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ギルバート・グレイプ What’s Eating Gilbert Grape (1993)

家族の世話のために田舎町に留まるしかない青年の苦悩や家族愛を描く、製作総指揮、監督ラッセ・ハルストレムジョニー・デップジュリエット・ルイスメアリー・スティーンバージェンレオナルド・ディカプリオジョン・C・ライリー他共演によるヒューマン・ドラマの秀作。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(ヒューマン)

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スタッフ キャスト ■
監督:ラッセ・ハルストレム
製作総指揮
ラッセ・ハルストレム
アラン・C・ブロンクィスト

製作
メイア・テペル

バーティル・オールソン
デイヴィッド・マタロン
脚本:ピーター・ヘッジス
撮影:スヴェン・ニクヴィスト
編集:アンドリュー・モンドシェイン

音楽
アラン・パーカー

ビョルン・イスファルト

出演
ギルバート・グレイプ:ジョニー・デップ
ベッキー:ジュリエット・ルイス
ベティ・カーヴァー:メアリー・スティーンバージェン
アーニー・グレイプ:レオナルド・ディカプリオ
ボニー・グレイプ:ダーレーン・ケイツ
エイミー・グレイプ:ローラ・ハリントン
エレン・グレイプ:メアリー・ケイト・シェルハード
タッカー・ヴァン・ダイク:ジョン・C・ライリー
ボビー・マックバーニー:クリスピン・グローヴァー
ケン・カーヴァー:ケヴィン・タイ
ベッキーの祖母:ペネロペ・ブランニング

アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1993年製作 117分
公開
北米:1993年12月17日
日本:1994年8月20日
製作費 $11,000,000
北米興行収入 $10,032,770


アカデミー賞 ■
第66回アカデミー賞
・ノミネート
助演男優賞(レオナルド・ディカプリオ


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
アイオワ州、エンドーラ。
何も変わらない小さな田舎町で、ギルバート・グレイプ(ジョニーデップ)は、家族の面倒を見ながら平凡な毎日を送っていた。

父親の建てた家を修理しながら、町の食料品店で働き、知的障害の弟アーニー(レオナルド・ディカプリオ)の世話をするのがギルバートの役目だった。

姉のエイミー(ローラ・ハリントン)は母親代わり、妹エレン(メアリー・ケイト・シェルハード)は15歳、兄は家を出ていたが、母親ボニー(ダーレーン・ケイツ)は、17年前に父親が死んで以来、女で一つで頑張ったものの、今では200キロを超す肥満で、7年間も家から出たことがなかった。

もうすぐ18歳になるアーニーは、毎年、町に現れるトレーラー・ハウスの集団を楽しみにしていた。
...全てを見る(結末あり)

ギルバートの店は、郊外に出来たスーパーの影響で客足が減りつつあった。

そんなある日ギルバートは、店の得意客で、彼に目を付けている中年女性ベティ・カーヴァー(メアリー・スティーンバージェン)に配達で呼ばれる。

アーニーを車に置き、ギルバートはベティに迫られ、それに応えようとする。

しかし、彼女の夫ケン(ケヴィン・タイ)が帰宅してしまい、ギルバートは慌てて帰ろうとする。

ギルバートはケンの目を気にするが、目を離すと、町の給水塔に登ってしまうアーニーが、警察に助けられようとしていることに気づく。

町の人々が集まり、ギルバートの説得でアーニーは塔を降りるが、ギルバートは常習犯として警官に説教される。

ギルバートは、面倒を起こすが、かわいい弟アーニーを四六時中監視することが日課ではあるものの、自分の自由を奪われ悩むこともあった。

友人のタッカー(ジョン・C・ライリー)やボビー(クリスピン・グローヴァー)らと過ごすのが、そんなギルバートの唯一の楽しみだった。

ある日ギルバートは、トレーラー・ハウスの故障で町に滞在している少女ベッキー(ジュリエット・ルイス)をで見かける。

店に買い物に来たベッキーを、トレーラー・ハウスに送り届けたギルバートは、彼女が気になる存在になるのだが、ベティの視線を気にしてしまう。

母ボニーは体が重すぎて不自由な身であり、居間から動こうとしないため、ギルバートは床が抜け落ちそうになっているのに気づく。

タッカーの協力で、居間の下の地下室を木材で補強しようとしたギルバートだったが、そこは父親が自殺した場所であり、アーニーは近づこうとせず手伝おうともしない。

言うことを聞かないアーニーの世話や、彼に優しく接しない妹エレンに嫌気がさしたギルバートは、ベッキーの元を訪ねてみる。

ギルバートは、ベッキーと祖母(ペネロペ・ブランニング)に歓迎され、放浪の旅を続ける彼女らと、自由になれない自分の生活とを比べながら会話を弾ませる。

その後ギルバートは、アーニーを入浴させて眠らせることを思い出し、一旦家に戻り弟の様子を見ただけで、彼は再びベッキーの元に向かう。

夜までベッキーと話し込み、帰宅してそのまま眠ってしまったギルバートは、翌朝、一晩中、浴槽にいたアーニーに気づく。

ギルバートはアーニーに謝り、母ボニーは最近様子がおかしい息子の行動を気にする。

店でベティの配達を頼まれたギルバートだったが、彼女にからかわれ、保険会社を経営する夫ケンのオフィスに行くことになってしまう。

ベティとのことを責められると思っていたギルバートだったが、ケンは、彼に保険の勧誘をしたかっただけで、家でトラブルを起こした妻ベティの元に、2人で向かうことになる。

いつも町にいて、どこにも行かないから選んだと、ベティに言われたギルバートはショックを受け、その場を立ち去る。

その後、ケンは心臓発作を起こし、子供用プールで溺れて死亡してしまう。

ボビーやタッカーは、多額の保険金を狙った、ベティの犯行ではないかなどと噂をする。

ベッキーと夢について話し込んでいたギルバートは、アーニーが再び給水塔に登ってしまったのに気づく。

再三の警告を無視するアーニーは、警察に拘留されてしまい、母ボニーは彼のために、人目も気にせずに警察に出向き息子を取り戻す。

人々は、ボニーの巨体を興味深げに見て嘲り笑うが、ベッキーは彼女の勇気を称え、ギルバートに母親に会わせてくれるように頼むものの彼は気が重かった。

ベティは夫の葬儀を済ませ、ギルバートに別れを告げて町から去って行く。

アーニーの誕生パーティーが近づき、彼はベッキーを招待する。

自分の誕生日に興奮するアーニーは、いつになくはしゃぎ回り、エイミーの作ったケーキを台無しにしてしまう。

ギルバートは、仕方なく郊外のスーパーにケーキを買いに行く。

あれ以来、水を怖がり入浴をしようとしないアーニーに手を焼き、ギルバートは、思わず彼に手を上げて家を飛び出してしまう。

町境に向かったギルバートは、思い直して引き返すが、ショックを受けたアーニーは、ベッキーの元に向かう。

ベッキーが、アーニーに優しく接する姿を見たギルバートは、弟を見捨てようとしたことを後悔する。

ギルバートは、父の自殺で過食症になった母親のことや、自分の置かれている現状をベッキーに正直に話し、やがて2人は結ばれる。

アーニーの誕生日の日、帰宅したギルバートは、彼に歩み寄り固く抱きしめ、家族はそれを温かく見つめる。

ギルバートは心配させた母に謝り、パーティーに現れたベッキーを紹介する。

車が直ったベッキーは旅立つことになり、ギルバートは、彼女に別れを告げて再び元の生活に戻る。

母ボニーは居間を離れて2階の寝室に向かい、アーニーを呼ぶよう子供達に伝える。

ベッドに横たわったボニーは、アーニーの呼びかけにも答えずに息を引き取る。

ボニーの遺体の運搬に困ったギルバートは、家財を家から運び出し、母親を眠らせたまま家に火を放つ。

そして1年後、アーニが19歳の誕生日を迎えようとしていた時、ギルバートは彼を連れて町を出る決心をする。

ベッキーのトレーラー・ハウスを待つギルバートは、”僕らはどこへ”と質問するアーニーに、”どこへでも”と答える。

やがてベッキーが現れ、ギルバートとアーニーは彼女達と旅立つ。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
小さな田舎町で平凡な毎日を送るギルバート・グレイプは、父親の建てた家を修理しながら、町の食料品店で働き、知的障害の弟アーニーの世話をしていた。
ギルバートは、姉、妹そして、体重が200キロを超すため、家から7年間も出たことがない母親ボニーと暮らしていた。
そんなギルバートは、店の得意客の中年女性ベティに、関係を迫られていた。
目を離すと、給水塔に登ってしまうアーニーは、常習犯として警察に度々、説教されていた。
かわいい弟アーニーを、四六時中監視することが日課だったギルバートなのだが、自分の自由を奪われてしまい悩むこともあった。
ある日、アーニーが毎年、楽しみにしている、トレーラー・ハウスの集団が現れる。
ギルバートは、車の故障で滞在していた少女ベッキーに出会い、親交を深め気になる存在になるのだが・・・。
__________

1991年に発表された、ピーター・ヘッジスの同名小説”What’s Eating Gilbert Grape”(原題)の映画化。

町から出られない兄弟が騒ぎを起こす場所が、そびえ立つ給水塔というところなど、逃げ場のない主人公の心中を、ラッセ・ハルストレムは、多くの象徴的場面で表現し、苦悩する青年の心を見事に描き切っている。

淡々と進む物語ではあるが、家族のために青春を犠牲にする青年と、自由に放浪する少女との出会い、その生活を見て、夢や希望を抱くものの、旅立つ彼女と別れた直後、主人公は”現実”へと引き戻される・・・。
その、自宅の家が映し出されるショットなども、青年の心情を映し出す素晴らしい映像となっている。

優しさや希望を感じる、アラン・パーカー(同名監督とは別人)とビョルン・イスファルトの音楽も心に残る。

シザーハンズ」(1990)の好演により、いよいよブレイクの予感を感じるジョニー・デップが演技派としての実力を開花させた作品ではあるが、何といっても、まだ10代のレオナルド・ディカプリオの名演が印象的だ。

今、本作をじっくり見直しててみると、その後、アイドルに仕立て上げられそうになったディカプリオが、実力派俳優に成り得た才能が十分に窺える。

悶々とした日々を過ごす、主人公の兄弟を温かく見守り、抑えた演技ながら存在感を示し好演するジュリエット・ルイス、主人公の不倫相手であり、夫の死をきっかけに町を出る女性メアリー・スティーンバージェン、一家のお荷物と感じながらも、母親としての役目を果たすダーレーン・ケイツ、母親代わりの姉役ローラ・ハリントン、妹役のメアリー・ケイト・シェルハード、主人公の友人ジョン・C・ライリークリスピン・グローヴァー、妻の不倫に気づかず死亡するケヴィン・タイなど、素朴な登場人物それぞれが実にいい雰囲気で演じている。


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