無学な農民からメキシコ革命の指導者となったエミリアーノ・サパタの半生を描く、製作ダリル・F・ザナック、監督エリア・カザン、脚本ジョン・スタインベック、主演マーロン・ブランド、ジーン・ピーターズ、アンソニー・クイン、ジョゼフ・ワイズマン他共演のドラマ。 |
・ドラマ
・マーロン・ブランド / Marlon Brando / Pinterest
・アンソニー・クイン / Anthony Quinn / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:エリア・カザン
製作:ダリル・F・ザナック
脚本:ジョン・スタインベック
撮影:ジョセフ・マクドナルド
編集:バーバラ・マクリーン
美術・装置
ライル・R・ウィーラー
リーランド・フューラー
トーマス・リトル
クロード・E・カーペンター
音楽:アレックス・ノース
出演
マーロン・ブランド:エミリアーノ・サパタ
ジーン・ピーターズ:ホセファ・サパタ
アンソニー・クイン:エウフェミオ・サパタ
ジョゼフ・ワイズマン:フェルナンド・アギーレ
アーノルドモス:ドン・ナシオ
ルー・ギルバート:パブロ
ハロルド・ゴードン:フランシスコ・マデロ
フランク・シルヴェラ:ビクトリアーノ・ウエルタ
フェイ・ルーペ:ポルフィリオ・ディアス大統領
アラン・リード:パンチョ・ビリャ
フローレンス・エイムズ:エスペホ
ヘンリー・シルヴァ:エルナンデス
リチャード・ギャリック:将軍
アメリカ 映画
配給 20世紀FOX
1952年製作 113分
公開
北米:1952年2月7日
日本:1952年12月11日
■ アカデミー賞 ■
第25回アカデミー賞
・受賞
助演男優賞(アンソニー・クイン)
・ノミネート
主演男優(マーロン・ブランド)
脚本・作曲(ドラマ・コメディ)・美術賞(白黒)
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1909年、メキシコシティ。
モレロス州の先住民の一団が、ポルフィリオ・ディアス大統領(フェイ・ルーペ)の元に陳情に現れる。
農場を奪われ締め出されたことをディアスに伝えた農民は、大統領から法廷で争うようにと言われるものの、それに異議を唱える者がいた。
裁判で農民が勝ったことはないと言う男(マーロン・ブランド)は、焦らずに対処するようにとディアスに指示され、一応、納得するしかなかった。
名前を訊かれた男はエミリアーノ・サパタと名乗り、大統領も彼に一目置く。
その後、農場の所有地問題でお尋ね者になったサパタは、兄エウフェミオ(アンソニー・クイン)らと共に山に立て篭もっていた。
ある日、反ディアス組織のリーダーである革命家フランシスコ・マデロ(ハロルド・ゴードン)の蜂起の準備を助けるフェルナンド・アギーレ(ジョゼフ・ワイズマン)という男が現れ、サパタらに協力を求める。
サパタは、その話に興味を示した仲間のパブロ(ルー・ギルバート)をテキサスに送り、マデロが信頼できる男か確かめようとする。
町に向かったサパタは、恋仲だった豪商の娘ホセファ(ジーン・ピーターズ)と結婚について話をする。 ホセファから、土地も財産もない追われる身の農民の妻になる気はないと言われたサパタは、かつては名家であったためにプライドを傷つけられる。 サパタから、牧場主ドン・ナシオ(アーノルドモス)に後われたと言われても考えを変えないホセファは、彼を突き放すものの、心の中では惹かれていた。 ドン・ナシオから生き方を教えられるサパタは、後見人になると言われ、ホセファの父と話をすることを勧められる。 テキサスから戻ったパブロの話を聞いたサパタは、世界を変える役目を担うことに興味がないことをフェルナンドに伝える。 しかしサパタは、農民が虐げられる姿を見て考えを変える。 ホセファの父エスペホ(フローレンス・エイムズ)に会ったサパタは、土地も財産もなく素行が悪いことを非難されて罵られ、結婚の許可は得られない。 侮辱されたために憤慨したサパタは、エスペホの胸倉を掴んで罵倒し、その場を去る。 その直後サパタは、農民を助けようとした際に警察官を殺した罪で逮捕されてしまう。 農民たちは、エウフェミオの指示で護送されるサパタを囲み、警官は抵抗できず、仕方なく彼を解放する。 それを機にサパタは、武装した農民を集めて解放運動を始め、各地でゲリラ戦を展開して勢力を増強して英雄となり、マデロから将軍に任命される。 態度を変えたエスペホは、サパタを家に招いて歓迎し、ホセファとの結婚を許可する。 その時、ディアス大統領が逃亡したという連絡が入り、サパタは戦いが終わったことを喜ぶ。 そしてサパタとホセファは、人々に祝福されて結婚する。 フェルナンドは、中途半端な勝利しかしていないにも拘らず騒ぐことに不満を抱くものの、エウフェミオは今だけは楽しめと伝える。 翌日マデロらに会うサパタは不安を隠せず、学のある彼らと違い、字も読んないことをホセファに伝え、彼女から読み書きを教えてもらう。 メキシコシティ。 将軍である自分だけが土地と屋敷を与えられることを知ったサパタは、あくまで農民の土地の返還を要求し、それが聞き入れないため、ディアスの時代と何も変わらないと考える。 エウフェミオから土地はもらっておくべきだと言われたサパタは、法律の制定を優先するマデロから、軍隊の立て直しのために武装解除もするよう指示されるものの、それを断わりその場を去る。 マデロは、軍司令官ビクトリアーノ・ウエルタ(フランク・シルヴェラ)から、邪魔者であるサパタの殺害を提案される。 仲間は裏切れないと言うマデロは、サパタともう一度、話したいことをパブロに伝える。 無理だと言うパブロは、サパタに会うためにモレロスを訪れることを提案して、マデロを納得させる。 それをマデロから知らされたウエルタは、人がいいだけの彼はどうにでもなると考え、サパタを警戒して抹殺しようとする。 マデロに説得され、武装解除に応じたサパタだったが、ウエルタの軍が攻め込んで来るという連絡が入る。 それが信じられないマデロだったが、サパタは軍を迎え撃とうとする。 川で待ち伏せたサパタらは、斥候部隊を誘き出して全滅させる。 その後、軍により軟禁状態となっていたマデロは、ウエルタの命令で殺害され、再び内戦となる。 サパタは、マデロをウエルタとの平和交渉に向かわせたパブロの行為を裏切りとみなし、彼を処刑する。 メキシコシティ。 戦いに疲れたビリャはサパタと過ごし、これからは静かに暮らしたいとフェルナンドに話す。 今後のことは考えていると言うビリャは、信頼するサパタを暫定大統領に任命する。 モレロスの仲間の陳情を聞いたサパタは、将軍となったエウフェミオが権力を握り、土地を独占していることをエルナンデス(ヘンリー・シルヴァ)らから知らされ、戦いで英雄となった兄をかばおうとする。 強情なエルナンデスに一目置いたサパタは、かつての自分を思い出す。 故郷に戻ることを決心したサパタは、フェルナンドの制止を聞かずに、エルナンデスらと共にその場を去る。 モレロス。 土地を農民に返したサパタは、他人を当てにせず命を懸けて守るようにと言って励ます。 その場を去ろうとしたエウフェミオは農民に銃撃され、サパタは兄の死を哀しむ。 その後、優位に立つ権力者側に付こうとするフェルナンドは、サパタの暗殺を企てる。 山岳地帯を拠点にしていたサパタは、危険を察知して自分の身を案ずるホセファに、政府軍の支援を受けられることを伝える。 それを罠だと考えるホセファだったが、サパタは武器の取り引きに向かおうとする。 それを制止するホセファの話を聞こうとしないサパタは、使命を果たすために、迎えに来た同志たちと共に出発する。 取り引き現場に着き士官に歓迎されたサパタは、かつて少年に譲った愛馬と再会する。 フェルナンドに誘き出されたことに気づかないサパタは、隠れていた兵士の一斉射撃を受ける。 叫びながら飛び出してきたフェルナンドは、サパタの死を確認して、これで終わりだとつぶやく。 将軍(リチャード・ギャリック)は、死人が最大の敵になることもあるとフェルナンドに伝える。 フェルナンドは、サパタの死を認識させるために、遺体を広場にさらすよう指示する。 サパタの遺体は広場に運ばれるが、顔に銃弾を受けていたために彼とは確認でない農民は、サパタが生きていることを信じて戦いを続けることを誓う。
...全てを見る(結末あり)
大統領になったマデロに会ったサパタは、農民の土地の返還を要求する。
その頃、革命家のパンチョ・ビリャ(アラン・リード)がウエルタを倒し、サパタを呼び寄せる。
酒と女に溺れる哀れな姿のエウフェミオを批判するサパタだったが、将軍らしい生活ができないことで不満を訴える彼に反論できなかった。
(簡略ストー リー)
1909年、メキシコシティ。
モレロス州の先住民の一団がディアス大統領の元に陳情に現れ、その中のエミリアーノ・サパタという男に、大統領は一目置く。
農場を奪われ締め出された住民の窮状を救うおうとしたサパタは、所有地問題でお尋ね者になり、兄のエウフェミオらと共に追っ手から逃れていた。
ある日サパタは、テキサスの革命家マデロの使者フェルナンドからの協力要請に興味を持ち、仲間を偵察に向かわせる。
サパタは、豪商の娘ホセファと恋仲にあったが、彼女は土地もない農民の妻になる気はなかった。
プライドを傷つけられたサパタは、ホセファの気を引くために大牧場主に雇われて頭角を現す。
その後サパタは、革命に目覚めて解放運動を始め、各地でゲリラ戦を展開してマデロに認められる。
そしてサパタはホセファを妻に迎えるのだが、中央では政変が起きていた・・・。
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人間の尊厳や生き方について深い意味を持つ台詞が印象的なジョン・スタインベックの脚本を、エリア・カザンが骨太に演出した快心作であり、ダリル・F・ザナックが製作した作品。
第25回アカデミー賞では、助演男優賞(アンソニー・クイン)を受賞し、主演男優(マーロン・ブランド)、脚本、作曲、美術賞(白黒)にノミネートされた。
エリア・カザンらしい繊細な人物描写や、混迷するメキシコ国内及び政府の様子、または、苦悩する農民の生活と解放を求める人々の力強さが伝わってくるショットの連続により、見応えある作品に仕上がっている。
作品イメージに合ったアレックス・ノースの音楽も、効果的に使われている。
前年、同じエリア・カザンの「欲望という名の電車」(1951)で、デビュー2作目にして早くもアカデミー賞にノミネートされたマーロン・ブランドは、本作でも希代の革命家を魅力的に演じ、迫真の演技を見せてくれる。
サパタ本人を思わせる、鋭い眼光やメイクも見ものだ。
豪商の娘ではあるが革命家を愛する、女性らしさと野性味を兼ね備えた役柄を演ずる、後にハワード・ヒューズ夫人となるジーン・ピーターズの美しさと好演も光る。
30代半ばにして貫禄十分であり、豪快な持ち味がよく出している、アカデミー助演賞を受賞したアンソニー・クインの熱演も見逃せない。
主人公を革命に誘いながら裏切る男ジョゼフ・ワイズマンの、終盤にかけての異様な雰囲気も印象的だ。
サパタに生き方を教える牧場主アーノルドモス、同志としてサパタに仕えるが処刑されてしまうルー・ギルバート、平和主義者の革命家フランシスコ・マデロ役のハロルド・ゴードン、軍人であり大統領となるビクトリアーノ・ウエルタのフランク・シルヴェラ、陳情に来たサパタに一目置くポルフィリオ・ディアス大統領のフェイ・ルーペ、革命家パンチョ・ビリャのアラン・リード、サパタの義父となる豪商フローレンス・エイムズ、若き日のサパタを髣髴させる農民のヘンリー・シルヴァ、将軍リチャード・ギャリックなどが共演している。