サイトアイコン That's Movie Talk!

ホワイトナイツ 白夜 White Nights (1985)

冷戦下、自由や国策への不満から亡命した東西のダンサーが友情により自由と生きる希望を手に入れるまでを描く、製作、監督テイラー・ハックフォード、主演ミハイル・バリシニコフグレゴリー・ハインズイザベラ・ロッセリーニヘレン・ミレンジェラルディン・ペイジ共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ


スタッフ キャスト ■
監督:テイラー・ハックフォード

製作
ウィリアム・S. ギルモア

テイラー・ハックフォード
原案:ジェームズ・ゴールドマン
脚本
ジェームズ・ゴールドマン

エリック・ヒューズ
ナンシー・ダウド
撮影:デヴィッド・ワトキン
編集
フレデリック・スタインカンプ

ウィリアム・スタインカンプ
音楽:ミシェル・コロンビエ

出演
ニコライ”コリャ”ロドチェンコ:ミハイル・バリシニコフ

レイモンド・グリーンウッド:グレゴリー・ハインズ
ダーリャ・グリーンウッド:イザベラ・ロッセリーニ
ガリナ・イワノワ:ヘレン・ミレン
アン・ワイアット:ジェラルディン・ペイジ
ウラジミール・チャイコ大佐:イエジー・スコリモフスキ
ウィン・スコット:ジョン・グローヴァー
ラリー・スミス大使:シェーン・リマー

アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ

1985年製作 136分
公開
北米:1985年11月22日
日本:1986年4月26日
北米興行収入 $42,160,850


アカデミー賞 ■
第58回アカデミー賞

・受賞
歌曲賞”Say You, Say Meライオネル・リッチー

・ノミネート
歌曲賞
Separate Lives (Love Theme from White Nights)”スティーブン・ビショップ


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
ソ連からアメリカに亡命た、世界的なバレエ・ダンサー、ニコライ”コリャ”ロドチェンコ(ミハイル・バリシニコフ)は、ニューヨーク公演を終えて東京に向う。

その後、ニコライの乗る旅客機のコックピットで電気系統のトラブルが起き、ソ連の基地に緊急着陸することになる。

危険を感じたニコライは、パスポートなどを破り捨ててトイレに流す。

機体に損傷を受けながら着陸には成功するものの、座席についていなかったニコライは重傷を負い、マネージャーのアン・ワイアット(ジェラルディン・ペイジ)は、彼の身を案ずる。

シベリアノリスクソ連防空基地。
上空からの視察を終えたKGBのウラジミール・チャイコ大佐(イエジー・スコリモフスキ)は、身元不明者の捨てたと思われるパスポートなどを回収して、それを確認した後、モスクワに連絡を入れるよう部下に命ずる。
...全てを見る(結末あり)

病室に収容されているニコライの元に向かったチャイコは、フランス人を装う彼に、身元がばれていることを伝える。

アメリカ大使館への連絡を求めるニコライだったが、ソ連国内では犯罪者だと言って、彼の要求を退ける。

上客乗員はモスクワに移送されることになり、ニコライの安否を気遣うアンに対し、彼が危篤状態のために面会ができないことを伝える。

タイミル半島沖、オルニー島。
アメリカの国策を批判し、ソ連に亡命したタップ・ダンサー、レイモンド・グリーンウッド(グレゴリー・ハインズ)は、妻のダーリャ(イザベラ・ロッセリーニ)と共に、チャイコの訪問を受ける。

モスクワ、アメリカ大使館。
アンは、基地に向かう許可をラリー・スミス大使(シェーン・リマー)から得ようとするが、それは認められない。

大使に帰国するよう言われたアンだったが、ニコライと一緒でなければそれに応じないと言い張る。

ニコライを”キーロフ・バレエ”(現マリインスキー・バレエ)に復帰させようと考えるチャイコに、彼の監視を命じられたレイモンドは、ニコライの世話をすることになる。

しかし、ニコライは、レイモンドをスパイと決めつけて信用しない。

自分と同じ立場で、自由を捨てたレイモンドを批判するニコライだったが、レイモンドは、ベトナム戦争などの体験で国を信しることができず、苦しんだ末の選択だった経緯を語り、ダーリャと共に涙する。

翌日、チャイコに会ったレイモンドは、ニコライの扱いに梃子摺っていることを伝える。

過酷な労働現場を選ぶか劇団復帰かを、チャイコはニコライに選択させようと考える。

自宅に戻ったレイモンドは、昨夜のことをニコライに謝罪する。

レイモンドは、母国の舞台に復帰すべきだとニコライに伝え、彼らはレニングラード(現サンクトペテルブルク)に向かうことになる。

レニングラード
ニコライは、レイモンドとダーリャを伴い、チャイコに案内されて、かつての古巣キーロフ劇場(現マリインスキー劇場)などを通り、豪華な滞在先に向かう。

その後、ニコライは、お互いを理解し始めたレイモンドと共に体を慣らし始める。

そして、かつての恋人で元バレリーナのガリナ・イワノワ(ヘレン・ミレン)が、ニコライを訪ねてくれる。

ガリナは、突然姿を消したニコライを責めて、辛い思いをした8年間を振り返る。

キーロフ”に復帰するようニコライに迫るガリナだったが、西側との交渉を彼に頼まれ、それを拒み、その場を立ち去る。

チャイコの指示による行動だったが、ガリナは、ニコライが躍ったとしても、KGBの尋問を受けることなどを知る。

ニコライは、シャワー室から建物の外に出て、稽古中の少女達に知人へのメッセージを渡すことを頼むが、自分がロドチェンコだと言っても信じてもらえず追い払われレイモンドの元に戻る。

それを知ったチャイコは、レイモンドの責任を追求して、ダーリャ連行して引き離し、彼にプレッシャーをかける。

レイモンドは激怒してニコライに言い寄るが、ダーリャを危険な立場にしたのは自分ではないと言って、ニコライは反論する。

しかしニコライは、言葉を失い涙するレイモンドを気遣う。

キーロフ劇場
ガリナの元に向かったニコライは、踊ることへの要請と自由に対する思いで再び対立する。

自由な世界で生きた自分を、踊りで表現するニコライを見て涙するガリナは、仕方なくチャイコの指示に従っていることを彼に伝える。

二人は、自分達に迫る危険を不安に思いながらも、互いの思いを 確かめ合う。

あるパーティーにチャイコ同伴で出席したガリナは、彼の目を気にしながら、アメリカ大使館員ウィン・スコット(ジョン・グローヴァー)に、ニコライが滞在していることと、接触する場所を伝える。

モスクワ
それを知ったアンは、直ちに行動を起こすようスミス大使に提案するが、チャイコの部下であるガリナの情報であるため慎重に対処する。

焦るアンだったが、旅客機着陸の件で世論はソ連を好意的に見ているため、やたらに騒ぎ立てると、ニコライの事故死を発表されかねないとスコットは指摘する。

その間、ニコライとレイモンドは、カメラで監視されながらレーニングを続けて不仲を装う。

ガリナは、スコットとの待ち合わせ場所で、彼の協力者に接触する。

チャイコに、自分がダーリャに気があると思い込ませたニコライは、彼女をレイモンドの元に戻すことに成功する。

ダーリャは戻ったものの、将来に希望を抱けないレイモンドは、気持ちが沈む。

しかし、ダーリャから妊娠したことを知らされたレイモンドは、彼女と喜びを分かち合う。

生きる希望を見つけたレイモンドは、逃亡の準備を始めたニコライに、自分達も同行することを伝える。

ニコライとレイモンドは逃亡する日を決めるものの、それを知ったダーリャは反対する。

しかし、レイモンドに説得されたダーリャは、自由を求める決心をする。

舞台に立つことをガリナに伝えたニコライは、アメリカ側のスコットのことを知らされて、同行することに同意できない彼女に別れを告げる。

そしてニコライは、自分を育ててくれたキーロフ劇場の舞台で、思い出に浸り涙する。

その後、ニコラスとレイモンドそしてダーリャは、手作りのロープで建物から脱出しようとする。

ニコラスとダーリャは、建物の反対側の梯子にたどり着くが、チャイコが戻ったことを知り、レイモンドは、二人を逃がすために部屋に留まる。

レイモンドは、ニコラスのことを罵りながら騒ぎを起こし、チャイコと話し合うことになる。

その隙にニコライとダーリャは建物を離れるが、チャイコの部下が、部屋の盗聴器から、会話が聞こえることに気づく。

部下はそれをチャイコに知らせようとするが、彼は邪魔をするなとそれを遮る。

ニコラスとダーリャは、待ち合わせ場所でスコットに保護される。

チャイコは、ようやくレイモンドに騙されたことに気づき、激怒してニコライらを追う。

ニコライの乗った車は、領事館の手前で事故を起こし、チャイコも到着する。

各国の記者らが見守る中、チャイコは強硬手段に出ることもできずにいたが、ロシア人のダーリャは取り押さえられそうになる。

ニコライは、ダーリャを解放すれば沈黙することをチャイコに約束する。

チャイコは仕方なくダーリャを解放し、ニコライにレイモンドの身柄引き渡しも要求される。

西側に笑顔で答えたチャイコは、ソ連がニコライの命を救ったことを強調する。

レイモンドを思うダーリャを、ニコライは抱きかかえて領事館内に引き入れる。

その後、レイモンドはチャイコに連行され、森の中で彼の部下に銃を向けられる。

しかし、レイモンドは、西側に捕えられていた南米の同志との交換で、国境を越えることを許され、待ち構えていたダーリャとニコライの元に向かう。

尚も負けを認めないチャイコを、ニコライは相手にしない。

そして、国に戻ることをダーリャに告げたレイモンドは、ニコライを抱きしめて彼に感謝する。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
ソ連からアメリカに亡命していた世界的なバレエ・ダンサーのニコライ・ロドチェンコは、旅客機のシベリアでの不時着事故で、KGBのチャイコ大佐に身柄を拘束される。
負傷していたニコライを、チャイコは政治犯扱いして西側との接触を断ち、”キーロフ・バレエ”に彼を復帰させようと考える。
そのためチャイコは、アメリカの国策に失望して、ソ連に亡命していたタップ・ダンサーのレイモンド・グリーンウッドとロシア人妻ダーリャに、ニコライの監視と復帰を促す役目を強要する。
お互いの立場を理解しないニコライとレイモンドは、意見が合わずに反発し合う。
しかし、自由を捨てたレイモンドが、ベトナム戦争での体験などで、国を信じられなくなった苦しみを知ったニコライは、次第に彼を理解し、ダーリャと共にレニングラードに向かうことになる。
ニコライは、チャイコに監視されながら、負傷から癒えた体を慣らし脱出方法を探る。
そこに、かつての恋人で元バレリーナのガリナが、チャイコに命じられ、ニコライに復帰をさせるよう説得に現れるのだが・・・。
__________

定番でもある、”冷戦”の犠牲になる者達のドラマは、サスペンス・タッチの後半に加え、自由を求めた結果の美しい友情も生まれ、クライマックスに向けて、テイラー・ハックフォードのメリハリの効いた演出で大いに盛り上がる。

それに加え、押しつけがましくない雰囲気で、トップ・ダンサーのパフォーマンスを映し出す映像は、大いにファンを楽しませてくれる。

二人のダンスをローアングルから撮った映像も、その力感などを一層際立たせている。

第58回アカデミー賞では、エンディングで流れる、ヒットしたライオネル・リッチーの”Say You, Say Me”が、歌曲賞を受賞した。
・ノミネート
歌曲賞
Separate Lives (Love Theme from White Nights)”
スティーブン・ビショップ

演技者としても好演する世界的バレエ・ダンサー役のミハイル・バリシニコフは、物語とほぼ同じ人生を歩み、1974年にアメリカに亡命し、本作公開の翌年1986年に帰化している。

どのようにして、この物語に彼のパフォーマンスを挿入するのかが実に興味深かったグレゴリー・ハインズは、ダンスだけでなく、苦悩する亡命者を熱演している。

リアルタイムで観た作品ではあるが、当然のごとく当時は、ヘレン・ミレンの役者としての知識もなく見過ごしていたが、今観ると、既に40歳に近づく彼女は非常に美しく、父親がロシア人だけあり、周囲の雰囲気にマッチした適役であり、キーパーソンとして印象深い演技を見せてくれる。
テイラー・ハックフォードヘレン・ミレンは、1997年に結婚する。

レイモンド(G・ハインズ)のロシア人の妻、母イングリッド・バーグマンの生き写しのような、美しいイザベラ・ロッセリーニ、主人公のマネージャー、ジェラルディン・ペイジKGBの大佐役イエジー・スコリモフスキ、アメリカ大使館員ジョン・グローヴァー、大使シェーン・リマーなど、魅力的な共演者が脇を固めている。


モバイルバージョンを終了