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ウォーリアー Warrior (2011)

崩壊した家族で離れ離れになり成長した兄弟がそれぞれの目的で総合格闘技の世界でトップを目指し絆を取り戻すまでを描く、製作、監督、原案、脚本ギャヴィン・オコナー(出演も)、主演ジョエル・エドガートントム・ハーディニック・ノルティジェニファー・モリソンフランク・グリロ他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(スポーツ)


スタッフ キャスト
監督:ギャヴィン・オコナー
製作
ギャヴィン・オコナー
グレゴリー・オコナー
製作総指揮
マイケル・パセオネック
リサ・エルジー
デヴィッド・ミムラン
ジョーダン・シュア
ジョン・J・ケリー
原案
ギャヴィン・オコナー
クリフ・ドーフマン
脚本
ギャヴィン・オコナー
アンソニー・タンバキス
クリフ・ドーフマン
撮影:マサノブ・タカヤナギ
編集
ジョン・ギルロイ
ショーン・アルバートソン
マット・チェシー
マット・チェッセ
音楽:マーク・アイシャム

出演
ブレンダン・コンロン:ジョエル・エドガートン
トーマス”トミー”リオーダン・コンロン:トム・ハーディ
パディ・コンロン:ニック・ノルティ
テス・コンロン:ジェニファー・モリソン
フランク・カンパーナ:フランク・グリロ
ジョー・ジト:ケヴィン・ダン
ダン・テイラー:ノア・エメリッヒ
スティーブン:デンゼル・ウィテカー
コルト・ボイド:マキシミリアーノ・ヘルナンデス
コーバ:カート・アングル
ピート”マッド・ドッグ”グリムズ:エリック・アップル
オーランド”ミッドナイト”リー:アンソニー・ジョンソン
マルコ・サントス:ホアン・カルネイロ
ピラー・フェルナンデス:ヴァネッサ・マルティネス
J・J・リリー:ギャヴィン・オコナー
本人:ブライアン・カレン
本人:サム・シェリダン

アメリカ 映画
配給 ライオンズゲート
2011年製作 140分
公開
北米:2011年9月9日
日本:未公開
製作費 $25,000,000
北米興行収入 $13,657,120
世界 $23,057,120


アカデミー賞
第84回アカデミー賞

・ノミネート
助演男優賞(ニック・ノルティ


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
ピッツバーグ
14年振りに実家に戻った海兵隊員のトーマス”トミー”リオーダン・コンロン(トム・ハーディ)は、帰宅した父親パディ(トム・ハーディ)に待っていたことを伝える。

アルコール依存症だったパディに酒を差し出したトミーだったが、それを受け取ってもらえずに、中で話そうと言われる。

禁酒を始めて1000日近いとパディに言われたトミーは、兄ブレンダン(ジョエル・エドガートン)は教師になり、テス(ジェニファー・モリソン)と結婚して子供も二人生まれたことを知らされる。

パディのアルコール依存症により家族は崩壊し、母親と共に家を出た辛い思い出と心の傷が癒えないことをトミーは語る。

妻の死とトミーの入隊を知っていたと言うパディは、貧しい生活の中で死んだ妻の話をされて、ただ謝罪するしかなかった。
...全てを見る(結末あり)

酔っている方がましだとトミーに言われたパディは、辛い思いに堪えるしかなかった。

フィラデルフィア
心臓病の娘の高額医療費などに悩むブレンダンは、かつて”UFC”に所属した格闘家でもあったため、それで金を稼ごうと考える。

プロモーターのJ・J・リリー(ギャヴィン・オコナー)は、優勝賞金500万ドルの総合格闘技トーナメント“スパルタ”の開催を発表し、世間の話題になっていた。

学生時代に”テオゲネス”と言われて無敵を誇るレスリングの有望選手だったトミーは、コルト・ボイド(マキシミリアーノ・ヘルナンデス)のジムでトレーニングを始める。

トミーは、ミドル級チャンピオン、ピート”マッド・ドッグ”グリムズ(エリック・アップル)のスパーリング相手に名乗り出てあっさりと倒してしまい、コルトを驚かせる。

銀行に向かったブレンダンは、担当のダン・テイラー(ノア・エメリッヒ)から借金の返済が不可能だと判断され、自己破産を提案される。

それを断ったブレンダンは抵当流れになると言われ、力になってくれる気のないダンの態度を不満に思い席を立つ。

訪ねてきたコルトにトミーのことを訊かれたパディは、ここにはいないと言って彼を追い払う。

仕方なく格闘技で金を稼いだブレンダンは帰宅し、そのことをテスに話して現金を渡すが、彼女はそれに当然、反対する。

このままでは3か月で家を失うと言うブレンダンは、戦うのをやめてほしいとテスに言われる。

翌朝、ダイナーにいたパディの元に向かったトミーは、話があることに気づいていた父に、格闘技を始めることを伝える。

大金が稼げるトーナメントに出場する考えを話したトミーは、元ボクサーのパディにトレーナーを頼む。

トレーニングをしたいだけだと言うトミーは、それ以外の話はするつもりはないことをパディに伝える。

教える身の自分に従うよう指示したパディは、不要なものは全て出せと言ってポケットの薬を受け取り、自分の家で寝泊まりし、食事は管理することでトミーを納得させる。

翌日、生徒達の間で、ブレンダンが格闘技の試合に出ていたことが話題になる。

生徒達は、顔面に傷を負ったブレンダンを見て驚き、その質問をされた彼は答えなかった。

ブレンダンは、校長のジョー・ジト(ケヴィン・ダン)に呼ばれ、金が必要だという理由が通らない事態だと言われ、教育長に会うことになる。

ブレンダンが”UFC”に出ていたことを確認したジトは、それについては評価する。

今回の件は学期末に検討することになり、それまでは停職で無給となったことを、ブレンダンはテスから知らされる。

格闘技の試合ならいくらでもあると言うブレンダンは、他に方法がないことをテスに伝えて理解を求める。

イラクラマディアル・アサド空軍基地
ある海兵隊員は、強豪の格闘家マッド・ドッグを倒した男の映像をネットの映像で確認し、それがトミーであることに気づく。

友人であるフランク・カンパーナ(フランク・グリロ)のジムを訪ねたブレンダンは、金に困っていることを話し、トレーニングを積み格闘家として復帰したいことを伝える。

フランクは、停職中だと言うブレンダンが覚悟を決めていることを知る。

前回、怪我をさせたためテスに酷く責められたフランクは、その件がクリアできることを確認して、協力することをブレンダンに伝える。

ブレンダンを待っていたパディは、帰宅した彼に話しかけるものの、追い払われそうになる。

酒は1000日断っていると言うパディだったが、話を聞こうともせずに家に向かうブレンダンに、トミーが戻ったことを伝える。

トミーのことは気になるブレンダンだったが、弟のことばかり考え自分を相手にしてくれなかったアル中のパディを許す気になれなかった。

謝罪するパディは、昔の自分を許してほしいとブレンダンに伝える。

許すが信用はしないと答えたブレンダンは、会いたければ来るようにとトミーに言えとパディに伝えて家に向かう。

玄関に出てきた孫娘に会うこともできないパディは、悲しい思いをする。

史上最強の男と言われるロシア人のコーバ(カート・アングル)がスパルタに参戦することが決まり、コルトは、トミーに出場させることを伝える。

テキサス州、エルパソ
トミーからの電話を受けたピラー・フェルナンデス(ヴァネッサ・マルティネス)は、二人の幼い子供がいる自分の面倒は必ず見ると彼に言われる。

軍隊で一緒だった夫マニーのことを話し気にするトミーに、無理しないでほしいとピラーは伝える。

スパルタを8週間後に控え、ブレンダンとトミーは、厳しいトレーニングを始める。

トーナメント開催に向けて格闘技界は大いに盛り上がり、コーバに勝てる者はいないと予想された。

参戦するマッド・ドッグを倒したことで、トミーも注目される存在となる。

ブレンダンは、フランクが育てている有望選手マルコ・サントス(ホアン・カルネイロ)と同等の実力をつけながら、稼ぐために試合を続ける。

そんな時、マルコが負傷してしまい、ブレンダンは、スパルタに出場したいことをフランクに伝える。

無謀な考えだと言うフランクだったが、ブレンダンの熱意に負ける。

スパルタ出場をフランクから知らされたブレンダンは、それをテスに伝えるものの、理解してもらえるはずがなかった。

大怪我をした経験があるブレンダンの体が麻痺でもすれば、家を失うことになると言うテスだったが、闘わなければ同じことになるため、出場すると決意を語る彼に説得される。

返事をしないテスは、試合は見ないとブレンダンに伝える。

ニュージャージー州、アトランティックシティ
ブレンダンとトミーは会場でお互いを見かけるものの、弟が気になるブレンダンとは違い、トミーはその場を去ってしまう。

ホテルでくつろいでいたパディは、注目選手となっていたトミーが、イラク戦争の英雄だった報道されるニュースを見る。

トミーに命を助けられた兵士のインタビューも流れ、パディはそれをトミーに知らせる。

映像を見たトミーは、何も語らずに散歩に行くと言って部屋を出る。

兵士はトミーに感謝し、その直後に、パディはブレンダンからの連絡を受ける。

トミーを呼び出したブレンダンは話をしようとするものの、会話が成り立たない。

アル中の父親と女を選んだことでブレンダンを憎んでいたトミーは、16歳の自分には判断できなかったと言う兄の言葉を理解しようとしない。

パディを許したのに自分を許せないのかと言われたトミーは、父は唯のコーチだと伝える。

父を許していないはずだとトミーに言われたブレンダンは、妻子がいる身で家族を守るだけだと答える。

ブレンダンから、父、そして母と自分も許したと言われたトミーは、なぜ一緒に逃げなかったのかを問う。

テスに恋しただけだと答えたブレンダンに、自分達を捨てたと伝えたトミーは、一人で母の死を見守った辛さを語る。

母の病気も知らず死に目にも会えなかったことを後悔するブレンダンに、妻子の写真を持ち歩いて、皆を許すと勝手に言っていろと伝えたトミーはその場を去る。

ジト校長に会ったスティーブン(デンゼル・ウィテカー)らブレンダンの生徒達は、体育館でスパルタの試合を見る許可を得ようとするが、許されるはずはなかった。

いよいよトーナメントが始り、注目されたトミーはリングに上がり、相手を一撃で倒す。

トミーの試合を見ようともせず、緊張するブレンダンは、フランクと共にリングに向かう途中でパディに気づく。

オーランド”ミッドナイト”リー(アンソニー・ジョンソン)と対戦するブレンダンを、パディは控室で、ジトは自宅で見守る。

絞め技をかけられたブレンダンはなんとかラウンド終了で救われ、第2ラウンドで攻勢をしかけてキムラロックが決まり、強豪のミッドナイトを破る。

フランクと共に勝利を喜ぶブレンダンを見て、パディとジトは興奮する。

連絡を待っていたテスも、ブレンダンの勝利をメールで知らされて喜ぶ。

コーバは圧倒的な強さを見せ、マッド・ドッグも勝利する。

ブレンダンは、パディの声援を受けながら第2戦のリングに上がり、テスもテレビでその様子を見守る。

勝利して控室に戻るブレンダンに、パディは声をかける。

トミーは、第2戦も相手を一瞬にして叩きのめす。

その後、カジノにいたトミーと話したパディは、軍で起きたこと誇りに思うと伝える。

自分は部隊から逃げたと言うトミーは、助けたのは逃亡途中だと話し、パディからその理由を訊かれる。

答える気のないトミーに、努力している自分にチャンスをくれと伝えたパディだったが、ブレンダンとの唯一の共通点は、父親を必要としていない言われる。

失せろとまで言われたパディは、言葉もなく立ち去る。

翌朝、断っていた酒を飲み取り乱すパディに気づいたトミーは、父を抱き寄せて落ち着かせる。

いつでも、自分とブレンダンを愛していたと言われたトミーは、ベッドでパディを休ませる。

会場の海兵隊員に激励されたトミーはリングに上がり、マッド・ドッグと戦う。

ゴングが鳴った直後に、トミーはマッド・ドッグを倒す。

ジトは、学生達と共にブレンダンの試合をパブリックビューイングで観戦する。

リングに上がったブレンダンは、リングサイドにテスがいることをフランクから知らされ、コーバと戦うことになる。

徹底的に攻められたブレンダンは、何んとか持ち堪える。

コーバを倒さなければ帰る家はないと、ブレンダンはフランクに言われる。

攻撃に耐えるブレンダンは、ヒザ固めを決めてコーバを倒し、信じられない光景に場内は騒然となる。

注目され続けるトミーの新事実が分かり、海兵隊員の彼が、誤爆による仲間の死にショックを受けて、無断離隊したことが報道される。

死亡した隊員の妻ピラーがインタビューに応じ、生き残ったトミーのことを夫は兄弟のようだと語っていたと言う、涙する彼女の姿が全米に流れる。

身柄拘束対象のトミーは、監視されながら決勝に挑むことになり、勝利した場合の賞金500万ドルは、ピラーに譲与する考えを示す。

決勝で戦う二人が兄弟であることも報道で知らされ、大きな話題となる。

複雑な思いのテスとフランクだったが、ブレンダンは戦うしかなかった。

フランクに激励されたブレンダンはリングに上がり、テスは夫を見守る。

トミーもリングに上がり、ブレンダンからパディのことを訊かれても何も答えずにコーナーに向かう。

第1ラウンドは始り、一方的に攻められたブレンダンは何んとか持ち堪える。

フランクからリラックスしろと言われたブレンダンは、第2ラウンドも防戦一方で終わる。

第3ラウンド、寝技に持ち込んだブレンダンは、トミーの左肩を脱臼させる。

もう一方も攻めろとフランクに指示されたブレンダンは躊躇するが、勝利は目前だと言われる。

左腕が使えないトミーは、止めようとするブレンダンに闘う意思を伝える。

仕方なくトミーを攻めるブレンダンは、そのラウンドも終えて、リングサイドのパディに気づく。

最終ラウンド、諦めようとしないトミーはブレンダンに立ち向かう。

蹴りを入れたブレンダンはトミーを倒し、締め上げながら弟に謝罪して愛を伝える。

トミーはギブアップし、ブレンダンの勝利にテスは歓喜する。

観戦していたジトも、生徒達と喜び合う。

トミーから離れないブレンダンは、弟を抱き寄せてリングを下り、フランクと共に控室に向かう。

兄弟のわだかまりが消えたことを確認したパディは、息子達を見つめながらその場を去る。


解説 評価 感想
*(簡略ストー リー)
ピッツバーグ
海兵隊員のトーマス”トミー”リオーダン・コンロンは、ある目的のため、14年振りに父パディに会うために実家に戻る。
アルコール依存症だったパディのせいで家族は崩壊し、母と共に家を出ていたトミーは、優勝賞金500万ドルの大イベント、総合格闘技トーナメント”スパルタ”に出場するため、わだかまりのある父にトレーナーを頼む。
フィラデルフィア、自分と母を見捨てたとトミーに思われている兄のブレンダンは、教師となり妻のテスと二人の娘と共に平穏な日々を送っていた。
しかし、心臓病の娘の高額医療費のため生活は苦しく、ブレンダンは銀行から自己破産を提案される。
かつて”UFC”に所属していた格闘家だったブレンダンは、仕方なく稼ぐために戦い始めるのだが、学校にそれがバレてしまい停職処分になってしまう。
親友のフランクのジムを訪ねたブレンダンは、格闘家に復帰する決意を伝え、スパルタ出場を目指すのだが・・・。
__________

それぞれの目的のために、総合格闘技の世界で戦い続ける兄弟と父親の関係を描く、製作、監督、原案、脚本を兼ねるギャヴィン・オコナーの意欲作。
ギャヴィン・オコナーは、トーナメントのプロモーター役として出演もしている。

家族崩壊という問題を抱えながら、辛い現実に立ち向かわなければならない兄弟と父親の難しい関係が切実に描かれている、人間ドラマとしても見応えある作品。

魅力的であることこの上ないキャスティングだけで興味深く観れる本作は、総合格闘技の世界も迫力映像で映し出している。

第84回アカデミー賞では、助演男優賞(ニック・ノルティ)にノミネートされた。

非常に評価の高い作品ではあったが、北米興行収入は約1400万ドル、全世界でも約2300万ドルに終わり、製作費2500万ドルを回収することはできなかった。
このキャスティング且つ総合格闘技が人気の日本であるにも拘らず、はなぜか劇場未公開に終わった。

後のない立場に立たされ、満身創痍で家族のために闘うジョエル・エドガートン、家族に対して心を閉ざす弟役のトム・ハーディ、体を張った二人の好演は、見るものの心に訴える素晴らしいパフォーマンスであった。

息子達に父親と認めてもらえず辛い思いをしながら二人を温かく見守る、深い演技を見せる、アカデミー助演賞にノミネートされたニック・ノルティの熱演も光る。

夫(ジョエル・エドガートン)を心配しつつも常に支えるジェニファー・モリソン、同じく彼に協力するジムのオーナー、フランク・グリロ、主人公の活躍を見守る校長のケヴィン・ダン、銀行員ノア・エメリッヒ、主人公を応援する生徒デンゼル・ウィテカー、トミー(トム・ハーディ)のジムのオーナー、マキシミリアーノ・ヘルナンデス、格闘家カート・アングルエリック・アップルアンソニー・ジョンソンホアン・カルネイロ、トミーの軍友の妻ヴァネッサ・マルティネス、トーナメントのプロモーター、ギャヴィン・オコナー、トーナメントの実況ブライアン・カレンとサム・シェリダンなどが共演している。


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