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アンダーカヴァー We Own the Night (2007)

エリート警官の兄とその上司である父とは違う道を歩み裏社会で生きる男の苦悩と運命を描く、監督、脚本ジェームズ・グレイ、製作、主演ホアキン・フェニックスマーク・ウォールバーグ(製作も)、エヴァ・メンデスロバート・デュヴァル他共演の犯罪ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(サスペンス/犯罪)


スタッフ キャスト
監督:ジェームズ・グレイ

製作
マーク・ウォールバーグ
ホアキン・フェニックス
ニック・ウェクスラー
マーク・バタン
製作総指揮
アンソニー・カタガス
トッド・ワグナー
マーク・キューバン
脚本:ジェームズ・グレイ
撮影:ホアキン・バカ=アセイ
編集:ジョン・アクセルラッド
音楽:ヴォイチェフ・キラール

出演
ロバート”ボビー”グリーン/グルジンスキー:ホアキン・フェニックス
ジョセフ”ジョー”グルジンスキー:マーク・ウォールバーグ
アマダ・フアレス:エヴァ・メンデス
アルバート”バート”グルジンスキー:ロバート・デュヴァル
ヴァディム・ニジンスキー:アレックス・ヴィードフ
フレディ:ドミニク・コロン
ジャック・シャピロ:トニー・ムサンテ
マイケル・ソロ:アントニー・コロン
ルイス”ジャンボ”ファルセッティ:ダニー・ホック
パヴェル・ラブヤースキー:オレッグ・タクタロフ
マラット・バザエフ:モニ・モシュノフ
ラッセル・デ・キーファー:クレイグ・ウォーカー
サンドラ・グルジンスキー:マギー・カイリー

アメリカ 映画
配給
ユニバーサル・ピクチャーズ(世界)
コロンビア・ピクチャーズ(北米)
2007年製作 117分
公開
北米:2007年10月12日
日本:2008年12月27日
製作費 $21,000,000
北米興行収入 $28,563,180
世界 $54,926,890


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
1988年、ニューヨークブルックリンブライトン・ビーチ
ロシアン・マフィアが経営するナイトクラブ”エル・カリブ”のマネージャーのロバート”ボビー”グリーン(ホアキン・フェニックス)は、恋人のアマダ・フアレス(エヴァ・メンデス)と楽しんでいた。

同僚で友人のルイス”ジャンボ”ファルセッティ(ダニー・ホック)の指示でボスのマラット・バザエフ(モニ・モシュノフ)に会ったボビーは、売り上げはフレディ(ドミニク・コロン)が持って来ることを伝える。

マラットから仕事ぶりを評価されたボビーは、アマダが待っていると伝えてその場を去る。

ボビーの兄ジョセフ”ジョー”グルジンスキー(マーク・ウォールバーグ)は、ニューヨーク市警の警部に昇進し、それを祝う会が開かれる。
...全てを見る(結末あり)

ジョセフは、警視監の父アルバート”バート”グルジンスキー(ロバート・デュヴァル)と共に、招待してあるボビーが来るか気になる。

アマダと共にパーティーに向かったボビーは、クラブの連中には秘密だと彼女に伝える。

警官一家に生まれたボビーだったが、その道に進むことなく、亡くなった母の性を名乗り裏社会で生きていたのだった。

ジョセフを祝福し、アマダを父バートとその部下ジャック・シャピロ(トニー・ムサンテ)、マイケル・ソロ(アントニー・コロン)に紹介したボビーは、兄と父から話があると言われる。

新たな麻薬捜査班が組織され、ロシアン・マフィアの密売人ヴァディム・ニジンスキー(アレックス・ヴィードフ)がターゲットだとジョセフから知らされたボビーは、”エル・カリブ”が捜査対象だと言われる。

ニジンスキーはクラブに出入りしていたものの、自分は何も知らないと白をを切るボビーは、ニジンスキーのおじのマラットも調べたと言われ、監視役を頼まれる。

それを受け入れられるわけもないボビーは、バートと二人だけで話し、いずれは警察か組織かどちらかの味方につくことになり、これは戦争だと言われてその場を去る。

翌日、アマダからネックレスをプレゼントされたボビーは、マラットに会いに行く。

事業を拡大し新たに店を開くと言うマラットは、それを任せたいことをボビーに伝える。

アイデアを提供したボビーは、マラットから詳細を教えるようにと言われる。

クラブに戻ったボビーは、新しい店のことをジャンボに話す。

アマダがニジンスキーと話していることを気にするボビーは、ジャンボから、ニジンスキーが密告した手下を殺したという噂があると言われる。

ニジンスキーには近づくなとアマダに忠告したボビーは、そこに警察が押し入りガサ入れが始まったために驚く。

それを指揮するジョセフはニジンスキーを威嚇して、逮捕したボビーを連行する。

ジャックは、その場に現れ、連行されるボビーを気にするマラットに、ニジンスキーがここを事務所にしているかを尋ね、それを否定する彼に名刺を渡して立ち去る。

警察署に着いたボビーは、一緒に連行された男が自殺したことを知る。

留置場に向かったバートは、自分なら1か月は入れておくがジョセフが釈放したと言って、ボビーを連れ出す。

自殺した男がニジンスキーに脅されたことを知ったジョセフは、現れたボビーに、休みの日にクラブに行ったつもりだったと伝える。

”エル・カリブ”を選んだ理由を訊かれたジョセフは、ニジンスキーが目撃され、抜き打ちがガサ入れの基本だと伝え、納得いかないボビーと言い合い掴み合いの喧嘩になる。

ジャックらに制止されたジョセフは、ボビーを追い出す。

その後、家に向かったジョセフは何者かに銃撃され、車は爆破される。

ジムにいたバートは事件のことを知らされ、重傷を負ったジョセフが病院に運ばれたと言われる。

ショックを受けたバートは、その場で倒れこみ部下に介抱される。

警察からの電話を受けマイケルからジョセフが撃たれたことを知らされ、心配するアマダに、連絡すると伝えて病院に向く。

バートと話したボビーは、自分のせいだと言われる。

マイケルから、手術を終えたジョセフは、弾が頬から顎に抜けて脳には損傷がなく、犯人は分からないが明らかにプロの仕業で、車も爆破されたとボビーは知らされる。

ニジンスキーを逮捕できていたら、こんなことにならなかったと言われたボビーは、責任を感じる

病室に向かったボビーは、付き添っている妻のサンドラを気遣いながら、眠っているジョセフに謝罪する。

その後、アマダと共にダイナーでジャンボと話したボビーは、現れたニジンスキーから、ブツが入るのでさばいてほしいと言われる。

ガサ入れがあったばかりで、大人しくしていた方がいいのではないかと伝えたボビーは、殺し屋なら大勢いると言われて、今日も警官を襲ったことを知らされる。

警察は心配いらないと言うニジンスキーは、指揮官であるジョセフの父親を消せばケリがつくとボビーに伝える。

その気になったら連絡をよこすようにと伝えたニジンスキーは、席を立つ。

それをボビーから知らされたバートは、マイケルからニジンスキーを逮捕するべきだと言われるものの、今は泳がせてブツの在りかを捜す考えを変えなかった。

ニジンスキーが麻薬のブランドを作り取引を独占する気だと話すボビーは、自分は信用されていると伝える。

頼んでもいないのに、ニジンスキーから麻薬の工場を見せると言われたと話すボビーに、隠しマイクをつけさせて一気に決着をつけることをマイケルから提案されたバートだったが、アマダのこともあり危険過ぎると考える。

ジャックとマイケルを下がらせたバートは、ボビーから、自分も危険だと言われるものの深く考えなかった。

アマダの元に向かったボビーは、ニジンスキーがジョセフを撃ったと伝え、警告を無視したことを後悔する。

翌日、マイケルと話したボビーは、バートが狙われていることを知らせて、全力で守ると言われるものの、相手は警察を恐れていないことを伝える。

ボビーから捜査に協力する場合の話をされたマイケルは、連絡すると伝えてその場を去る。

その後、マイケルから盗聴器が仕掛けられたライターを受け取ったボビーは、”羽根”を合言葉にして、それを合図に踏み込むことを確認する。

バレたら証人保護プログラムを適用すると言われたボビーは、バートやアマダにも秘密にして、常に尾行がついていることを知らされたボビーはクラブに向かう。

ジャンボと言葉を交わしたボビーは、ニジンスキーの手下であるパヴェル・ラブヤースキー(オレッグ・タクタロフ)と話し、工場に向かうことになる。

車で迎えに来たパヴェルからボディチェックを受けて目隠しされたボビーは、緊張しながら工場に連れて行かれれる。

ある部屋に着いたボビーは、入荷したコカインを仕分けする場所で待っていたニジンスキーと話し、ブツをチェックして、その金属スティックを袖に隠す。

ボビーが動揺していることを気にしたニジンスキーは、ヤクのせいだと言われるものの、ボディチェックをして所持品など調べる。

マッチとライターを持っていることを疑問に思ったニジンスキーから、その理由を訊かれたボビーは、ヤクのせいで体が”羽根”のように軽くなったと伝える。

ライターの盗聴器に気づいたニジンスキーは、パヴェルにボビーを殺すよう命ずる。

そこに警官隊が押し入り銃撃戦となり、ボビーは隠していたスティックでパヴェルを殺す。

動揺するボビーは窓を突き破り外に落下し、フェンスに激突して脚を骨折し、ニジンスキーは逮捕される。

駆け付けたバートは、自分に無断で行動しボビーを危険にさらしたマイケルを非難する。

救急車に乗せられたボビーに話しかけたバートは、アマダに連絡してほしいと言われ、生活環境は変わり保護することを伝える。

その後、回復したボビーは、退院するジョセフを歓迎するパーティーに出席する。

親子三人とジャックとマイケルだけでニジンスキー関連のことを話し合ったジョセフは、孫との乗馬や毛皮店に行くだけのマラットはシロだと知らされる。

ボビーから、警察をバカにしているニジンスキーを追い込むのは無理だと言われたジョセフは、警官でもないボビーの意見を聞こうとしない。

その通りだと言って席を外したボビーを気遣うバートは、命懸けで協力したことをジョセフに伝えて、ボビーに対する態度を批判する。

バートから、襲撃されて以来、ジョセフはストレス障害で時々苛立つと言われたボビーは、気にしていないと伝え、警官になることを提案される。

母親の家に向かったアマダを迎えに行ったボビーは、そこでジャンボに会う。

危険な状況だとジャンボに伝えたボビーは、アマダを連れてその場を去り、2か月後のニジンスキーの裁判までの辛抱だと彼女に伝える。

ニジンスキーを検事補の所に連れて行こうとしたジョセフだったが、胸の痛みを訴えて病院に搬送されたことを知る。

アマダとホテルにいたボビーは、現れたバートからニジンスキーが逃亡したことを知らされ、場所を移ることになる。

逃げ切れないと言って不安を訴えるボビーに、バートは、自分が守ることを約束する。

3台の車で移動するボビーは、後続車がいないことに気づき、追ってきた車に銃撃されて運転手が殺される。

運転を代わったボビーは、前方を走るバートが銃撃されたことを知り、彼の車を追う。

車と衝突したバートは道路に倒れこみ、駆け寄ったボビーはショックを受ける。

ホテルの部屋で目覚めたボビーは、その場にいたジョセフから、バートの遺体を確認してきたと言われて悲しみ、なぜ居場所がバレたのか不思議に思う。

市長や警察関係者が参列してバートの葬儀が行われ、ジョセフは、父に代わり捜査の指揮を執るようにとジャックから言われる。

ボビーが警官になる考えがあることを知ったアマダは動揺し、相談もしなかったことを非難して彼と口論になる。

警視総監に会ったボビーは、条件付きでニューヨーク市警の一員となることを認められる。

巻き込んでしまったことをジョセフから謝罪されたボビーは、精神的に不安定な様子でもある兄に、この件をいち早く終わらせることが重要だと伝える。

ホテルに戻ったボビーが、アマダがメモを残して去ったことを知る。

クラブに向かったボビーはジャンボと話し、取引の件を知っているか尋ねる。

アマダがいたホテルの名前を知るジャンボを追求したボビーは、ニジンスキーと通じていた彼を責める。

バートが死んだことをジャンボのせいにしたボビーは、マラットに居場所を話したことを知り、ジャンボを痛めつける。

その後の警察での話し合いで、マラットの元に明日ブツが届き、孫を運び屋に使っていることが分かり、ボビーは、マラットが孫と乗馬に行く日であることに目をつける。

相手に対し厳しい行動に出るべきだとジャックから助言されたジョセフは、バートの拳銃をボビーに渡す。

翌日、乗馬学校近くの倉庫を監視するジョセフらは、現れたマラットらを確認する。

毛皮にコカインを縫いこんでいたマラットは、取り引き合い手にバレることはないと伝える。

毎週200着の偽物を輸入していることを伝えたマラットは、ブツを確認させて取り引きをニジンスキーに任せる。

それを確認したジョセフは襲撃を開始するが、撃たれた時のことを思い出してショック状態になり、その場に倒れこんでしまう。

動けないジョセフを気遣いながら、ボビーは逃げたニジンスキーを追う。

マラットは逮捕され、藪の中でマイケルと相撃ちになりそうになったボビーは、警官隊を非難させてニジンスキーをいぶり出そうとする。

藪に火が放たれ、ボビーは一人でその中に向かい、ニジンスキーを見つけて射殺する。

ボビーは、逮捕されたマラットから、バートが家族だとは知らなかったと言われる。

マラットを跪かせたボビーは、バートの拳銃をジャックに渡し、終わったと伝えてその場を去る。

ボビーは、放心状態のまま車に乗っていたジョセフの元に向かう。

その後、警察学校の卒業式が行われ、正式に警察官となるボビーは、ジョセフが現場を離れ管理部に移動することを知る。

卒業生総代のボビーはジョセフと共に舞台に座り、席についていた女性をアマダと見間違える。

そして、ジョセフとボビーは、互いの愛を確認する。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
1988年、ニューヨークブルックリン
ロシアン・マフィアが経営するナイトクラブ”エル・カリブ”のマネージャーのロバート”ボビー”グリーンは、警察官である父バートと兄ジョセフと同じ道を選ばずに裏社会で生きていた。
バートとジョセフから麻薬捜査班が組織され、ロシアン・マフィアのニジンスキーがターゲットだと言われたボビーは、協力を求められる。
それを受け入れられるわけもないボビーだったが、警察のガサ入れ後にジョセフが襲撃されて重傷を負ったために、協力することになる。
麻薬工場を突き止める捜査に協力したボビーは、ニジンスキーを捕えることに成功し、恋人アマダと共に警察に保護される生活が始まる。
その後、脱獄したニジンスキーに父バートを殺されたボビーは、警官になることを決意して組織壊滅の捜査に加わるのだが・・・。
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話題作を手掛けるジェームズ・グレイが、「裏切り者」(2000)で主演したホアキン・フェニックスマーク・ウォールバーグと再び組んだ作品。
ジェームズ・グレイとは盟友とも言えるホアキン・フェニックスは、その後も彼の作品「トゥー・ラバーズ」(2008)、「エヴァの告白」(2013)に出演している。
また、ホアキン・フェニックスマーク・ウォールバーグは、本作の製作に加わっている。

警察官である父と兄と同じ道を歩まずに、裏社会で生きる男の苦悩とその運命を、複雑な家族関係と人生の縮図と共に描くジェームズ・グレイの演出が見どころの作品。

第60回カンヌ国際映画祭では、パルム・ドールにノミネートされた。

警察一家の一人に裏社会の身内がいるのはあり得なくもないが、やや設定に無理があるような点もあり、恋人や親友である同僚との関係からして、組織側にバレないのは不自然だ。

エリート警官である兄は襲撃によりストレス障害となり、正義感のある父親が犠牲になる筋立ても、実力派スターの競演を生かすべく、もう少し工夫が欲しかった気もする。

主演のホアキン・フェニックスは、父と兄とは真逆の世界でいきつつ、家族のために命を懸けて麻薬組織壊滅に協力する男を深く演じている。

主人公の兄であり、襲撃によりストレス障害となる警官のマーク・ウォールバーグ、その上司である父親のロバート・デュヴァル、主人公の恋人エヴァ・メンデス、麻薬密売人であるロシアン・マフィアアレックス・ヴィードフ、ベテラン刑事のトニー・ムサンテアントニー・コロン、主人公の友人である同僚のダニー・ホック、ニジンスキーの手下オレッグ・タクタロフロシアン・マフィアのボス、モニ・モシュノフ、ジョセフ(マーク・ウォールバーグ)の妻マギー・カイリーなどが共演している。


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