1992年に発表された、ハル・ムーアと従軍記者ジョセフ・L・ギャロウェイの小説”We Were Soldiers Once… And Young”を基に製作された作品。 ベトナム戦争初期の”イア・ドラン渓谷の戦い”を描く、製作、監督、脚本ランダル・ウォレス、主演メル・ギブソン、マデリーン・ストウ、グレッグ・キニア、サム・エリオット、バリー・ペッパー他共演の実録戦争ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ランダル・ウォレス
製作
ランダル・ウォレス
ブルース・デイヴィ
スティーヴン・マケヴィーティ
製作総指揮
ジム・レムリー
アーン・L・シュミット
原作
ハル・ムーア
ジョセフ・L・ギャロウェイ
”We Were Soldiers Once… And Young”
脚本:ランダル・ウォレス
撮影:ディーン・セムラー
編集:ウィリアム・ホイ
音楽:ニック・グレニー=スミス
出演
ハル・ムーア中佐:メル・ギブソン
ジュリア・ムーア:マデリーン・ストウ
ブルース・P・クランドール少佐:グレッグ・キニア
ベイジル・L・プラムリー上級曹長:サム・エリオット
ジャック・ゲイガン少尉:クリス・クライン
バーバラ・ケイガン:ケリー・ラッセル
ジョー・ギャロウェイ:バリー・ペッパー
サヴェージ3等軍曹:ライアン・ハースト
ヘリック少尉:マーク・ブルカス
グエン・フー・アン中佐:ドン・ズオン
セシル・ムーア:スローン・マムセン
トム・メッカー大尉:クラーク・グレッグ
マット・ディロン大尉:ジョン・ハム
ジミー・ナカヤマ上等兵:ブライアン・ティー
アメリカ/ドイツ 映画
配給
パラマウント・ピクチャーズ(北米)
ワーナー・ブラザーズ(イギリス/オーストラリア)
2002年製作 138分
公開
北米:2002年3月1日
日本:2002年6月22日
製作費 $75,000,000
北米興行収入 $78,120,200
世界 $114,660,780
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1954年夏、ベトナム。
第一次インドシナ戦争下、フランス軍は中央高地の”イア・ドラン渓谷”で、”ベトナム人民軍/NVA”の指揮官グエン・フー・アン(ドン・ズオン)率いる部隊の攻撃を受けて全滅する。
1964年、ジョージア州、フォート・ベニング・アメリカ陸軍基地。
ハル・ムーア中佐(メル・ギブソン)は、妻ジュリア(マデリーン・ストウ)や5人の子供達と共に到着する。
ムーアはヘリコプター部隊のブルース・P・クランドール少佐(グレッグ・キニア)の元に向かい協力を要請する。
その後ムーアは、信頼できる部下ベイジル・L・プラムリー上級曹長(サム・エリオット)と共に隊員を集め、厳しい訓練を開始する。
ジュリアは、隊員の妻達を集めて親交を深め、その場で産気づいたジャック・ゲイガン少尉(クリス・クライン)の妻バーバラ(ケリー・ラッセル)は、無事に子供を出産する。
ムーアは教会にいたゲイガンの元に向かい、彼の家族や戦いのために祈りを捧げる。 1965年。 ムーアは遺言書に署名し、”第7騎兵連隊”第1大隊の大隊長として壮行式典でスピーチする。 ”全員を帰還させる約束はできない、しかし、ここに誓う、私は戦場の地に最初に下り最後にその場を離れる・・・誰も戦場に置き去りにしない。” 子供達の寝顔を確認してジュリアが寝静まった頃、ムーアは隊員の元に向かう。 ムーアが去ったことに気づいたジュリアは家を出て、夫の姿がみえないまま愛を伝える。 11月14日、南ベトナム、中央高地、”第7騎兵連隊”第1大隊司令部。 イア・ドラン渓谷。 その後、偵察隊は攻撃を受けて多数の死傷者を出す。 ● 午後1時15分、小山の上。 X-Reyから8キロ地点にある砲撃部隊は、サヴェージらに襲いかかる敵兵に向けて砲撃を開始する。 ベトナム人民軍/NVAのアン中佐は、X-Reyを制圧するために総攻撃を開始する。 援軍は到着するものの激しい戦闘は続き、ムーアは敵兵の突破を阻止するよう命ずる。 ● 午後2時27分、川床。 ムーアは、ヘリと戦闘機による攻撃で山を焼き尽くす作戦に出る。 クランドールが先導して救急ヘリと共に現地に向かうが、敵の激しい攻撃に遭い一機が撃墜される。 ● アメリカ情報部、サイゴン。 クランドールは弾薬補給のため現地に向かい、ムーアは大隊の損害と孤立した小隊のことを考える。 ● 午後3時34分、小山の上。 最初の着陸地点は閉鎖され、ムーアはゲイガンの小隊を尾根に向かわせ、サヴェージの小隊を救うためにマット・ディロン大尉(ジョン・ハム)らを援軍を出す。 夜になり、基地に戻ったクランドールは、”UPI”の記者ジョー・ギャロウェイ(バリー・ペッパー)を乗せて再び戦場に向かう。 一日中、悲惨な戦場を見てきたたクランドールは、基地に戻るものの精神的に参ってしまう。 サヴェージは援軍と交信で、その夜に行動することはできないことを知らされる。 ● 午前2時23分、尾根。 フォート・ベニング。 夫の戦死を知ったキャサリンは泣き崩れていた。 家に戻ったジュリアは、タクシーが止まったために覚悟を決めるが、運転手はある家を訪ねただけだった。 運転手を罵ってしまったジュリアは、彼の辛い役目を察し、電報は全て自分に届けるよう伝える。 指揮官の妻として責任を感じるジュリアは、それを気遣うバーバラと共に戦死者の電報を妻に届けるが、帰宅すると更に何通もが届いていた。 バーバラとジュリアは、次の電報を見ないようにして全てを配り終わる。 イア・ドラン渓谷。 その頃、部下の役目を評価したアン中佐は、接近戦で戦いを制する決意を示し激しい戦闘が始まる。 ● 午前6時9分、川床。 ● 午前7時15分、尾根。 激しい戦闘は続き、ギャロウェイはプラムリーから銃を渡される。 アン中佐は、各拠点を突破して勝利したことを部下から報告される。 全滅の危機にムーアは、戦闘機の全面支援”ブロークン・アロー”を要請する。 情報部は、自軍の苦戦が知られてしまうことを恐れる。 戦闘機の一斉爆撃が始まるが、誤爆により味方にも損害が出てしまう。 ギャロウェイは、火だるまとなったジミー・ナカヤマ上等兵(ブライアン・ティー)を到着したクランドールのヘリに乗せる。 銃を捨てたギャロウェイは、悲惨な戦場の記録を残すためにカメラのシャッターを押す。 ムーアは川床の部隊を前進させて、サヴェージら生存者を救出することに成功する。 一貫して厳しい態度をとっていたプラムリーはサヴェージを労い、ムーアも同じ思いで彼を見つめる。 夜になり、司令部に戻り報告する命令を受けたムーアは、部下を残してこの場を離れることを拒む。 フォート・ベニング。 イア・ドラン渓谷。 ムーアは、夜明けと共に総攻撃をかけることを決めて、プラムリーに装備、弾薬の準備をさせる。 アン中佐も、攻撃に備えるよう部下に命令を出す。 ● 午前5時57分、3日目。 クランドールらのヘリの援護を受けたムーアは、敵を倒しその場を制圧する。 アン中佐は、敵に戦線を突破されたという報告を受けて司令部を撤収する。 ムーアは、敵の捕虜を移送するため到着したクランドールに敬礼する。 自分を銃剣で襲った敵兵の手帳を入手した部下からそれを受け取ったムーアは、挟まっていた恋人の写真を確認する。 現れた多くの記者達に質問されたギャロウェイは、何も話す気になれなかった。 記者に囲まれたムーアは、部下の死についてや遺族への手紙に着いてを聞かれるが、答えずにその場を立ち去る。 多くの部下を死なせたムーアは、自分が許せないとギャロウェイに語る。 この戦いをどう伝えたらいいのか問われたムーアは、兵士達がどのように戦ったか、犠牲者のことを含めて全てを語るようギャロウェイに指示する。 それを約束したギャロウェイが、その場を去るのを見つめていたムーアは涙を堪えることができなかった。 部下が全て撤収したことを確認したムーアは、最後にヘリに乗り込み戦場を去る。 敵が去った戦場に向かったアン中佐は、木の枝に刺さっていた小さな星条旗を手にしながら、戦勝気分の敵アメリカとの戦争についてを考える。 新たな戦いの勝利の代償が前より大きくなるだろうと部下に語ったアン中佐は、星条旗を元に戻す。 その後、司令官達はムーアを称え、彼を再び戦場に送った。 ムーアは部下を率いて235日間も戦った。 フォート・ベニング。 子供達を部屋に向かわせたジュリアは、玄関の前に立つムーアに驚き抱きつく。 子供達もそれに気づいて父親の元に向かい、家族は喜びを噛みしめる。 兵士は国のためではなく戦友達のために戦ったのだった。 ムーアは、バーバラや敵兵の恋人に敬意をこめて手紙を送る。 ギャロウェイはムーアとの約束を果たすために、苦しみながら戦場のことを伝えようとする。 ワシントンD.C.。
...全てを見る(結末あり)
ジョンソン大統領はベトナムに軍を派兵し、一気に緊張が高まる。
敵の行動が確認され、ムーアの部隊は分散してヘリに乗り目的地に向かう。
● 午前10時48分、着陸地点”X-Rey”
ムーアは初めにその場に降り立ち、部隊配置後の一斉射撃を止めさせ、敵兵を捕らえて情報を得る。
ヘリック少尉(マーク・ブルカス)は命を落とし、サヴェージ3等軍曹(ライアン・ハースト)は座標を基に現在位置を無線で報せる。
先行部隊はその場に陣取り敵を迎え撃つ。
最初の戦闘での被害は甚大であり、大隊の全滅を覚悟する。
サヴェージらは、援軍を待ちながら戦闘を繰り返す。
ムーアはゲイガンを励まし、敵兵の襲撃を迎え撃つ。
ジュリアは、トム・メッカー大尉(クラーク・グレッグ)の家にタクシーが止まったことに気づき妻キャサリンの元に向かう。
ムーアは戦死者を前にして神に祈りを捧げ、歩み寄って来たギャロウェイと、なぜ戦場に来たかなどを話す。
ムーアが前方の敵兵に向かい銃撃して戦闘が始まる。
負傷した部下を助けようとしたゲイガンは、銃弾を受けて戦死する。
ジュリアはバーバラの元に向かい、娘を抱く彼女に夫の訃報を伝える。
撤収命令を受けたムーアは、移動した途端に攻撃に遭い皆殺しになると考え、その場を死守することを部下に伝える。
ムーアは全員に着剣を命じ、突撃を開始する。
タクシーが止まったことに気づいたジュリアは覚悟を決める。
年齢を重ねたムーアは”ベトナム戦争戦没者慰霊碑”を訪れ、刻まれた部下達の名前を確認する。
*(簡略ストー リー)
1965年11月14日、ベトナム、中央高地”イア・ドラン渓谷”。
アメリカ陸軍”第7騎兵連隊”第1大隊指揮官ハル・ムーア中佐は、プラムリー上級曹長他部下らを率い着陸地点”X-Rey”にヘリコプターで到着する。
最初にその場に下りたムーアは、アン中佐率いる”ベトナム人民軍”の攻撃を受けて多くの死傷者を出す。
その後、劣勢のまま全滅の危機となるものの、ムーアはその場を死守する決断をして反撃に備えるのだが・・・。
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ベトナム戦争でのアメリカ軍派兵後の初期に起きた”イア・ドラン渓谷の戦い”を描く作品は、この戦争を題材にして多く製作された反戦映画とは違うところに注目したい。
戦争の悲惨さは描かれているものの、兵士は何を目的に戦ったのか、夫や恋人を待つ者の心理や”ベトナム人民軍”の行動などの描写も含め、全ての者にとって戦争とは何だったのかをランダル・ウォレスはリアルに描いている。
戦場の被害が大きくなると共に、残された家族の不安や悲しみが増えていく展開は心が痛む。
製作費に7500万ドルをかけただけあり、陸上戦に加え、援護するヘリコプター部隊の活躍、更には戦闘機の爆撃シーンなども迫力ある。
北米興行収入は約7800万ドル、全世界では約1億1500万ドルでまずまずのヒットとなった。
主演のメル・ギブソンは、部下のことを思いながら戦いを続け、それを次々と失っていく指揮官ハル・ムーア中佐の苦しみを見事に演じている。
夫を待つ身であり指揮官の妻として残された者達を支えるジュリア・ムーアを演ずるマデリーン・ストウ、主人公の部隊を援護するヘリコプター部隊ブルース・P・クランドール少佐役のグレッグ・キニア、主人公の忠実な部下ベイジル・L・プラムリー上級曹長役のサム・エリオット、妻(ケリー・ラッセル)と産まれたばかりの娘を残し命を落とすジャック・ゲイガン少尉役のクリス・クライン、原作者である従軍記者ジョー・ギャロウェイ役のバリー・ペッパー、敵兵の攻撃に耐える3等軍曹(ライアン・ハースト)、戦死する少尉マーク・ブルカス、ベトナム人民軍指揮官グエン・フー・アン中佐役のドン・ズオン、戦死する大尉クラーク・グレッグ、大尉ジョン・ハム、上等兵ブライアン・ティーらが共演している。