名作「アフリカの女王」(1951)のロケに同行した脚本家ピーター・ヴィアテルの体験談を基にした同名著書を原作に製作された作品。 同作の監督ジョン・ヒューストンをモデルにして、ハンティングにこだわる彼の身勝手な行動で困難を極めた撮影の裏話を描く、製作、監督、主演クリント・イーストウッド、ジェフ・フェイヒー、ジョージ・ズンザ、アルン・アームストロング、マリサ・ベレンソン、ティモシー・スポール他共演のドラマ。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:クリント・イーストウッド
製作総指揮:デヴィッド・ヴァルデス
製作:クリント・イーストウッド
原作:ピーター・ヴィアテル
脚本
ジェームズ・ブリッジス
バート・ケネディ
ピーター・ヴィアテル
撮影:ジャック・N・グリーン
編集:ジョエル・コックス
音楽:レニー・ニーハウス
出演
ジョン・ウィルソン:クリント・イーストウッド
ピート・ヴェリル:ジェフ・フェイヒー
ポール・ランダース:ジョージ・ズンザ
ラルフ・ロックハート:アルン・アームストロング
ケイ・ギブソン:マリサ・ベレンソン
ホドキンス:ティモシー・スポール
ウィルディング:シャーロット・コーンウェル
アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1990年製作 112分
公開
北米:1990年5月16日
日本:1990年11月9日
製作費 $24,000,000
北米興行収入 $2,319,120
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1950年代初頭。
波乱の人生を歩みながら成功を手にし、多額の借金も抱えるカリスマ映画監督ジョン・ウィルソン(クリント・イーストウッド)の元に、友人の若手脚本家ピート・ヴェリル(ジェフ・フェイヒー)が訪ねて来る。
ヴェリルは、ウィルソンの秘書ウィルディング(シャーロット・コーンウェル)の出迎えを受け豪邸に案内される。
ウィルソンに挨拶したヴェリルは、彼のアフリカ行きに誘われ、新作の構想もそこそこに、その後に楽しむサファリについてなど、気忙しい説明を受ける。
その後、破天荒なウィルソンの行動に手を焼いているプロデューサーのポール・ランダース(ジョージ・ズンザ)も現れる。 オール・アフリカ・ロケにこだわるウィルソンは、それに意見する製作陣と揉め始め、ランダースが何とか話をまとめる。 新作の脚本を読んだヴェリルは、ラストにハリウッド的な面白味が欠けていることを、観客の視点でウィルソンに伝える。 しかしウィルソンは、観客のご機嫌を窺って映画を撮る気がないことをヴェリルに伝え、周囲の思惑に左右されない人生を貫くロマンを語り、自分の考えを曲げない。 ウガンダ、エンテベ。 一行はホテルに着き、ヴェリルは脚本の手直しを始めるが、草原を目の前にして、ウィルソンはサファリのことしか頭になかった。 夜になり、ウィルソンは、ユダヤ人を軽蔑するイギリス人夫人と席を共にしていた。 そこに、ユダヤ人のヴェリルが現れ不快感を露にし、同じ考えのウィルソンが、 かつて、同様にヒトラーを擁護した女性を”醜い女だ”と侮辱した話をして彼女を追い払う。 その後ウィルソンは、黒人のウエイターの不始末に腹を立て、客の前で叱り飛ばす支配人を表に呼び出し殴り合いになる。 ウィルソンは叩きのめされてしまい、それを、彼の監視役だったロックハートが、ランダースに報告する。 それに気づいたヴェリルは、ウィルソンがボスだということをロックハートに確認させ、スパイを止めさせようとする。 翌日、ウィルソンとヴェリルは、パイロットのホドキンス(ティモシー・スポール)の操縦する軽飛行機でコンゴに向かうが、ロックハートは先回りしていた。 撮影に使う老朽ボートを、激流で試運転したウィルソンは、寸前で滝に飲まれそうになる。 いよいよサファリを楽しむことになったウィルソンは、牙のある像を目の前にして、雌の群れに危険を感じ仕留めるのを諦める。 暑さや疲労でバテても、ウィルソンは象を撃つまでその場に残ると言い張る。 キャストなどが到着し、撮影を開始しなければならないことを気にするヴェリルの忠告を、ウィルソンは聞き入れない。 帰国する意思を伝えても、その地を動こうとしないウィルソンを残し、ヴェリルはエンテベに戻る。 ヴェリルは、主演女優ケイ・ギブソン(マリサ・ベレンソン)らと到着した、ランダースを迎える。 ランダースはヴェリルを何とか引き止め、撮影隊を引き連れてウィルソンの元に向かう。 一行を歓迎したウィルソンは、撮影のことばかりを気にするランダースを相手にせず、からかってしまう。 その後、天候不順が続き撮影は延期され、当然ウィルソンはハンティングに出かけてしまい、ランダースは頭を抱える。 ようやく天候が回復するものの、象の群れの知らせを受けたウィルソンは現場に向かってしまう。 同行したヴェリルは危険を察知し、ウィルソンにハンティングを中止するよう説得する。 それを無視したウィルソンは、象を目の前に撃つのを躊躇してしまう。 一旦、群れに戻った象が引き返し、現地人が牙で刺し殺されてしまい、それを見たウィルソンは、ロケ隊の元に引き返す。 村では、事件を伝えるドラムが打ち鳴らされる、”ホワイトハンター ブラックハート”。 落胆したウィルソンは、ヴェリルが手直ししようとした脚本が正しかったことを伝える。 そして、スタッフや主演のケイ・ギブソが配置に着き、撮影の準備は全て整ったことを、ウィルソンは確認する。 ”アクション・・・”
...全てを見る(結末あり)
準備が整ったウィルソンとヴェリルは、ロケハンのため到着し、マネージャーのラルフ・ロックハート(アルン・アームストロング)らの出迎えを受ける。
*(簡略ストー リー)
破天荒なカリスマ映画監督ジョン・ウィルソンは、若手脚本家ヴェリルを、新作ロケに同行させる。
ロケハンのためウガンダ入りしたウィルソンは、草原を目の前にして牙象を撃つことしか頭になかった。
プロデューサーのランダースは、ウィルソンの行動に頭を抱え、スパイとしてマネージャーのロックハートを送り込む。
ロケ地を見つけにコンゴに向かったウィルソンは、ある村に居座り、ひたすら象を撃つことを考える毎日を送る。
そんなウィルソンを見限ったヴェリルは、彼に帰国の意思を伝えウガンダに戻り、ランダースや主演者ケイ・ギブソンら撮影隊を迎える。
ランダースはヴェリルを引き止め、撮影隊を引き連れウィルソンの元に向かう。
相変わらず考えを変えないウィルソンは、天候不順を理由に撮影を延期し、ハンティングに出かけてしまう・・・。
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かなり脚色されているとは言え、大筋では、当時のジョン・ヒューストンがとった行動は本作の通りで、豪放磊落で周囲に惑わされない、彼の魅力を捉えた興味深い作品ではある。
但し、普段セリフも少ないクリント・イーストウッドが、自分の考えを主張しまくる序盤は息切れ気味で、見ている方も、つられて疲れてしまうようなところもある。
監督に徹し適任の役者を使えば、思わぬ”名作”になったかもしれない・・・。
評価は悪く、興行的にも大失敗に終わった作品でもある。
しかし、こんな状況下のロケでありながら完成した「アフリカの女王」(1951)は、映画史に残る名作に数えられ、”汚れ役”に挑戦した大スターのハンフリー・ボガートは、ついに、アカデミー主演賞を受賞する記念すべき作品になった。
そんなことを考えると、ジョン・ヒューストンの才能は、やはり人間離れしているとしか考えられない。
原作者ピーター・ヴィアテルをモデルにした脚本家で、主人公の人間性を常に観察する眼差しが印象的なジェフ・フェイヒー、身勝手な主人公に頭を抱えるプロデューサー役のジョージ・ズンザ、彼に送り込まれる主人公の監視役アルン・アームストロング、キャサリン・ヘプバーンがモデルの映画の主演女優役のマリサ・ベレンソン、主人公の秘書シャーロット・コーンウェル、そして、現在、大活躍を続けるティモシー・スポールが、軽飛行機のパイロット役で登場するが、当時の方が老けていたようにも見える。