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荒鷲の要塞 Where Eagles Dare (1968)

1967年に発表された、アリステア・マクリーンの小説”Where Eagles Dare”を基に彼自身が脚色して製作された作品。
ナチス・ドイツの難攻不落の要塞に侵入し連合軍将校救出を命ぜられてコマンド部隊の活躍を描く、監督ブライアン・G・ハットン、主演リチャード・バートンクリント・イーストウッドメアリー・ユーア他共演のサスペンス・アクション。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(サスペンス/犯罪)

クリント・イーストウッド / Clint Eastwood 作品一覧
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スタッフ キャスト
監督:ブライアン・G・ハットン
製作
エリオット・カストナー
ジェリー・ガーシュウィン
原作:アリステア・マクリーン”Where Eagles Dare”
脚色:アリステア・マクリーン
撮影:アーサー・イベットソン
編集:ジョン・ジンプスン
音楽:ロン・グッドウィン

出演
ジョナサン・スミス少佐:リチャード・バートン
モリス・シェイファー中尉:クリント・イーストウッド
メアリー・エリソン:メアリー・ユーア
ワイアット・ターナー大佐:パトリック・ワイマーク
ローランド提督:マイケル・ホーダーン
クラマー親衛隊大佐:アントン・ディフリング
ローゼマイヤー将軍:フェルディ・メイン
フォン・ハッペン少佐:デーレン・ネシビット
ジョージ・カーナビー准将/カートライト・ジョーンズ:ロバート・ビーティー
ハイディ:イングリッド・ピット

アメリカ/イギリス 映画
配給 MGM
1968年製作 155分
公開
イギリス:1968年12月4日
北米:1969年3月12日
日本:1968年12月14日
北米興行収入 $7,100,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
1943年冬、第二次大戦下。
ドイツ南部アルプス山中の町ヴェルフェンにあるドイツ軍情報本部”Schlos Adler”(鷲の城)に、侵攻作戦(ノルマンディー上陸作戦)の詳細情報を知るアメリカ軍のジョージ・カーナビー准将(ロバート・ビーティー)が捕われたという報せが、イギリス軍情報部に入る。

イギリス情報部のローランド提督(マイケル・ホーダーン)とワイアット・ターナー大佐(パトリック・ワイマーク)の指揮下、ジョナサン・スミス少佐(リチャード・バートン)率いる6名の諜報員に、アメリカ陸軍レンジャー部隊員のモリス・シェイファー中尉(クリント・イーストウッド)を加えたコマンド部隊が、カーナビー将軍を救出するため、アルプスへと飛び立つ。

吹雪の森林地帯に、パラシュート降下した部隊だったが、通信員が首を折り死んでいるのが発見される。
...全てを見る(結末あり)

スミスは、殺された隊員が他殺だということを確認するが、それを隠し山小屋に向かう。

部下達に暗号書を忘れたことにして、スミスは別の納屋に向かい、SOE(特殊作戦執行部)情報員メアリー・エリソン(メアリー・ユーア)と接触する。

スミスは、通信員が殺されたことと、ヴェルフェンでの段取りをメアリーに伝えて山小屋に戻る。

ドイツ兵に扮した部隊はヴェルフェンに近づき、スミスとシェイファーは要塞化した城を確認する。

ローランド提督に、通信員が殺されたことを報告したスミスは、難攻不落の城の様子をシェイファーに知らされる。

その頃、ヘリコプターで城に到着したローゼマイヤー将軍(フェルディ・メイン)を、親衛隊のクラマー大佐(アントン・ディフリング)が迎える。

ローゼマイヤー将軍は、カーナビー将軍へのゲシュタポの介入を懸念し、フォン・ハッペン少佐(デーレン・ネシビット)の行動を警戒する。

ヴェルフェンに侵入した部隊は、ある倉庫に装備を隠して酒場に向かう。

そこで現地のスパイ、ハイディ(イングリッド・ピット)に接触したスミスは、彼女を呼び出してメアリーと合流する。

スミスは、ハイディのいとこに成りすましたメアリーを、メイドとして城に侵入させようとする。

また、計画は偽装作戦であり、カーナビー将軍は偽者で、役者の”カートライト・ジョーンズ”だということをメアリーに知らせ、彼女をハイディに引き合わせさせる。

その間また一人の部下が殺され、シェイファーはこれまでの状況から、自分に隠し事があるのではないかと、スミスに問い質す。

スミスは、作戦にアメリカ人を呼んだ理由をシェイファーに話し始める。

そこに、ハイディを訪ねて来た振りをしてメアリーが現れる。

ハイディはフォン・ハッペンにメアリーを紹介し、彼は城に行く場合にはエスコートすることを約束する。

しかし、脱走兵を捕らえるためにドイツ軍警備隊が現れ、仕方なくスミスは自首することにする。

メアリーとハイディはフォン・ハッペンと共に、ロープウェイで城に向かう。

スミスとシェイファーは、連行途中にドイツ兵を倒し車を崖から転落させる。

城に着いたフォン・ハッペンは、クラマー大佐から、捕まった脱走兵が、イギリスのスパイだということを知らされる。

自分に連絡のなかったフォン・ハッペンは憤慨し、クラマー大佐を非難して二人は口論になる。

部屋に案内されたハイディは、メアリーに、銃器などの装備品を渡してその場を去る。

町の倉庫に戻ったスミスは、ローランド提督に無線連絡をするが、状況から危険を察知した提督は、スミスに撤退命令を出す。

しかし、スミスはそれを無視して爆破を起こし、町を撹乱させてサイドカーを奪い、シェイファーと共に撤退時の準備を始めて城に向かう。

そして、スミスとシェイファーは、仲間の3人が城に運ばれる、ロープウェイのゴンドラの屋根に乗り城を目指す。

メアリーの手助けで、城に侵入したスミスとシェイファーは、ローゼマイヤー将軍に尋問されているジョーンズ(カーナビー将軍)の元に向かう。

そこに、スミスの部下3人も連行されるが、彼らはドイツ側のスパイだったのだ。

質問に答えないジョーンズは、自白剤”スコポラミン”を打たれそうになる。

しかし、その場に現れたスミスは、突然シェイファーに銃を向けて、意外なことを口にし始める。

カーナビー将軍は偽物で、3人はイギリスの二重スパイであり、スミス自身は親衛隊の情報部員だというのだ。

その頃、フォン・ハッペンに誘われていたメアリーは、彼に城内部のバーで故郷のことを聞かれ怪しまれていた。

その後スミスは、シェイファーはアメリカ”OSS”の戦略諜報局員で、他の3人はイギリスの”MI6”の諜報員だということを明らかにしていく。

カーナビー将軍は、アメリカ陸軍の伍長カートライト・ジョーンズであることを自白する。

自分が、イギリスのスパイでも得することはないことを説明したスミスは、3人がドイツ側のスパイなら、他の仲間の名前を知っているはずだと、自らはその人物の名前を書きクラマー大佐に見せる。

さらにスミスは、ケッセルリンク元帥のイタリア司令部に連絡を入れ、自分の身元をクラマー大佐に確認させる。

スミスは、3人にドイツ側のスパイだと証明させるため、イギリスに潜入しているスパイの名前を書き出させる。

そしてスミスは、3人の書いた名簿と自分の物をクラマー大佐に見せて確認させるが、シェイファーに銃を奪うよう合図する。

スミスの手帳が白紙だと知ったクラマー大佐は、衛兵に彼を射殺するよう命ずる。

しかし、スミスが衛兵を銃撃して、シェイファーも機関銃を奪う。

スミスは、情報漏えいのために疑っていた人物の、名簿を入手するための作戦だったことを告げる。

ドイツ側に偽情報を流していたスミスはは、自分を信じる士官がいたことを、ローゼマイヤー将軍に伝える。

そこに、フォン・ハッペンが現れ、スミスらとローゼマイヤー将軍とクラマー大佐にも銃を向ける。

スミスは間髪入れずに、フォン・ハッペンに、ヒトラー総統暗殺計画を暴いたことを告げて、名簿を見せようとする。

そこにメアリーが現れ、フォン・ハッペンが一瞬隙を見せた瞬間に、シェイファーが彼を射殺する。

ローゼマイヤー将軍とクラマー大佐も射殺され、スミスとシェイファーは爆破を起して城内部を混乱させようとする。

弾薬庫をはじめ、シェイファーはあらゆるところに爆薬を仕掛けるが、通信兵が、殺される間際に警報を鳴らしてしまう。

城は警戒態勢に入り、スミスは無線で救援を要請する。

シェイファーはドイツ兵を迎え撃ち、そして爆破が始まる。

スミスは、スパイ3人のうちの一人を囮に使い、混乱を利用して城を脱出し、ロープウェイでヴェルフェンの町に向かおうとする。

しかし、スパイだった2人がシェイファーに襲い掛かりロープウェイで逃げる。

スミスがそれを追い、格闘の末に1人を突き落とし、彼は爆薬を仕掛け、入れ替わりで城に向かうゴンドラに飛び乗る。

そして、一方のゴンドラは爆破され、戻ったスミスと共に4人はゴンドラに乗り町に向かう。

その頃、ゴンドラ到着駅にも連絡が入り、機銃部隊が配備される。

ハイディは町を脱出する準備を始め、スミスはゴンドラに爆薬を仕掛けて脱出し、川に飛び込む。

城ではロープウェイを止めようとするが間に合わず、ゴンドラは到着駅で爆発する。

スミスらは、ハイディが待ち構える除雪バスで、町を脱出しようとする。

オーバーハウゼンの、空軍基地に向かったスミスらは、仕掛けてあった、街道脇の爆薬を起動させながら先を急ぐ。

スミスとシェイファーは橋も爆破し、敵の追撃をかわして基地に到着して援軍機を待つ。

緊急着陸を装った迎えの輸送機が着陸し、スミスらは強行突破して滑走路に向かう。

激しい反撃に遭いながら、輸送機に乗り込んだスミスらは、無事に基地を飛び立ち脱出に成功する。

機内にはターナー大佐も同乗し、スミスは彼にスパイの名簿を見せる。

スミスは、クラマー大佐が認めた、スパイのトップの名前が書かれた手帳をターナー大佐に渡す。

ターナー大佐は、手帳に書かれた自分の名前を確認し、それを知られるのを恐れ、スミスらを迎えに来たのを見破られてしまう。

ローランド提督は、当初からターナーらを疑い、イタリアで活動を続けていた、スミスとメアリーを呼び寄せたのだった。

ターナーは、ドイツ側からの情報で、スミスが二重スパイだと聞いていたため、彼を信用していた。

スミスに銃を向けていたターナーは、ローランド提督から渡された銃の、撃針が抜かれていることを知らされ観念する。

反逆罪で、縛り首確実だとスミスに言われたターナーは、輸送機の扉を開けて身を投げる。

ターナーの人選で始まった作戦は、思惑通りスパイを潜入させた部隊になり、これで情報部内部のスパイ一掃ができたのだった。

任務完了を知らされ、作戦に振り回されたシェイファーは、次回はイギリス側だけで解決してくれとスミスに伝える。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
第二次大戦下、1943年冬。
ドイツ南部アルプス山中にあるドイツ軍情報本部”Schlos Adler”(鷲の城)に、侵攻作戦(ノルマンディー上陸作戦)の情報を知る、アメリカ軍のカーナビー准将が捕われたという報せが、イギリス軍情報部に入る。
イギリス情報部のローランド提督とターナー大佐の指揮下、ジョナサン・スミス少佐の率いる6名の諜報員に、アメリカ軍レンジャー部隊シェイファー中尉を加えたコマンド部隊が、カーナビー将軍を救出するためアルプスへと飛び立つ。
吹雪の森林地帯にパラシュート降下した部隊だったが、通信員が首を折り死んでいるのが発見され、スミスは他殺だと確認するが、それを部下達には隠し、別の場所でSOE情報員メアリーと接触する。
ドイツ兵に扮した部隊は、目的地の町に接近して、スミスとシェイファーは要塞化した城を確認し、難攻不落の城の様子を窺う。
町に侵入した部隊は、倉庫に装備を隠し酒場に向かい、現地のスパイ、ハイディに接触したスミスは、メアリーと合流し彼女をメイドとして城に侵入させようとする。
実は、計画は偽装作戦で、カーナビー将軍は偽者であり、それを隠していたスミスは、その後、また一人の部下を失う。
その状況下でシェイファーは、スミスに不信感を抱き始めるのだが・・・。
__________

アリステア・マクリーン自身による、目まぐるしく変わる展開、それを推理する楽しみを満喫できる見事な脚本、中盤からクライマックスにかけての派手なアクションの連続、スピード感溢れる、切れ味鋭い、軽快でもありるブライアン・G・ハットンの演出で、全く飽きることがない、2時間半が短く感じる見応え十分の力作だ。

第二次大戦を舞台にはしているが、戦争映画の枠を越えた、サスペンスの要素が強い秀作。

どんでん返しの連続で、混乱してしまいそうになるが、ドラマの中で作戦に参加する、クリント・イーストウッド演ずるシェイファーまでもが、主人公スミス(リチャード・バートン)の行動に面食らってしまうという設定も実に面白い。

緊張感を漂わせる、ロン・グッドウィンの勇ましいテーマ曲も印象に残る。

難攻不落の謎の要塞の雰囲気を持つ舞台となる城は、オーストリア中部のヴェルフェンホーヘンヴェルフェン城が全景として使われている。

また、この町は「サウンド・オブ・ミュージック」(1965)のロケも行なわれ、”ドレミの歌”のシーンで、後方にホーヘンヴェルフェン城が映し出される。

主演のリチャード・バートンは、抜け目のない、勇敢で行動力もあるコマンド部隊の指揮官を見事に演じ、知的なだけでなくアクションシーンも存分に見せてくれる。

それをサポートする役のクリント・イーストウッドは、まだまだスター相手の共演者という感じだが、頼りになるレンジャー部隊員を好演している。
彼は、この年から、いよいよ本格的にハリウッド作品で活躍し始めることになる。

当時のロバート・ショウ夫人で、要塞に侵入する頼もしい女性諜報員メアリー・ユーアロバート・ショウ夫人)、ドイツ側スパイの黒幕パトリック・ワイマーク、それに感づき作戦を実行する提督マイケル・ホーダーン、要塞の司令官アントン・ディフリング、軍司令部より要塞に出向く将軍フェルディ・メインゲシュタポ士官を演じてはいるが、実はイギリス人俳優のデーレン・ネシビット、城に囚われる、将軍に扮する伍長ロバート・ビーティー、そして現地の諜報員イングリッド・ピットなどが共演している。


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