン)がそれに気づき、キャシーを屋敷内に運び、ヒースクリフは追い出されそうになる。 キャシーにその場から逃れるよう言われたヒースクリフは、パーティーの出席者に向かい、復讐して破滅させると言い残してその場を去る。 介抱されたキャシーはリントン家で夢のような生活を体験し、数週間後にエドガーと共に自宅屋敷に戻る。 キャシーは、未だにその場にヒースクリフがいたために驚き、エドガーが彼を侮辱したために憤慨する。 ヒースクリフを愛していたことを伝えたキャシーは、エドガーを屋敷から追い出してしまう。 エドガーの妹イザベラ(ジェラルディン・フィッツジェラルド)から借りたドレスを脱ぎ捨てたキャシーは、ヒースクリフが向かったペニストン岩で愛を確かめ合う。 上流の生活にも憧れを抱くキャシーは、エドガーからの手紙や贈り物を受け取りパーティーに招かれる。 それをよく思わないヒースクリフは、浮かれるキャシーを非難するものの、薄汚い貧しい男だと言われてショックを受け、彼女に手を出してしまう。 キャシーはヒースクリフを追い払い、エドガーの迎えを待つ。 失意のヒースクリフは、パーティーから戻ったキャシーが、エドガーから求婚されたことをエレンに話す会話を聞いてしまう。 エレンはヒースクリフのことをキャシーに尋ねるが、彼女は身分の低い彼に将来はないと言い切る。 ヒースクリフが話を聞いていることを知っていたエレンは彼を気づかう。 キャシーは、苦楽を共にしてきたヒースクリフのことを思い、心の迷いを語る。 その時、雨の中ヒースクリフが屋敷から飛び出す姿を目撃するジョセフの声が聞こえる。 キャシーは、ヒースクリフが自分の話を聞いていたことをエレンから知らされる。 馬で走り去ったヒースクリフを追うキャシーだったが、彼の姿は見えなかった。 倒れているのをエドガーに発見されたキャシーは屋敷に運ばれ、付き添うエレンの介抱と医師ケネス'(ドナルド・クリスプ)の治療を受けて彼女は回復する。 その後、キャシーはエドガーと結婚するが、ヒースクリフのことが心を過り、それを察したエレンは今後を案ずる。 エドガーに対するキャシーの愛が深まった頃、紳士となったヒースクリフが戻り二人の元を訪ねて来る。 アメリカに渡っていたヒースクリフは、自分が貴族の息子だと思い出し、財産を相続したことを伝える。 ヒースクリフは、賭博と酒に溺れたヒンドリーの借金を払い”嵐が丘”を買い取ったことも話す。 素っ気ない態度のヒースクリフは、良き隣人であれば歓迎するとキャシーに言われその場を去る。 ヒースクリフに惹かれたエドガーの妹イザベラは、兄とキャシーの彼に対する態度を非難する。 酒浸りのヒンドリーに追い出されそうになったヒースクリフは、自分が主人だということを彼に確認させて、屋敷に居ていいことを伝える。 馬が怪我をしたということで”嵐が丘”に立ち寄ったイザベラは、エドガーに禁じられながら会ったヒースクリフに思いを知られ親交を深める。 リントン家のパーティーの日、イザベラに招かれたヒースクリフは、その場でキャシーを見つめる。 ヒースクリフの視線を気にするキャシーは、彼に誘われてバルコニーに向かう。 キャシーは、変わらぬ愛をヒースクリフに告げられるが、それを受け入れるわけにいかずその場を離れる。 ヒースクリフを招待したことでイザベラを責めるキャシーだったが、求婚されたことを彼女から知らされて動揺する。 その件でヒースクリフに会ったキャシーだったが、自分の元へ戻らない限り考えを変えないことを彼に言われる。 イザベラが出て行ったことを知ったキャシーは、結婚を阻止するためにヒースクリフを殺すようエドガーに指示する。 その態度で、キャシーのヒースクリフへの想いが続いていることをエドガーは悟る。 その後ヒースクリフとイザベラは結婚するが、彼女は幸せとは程遠い日々を送っていた。 ケネス医師に実家に戻るよう言われたイザベラは、キャシーが重病であることを知らされる。 キャシーが死ねば自分が幸せになると考えるイザベラは、彼女の病気をエレンから知らされたヒースクリフが、リントン家に向かおうとするのを制止する。 それを振り切りキャシーの元に向かったヒースクリフは、自分を求める彼女を抱きしめる。 エレンが現れ、エドガーが戻ることを知らされたキャシーだったが、窓から外を見たいことをヒースクリフに伝える。 キャシーを抱きかかえたヒースクリフは、窓を開けて外の風景を彼女に見せる。 愛を語り合ったペニストン岩を眺めながら、キャシーはヒースクリフの腕の中で息を引き取る。 寄り添うケネス医師に、キャシーを誰にも渡さないと伝えるヒースクリフは、現れたエドガーが悲しむ中、自分を苦しませるようにと神に祈りを捧げ泣き崩れる。 キャシーの魂と共に苦しみながら日々を送ったヒースクリフは、幽霊ではない彼女の愛と生きていることを、エレンはロックウッドに伝える。 そこに、ヒースクリフと女性の姿を見たと言ってケネス医師が現れる。 エレンは、それがキャシーであると語る。 ペニストン岩に登って行ったケネスは、ヒースクリフが一人で死んでいたことを話す。 エレンは、それが死ではなく、ヒースクリフとキャシーが共に生き始めたのだと言って、二人に別れを告げる。
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...全てを見る(結末あり)
”嵐ケ丘”と呼ばれる屋敷の主人アーンショー(セシル・ケラウェイ)は、身寄りのない少年ヒースクリフを連れて戻る。
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*(簡略ストー リー)
イングランド、ヨークシャー。
旅人ロックウェルは、吹雪の中,立ち寄った屋敷の主人ヒースクリフの挙動に驚き、使用人エレンからある話を聞く。
40年前、孤児だった少年ヒースクリフは、”嵐が丘”と呼ばれる屋敷の主人アーンショーに息子のように育てられる。
ヒースクリフは、アーンショーの娘キャシーとは仲良くするが、彼女の兄ヒンドリーに嫌われる。
やがてアーンショーは亡くなり、ヒースクリフは使用人という立場でヒンドリーにこき使われる。
時は流れ、ヒースクリフはヒンドリーに復習を誓いながら、キャシーと愛し合うようになっていたのだが・・・。
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ヨーロッパでは戦火が近づき、映画史に残る名画が多く公開された1939年の作品。
サミュエル・ゴールドウィン製作、エミリー・ブロンテのイギリス文学史上の名作をチャールズ・マッカーサーとベン・ヘクトが脚色、ウィリアム・ワイラーの演出、ローレンス・オリヴィエのハリウッド出演第一作でもあり、一級の文芸ドラマに仕上がっている。
原作の雰囲気をやや抑え気味に描いている感じのウィリアム・ワイラーの演出は、マール・オベロンとローレンス・オリヴィエの個性と演技を重視した内容であり、重厚な映像が観る者に訴える。
主人公らの永遠の恋を描く物語なのだが、主演のマール・オベロンとローレンス・オリヴィエの相性は悪く、二人は終始いがみ合い撮影現場は苦労の連続だったらしい。
そこで歴史的な出来事が起きる・・・
ローレンス・オリヴィエの愛人だったヴィヴィアン・リーは、彼の苦悩を知りハリウッドに向かい、その時、ヒロインがいないまま撮影が始まっていた「風と共に去りぬ」(1939)の撮影現場で目に留まり、”スカーレット・オハラ”役に抜擢されたのだった。
ハリウッドの名だたる名監督の作品で撮影を担当したことでも知られるグレッグ・トーランドの映像は秀逸であり、特に、神の領域を感じさせる雰囲気で映し出される、主人公二人が愛を確かめる場所の岩山の神秘的な描写などは見事で、第12回アカデミー賞では、撮影賞(白黒)を受賞した。
*アカデミー賞ノミネート
作品・監督
主演男優(ローレンス・オリヴィエ)
助演女優(ジェラルディン・フィッツジェラルド)
脚色・美術・作曲賞
アルフレッド・ニューマンの格調高い音楽も印象に残る。
ローレンス・オリヴィエと不仲だったことが感じられない、死と共に求め続けた愛を手に入れるヒロインを好演するマール・オベロン、本作以降の活躍により世界的スターの地位を築くことになる、復讐心を貫く虐げられた孤児を熱演するローレンス・オリヴィエ、ヒロインと結婚する上流階級の子息デヴィッド・ニーヴン、その妹ジェラルディン・フィッツジェラルド、屋敷”嵐が丘”の使用人フローラ・ロブソンとレオ・G・キャロル、ヒロインの兄ヒュー・ウィリアムズ、医師ドナルド・クリスプ、屋敷の主人セシル・ケラウェイ、旅人マイルズ・マンダーなどが共演している。