1978年に発表された、リチャード・マシスンの小説”What Dreams May Come”を基に製作された作品。 死後の天国で自殺した妻が地獄にいることを知った男性の苦悩を描く、主演ロビン・ウィリアムズ、キューバ・グッディングJr.、アナベラ・シオラ、マックス・フォン・シドー他共演のファンタジー・ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ヴィンセント・ウォード
製作:バーネット・デイン
製作総指揮
ロナルド・バス
テッド・フィールド
スコット・クルーフ
エリカ・ハギンズ
原作:リチャード・マシスン”What Dreams May Come”
脚本:ロナルド・バス
撮影:エドゥアルド・セラ
編集
デヴィッド・ブレナー
メイジー・ホイ
美術・装置
エウジェニオ・ザネッティ
シンディ・カー
音楽:マイケル・ケイメン
出演
クリストファー”クリス”ニールセン:ロビン・ウィリアムズ
アルバート・ルイス/イアン・ニールセン:キューバ・グッディングJr.
アニー・コリンズ=ニールセン:アナベラ・シオラ
イアン・ニールセン:ジョッシュ・パドック
マリー・ニールセン:ジェシカ・ブルックス・グラント
案内人/アルバート・ルイス:マックス・フォン・シドー
レオナ/マリー・ニールセン:ロザリンド・チャオ
アニー・コリンズ=ニールセン:バーバラ・グッドソン
ジェイコブス夫人:ルシンダ・ジェニー
ヘンリー牧師:マット・サリンジャー
フェイス:ヴェルナー・ヘルツォーク
アメリカ 映画
配給 PolyGram Filmed Entertainment
1998年製作 113分
公開
北米:1998年10月2日
日本:1999年6月5日
製作費 $85,000,000
北米興行収入 $55,382,930
世界 $71,485,040
■ アカデミー賞 ■
第71回アカデミー賞
・受賞
視覚効果賞
・ノミネート
美術賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
スイス。
小児科医のクリストファー”クリス”ニールセン(ロビン・ウィリアムズ)と芸術家のアニー・コリンズ(アナベラ・シオラ)は湖で出会い、恋に落ちて結婚する。
カリフォルニア。
やがて二人は、成長した息子イアン(ジョッシュ・パドック)と娘マリー(ジェシカ・ブルックス・グラント)と共に幸せな日々を送っていた。
イアンの成績を気にするクリスはテストを頑張るよう伝えて、車で登校するイアンとマリーを見送る。
それが、クリスと子供達の長い別れだった。
4年後。 自分が絵を取りに行って美術館に届けることをクリスはアニーに伝え、彼女を安心させて愛を伝える。 雨の中、車で美術館に向かったクリスは、トンネル内の事故に遭遇する。 車を降りて現場に向い、負傷者に医師だと伝えたクリスは、事故を起こした後続車の直撃を受ける。 病院に運ばれて治療を受けたクリスは、意識不明のまま誰かの声(キューバ・グッディングJr.)を聞き、それが主治医だと思う。 意識の中で自宅に入ったクリスは、愛犬のジンジャーと声の主の男に迎えられる。 男の姿はぼやけているのだが、気にしないようにと言われたクリスは、自分が死んだことを知らされる。 悲しむアニーらははっきり見えるクリスは、死んだことを認めたくないため、ぼやけて見えると男に言われる。 娘のマリーのことを考えたクリスは、病気の愛犬ケイティを安楽死させた時のことを思い出す。 その後クリスは、今の学校が向いていないことをイアンに伝え、転校する提案をしたことも思い出す。 自分の葬儀で、クリスは悲しむアニーに寄り添うが、気づいてくれるはずはなかった。 葬儀の後でクリスは、アニーが自分のために描いてくれた、二人が出会ったスイスの、老後を過ごす予定だった場所でもある絵を男に見せる。 日記を書いていたアニーに近づいたクリスは、子供達を亡くして落ち込んだ際に支えてくれたと、自分のことを綴っている彼女に、ここにいるとささやく。 クリスは、自分がまだ存在すると言いながら、それをアニーに書かせる。 アニーは日記のページを丸めてしまい、動揺しながら涙する。 側に寄り添おうとしても、苦しむアニーはそれを受け入れるはずがなく、クリスは絶望してその場を去る。 ある場所で目覚めたクリスは、その場の花びらなどが絵具であることに気づく。 亡くなった愛犬ケイティが現れたために驚いたクリスは、そこが自分の天国だと気づき、アニーの描いた絵と同じであることを知る。 現れたはっきりと見えるようになった男が、亡くなった恩師のアルバート・ルイスだと分かったクリスは、彼との再会を喜ぶ。 アニーの絵はヒントであり、自分がこの世界を創っているとアルバートに言われたクリスは、その場の物を自由に操れることを確かめる。 二人は対岸の家に向かい、アルバートは壁を壊し、絵の具でない世界をクリスに見せる。 その頃アニーは、クリスのことを想いながら、ブルー・ジャカランダの大木をキャンバスに描く。 大木に気づいたクリスは、出会った時のアニーを想いながら木の場所に向かう。 その大木はアニーが描いたと考えたクリスは、死を越えた絆で結ばれているとアルバートに言われる。 しかし、クリスに絵が見えるわけがないと考えたアニーは、大木を消してしまおうとする。 木が枯れてしまったために悲しむクリスは、愛していることをアニーに伝えようとする。 その後、岸辺の足跡に気づいたクリスは、湖に飛び込んだアニーを目撃するが、今の自分には幻想は必要でないとアルバートに言われる。 アニーへの思いは変わらないし、断ち切れるはずがないと言うクリスに、二人の考えは変わるとアルバートは伝える。 それを否定するクリスは、マリーが大切にしていたトラのぬいぐるみを見つける。 マリーがいることを確かめようとしたクリスは、会いたければ願いは叶うとアルバートに言われる。 その後、マリーの夢を見ながら家で眠っていたクリスは、目覚めると、アルバートの代わりだと言うレオナ(ロザリンド・チャオ)が現れて挨拶される。 レオナの世界に連れて行かれたクリスは、その場の雰囲気を楽しみ、アニーや子供達のことを聞かれる。 そして、レオナがマリーであることを知ったクリスは、彼女を抱きしめる。 アニーは、最後の日記にクリスへの愛を綴る。 戻って来たアルバートにマリーのことで感謝したクリスは、アニーが自殺したことを知らされる。 クリスは悲しむものの、これで苦しみは終わったと言って、アニーに会えると考える。 自殺した者は地獄に行くために会えないと言われたクリスは納得できず、自分が何をしたのかを理解できないまま、アニーは永遠に過ごすとアルバートに言われる。 苛立つクリスがアニーに会ってみせると言い張るため、アルバートは、彼に案内人(マックス・フォン・シドー)を紹介する。 案内人は、アニーが見つかるとは言うものの、彼女にはクリスが誰かは分からないと伝える。 クリスは、案内人の船に乗って、アルバートと共に出発する。 大海に出た船は、水中の者達に沈められてしまう。 水の中のクリスは、イアンが苦しんでいることについてアニーと語り合い、イアンとの話し合いを思い出す。 転校することに反発するイアンは、もっと頑張れることを伝えるが、今のような状況ではだめだとクリスに言われる。 岸にたどり着いたクリスらは難破船を見つけて、案内人はそれが地獄への入り口だと知らせる。 アニーの居所は分からないと言う案内人に、他の人物のことを考えていたからだとクリスは伝える。 周囲の人間よりもダメな自分だと分かっていても、諦めたくないと話すイアンに対し、クリスは信頼していると伝えたことを思い出す。 地獄の入り口を守る者達に突進するアルバートの姿を見て、彼がイアンだと気づいたクリスは、母親はここにはいないと伝えて抱きしめる。 出発することを二人に伝えた案内人は、アルバートを置いて行くと言って、クリスが彼を息子と思い始めたことによって、信号が消えてしまったと伝える。 納得いかないイアンだったが、仕方なく案内人と先に向かうようクリスに指示し、母アニーを連れて帰ってほしいと伝える。 イアンを抱きしめたて案内人とエレベーターに乗ったクリスは、自分達が死んだ時に、どんな言葉がアニーを救ったかを思い出すようにと言われる。 精神を病み入院したアニーや、幸せだった頃を思い出しながら、クリスは、ある場所で地中に体が埋まっている彼女を見つけて駆け寄る。 地面が抜けて地下の水中に落下したクリスは、諦めないということを理解して立ち直った、アニーのことを思い出す。 案内人から、よくアニーを見つけたと言われたクリスは、その場の家に近づく。 クリスは、自殺した者は全て幻想だと話す案内人に、アニーに会って言いたいことを伝えたら帰るよう指示される。 それに従う気がなかったクリスだったが、案内人が姿を変えた恩師アルバートだと気づく。 3分以上いると正気を失いアニーの世界に入り込み、二度と戻れないとアルバートに言われたクリスは家に向かう。 隣人を装いその場にいたアニーに話しかけたクリスは、彼女の絵があることに気づく。 アニーは、自分の一番大切なその絵を見ていると、主人や子供達のことを思い出すためここにいると話す。 自分のことを話し始めたクリスは、出て行ってほしいとアニーに言われながら、妻との特別な日だった結婚記念日のことを語り始める。 療養施設のアニーを訪ねたクリスは、離婚について話し合おうとするが、自分が苦しめたことを謝罪し、諦めてはいけないと伝えて彼女を納得させる。 夫に会いたいと言うアニーに、目を閉じるよう伝えたクリスは、自分が夫だと言って寄り添う。 それを認めようとしないアニーはクリスを拒む。 何もかも懐かしい思い出だったとクリスは語りアニーに感謝し、自分が役立たずだったことを謝罪してその場を去る。 家から出てきたクリスは、これ以上、正気でいるのは無理だと言って、アルバートに帰るよう指示する。 子供達によろしく言ってほしいとも伝えたクリスは、この場に残る考えを語りアルバートに感謝する。 アニーの元に戻ったクリスは、彼女が自分を夫だと理解したことを確認するが、異変が起きる。 天国の家で目覚めたクリスは、現れたアニーに声をかけられて驚く。 何かを失うと何かを得る・・・、そうつぶやく笑顔のアニーを抱きしめてキスしたクリスは、念ずれば移動できると彼女に言われる。 自分の絵と同じ周囲の風景をクリスに見せられたアニーは、感激する。 その場に現れたアルバートは、約束したと言って、愛犬ケイティ、マリー、イアンを、クリスとアニーに再会させる。 違う人物に生まれ変わり、再び恋に落ちて人生をやり直すことを提案したクリスは、どうやってお互いを見つけるのかをアニーに聞かれる。 地獄で捜せたのだからニュージャージーでも会えるとクリスに言われたアニーは、彼と愛を確かめ合う。 おもちゃの船を水に浮かべて遊んでいた幼い子供達(男女)は出会い、楽しい時を過ごす。
診察中のクリスは美術館に勤めるアニーからの電話を受け、展示会の絵が届かないことで動揺する彼女を落ち着かせる。
...全てを見る(結末あり)
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■ 解説 評価 感想 ■
*(簡略ストー リー)
小児科医のクリストファー”クリス”ニールセンと芸術家のアニーは、旅行先のスイスで出会い、結婚してアメリカに帰国し、幸せな家庭を築いていた。
ある日、クリスとアニーは、息子イアンと娘マリーを交通事故で失ってしまう。
4年後、クリスも交通事故で死亡し、家族を失ったアニーは絶望して精神を病む。
そんなアニーを、恩師のアルバートと共に外の世界から見守ることになったクリスは、彼女に何も伝えられないことを悟り天国に向かう。
アニーの絵の風景と同じ天国で、彼女と触れ合えるように感じたクリスは、娘のマリーとも再会することができる。
苦しんだ末にアニーが自殺したことを知ったクリスは、悲しむものの、これで彼女と再会することができると考える。
ところが、自殺した者は地獄に向かうとアルバートに言われたクリスは、彼の反対を押し切りアニーを捜す旅に出る・・・。
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結局は、全員が死亡する家族の悲劇の中で、苦しみながら別の世界での幸せを掴むという、リチャード・マシスンの幻想的な世界観を見事に映像化した作品。
目を見張るような美しい映像、美術的センスとセットの素晴らしさが印象的であり、それらの技術は高く評価され、第71回アカデミー賞では、視覚効果賞を受賞し、美術賞にノミネートされた。
殆ど死後の世界を描いた内容なのだが、家族愛や力強く生き抜くための人間の人生の道筋などを教えてくれる、奥深い作品に仕上がっている。
ほぼ全編に渡り主人公らの苦しむ姿を描き、その末に訪れる喜びのために生きることが人間の人生ということを理解させてくれる作品でもある。
愛する子供達を失い、絶望した妻を支えて生きていたものの、彼女を残して事故死してしまう夫を深い演技で演ずるロビン・ウィリアムズ、主人公と死後の旅をして彼を支える恩師と主人公の息子役のキューバ・グッディングJr.、家族を失い苦しむ主人公の妻アナベラ・シオラ、主人公の息子ジョッシュ・パドック、娘ジェシカ・ブルックス・グラント、主人公の地獄への案内人と恩師を演ずるマックス・フォン・シドー、死後の主人公の娘ロザリンド・チャオ、アニーの一部の声バーバラ・グッドソン、そして、ヴェルナー・ヘルツォークが、地獄で体が埋まっている男性役で出演している。