第二次大戦下、イタリアの収容所に入れられたアメリカ軍士官とイギリス兵捕虜らが移送列車を奪いスイスに向かう脱出劇を描く、監督マーク・ロブソン、主演フランク・シナトラ、トレヴァー・ハワード他共演のアクション満載の戦争ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:マーク・ロブソン
製作:ソウル・デヴィッド
原作:デビッド・ウェストハイマー”Von Ryan’s Express”
脚本
ウェンデル・メイズ
ジョセフ・ランドン
撮影:ウィリアム・H・ダニエルズ
編集:ドロシー・スペンサー
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
出演
ジョセフ・L・ライアン大佐:フランク・シナトラ
エリック・フィンチャム少佐:トレヴァー・ハワード
ガブリエラ:ラファエラ・カラ
フォン・クレメント少佐:ヴォルフガング・プライス
オリアーニ大尉:セルジオ・ファントーニ
オルデ中尉:ジョン・レイトン
コンスタンゾ大尉:エドワード・マルヘアー
ボスティック軍曹:ブラッド・デクスター
エイムズ二等兵:ジェームズ・ブローリン
バターリア少佐:アドルフォ・チェリ
ジャンニーニ伍長:リチャード・バカリアン
ウィルヘルム・フォン・クライスト中将:アイヴァン・トリーソール
ゴート大佐:ジョン・ヴァン・ドリーレン
スタイン大尉:マイケル・グッドリーフ
アメリカ 映画
配給 20世紀FOX
1965年製作 117分
公開
北米:1965年6月23日
日本:1965年8月7日
製作費 $5,760,000
北米興行収入 $17,111,110
■ アカデミー賞 ■
第38回アカデミー賞
・ノミネート
音響編集賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1943年8月、第二次大戦下。
連合軍が迫る中、イタリアはナチス・ドイツと共に戦っていた。
アメリカ陸軍航空軍のパイロット、ジョセフ・L・ライアン大佐(フランク・シナトラ)の機は墜落するものの、ナチを嫌うイタリア軍に匿われ、ドイツ軍側には引き渡されず収容所に向かう。
収容所を管理する”黒シャツ隊”のオリアーニ大尉(セルジオ・ファントーニ)に案内されたライアンは、所長バターリア少佐(アドルフォ・チェリ)の元に向かう。
ライアンは所属と名前を伝え、階級上位の士官に敬礼するようバターリアに要求する。
捕虜達が騒ぎ初め、イギリス兵エリック・フィンチャム少佐(トレヴァー・ハワード)は、バターリアを糾弾すると息巻く。
捕虜達の元に向かったオリアーニは、フィンチャムに解散するようにと指示しライアンを収容する。 ライアンは、味方が本土に上陸したことを捕虜達に伝え、医療施設に向かうが、その場は衛生状態も悪く薬剤などは不足していた。 フィンチャムは物資不足の理由が、今後も続ける脱走計画に対する罰則であると伝えるが、ライアンは終戦も近いと語る。 意見するフィンチャムから脱走のことなどを聞いたライアンは宿舎を割り当てられ、アメリカ兵ボスティック軍曹(ブラッド・デクスター)、エイムズ二等兵(ジェームズ・ブローリン)、ジャンニーニ伍長(リチャード・バカリアン)に挨拶される。 待遇改善を急がなけらば死者が急増すると言われたライアンは、所内で最上級士官となったものの指揮をフィンチャムに任せようとする。 ボスティックらはイギリス兵に遠慮するライアンに失望して、自分達で薬剤などを盗む。 それをフィンチャムから知らされたライアンは、ボスティックらの処分の許可を求められる。 ライアンはそれを拒み、薬品を病人に配るようフィンチャムに指示する。 翌日、ライアンは捕虜の指揮を執ることをオリアーニに伝える。 バターリアの元に向かったライアンは、盗んだ物資の隠し場所を教えて、捕虜達に向かい脱走を許可しないことを伝える。 ライアンの協力により、バターリアは待遇の改善を約束する。 更にライアンは、捕虜達の不衛生な衣服を脱がせて焼く。 それを知ったバターリアは憤慨し、捕虜達には衣服は提供するものの、ライアンを懲罰房に入れる。 9月8日。 ライアンはそれを制止し、命乞いをするバターリアを懲罰房に入れる。 フィンチャムはライアンの行為を痛烈に避難するが、そこに戦闘機が現れる。 攻撃はされなかったものの危険が迫る中、ライアンは、ナチス・ドイツを嫌うオリアーニの案内で、その場を脱出して海岸に向かおうとする。 フィンチャムも同行するものの、オリアーニの罠であることを疑う。 その頃、バターリアは現れたドイツ軍に救い出される。 オリアーニは偵察に行くものの戻らず、ライアンらはドイツ軍に包囲されててしまう。 射殺された捕虜もいる中、ライアンらは捕えられ列車に乗せられる。 その場に痛めつけられたオリアーニがいたのだが、彼は裏切っていないことをライアンに伝える。 ライアンらは、現れたバターリアの仕業だと気づきながら車両に閉じ込められ、傷病者が射殺されたことを知る。 フィンチャムは、ライアンの責任を厳しく追及する。 列車は北に向かいローマに到着し、護送指揮官フォン・クレメント少佐(ヴォルフガング・プライス)の指示で捕虜達に食料が提供される。 列車は出発し、ライアンは床板を剥がして脱出しようと考え計画を練る。 一旦停車した後、動きだしたところで脱出したライアンとフィンチャム、そしてオルデ中尉(ジョン・レイトン)は、車両の屋根に上り監視兵を一人殺す。 列車は給水で再び停車し、オルデがボスティックらを解放して敵兵を倒す。 フィンチャムはクレメントを殴り倒し、その場を制圧したライアンは敵兵の死体を車両に運び込ませて、後続車両が迫ったために列車を動かす。 クレメントの車両で、彼の情婦であるイタリア人女性ガブリエラ(ラファエラ・カラ)がいるのをフィンチャムが発見する。 ライアンは、次の目的地フローレンス(フィレンツェ)と、その後に捕虜が降ろされることをクレメントから知らされる。 何か所かでクレメントが直接指示を受けるのだが、ライアンはドイツ語が話せるコンスタンゾを身代りにさせようと考える。 フローレンス。 列車は出発し、クレメントから護衛兵の入れ替えがあると聞いたライアンは、ウィルヘルム・フォン・クライスト中将(アイヴァン・トリーソール)指示のボローニャからミラノ行きの命令書を偽装する。 ボローニャ。 何とかその場を凌いだコンスタンゾは列車に戻るが、ゲシュタポが乗り込んでくる。 ゲシュタポはライアンの時計を手に入れたかっただけで、ストッキングとタバコでそれを交換して出て行く。 その後、クレメントとガブリエラが用済みということでフィンチャムは二人を殺す提案をするが、ライアンはそれを許さなかった。 次の給水停車で、コップを割り破片を隠していたガブリエラは、拘束されていたクレメントのロープを切る。 見張りのオルデが殺害され、クレメントとガブリエラは姿を消す。 ライアンは二人を捜し、クレメントに発砲されたため反撃して彼を殺す。 ガブリエラは銃を向けられるものの、その場から逃げようとしたためライアンは仕方なく彼女を銃撃する。 その頃、ボローニャの命令書の件でクライスト中将に報告があり、不審に思った彼はそれを調べる。 列車を廃線に向かわせたライアンだったが、線路が使われている様子があり、捕虜達を降ろして逃げるよう指示する。 しかし、イギリス軍の攻撃が始まり、捕虜を戻したライアンは列車を動かして前進させる。 燃料タンクが爆発して、燃えた車両の中の捕虜に被害者が出る。 負傷者を手当てして燃えた車両を切り離したライアンは、機関士の提案でスイスに向かうことを考える。 ミラノの手前の信号機を破壊すれば気づかれないということで、ライアンらはそれを実行する。 既に待機していた武装親衛隊大佐ゴート(ジョン・ヴァン・ドリーレン)は、制御盤が不能になるものの必ず通るはずの列車を待つ。 復旧した信号を確認したゴートは、追跡列車を出す。 アルプスを確認したライアンらは、スイスまで約130キロの地点に達したためドイツ軍の軍服を脱ぎ捨てる。 しかし、列車は敵機の攻撃を受け、岸壁を崩され鉄橋で停車する。 ライアンらは、岸壁沿いの歩道橋に向かい敵機を攻撃して撃墜する。 別の敵機に歩道橋を破壊されたため列車に戻ったライアンらは、追跡列車を確認し、後方の線路を外して待ち構える。 敵兵を乗せた列車は外された線路の手前で停車し、武装親衛隊のゴート大佐は兵士と共に前方に向かう。 迎え撃つライアンらは激しい戦いを繰り広げ、ボスティック他犠牲者を出す。 その間に外した線路と破損した物を入れ替えたオリアーニは、出発の警笛を鳴らしてライアンに知らせる。 しかし、ライアンは列車に追いつくことができず、ゴートに撃たれて命を落とす。 それを見つめるフィンチャムらは、彼の言っていた言葉を思い出す。 ”一人でも脱走させることができれば、それは勝利と言える” そして、捕虜達を乗せた列車はスイスへと向かう。
...全てを見る(結末あり)
イタリアが降伏したためライアンは房から出され、フィンチャムがバターリアを裁判にかけようとしていることをコンスタンゾ大尉(エドワード・マルヘアー)から知らされる。
コンスタンゾは。指揮官を無難にこなして指示書を受け取り列車に戻るが、緊張で失神してしまう。
コンスタンゾは命令書の確認させるが、その場にいたゲシュタポが同行していたライアンのアメリカ製の時計に気づく。
*(簡略ストー リー)
1943年8月、第二次大戦下、イタリア。
連合軍が迫る中、アメリカ陸軍航空軍のパイロット、ジョセフ・L・ライアン大佐の機は墜落し、”黒シャツ隊”の管理する収容所に入れられる。
捕虜の大半を占めるイギリス兵の中で、フィンチャム少佐は脱走計画実行を続け、その罰として物資の供給を止められていた。
最上級士官となったライアンは、フィンチャムの考えと対立しながら待遇改善に成功する。
その後イタリアが降伏し、武装解除された収容所を出たライアンらは、ドイツ軍に捕えられ列車で移送される。
ライアンらは、車両から脱出してその場を制圧し、敵の指揮官を拘束して北に向かうのだが・・・。
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デビッド・ウェストハイマーの小説”Von Ryan’s Express”を基に製作された作品。
第二次大戦下、ナチス・ドイツとの同盟で戦っていたイタリアの降伏が序盤のキーポイントで、同盟国でありながらナチを嫌う兵士や国民の描写で、当時の国内の様子が興味深く描かれている。
中盤までは、大爆笑コメディも顔負けなユーモア溢れるシーンが楽しめる内容で、その後は、本格的な戦いが繰り広げられるアクション作品として、マーク・ロブソンのメリハリの効いた演出が見所だ。
脱出、抵抗、戦いとスピーディーな展開で迎えるクライマックスの攻防、戦争の虚しさを訴えて終わるラストも印象的だ。
第38回アカデミー賞では、音響編集賞にノミネートされた。
主人公のアメリカ士官を演ずるフランク・シナトラは、小柄ではあるが流石に大物、他を圧倒する雰囲気がある。
頑なに抵抗を続けようとするイギリス士官トレヴァー・ハワードとの確執もかなり激しいやり取りで描かれている。
臨機応変なアメリカ人と頑固なイギリス人が、友情とはいかないまでも、戦いを続けて心が通い合う程度でまとめているところもまたいい演出だ。
ドイツ軍士官役と言えばこの人、捕虜護送指揮官のヴォルフガング・プライス、その情婦ラファエラ・カラ、捕虜に協力するナチを嫌うイタリア兵セルジオ・ファントーニ、捕虜ジョン・レイトン、ブラッド・デクスター、ジェームズ・ブローリン(ジョシュ・ブローリンの父)、リチャード・バカリアン、マイケル・グッドリーフ、収容所長アドルフォ・チェリ、ドイツ軍中将アイヴァン・トリーソール、武装親衛隊大佐ジョン・ヴァン・ドリーレンなどが共演している。