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ウィンナー・ワルツ Waltzes from Vienna (1934)

ヨハン・シュトラウス2世が”美しく青きドナウ”を作曲する過程と恋を描く、監督アルフレッド・ヒッチコック、主演ジェシー・マシューズエドマンド・グウェンエスモンド・ナイトフェイ・コンプトンフランク・ヴォスパー他共演のロマンス。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(ロマンス)

アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock 作品一覧
アルフレッド・ヒッチコック / Alfred Hitchcock / Pinterest


スタッフ キャスト
監督:アルフレッド・ヒッチコック

製作:トム・アーノルド
原作
アルフレッド・マリア・ウィルナーWalzer aus Wien
ハインツ・ライヒェルト
エルンスト・マリシュカ
脚本
ガイ・ボルトン
アルマ・レヴィル
撮影 グレン・マクウィリアムス
編集:チャールズ・フレンド
音楽:ヒューバート・バス

出演
レジ・エベゼダー:ジェシー・マシューズ
ヨハン・シュトラウス1世エドマンド・グウェン

ヨハン”シャニー”シュトラウス2世エスモンド・ナイト
ヘルガ・フォン・シュタール伯爵夫人:フェイ・コンプトン
グスタフ伯爵:フランク・ヴォスパー
エベゼダー:ロバート・ヘイル
アントン・ドレクスラー:マーカス・バロン
従者:チャールズ・ヘスロップ
メイド:ベティ・ハントリー=ライト
レオポルド:ヒンドル・エドガー
フーシェット夫人:シビル・グローヴ
カール:ビル・シャイン
機関手:バートラム・デンチ
ドメイヤー:B.M.ルイス
少年:ジョン・シンガー
秘書:シリル・スミス

イギリス 映画
配給 Gaumont British
1934年製作 80分
公開
イギリス:1934年3月7日
北米:1935年4月7日
日本:未公開


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
19世紀、ウィーン
消防隊が、出火したエベゼダー(ロバート・ヘイル)のカフェに向かう。

作曲家ヨハン・シュトラウス1世エドマンド・グウェン)の息子ヨハン”シャニー”シュトラウス2世エスモンド・ナイト)は、恋人である、エベゼダーの娘レジ(ジェシー・マシューズ)と恋の歌をデュエットしていた。

隣りのドレスサロンにいたヘルガ・フォン・シュタール伯爵夫人(フェイ・コンプトン)は、窓から見えるシャニーと彼の曲が気に入る。

シャニーは、その新曲を含めてすべてを捧げるとレジに伝える。

到着した消防隊員と共に消火活動をするエベゼダーは、レジに惹かれるパン職人のレオポルド(ヒンドル・エドガー)に、娘が2階にいることを知らせる。

ハシゴを登り2階の窓に向かったレオポルドは、何も知らないレジに火事のことを知らせる。

外の騒ぎに気づいたレジは、シャニーと揉めたレオポルドに担がれて階段を下りる際に、スカートが脱げてしまう。
...全てを見る(結末あり)

人々に笑われて恥をかいたレジはサロンに駆け込み、オーナーのフーシェット夫人(シビル・グローヴ)から、はしたない格好でヘルガの前に現れたことを注意されながら、スカートを貸してもらおうとする。

火事は鎮火し、エベゼダーは喜ぶ。

スカートを届けたシャニーは、その場にいたヘルガと話し、曲のことなどを訊かれる。

ヘルガは、父シュトラウスに才能を認めてもらえないシャニーの悩みを聞き、自分の詩に曲をつけることを提案する。

シャニーは、つてを使えばその曲を父に演奏してもらえるかもしれないと言われ、詩を取りに行くことをヘルガに約束する。

そこに現れたレジは、シャニーがヘルガと親しげに話していたために嫉妬する。

ヘルガの夫グスタフ伯爵(フランク・ヴォスパー)は、彼女が恋文を書いていると思い、それを追及する。

それがドナウ川について書いた詩だと知ったグスタフは、その内容を読み納得する。

ヘルガのメイド(ベティ・ハントリー=ライト)とグスタフの従者(チャールズ・ヘスロップ)は愛し合っていた。

グスタフは、詩をシュトラウスに届けて曲をつけてもらうことを考える。

詩をグスタフから預かった従者は、それをシュトラウスに渡そうとする。

シュトラウスのオーケストラで第2バイオリンを担当するシャニーは、父に意見して口論になり、辞めることを伝えてその場を去る。

グスタフからの詩を受け取ったシュトラウスを、それが気に入らなかった。

ヘルガを訪ねたシャニーは、シュトラウスとのことを話しながら苛立つ。

しかしシャニーは、ヘルガからの作曲の依頼で希望が見えたために興奮する。

グスタフは、ヘルガが若い男性と過ごしていることを従者から知らされ、作曲を断ったシュトラウスが、詩を駄作だと言ったことに腹を立てる。

ヘルガからシャニーを紹介されたグスタフは、彼がシュトラウスの息子で、彼女の詩に曲をつけていることを知る。

カフェに向かいレジと話したシャニーは、彼女の話をヒントに曲が閃く。

エベゼダーは、店を継いでくれると言うシャニーを工房に連れて行く。

そこでシャニーは曲のアイデアが浮かび、ヘルガの元に向かう。

シャニーは、完成した”美しく青きドナウ”をピアノで弾き、ヘルガは喜び彼にキスする。

レジにも曲を聴かせたシャニーは、”レジ・エベゼダーに捧げる”と楽譜に書く。

シャニーは、同じ様にヘルガにも曲を捧げてサインし楽譜を渡す。

ヘルガは、音楽出版者アントン・ドレクスラー(マーカス・バロン)の元に向かい、シュトラウスに演奏させるのがグスタフの希望だと伝える。

レジはシュトラウスに元に向かい、楽譜を渡して演奏してもらおうとする。

シャニーの作曲だと知ったシュトラウスはそれを拒み、憤慨したレジはその場を去る。

その後レジは、ドレクスラーの元でシャニーとヘルガが曲を奏でていることに気づき驚く。

ヘルガが詩を書いたことをシャニーから知らされたレジは、気分を害して立ち去る。

レジを見捨てられないシャニーは、彼女を追う。

ヘルガは、一度ピアノで弾いて楽譜を燃やすと言いながら、曲をドレクスラーに聴かせる。

シャニーから、自分のために音楽を捨てると言われたレジは、彼に愛を伝えてキスし、2人は抱き合う。

美しく青きドナウ”を聴いたドレクスラーは、燃やしてはいけない、後世に残る名曲だとヘルガに伝える。

その後、カフェに向かったヘルガのメイドは、レジに手紙を渡す。

ヘルガからだと気づいたレジは、店を手伝うシャニーに手紙を渡す。

シャニーは、”聖ステファノの日”に一緒に来てほしいという内容を正直に話し、レジの忠告を聞かずにヘルガの元に向かおうとする。

苛立つレジは、父エベゼダーから、菓子職人が無理なシャニーの心は音楽にあると言われても納得できない。

ヘルガはグスタフとドレクスラーと共に、シュトラウス聖ステファノの日の祭に遅れて、シャニーが彼に代わり新作のワルツを指揮するように仕向ける策略を練る。

聖ステファノの日
グスタフに呼ばれたシュトラウスは、ドレクスラーが時計の針を遅らせたことに気づかない。

音楽会の会場にシャニーが現れ、その場の食事を任されたエベゼダーの手伝いをするレジは彼に気づく。

レジと仲直りしたシャニーは、彼女の仕事を手伝う。

その頃シュトラウスは、グスタフの指示で、踊り子たちの前でピアノを弾かされていた。

ヘルガとドレクスラーに呼ばれたシャニーは、”美しく青きドナウ”を指揮するよう指示される。

レジは、シャニーがそれに従おうとしたために制止しようとするが、彼の作曲家としての運命を決める時だと言うヘルガの言葉を信じることができない。

シャニーの指揮で演奏は始まり、出席者そしてレジやヘルガらは、その素晴らしい曲に聴き入る。

レジは感激すると同時に、シャニーが自分から離れていくと思い涙する。

ようやく到着したシュトラウスは、シャニーが演奏していたために驚く。

演奏が終わり、人々から称賛の声を浴びたシャニーは、レジと話すものの、自分たちの生きる道は違うと言う彼女から、ヘルガの元に向かうよう指示される。

ヘルガとドレクスラーに騙されたことに気づいたシュトラウスは、シャニーに嫌味を言いながら、アンコールの声も自分に対してではないことを知る。

シュトラウスは、謝罪するシャニーの話を聞き入れる気になれない。

レオポルドからレジが帰ったことを知らされたシャニーは、彼女の元に向かおうとする。

ドレクスラーに引き留められたシャニーは、父が承諾したと思い演奏したが、騙されたと言って彼を批判し、ヘルガの元に向かおうとしない。

シャニーは、自分が無関係だと父には話してあると言うドレクスラーの話を聞かずにその場を去る。

ヘルガは、レオポルドからシャニーの家の場所を聞き彼を追う。

家に帰っていなかったレジは、レオポルドからヘルガがシャニーを追ったことを知らされるものの気にしなかった。

会場に到着したグスタフはシャニーの成功を知り、シュトラウスからヘルガに利用されたと言われて驚く。

憤慨したグスタフは、ヘルガと話をしたレオポルドから、彼女がシャニーの家に向かったことを聞き出す。

そのことを話したレオポルドを殴り批判したレジは、シャニーの家に向かう。

ヘルガを家に招き入れたシャニーは傷つけたことを謝罪され、レジのことなども話し、明日から人生が変わると言う彼女にキスしてしまう。

そこにグスタフが現れ、ヘルガを捜すもののシャニーに邪魔される。

その場に着いたレジは、部屋の中の揉め事に気づき裏口に向かう。

グスタフは、集まった人々の歌声が気に障り追い払う。

奥の部屋からレジが現れ、その間にヘルガはハシゴを下りる。

シャニーとレジに謝罪したグスタフは、入り口に現れたヘルガから、シャニーにお祝いを言ってくれたか訊かれる。

ヘルガとは何もなかったと言うシャニーとレジは、愛を確かめ合う。

会場に残っていたシュトラウスは、少女からサインを求められる。

去ろうとする少女を引き留めたシュトラウスは、”1世”と付け加えて微笑む。


解説 評価 感想

*(簡略ストーリー)
19世紀、ウィーン
作曲家ヨハン・シュトラウス1世の息子ヨハン”シャニー”シュトラウス2世は、才能を認めてくれない父に反発しながら作曲を続けていた。
カフェの経営者エベゼダーの娘レジと恋仲だったシャニーは、伯爵夫人ヘルガに曲を気に入られ、彼女の詩に曲をつけることになる。
ヘルガとの関係に嫉妬するレジのことを気にしながら、シャニーは、様々なヒントを得て新曲を完成させようとするのだが・・・。
__________

1930年にウィーンで上演された、アルフレッド・マリア・ウィルナーの舞台劇”Walzer aus Wien”を基に製作された作品。

ヨハン・シュトラウス2世が、苦労しながら”美しく青きドナウ”を作曲して脚光を浴びるまでと、恋人と協力者である伯爵夫人との三角関係を描く、コメディタッチのロマンス。

イギリス時代のヒッチコック作品であり、それまでもコメディなどを手掛けていた彼は、本作以降はサスペンス、スリラーが主な作品となる。

楽聖映画としての面白味にくわえて、ヒッチコックの抜群のユーモアのセンスが活かされた作品でもある。

終盤、ヨハン”シャニー”シュトラウス2世が”美しく青きドナウ”を指揮する5分弱にも及ぶ演奏シーンが見せ場であり、ドラマを大いに盛り上げる。

キュートな魅力でヨハン”シャニー”シュトラウス2世の恋人を印象的に演ずるジェシー・マシューズ、息子の才能を認めない作曲家ヨハン・シュトラウス1世エドマンド・グウェン、作曲の才能を認めてもらえず、恋人と伯爵夫人の錯覚関係に悩みながらもチャンスを掴むヨハン”シャニー”シュトラウス2世を熱演するエスモンド・ナイトヨハン”シャニー”シュトラウス2世を支援する伯爵夫人のフェイ・コンプトン、その夫である伯爵をコミカルに演ずるフランク・ヴォスパー、ヒロインの父親であるカフェのオーナー役ロバート・ヘイル、伯爵夫人に協力する音楽出版者のマーカス・バロン、伯爵の従者チャールズ・ヘスロップ、伯爵夫人のメイド役ベティ・ハントリー=ライト、ヒロインに惹かれるカフェのパン職人ヒンドル・エドガー、ドレスサロンのオーナー役シビル・グローヴ、カフェの店員ビル・シャイン、機関手のバートラム・デンチ、少年のジョン・シンガー、秘書のシリル・スミスなどが共演している。


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