1960年に発表された、ヘンリー・ファレルの小説”What Ever Happened to Baby Jane?”を基に製作された作品。 かつて活躍した芸能姉妹の秘められた過去と愛憎を描く、製作、監督ロバート・アルドリッチ、ベティ・デイヴィス、ジョーン・クロフォード主演の心理スリラーの傑作。 |
・ベティ・デイヴィス / Bette Davis / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:ロバート・アルドリッチ
製作総指揮:ケネス・ハイマン
製作:ロバート・アルドリッチ
原作:ヘンリー・ファレル”What Ever Happened to Baby Jane?”
脚本:ルーカス・ヘラー
撮影:アーネスト・ホーラー
編集:マイケル・ルチアーノ
衣装デザイン:ノーマ・コッホ
音楽:フランク・デ・ヴォール
出演
ジェーン・ハドソン:ベティ・デイヴィス
ブランチ・ハドソン:ジョーン・クロフォード
エドウィン・フラッグ:ヴィクター・ブオノ
マーティ・マクドナルド:ウェズリー・アディ
エルヴァイラ・スティット:メイディー・ノーマン
ベイツ夫人:アンナ・リー
リザ・ベイツ:B.D.メリル
ディリア・フラッグ:マージョリー・ベネット
アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1962年製作 133分
公開
北米:1962年10月31日
日本:1963年4月27日
製作費 $1,025,000
北米興行収入 $9,000,000
■ アカデミー賞 ■
第35回アカデミー賞
・受賞
衣装デザイン賞(白黒)
・ノミネート
主演女優(ベティ・デイヴィス)
助演男優(ヴィクター・ブオノ)
撮影(白黒)、録音賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1917年。
”ベビー”ジェーン・ハドスンはヴォードビルの名子役として大人気だった。
そんなジェーンに姉ブランチは嫉妬して、自分も喝采を浴びる日が来ると願うしかなかった。
1935年。
映画スターにはなったものの、まともに役をこなせないジェーン(ベティ・デイヴィス)は、今や大スターとなったブランチ(ジョーン・クロフォード)に養われているような状況だった。
ある夜、パーティからの帰り、女性が運転する高級車は大邸宅の門の前で止まる。 別の女性が門を開けるが、車の女性はアクセルを踏み込み激突し、叫び声が響く。 現代。 車いす生活を送るブランチは、かつての自分の出演作を観て懐かしく思う。 思いやりのあるブランチは、傲慢なジェーンに手を焼いていたのだが、一応、自分の世話をする妹に頼るしかなかった。 翌朝、名画劇場を観て感激したベイツ夫人が、ブランチに会うため、花束を持参して彼女を訪ねる。 対応したジェーンは、ブランチが誰にも会わないことを夫人に伝えて、花だけを受取り部屋に戻る。 ブランチは、ジェーンを二階に呼び誰が来たかを尋ね、ベイツ夫人が映画を気に入ったと知り喜ぶ。 ジェーンは嫌味を言ってその場を去り、その後、家政婦エルヴァイラ・スティット(メイディー・ノーマン)が現れる。 エルヴァイラは、アル中でもあるジェーンを嫌い、対処する必要があることをブランチに伝える。 ジェーンをかばうブランチだったが、自分へのファン・レターをジェーンが開けたことを知る。 それをジェーンがゴミ箱に捨てたことを知らせても疑わないブランチに、ジェーンの病気が進行していることをエルヴァイラは伝える。 それを承知で、屋敷を売却する気になったはずだと言われたブランチは、それを自分でジェーンに話そうとする。 そこに現れたジェーンは、鳥かごを掃除した際、鳥が逃げてしまったことを伝えてブランチに謝る。 わざと逃がしたと言うエルヴァイラは、ジェーンを施設に入れて、治療を受けさせるべきだとブランチを説得する。 酒が切れていることに気づいたジェーンは、ブランチから注文を受けるなと言われた酒屋に、彼女の声色を使い配達するよう伝える。 それを目撃したエルヴァイラは、用事があることをジェーンに伝えて帰る。 ジェーンは受話器を外してしまい、電話をしようとしたブランチは、つながらないことに気づく。 その後、人気スターだった少女時代の想い出に浸っていたジェーンは、鏡に映る老いた自分を見てショックを受ける。 ジェーンを呼んだブランチは、財政的な問題があり、屋敷を売らなければならないことを伝える。 財産管理人との話を盗み聞きしていたジェーンは、屋敷を売却するよう命じたのはブランチだと問い詰めて、それが自分のためだと言う理由を聞き出そうとする。 電話を外して自分の部屋に向かったジェーンだったが、ブランチは、ランチの皿に、飼っていた鳥の死骸が置かれていることに気づく。 ジェーンは外出してしまい、階段を下りて電話の場所に行こうとしたブランチだったが、彼女はそれを諦める。 新聞社に向かったジェーンは、ある広告を掲載する。 ベイツ夫人に助けを求めようとしたブランチは、医師を呼んで欲しいとタイプを打ち、ジェーンには知られないようにというメモを添えて、花壇にいた彼女に投げる。 そこにジェーンが戻り、ベイツ夫人に呼び止められた彼女は、ブランチが投げたと思われる丸めた紙に気きづいて拾う。 ジェーンは、夫人に嫌味を言って家に入り、紙の内容を読む。 紙がなくなっていることに気づいたブランチは怯える。 ブランチに夕食を運んだジェーンは、家を売る件で姉と口論になり、事故の夜のことを切り出される。 その話を避けるジェーンは、ブランチが、一生車いす生活であることを皮肉を込めて伝え、自分も治療が必要だとも認める。 それを聞いて安心したブランチだったが、ジェーンは、医師の治療が必要あるかとも伝えて紙を渡す。 ジェーンは、医者の治療など受けないと言いながら部屋を出る。 悲しくなったブランチは、再び嫌がらせをされるのを恐れて、食事の皿の中身を見ることができない。 翌日。 エドウィンを溺愛する母ディリア(マージョリー・ベネット)は、彼の秘書に扮してジェーンに連絡を取る。 食事を口にしなかったブランチはジェーンを呼ぶが、夕食を食べない者には朝食も出さないと言われる。 ジェーンは、笑いながら夕食の肉を食べて見せるが、それを持ち去ってしまう。 そこにエルヴァイラが現れるが、ジェーンは彼女に日給を払い帰してしまう。 食事を運んだジェーンは、家にねずみがいることをブランチに伝えてその場を去る。 空腹のブランチは、悪い予感を感じながら皿を見るが、そこにはネズミの死骸が横たわっていた。 混乱するブランチの驚きと怒りを知ったジェーンは、それを嘲り笑う。 訪ねて来たエドウィンを歓迎したジェーンは、自分が”ベビー・ジェーン・ハドソン”だと伝える。 それを知っている振りをしたエドウィンは、ジェーンが舞台を復活させるという話に耳を傾ける。 ジェーンはエドウィンが気に入るが、ブランチに呼ばれて気分を害し、彼女の元に向かい罵倒して殴る。 エドウィンは、置かれていた”ベビージェーン”のヒットナンバーを演奏し始め、ジェーンは、それに合わせて歌い踊る。 ジェーンの様子を薄気味悪く思いながらも、エドウィンは、報酬の件で話を付けて彼女に送ってもらうことになる。 誰かが訪問していたことに気づいたブランチは、部屋にあったお菓子で空腹を満たそうとする。 ジェーンが、自分のサインを真似て小切手帳を使い、衣装を用意していることを知ったブランチは、階段を下りて電話の場所に向かおうとする。 何んとか電話をかけたブランチは、医師にジェーンの精神的な異常を伝える。 そこに戻ったジェーンは、怯えるブランチに乱暴して、彼女に扮して医師に電話をかけ、妹は別の医者に診せると言って訪問を断ってしまう。 その後ジェーンは、現れたエルヴァイラに、海岸に引っ越すと言って解雇することを伝える。 ジェーンが出掛けたことを確認したエルヴァイラは屋敷に戻り、ブランチの様子を確かめようとする。 部屋には鍵がかけられ、呼び鈴が外されていることに気づいたエルヴァイラは異常に気づく。 銀行で現金を下したジェーンは家に戻り、ベイツ夫人に声をかけられる。 家政婦を雇いたいためエルヴァイラをと言う夫人は、彼女が少し前に家に戻ってきたことをジェーンに伝える。 家に入り二階に向かったジェーンは、ブランチを助けようとするエルヴァイラと言い争い、仕方なく部屋の鍵を渡す。 エルヴァイラは、ベッドで拘束されているブランチを見て驚くが、ジェーンがその場にあったハンマーで彼女を撲殺する。 報酬を1カ月分前払いすると伝えてあったエドウィンが現れるが、動揺して酔ったジェーンは対応できない。 エルヴァイラの死体を処分しようと車に運んだジェーンは、帰宅したベイツ夫人と言葉を交わすものの、疑われなかった。 ジェーンに電話したエドウィンは、彼女が出ないために自宅に戻るが、母親ディリアから、ジェーンが文無しの人殺しだと言われる。 姉ブランチを車で轢き、その場に放置したジェーンを、ディリアは痛烈に非難する。 エルヴァイラのことで警察から連絡を受けたジェーンは、混乱してブランチの元に向かい、どうすればいいか尋ねる。 ジェーンはブランチの拘束を解くのだが、そこに誰かが訪ねて来たため、それがエドウィンだと考える。 ブランチを再び縛ったジェーンは玄関に向かい、酔ったエドウィンが警官と共にいることに気づく。 エドウィンが不審者でないことを警官に伝えたジェーンは、彼を部屋に招き”ベビー・ジェーン”人形を渡す。 ブランチは自力で縄を外してテーブルを倒し、人形でふざけていたエドウィンがそれに気づく。 二階に駆け上がりブランチを見つけたエドウィンは、驚いて、彼女が死にかけていると言って家を飛び出してしまう。 エドウィンが全てを話すと考えたジェーンは、ブランチを連れてその場を逃れ海岸に向かう。 翌朝、エルヴァイラの死体が発見され、ハドソン姉妹の誘拐殺人事件は大きく報道され、警察の特別捜査が始まる。 元大スターのブランチが、妹ジェーンによって連れ出され、未だに行方不明だとも伝えられた。 そんなことも知らずに、ジェーンは浜辺で砂遊びをしていた。 その場にいた警官は、道の真ん中に駐車されているジェーンの車を確認する。 誰かを呼んで欲しいと訴えるブランチは、一生を駄目にしたのは自分だということをジェーンに伝え、事故の真相を語る。 ブランチは、自分で運転していた車で門に衝突したことをジェーンに話す。 酔っていて車を運転できる状態ではなかったジェーンは、門を開けるために車を降りて、ブランチが彼女を轢き殺そうとしたのだった。 ジェーンはそれを避けて車は門に衝突し、背骨を折ったブランチは下半身不随となった。 自分達が、いがみ合っていたことに意味のなかったことを知ったジェーンに、混乱してその場から逃げたため、犯人にされたことをブランチは伝える。 酔って何も覚えていなかったジェーンは、その後、美しさを失ったのだった。 売店に向かったジェーンは、アイスクリームを二個注文して、支払いもせずにブランチの元に戻る。 警官がジェーンに気づき話しかけ、ブランチのことを案ずる彼らは居場所を聞く。 その場にいた人々は騒ぎに気づき集まり、ジェーンは、かつてを思い出し”ベビー・ジェーン”に成り切り踊り始める。 そして、警官はブランチを見つけて駆け寄る。
...全てを見る(結末あり)
ジェーンとブランチの屋敷の隣人ベイツ夫人(アンナ・リー)は、年老いた姉妹を変人扱いする娘のリザ(B.D.メリル)に、詮索は止めるよう注意する。
ピアニストのエドウィン・フラッグ(ヴィクター・ブオノ)は、伴奏者募集という、ジェーンの出した広告をチェックする。
*(簡略ストー リー)
1917年。
天才子役として一世を風靡したたものの、成長して人気が低迷したジェーン・ハドソンに代わり、姉ブランチが映画界の大スターとなる。
そしてある夜、事件は起きる。
現在、年老いたジェーンは、事故で引退して下半身不随の車いす生活となった姉のブランチと暮らしていた。
思いやりのあるブランチに対し、子役スターとして甘やかされて育ったジェーンは、世話はするものの姉への嫌がらせを続けていた。
家政婦のエルヴァイラは、アル中でもあるジェーンの精神状態を疑い、治療を受けさせるようにとブランチに忠告する。
その後、ジェーンの嫌がらせはエスカレートしていき、恐怖を感じるブランチは助けを求めようとするのだが・・・。
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ハリウッドを支えた大女優ベティ・デイヴィスとジョーン・クロフォードの、秘められた過去を背負いながらの”対決”をスリリングに描く異色作。
老女の二人が主人公なのだが、受け身のジョーン・クロフォードに対する、常軌を逸したベティ・デイヴィスの激しい演技、それを見事に描写するロバート・アルドリッチの力強い演出は見ものだ。
第35回アカデミー賞では衣装デザイン賞(白黒)を受賞した。
・ノミネート
主演女優(ベティ・デイヴィス)
助演男優(ヴィクター・ブオノ)
撮影(白黒)、録音賞
原題が”ベビー・ジェーン”となっているところがポイントで、異様な厚化粧で登場するベティ・デイヴィスが、屋敷内にいる時は、似ても似つかぬ姿ではあるが、かつて名子役だった際のキャラクター”ベビー・ジェーン”人形を連想させる衣装であることなども注目。
二人の運命を決めた事故の真相が判明する、終盤まで謎が付きまといながらの微妙な展開、60歳に近づく女優2人を、過去のフィルムを使い、時代の流れなどを自然に見せる序盤の演出も興味深い。
性別を問わず、周囲を圧倒する雰囲気のあるベティ・デイヴィスの演技は圧巻で、彼女の嫌がらせに遭いながらも、隠し通した過去により、彼女を責めることができない辛い立場の姉をジョーン・クロフォードは好演する。
主人公に関わるピアニストのヴィクター・ブオノ、家政婦メイディー・ノーマン、隣人夫人アンナ・リー、その娘でベティ・デイヴィスの実の娘B.D.メリル、ピアニストの母親マージョリー・ベネットなどが共演している。