1869年に発表された、レフ・トルストイの同名小説の映画化。 イタリアの大プロデューサー、カルロ・ポンティとディノ・デ・ラウレンティス製作、監督、脚本キング・ヴィダー、主演オードリー・ヘプバーン、ヘンリー・フォンダ、メル・ファーラー、ヴィットリオ・ガスマン、ハーバート・ロム他、豪華キャスト競演の文芸超大作。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:キング・ヴィダー
製作総指揮:カルロ・ポンティ
製作:ディノ・デ・ラウレンティス
原作:レフ・トルストイ”戦争と平和”
脚本
ブリジェット・ボーランド
ロバート・ウェスタビー
キング・ヴィダー
マリオ・カメリーニ
エンニオ・デ・コンチーニ
イーヴォ・ペリッリ
ジャン・ガスパーレ・ナポリターノ
マリオ・ソルダーティ
撮影:ジャック・カーディフ
編集:レオ・カットッツォ
衣装デザイン:マリア・デマッテイス
音楽:ニーノ・ロータ
出演
ナターシャ・ロストヴァ:オードリー・ヘプバーン
ピエール・ベズーホフ:ヘンリー・フォンダ
アンドレイ・ボルコンスキー公爵:メル・ファーラー
ドーロホフ:ヘルムート・ダンティン
アナトール・クラーギン:ヴィットリオ・ガスマン
ナポレオン・ボナパルト:ハーバート・ロム
ミハイル・クトゥーゾフ:オスカー・ホモルカ
エレーナ・クラーギナ:アニタ・エクバーグ
ニコラス・ロストフ:ジェレミー・ブレット
プラトン・カラターエフ:ジョン・ミルズ
ソーニャ・ロストヴァ:メイ・ブリット
マリヤ・ボルコンスカヤ:アンナ・マリア・フェレーロ
ボルコンスキー:ウィルフレイッド・ローソン
ロストフ伯爵:バリー・ジョーンズ
リーザ・ボロコンスカヤ:ミリー・ヴィターレ
ペーチャ・ロストフ:ショーン・バレット
アメリカ/イタリア 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1956年製作 208分
公開
北米:1956年8月21日
日本:1956年12月5日
製作費 $6,000,000
北米興行収入 $12,500,000
■ アカデミー賞 ■
第29回アカデミー賞
・ノミネート
監督・撮影・衣裳デザイン賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
19世紀初頭。
ナポレオン・ボナパルト率いるフランス軍が、帝政ロシアのモスクワに侵攻する噂が流れていた。
モスクワ。
進歩的な考えを持つ、貴族の青年ピエール・ベズーホフ(ヘンリー・フォンダ)は、ナポレオンの脅威を見据えながら帝政ロシア軍の行進を見つめる。
ロストフ伯爵(バリー・ジョーンズ)の屋敷にいたピエールは、令嬢のナターシャ(オードリー・ヘプバーン)がお気に入りだった。
そんな時、出征する伯爵家の長男ニコラス(ジェレミー・ブレット)が、恋人でいとこのソーニャ(メイ・ブリット)を伴い現れる。
ナターシャに別れを告げたピエールは、友人のドーロホフ(ヘルムート・ダンティン)のパーティーに向かう。
その後、酒に酔い騒いでいたピエールだったが、迎えに来た親友アンドレイ・ボルコンスキー公爵(メル・ファーラー)に父の危篤を知らされる。
妻リーザ(ミリー・ヴィターレ)との生活で、彼女の小言などを鬱陶しく感じるアンドレイは、 いち早く戦場に向かうことを考えていた。 そして、屋敷に戻って間もなく、ピエールは父の臨終に立会い、莫大な財産を継ぐことを知らされる。 その直後、ピエールの財産を狙う公爵令嬢のエレーナ・クラーギナ(アニタ・エクバーグ)は、彼を誘惑するために近づこうとする。 妊娠した妻リーザを、田舎にある実家屋敷に連れて行ったアンドレイは、父(ウィルフレイッド・ローソン)に、妻や生まれてくる子を託す。 父に戦場に向かうよう言われたアンドレイは、取り乱しそうになるリーザを、妹マリヤ(アンナ・マリア・フェレーロ)に任せて出発する。 エレーナとの関係を深めていたピエールは、彼女との結婚をナターシャに伝える。 しかし、何の反応も示さずに、幸せを祈るとだけだと答えるナターシャの言葉に、ピエールは寂しさを感じる。 アンドレイは、父の働きかけで、ミハイル・クトゥーゾフ将軍(オスカー・ホモルカ)の参謀になっていた。 しかし、オーストリア領(現チェコ)の” アウステルリッツ”(現スラフコフ・ウ・ブルナ)で、ロシア軍はナポレオン軍に大敗し協定が結ばれる。 結婚はしたものの、ピエールをただの金づるとしか考えていないエレーナは、彼との行動を遠まわしに拒み始める。 そんな時、帰還兵と共にニコラスが戻り、ナターシャや家族はそれを喜ぶ。 負傷したアンドレイも実家に戻り、リーザの出産に立ち会い、子供は無事に生まれるものの彼女は苦しみの末に命を落 田舎に引き篭もっていたピエールは、妻エレーナが友であるドーロホフと浮名を流していることを知る。 侮辱を受けたピエールは、ドーロホフと決闘することになり、それに勝ちエレーナを追い出してしまう。 ロストフの屋敷を訪れたピエールは、ドーロホフが一命を取り留めたことを聞き、自分の愚かな行動を恥じる。 そんなピエールを励ますため、ロストフは彼や家族を連れて田舎の別荘に向かうことにする。 現地でアンドレイに再会したピエールは、社交性がなくなり気難しくなった彼を励まそうとする。 しかし、アンドレイの、妻リーザに対する愛への後悔など彼の心の傷は深かった。 そんなアンドレイは、自分に興味を持つ、奔放で快活なナターシャに次第に惹かれていく。 ある舞踏会に出席したロストフ一家の中で、ナターシャはアンドレイへの想いをめぐらせていた。 そこにアンドレイが現れ、彼にダンスに誘われたナターシャは夢見心地の時を過ごす。 アンドレイも、ナターシャによって自分が救われたことを実感し、彼女との結婚を決意する。 結婚を父親に反対されたアンドレイは、1年間考えるように言われ、ナターシャに愛を告げた上でそれを伝え彼女に了解を得る。 1807年6月13日。 ナターシャは、父親と共にアンドレイの父ボルコンスキーを訪ねるが、満足のいく対応を得られなかった。 しかし、思慮深いアンドレイの娘マリヤは、ナターシャに優しく声をかける。 そんな時、ナターシャは、ピエールの別居中の妻エレーナの兄アナトール・クラーギン(ヴィットリオ・ガスマン)に言い寄られ、そして恋に落ちてしまう。 ソーニャはそれに反対するが、アナトールの虜になってしまったナターシャは、その忠告も耳に入らない。 実はアナトールは結婚していたのだが、それをナターシャに隠しながら彼女との駆け落ちを考える。 ソーニャはナターシャを部屋に閉じ込め、ピエールに助けを求め彼はアナトールを追い払う。 ピエールはナターシャの部屋に向かい、アナトールが既婚者だったことを彼女に伝えて納得させる。 やがてアンドレイは戻るが、ナターシャのことを聞き心を閉ざし、お互い傷いて苦しむ。 ナターシャの力になろうとするピエールは、彼女を思う自分の気持ちを伝えてしまう。 その後アンドレイは、皇帝アレクサンドルの使者として使命を受け、ナポレオン(ハーバート・ロム)に和平についての書簡を届ける。 しかしナポレオンは、ロシア進撃を決意しモスクワに向かい、そこで講和を結ぼうとする。 1812年6月。 戦いをこの目で見るために、ピエールは戦場に向かうことを決め、それをナターシャに伝えて旅立つ。 モスクワ西方、ボロジノ近郊。 1812年9月7日。(ボロジノの戦い) モスクワを死守するために、軍の壊滅を避けなければならないクトゥーゾフは、敗北を認め退却命令を出す。 軍の敗北を知ったモスクワ市民は、避難の準備を始めるのだが、ロストフの屋敷に運ばれてきた、負傷したアンドレイにソーニャが気づく。 悲惨な現状に、ナターシャは屋敷から持ち出す荷物を馬車から降ろし、負傷兵を乗せるよう父を説得する。 街を出ようとしたナターシャと家族はピエールと出くわすが、彼はモスクワに残ると言って別行動をとる。 その後ソーニャは、アンドレイが重傷を負い、後方の馬車に乗っていることをナターシャに伝える。 モスクワを制圧したナポレオンは、街に火を放ち降伏する意思もないロシア側の対応を侮辱と捉える。 郊外に逃れたロストフ一家は、モスクワが炎上する様子を見て悲しみ、ナターシャはアンドレイを捜す。 そして、瀕死のアンドレイを見つけたナターシャは、彼に許しを請い愛を告げられる。 モスクワに残っていたピエールは、ナポレオンを暗殺しようとするがそれが出来ず、その後、兵士に捕らえられてしまう。 捕らわれの身のピエールは、信心深いプラトン・カラターエフ(ジョン・ミルズ)に出会い、全てが神の思し召しだと悟らされる。 ナターシャの献身的な介護で、アンドレイは一時的に回復し、妹マリヤがニコラスに伴われ見舞いに現れる。 ニコラスとマリヤは愛し合うようになっていたため、ソーニャは彼を諦める。 ナターシャから、アンドレイの様態が悪いことを聞かされたマリヤは、彼と幼い息子を再会させる。 そしてアンドレイは、ナターシャとマリヤに見守られながら息を引き取る。 依然ロシア側は動きを見せず、苛立つナポレオンはついにモスクワからの撤退を決意する。 それを知ったクトゥーゾフは神に感謝するが、追撃しようとはしなかった。 故国に向かうフランス軍は、悪路や冬の訪れで兵を失い、それに同行させられるピエールは、歩けなくなったプラトンが射殺されたことを知る。 親の反対を押し切り、軍隊に入ったナターシャの弟ペーチャ(ショーン・バレット)は、伝令としてドーロホフに敵の動きを知らせる。 ドーロホフは敵に攻撃を仕掛け、捕らえられていたピエールを救い出すが、ペーチャは戦死する。 ピエールに、妻エレーナが死んだことを伝えたドーロホフは、わだかまりを捨てて今までのことを謝罪する。 その後、総攻撃を受けたナポレオンは敗北を認め、クトゥーゾフは勝利宣言をする。 モスクワ。 そしてナターシャは、無事だったピエールの帰りを喜び、二人は固く抱き合う。
...全てを見る(結末あり)
(アウステルリッツの戦い)
としてしまう。
ナポレオンは、ロシア皇帝アレクサンドル1世と会い講和を協議した。
フランス軍はロシアに侵攻するが、クトゥーゾフ将軍は反撃せずに、来るべきその時期を待ち、モスクワ市民達は苛立ち始める。
アンドレイに再会したピエールは、彼がナターシャを決して許そうとしないことを知り、決戦を前にした彼に別れを告げる。
フランス軍の圧倒的優勢を、ピエールは戦場で目の当たりにしてナポレオンを呪う。
荒れ果てた屋敷に戻ったロストフ一家の中で、ナターシャは多くのことを経験して成長していた。
*(簡略ストー リー)
19世紀初頭、帝政ロシアに攻め込もうとするフランスのナポレオンは、その勢いで一気にモスクワを目指そうとしていた。
伯爵の子息ピエール・ベズーホフは、大人の女性になりきれない、ロマンチストでもある伯爵令嬢ナターシャ・ロストヴァに思いを寄せていた。
父の死で莫大な遺産を引き継ぐことになったピエールは、それを公爵令嬢のエレーナに狙われてしまう。
その後ピエールは、エレーナの美しさに魅了され結婚する。
妻リーザとの生活に疑問を感ずるピエールの友人アンドレイ・ボルコンスキー公爵は、いち早く戦場に向かおうとする。
やがて、傷を負い戻ったアンドレイは妻を亡くし心を閉ざしてしまうのだが、彼の心を癒したのは、奔放な少女ナターシャだった・・・。
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世界的な文芸大作の映画化ということで、監督のキング・ヴィダーをはじめ、スタッフ、キャスト共に豪華な顔ぶれでありスケール感のあるセットや戦闘シーンなども話題になった作品。
ニーノ・ロータの勇壮な音楽も印象に残る。
第29回アカデミー賞では、監督、撮影、衣裳デザイン賞にノミネートされた。
3時間30分の長編は、歴史的事実を背景に、見応えある作品に仕上がってはいる。
しかし、アカデミー監督賞にノミネートされたものの、キング・ヴィダーには、さらに奥深い演出を求めたかったようにも感じる。
ソ連版「戦争と平和」(1965)が4部に別れた7時間にも及ぶ作品だっただけに、この物語を映像で表現するのには、本作の上映時間でも無理があったのかもしれない。
「ローマの休日」(1953)で、一躍世界的なスターになったオードリー・ヘプバーンが、前半ではやや押さえ気味に、そして、彼女の成長をテーマにする後半では、その存在感と美しさを存分に見せてくれる。
当時、既に50歳だったヘンリー・フォンダは、やや気の弱い両家の子息を好演している。
そして、当時の妻オードリー・ヘプバーンとの愛を得られずに絶命するメル・ファーラーも悲運の公爵を熱演する。
ピエール(H・フォンダ)の友人で決闘までするのだが、終盤では友情を取り戻すヘルムート・ダンティン、その愛人でピエールの妻アニタ・エクバーグ、その兄ヴィットリオ・ガスマン、ナポレオンのハーバート・ロム、クトゥーゾフ将軍役のオスカー・ホモルカ、ピエールに神の教えを説くジョン・ミルズ、ナターシャ(A・ヘプバーン)の兄役ジェレミー・ブレット、いとこのメイ・ブリット、アンドレイ(M・ファーラー)の妹役のアンナ・マリア・フェレーロ、その父親ウィルフレイッド・ローソン、アンドレイの妻役ミリー・ヴィターレ、ナターシャの父親バリー・ジョーンズ、息子のショーン・バレットなどが共演している。